これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
レンとフカがドームに入っていった直後。
タスクがその場にしゃがんで地面を触る。
すーっと土に矢印を書いて、キリトを見る。
「キリトさん、突っ込む」
「おう」
「自由にしてください。遠慮は無用」
「……!! 分かった」
続いて矢印の根元に別の点をぐりぐり。
シノンを見る。
「シノンさん、とにかくキルしてください」
「え……牽制じゃなく?」
「はい、相手は強敵です。キルできるならしてください。遠慮は無用」
「……了解」
そして最後。
矢印と点の右斜め下。
小さく四角を書いて、ミーシャルを見る。
「して、ミィ」
「ん」
「ここで準備。カモフラも忘れずに」
「…………分かった」
その瞬間。
キリトとシノンが目を見開く。
準備、それ即ち。
「あ、違います」
「「!!」」
不意にタスクが言う。
「この戦闘ではありません」
「え……」
「言ったでしょう。
「あ……そ、そうか」
「撃っても……いいよ?」
「ごめんなさいミィ、やめて」
自分が間違えてた。
そう言いたげなシノンが、目を伏せてミーシャルに掌を向けた。
「ふふ……では、行きましょうか」
「ん」「了解」「よし」
そんな様子を見たタスクは、微笑んで立ち上がる。
そして一言。
「最後、僕」
「!!」
キリトとシノンが驚いてタスクを見る。
「僕は……」
その瞬間。
✣
MMTMは、開始直後から快進撃を続けていた。
リスポーン地点はドームの北にある丘陵地帯と北マップ端の雪山の中間。
北の端にはシード枠のVRFがおり、彼らは雪山の上に籠っているため不利と判断し、ノータッチ。
そのため、手っ取り早く最初の強敵、レン達を撃破すべく……。
雪山と丘陵地帯の境界に沿うようにドームに向かいつつ敵チームに会敵し次第撃破し、丘陵地帯一帯を掃討し終えたところであった。
「……一旦止まれ」
して、現時刻。
境界が消え、ログハウスのある草原付近に着いたその時。
ドームが見えてきたくらいの地点。
「伏せろ。嫌な予感がする」
リーダーが咄嗟に指示を出す。
各員がその場に伏せ始めた、その瞬間。
「がっ!?」
「やっぱり!!」
タァン……
先頭にいたメンバーの頭が吹っ飛んで行った。
遅れてやってくる銃声、遠距離狙撃の音である。
この威力、この技術。
間違いない。
「シノンだ!! シノンがいる!!伏せろ!!位置を特定するんだ!!」
MMTMは、強敵と戦闘に入った。
✣
「んーふふふ、お見事お見事」
して、タスクである。
彼は今、ドーム北東の壁から少し先。
草原の端っこに伏せていた。
ログハウスが右斜め後ろに見える。
単眼鏡に目をつけて微笑む彼は、実に楽しそうであった。
レンとフカをドームに送り出した後。
ミーシャルはドーム西口に置いたままにして、タスク、シノン、キリトの3人はドーム外周を半周ほど移動。
真北の地点を少し通過したあたりで、MMTMを待ち構えていた。
MMTMは、雪山と丘陵地帯の境界に沿うように移動しており、かつ丘陵地帯には灰色の点しかなかった。
想像に難くない。
雪山の方が高度が取れるから、そこから丘陵地帯にいるチームを各個狙撃したのだろう。
そこで、タスクたちはあえて大胆な移動を決行。
MMTMがまっすぐ南下してくる地点に移動し、待ち構えたのだ。
「まず1人だから……あと5人、か。んじゃまっ」
すると、タスクが背中から
「これからよろしくね、楽しもうね」
謎な独り言をその物体にかけて、地面に置いた。
2本の足を出し、
スコープの蓋を開けて、コッキング。
「さ、やろっか……『ゲパード GM6 Lynx』!!」
✣
MMTMは、彼ららしくなく混乱に陥っていた。
「な……なんだ……!? どうなってんだ……!?」
最初の1人が殺られて以降、
シノンの位置は特定した。ドームのすぐ側だ。
真北の入口付近で、伏せてこちらにずっと撃ってきている。
彼女のへカートのバレットラインが彼らの周りをまるでスキャンするかのように右往左往し、少しでも体が出ればそこに弾が飛んでくる。
ただ、それだけじゃなかった。
『リーダー!! 明らかにおかしい!! 弾が
『あぁ俺も分かってる!! だが……!!』
そう。
弾丸が明らかに
彼らは歴戦の猛者。
弾の来る方向はもちろん、弾痕を見て、射手のあらかたの位置は把握できる。
……しかし、今回は違う。
特定したシノンのところから撃ったとは思えない弾痕が、いくつも周りにできるのだ。
『くそ……まさか……いや、そのまさか……か!?』
『リーダー!!!! レンズフラッシュがもうひとつ!!』
「クソッ!!!!!!」
『まずぃぐぁっ……!!!!』
タァン……
無線の先のメンバーが殺られた声を上げて途絶する。
2人目。残り4人。
そのまさかだ。
リーダーは確信した。
シノンの『ウルティマラティオ へカートII』。
それと同等の銃が、もうひとつある。
『全員、移動の準備をしろ!! ここはダメだ!!』
『リーダー!?何故!?』
『シノンの位置から左に少し、もうひとつスナイパーがいる!! そいつもアンチマテリアルだ!! クロス取られてる!!』
『なん……だと……!?』
絶望を告げる無線をした直後。
リーダーの伏せる土の横が、
「この威力……絶対そうだ、間違いない」
アンチマテリアルライフルにしか出し得ない威力。
それによって抉られた土は、否が応でも事実を見せつけてくる。
「……それにっ……!?」
その瞬間。
リーダーの頭が、吹っ飛んだ。
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