これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
『
それは、中国武術の術の1つ。
何らかの動きで生まれた運動エネルギーを体内で移動させ、触れた相手に流すという、習得にはその道の達人でなければならないとされる術である。
そんな術であるが故、中には触れている状態から相手に倒れ込む程の威力のある打撃を出せる者もいるとかいないとか。
「よく……知ってましたねアスナさん。どこでそれを?」
そんな、一般人ならまず知らないような技の名前に、意外な反応を見せたアスナはタスクがそう尋ねられていた。
するとアスナは、少しだけ考え込んだ後。
「え、ええっと……実は私、ノーム領にある格闘系の道場に少しだけ行ってた時期があって……」
「……おや」
そう言って、きまり悪そうにリズ達を見る。
対し、見られたリズ達はきょとんとした顔を返す。
……がしかし。
リズがはっ、とした顔をして気づいた。
「あぁー!? まさか、一時なかなか来なかったのって……」
「そうなの!! ご、ごめん!! でもタスクくん見てからどうしてもやってみたくって……!!」
「おやおや、それは嬉しい」
小さな争いのが発生する中、傍らでタスクがえへへと笑う。
「抜け駆けだぁ!! こいつぁ高くつくぞ!!」
「やっちゃえー!!!!」
クラインとシリカが飛びかからんとする中。
「ア、アスナ!! それでその……」
「あ、ああ、ごめん!!えっとね」
キリトが早く知りたいと言わんばかりにアスナを呼び戻した。
早く知りたいのは皆同じなようで、あっさりと引き下がってまた話を聞く体制に戻る。
すると、少し恥ずかしそうにアスナが話し始めた。
「その……ノーム領の道場の師範が、ある時言ってたの」
「?」
「
「!!」
「って……。それで、名前だけは覚えてたの。SAO絡みだったし……」
「……ふふ、なるほどね」
話を聞いたタスクは、納得したように頷く。
アスナはそんな彼を、少し不安そうに見つめている。
「して、アスナさん」
「?」
「その師範さんは、発勁については他に何か?」
「あ、ああ。ええっと」
思い出そうとして、アスナは斜め上を見上げる。
ううーん、とかなんとか言って、やっとひねり出した記憶。
「ああ!!」
「わっ!? は、はい!?」
いきなり叫ぶアスナに、今度はタスクがビックリする。
「師範さん、確かね」
「……!!」
「
「……!!」
アスナの後半で途切れた言葉を聞いて、タスクが明らかに驚いた顔をする。
そして小声で何か……
「どこで……いや、どうやってその話が……?」
「タ、タスクくん?」
「ああ、いや、すみません」
すると、そんな彼の顔をアスナが覗き込んだ。
タスクは慌てて話を戻す。
「ええとですね」
「……!!」
何気なく、辺りを見回してみるタスク。
観客は闘技場に釘付けで、キリトら、サクヤら、ユウキらがこちらを見ている状態。
まあ、これならいいだろう。
そう思い至り、一息つくと話し始めた。
「まず……そうですね、正解です」
「?」
「あれは間違いなくVR世界の『発勁』です。それも、SAO時代に編み出されました」
「ほ、ホントだったんだ……!!」
そこそこ気になっていたのか、都市伝説とか興味無さそうなアスナが一番目を輝かせている。
そんな彼女に、苦笑いしながらタスク話し続けた。
「ええ……まあただ、不正解もあります」
「!!」
「あのですね、『発勁』は封印されてません。そもそもあれは、編み出した人しか使えない技で、SAOと共に使う機会がなくなって失われたと同義になった。ただそれだけです」
「な、なるほど」
噂でよくある話である。
起こったことは確かに合ってるが、明らかに尾びれ背びれが付け足されてる、というやつ。
中にはエピソードが2.3個追加されてるやつとか。
すると、その話に今度はキリトが反応した。
「な……え、タスク、今……」
「はぁい?」
「
「……ふふ」
そこに気づいた?
タスクがそう言わんばかりに微笑む。
そして。
「ええ……そうです。『発勁』は、タモンさんしか使えません。僕も無理」
そう言って、また微笑んだ。
ちなみに、アスナがノーム領の道場に通っていたのは公式設定です。
(ソードアート・オンライン 第7巻 マザーズロザリオ 78頁 7行目)
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