これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

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Episode194 カミングアウト 〜coming out〜

ドーム内、レンとフカ。

 

本来ピトフーイに使うはずだったピンクスモーク作戦をやむなく使用し結託3チームを殲滅。

 

死体に紛れてたクレランスをなんやかんやして、マガジンに手を伸ばそうとしたその瞬間だった。

 

「っ……!! 伏せろ!!」

「!!」「えっ……!?」

ダァン ダァン

 

クレランスがレンを庇い、そのまま息絶える。

見れば、眉間に赤く光る点。

 

「ま、まさか……!!」

「あぁ……だろうね」

 

その予想は大当たり。

 

「レン!! 来たぞ!!!!」

 

聞き覚えのある野太い声がドームに響く。

 

「あれが噂の……!?」

「そう!!」

 

レンが走りながら無線でがなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「SHINCだ!!!!」

 

✣

 

『シノンさん、SHINCの射手のみを牽制射してください』

「……了解」

『くれぐれもキ(・)ル(・)し(・)な(・)い(・)で(・)』

「……分かった」

 

耳元に無線を通してタスクの声が聞こえる。

 

「キ(・)ル(・)す(・)る(・)な(・)」、GGOではあまり聞かないこの言葉も、シノンにとってはもう慣れっこだった。

 

ようは、「利(・)用(・)で(・)き(・)る(・)」ってことだ。

 

 

 

「VRMMOって、本当に面白いわね」

 

 

 

シノンが独りごちて、引き金に手を添える。

 

向こうが気づいてない初弾だ。

ラインは出ない。つまりバレない。

 

『あの女だけ、彼女らに殺ってもらいましょう』

「……女?」

『はい、レンさんを庇ってるプレイヤーです』

「あれ……女なんだ……」

『女が殺られたら、射手をお願いします』

「……分かったわ」

 

そして、無線が途切れたその瞬間。

 

 

 

 

 

クレランスの声が、こだました。

 

✣

 

『レンさん、取れますか』

「!! タスクさん!!」

 

クレランスが殺られた直後。

レンが走り出して、フカが伏せたその瞬間。

 

突如タスクの声が無線で聞こえてきた。

 

レンは思わずその場で伏せる。

 

『SHINCと対称の位置。木の影あたりにシノンさんがいます』

「え……?」

『MMTMは殲滅完了。合流しましょう』

「よ、よかった……!! 助かった……!!」

 

レンは思わず安堵する。

 

ここでSHINC達とやり合うのは、流石に厳しかった。

 

かと言って逃げ出すのもなんだか彼女らに申し訳ないし。

どうしよう、どうしよう、となって、とりあえず距離を取ろうと走っていたのだった。

 

だがしかしタスク達が戻ってきたのだとすれば。

 

『……あの女を屠った射手は下がらせたわよ』

「シノンさん……!!」

『どうする? 位置は分かってるからやろうと思えば殺れるわ』

「えっ……と」

 

これで安心と思いきや。

 

ふと、レンの心の中にモヤモヤが生まれた。

 

SHINC達は、それでいいのだろうか?

レンと戦いたいはずなのに、レンのチームメイトに倒されて、満足するだろうか?

 

そんな考えが浮かんで、顔を顰めたその瞬間。

 

 

 

 

 

 

「待った!!!!」

 

 

 

 

 

 

突如、フカが両手を上げて立ち上がった。

 

✣

 

それから、数分後。

状況は急変した。

 

フカの勇気ある停戦、SHINCのボスがレンの元にやって来て。

タイマンの申し込みを受けたがそれを辞退。

 

一旦スキャンを確認し、PM4……ピトフーイ達の存命を確認した後。

 

 

 

意を決してボスにレンの事情をカミングアウトしたのだ。

 

 

 

すると、SHINCは今回は諦めるとして、レンに協力を約束。

作戦立案の後、一旦分かれたのである。

 

はっきり言って、よく信じてくれたと思う。

レンはそこに安堵する。

 

SHINCの皆が、SJIIの優勝はもちろん、レンとの再戦を熱望していたのは知っている。

だからこそ、レンとの再戦は愚かSJIIの優勝さえも投げ打ってくれたことに、感謝の気持ちが込み上げる。

 

……のだが。

 

「……という、わけなんです」

「はい」

 

問題は、もうひとつあった。

自チームの仲間たちだ。

 

SHINCのボスがやってくるタイミングで、タスク・シノン・キリトも合流していたのだ。

 

つまり、レンのカミングアウトを彼らも聞いているのである。

 

今回はただ「ライバルを倒したい」という依頼で発注してくれたと店主が言っていたのを覚えている。

 

だからこのカミングアウトは、SHINCのみならず。

自チームの人達も、対象になってくるのだ。

 

正直レンはこっちの方が不安だ。

 

SHINCはまだ、ライバルとしての信頼関係がある。

ただタスクはじめ予備傭兵の皆は言ってしまえば契約の関係だからだ。

 

「話が違う」と言われたらどうしよう。

「とんでもないことに巻き込みやがって」とか言われたら泣いちゃいそう。

 

いやまぁ。

 

契約は契約だから、と割り切ってもいいだろう。

だがレンはそれができるほど肝が据わっていないのである。

 

その時。

 

「……どうする、タスク」

「うう〜ん、どうしましょうね」

「はひ……?」

 

キリトの声と、軽い感じのタスクの声が聞こえてきて、レンは思わず顔を上げた。

 

すると。

 

「まいっか」

「へ?」

「あの、レンさん」

「?」

 

 

 

 

 

 

「僕ら、最初から知ってたんですよネ」

 

 

 

 

 

 

「はい!?」

 

レンはその日一番の声が出た。




こんにちは!!
駆巡 艤宗です。

毎週投稿、いかがでしたでしょうか!!

溜め込んでいたプロットと、溜め込んでいた荒原稿が一気に吐き出せてスッキリしました……笑

今後はまた不定期に戻りますが、とりあえずSJ2が終わるまでは頑張って早め早めの投稿を維持しようかと思います……。

今後とも是非よろしくお願いいたします!!

それでは。

✣

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