これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

165 / 202
Episode163 正解と不正解 〜Correct and incorrect answers〜

「ああ、どうも、すみませんわざわざ」

「いえいえ、こちらこそ……」

 

3月の頭。

とある男が、とある大きな病院に訪れていた。

 

「……彼女は、どこに」

「ええ、すぐご案内します」

 

訪ねてきた男は、早速と言わんばかりに応対した医師に詰め寄る。

医師も医師で、早々に頷くと足早に歩きだす。

 

「えと……話が通ってるはずです」

「あ、はい……」

 

途中、受付カウンターに寄り、その男はそう言って名刺を差し出す。

医師は黙って後ろに立っている。

 

そこに書いてある名前は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『菊丘』

 

✣

 

「タスク」

「?」

 

一方、GGO。

店主の店でくつろぐタスクの元に、シノンがログインしてやってきた。

 

「おやシノンさん」

「今日は暇そうね……よかった」

 

あたりを見回し微笑むシノン。

タスクはそんな彼女を見上げ、見つめている。

 

「シノンさん?」

「……ええ」

 

タスクの鋭さは相変わらず。

 

観念したかのように頷くシノンは、彼の隣にストンと腰を下ろした。

タスクはどこか得意げに、ふふんと笑って少し横にずれる。

 

対し、少し不服そうに息をついたシノン。

ぐっ、と何か決心したかのように手を握りしめる。

 

そしてたった一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの話……正解」

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ……ですよね」

 

少し呆れた感じのシノンの言葉に、タスクは嬉しそうにはにかんだ。

 

「アスナびっくりしてたわ。何なら若干引いてた」

「まあ……そりゃ気持ち悪いですよね」

「自覚あるのね……」

 

シノンは今度こそ呆れたようにため息をつく。

 

……が。

 

「……までも、そう……ですか」

「……!!」

 

すぐ隣から、低く重たい声が聞こえてくる。

それを聞いたシノンの顔も暗く沈む。

 

「やっぱり……残念?」

「……まぁ」

 

シノンが問う。

タスクは窓の外を眺めて息をつく。

 

「まあでも」

「?」

 

しかし、次の瞬間。

タスクがたん、と立ち上がると、窓の外を眺めつつ微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女は生き続けます。い(・)ろ(・)ん(・)な(・)形(・)で(・)ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!!」

 

タスクの横顔を見つめるシノン。

彼女は思索を巡らす。

 

「いろんな形」とは。

技が残る? 思い出が残る? それとも記録?

 

視線を感じる。

ふと顔を上げる。

 

「……!!」

 

すると、いつの間にかタスクがシノンを見て微笑んでいた。

 

「な……なによ?」

「ん……ふふ」

「……?」

 

シノンの怪訝な目に微笑みを返すタスク。

不思議そうに首を傾げる彼女を見つめる穏やかな目つき。

 

……そんなタスクは、たった一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……その考えは全部、不正解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不正……解!?」

 

穏やかながら全てを見抜いた彼の目は、相変わらず黒く澄んでいた。




大変、お待たせしました。
お久しぶりです、駆巡 艤宗でございます。

3月はまるまる音沙汰無し、4月もあわや、と言うところでの投稿になってしまいました。

Twitterで心配のお声を下さった方、何も言わずただただ信じて待って下さった方、ありがとうございました。皆様大変ご心配をかけました……

実は私。
新型コロナ陽性が出てしまっていました。

しかもしっかり体調を崩しまして……。

もちろん、今はとっくに完治しております。
3月の半ばあたりの話です。

それに伴い、色んなところへの復帰やらなんやらに勤しむあまりこんな時期に……。

大変申し訳ございませんでした!!!!

実は今話の原稿は3月頭には完成しておりました。
ただ、今話、「新しい試み」を導入した記念すべき回であり、どうしても中途半端には出せず、この時期になってしまいました……。

ではその「新しい試み」とは、一体何か。




それすなわち、『伏線話』の導入です!!




今話の文字数がかなり少ないことに、皆様お気づきかと思います。

実はそれが『伏線話』の最大の特徴です。

文字数を減らして、余計な話をあまり挟まず。
記憶に残しやすく、かつ伏線であると明確に察してもらう。

これが今回の新しい試みです。

当然、伏線というのは本来、あまりおおっぴらに言うものではないことは承知しています。

しかし、読み返しやすさだったり、ネット小説はおろか、小説自体がまだ初めたての人にもなるべく読みやすくしよう、と言うのがこの作品の根底にあります。

もちろん玄人向けにかなり手の込んだ伏線も散りばめてあります。

……が。
そんなのよりもまず、伏線というものの面白さを知りたい!! と言う人向けに、今回導入してみました。

わかりやすいように、今話の伏線の回収はすぐにやってきます。

今後ともぜひ、お楽しみください!!



駆巡 艤宗
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。