これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
時は少し戻って。
レンとタスクで二手に分かれ、それぞれ動き出してから数分後。
「……ふぅ」
ドーム入り口で息をついて、ペタンと座り込む少女がいた。
言わずもがな。
ひとり残されたミーシャルである。
ゴゴゴ……
ガガガ……
ドォンドォン……
「……ん」
真横のドームから聞こえるくぐもった轟音。
眠そうな目で入り口を見やる。
「みんな、頑張ってるんだ……ね」
ふぅ、とまた息をついて、目を伏せるミーシャル。
武器を持たず、フリフリな服を着た可憐な少女。
いくら女子とはいえなかなか珍しい、武器も持たないそのスタイル。
「……さ、やらなきゃ」
するとミーシャルは、ゆっくり立ち上がって周りを見渡した。
後ろ180°全面はドームの壁だ。
未だに轟音が聞こえてくる。
対し、前に広がるは平野、それと遠くに街。
「……さすがタスク。分かってるね」
景色を見渡し、ふふ、と少し笑うミーシャル。
手元にウィンドウを表示させると、何やらポチポチと触り出した。
「建物のそばは、地面が平ら」
ピッ、ピッ……
「でも市街地じゃダメ。平屋の街は隠しきれない」
ピッ、ピッ……
「かと言ってビル横もダメ。ミサイル当たっちゃう」
ピッ、ピッ……
なにやらブツブツ言いながら、これまたGGOプレイヤーにしては珍しく長々とウィンドウをさわるミーシャル。
……そして。
「だから、ここ。ちょうどいい高さの建物」
そう言って、ミーシャルがウィンドウを閉じる。
すると、その時。
「あ……やっほー、タウイ」
1機の飛行機型ドローンが、頭上を飛んで行った。
✣
時間は少し進んで。
レン達がSHINCらと共闘を取り決めたのと同時刻あたり。
『みんな、一応聞いて』
「?」
雪山の頂上にいた「VRF」。
その
『僕らから見て右側、北の壁沿いで「全日本マシンガンラバーズ」と「TーS」が戦闘になりそう』
「……」
『で、「TーS」が面白いことしてて、あいつら城壁の上にいるんだよね』
「……上!?」
思わずギフトが無線を返す。
『タウイ、いま上って言った?』
『あぁ、上』
『あれ登れるんだ……』
チームメンバー全員そう思うのだろう。
それきり無線は飛んでこないが、妙な空気と間が生まれる。
『そ、それでね』
「……」
『「TーS」さ、いずれ厄介になりそうだから爆撃機飛ばす』
「……」
『ついでに「全日本マシンガンラバーズ」もまとめて吹っ飛ばすから、割と目立つかもしれない』
はいはい、つまりそういうことね。
皆、言わんとすることを理解する。
『こっちに向かってくるチームが出てくるかも。要警戒ね』
まぁ、だろうね。
無線は返さずとも、皆そんな感じだった。
彼らVRFはSJII開始からずっとスポーン地点にいた。
雪山な上、斜度が強い。
これほどまで防衛に適した地はないからだ。
それぞれ白いポンチョをかぶり、身を潜めて麓を警戒する。
一方、タウイは5機の偵察機をこれも放射状に飛ばした。
マップ全域の状況を把握して損はないからだ。
ところが、チーム数が減り、終盤に差し掛かる今。
いよいよ篭もる意味が無くなってきた……というわけで。
ここで1回攻勢に出ようというわけだ。
『はぁ〜あ、初戦闘はドローンかぁ』
『まあまあ、それが最善なんだししょうがないじゃない』
『さながら電子戦だな、これは』
無線で好き勝手話すメンバー達。
まぁやってくる敵もいないし、仕方ないだろう。
そんな彼らの上を3機の【特製UCAV "SEIRAN"】が編隊を組んで飛んで行った。
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