これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「なんで……!? どうして……みんな……!?」
目の前の惨状をただ見ることしかできないレン。
作戦なんてもはや考えられなかった。
「なんで……!?!?」
隣のタスクはニコニコしながらゲパードを撃っている。
アンチマテリアルの爆風と爆音がこだまし続けている。
キリトは未だ450mも先にあるログハウスに向かって突進中。
容赦ない掃射に晒されているがお構いなし。
自身に当たる弾だけ弾いて一直線に進んでいく。
シノンははるか後方からひたすらログハウスに射撃中。
フカは最もひどく、四肢を撃ち抜かれさながら芋虫状態。
それでも進むのをやめず、地を這って進んでいる。
そしてSHINC。
突撃の先陣をきった勇敢なアマゾネスたちは、見るも無惨に掃射に晒され全滅した。
「なんででしょうねぇ」
「!?」
不意に、隣のタスクがレンに問う。
レンは思わず睨むような目でタスクを見る。
「ちゃんと頭使って、論理的に戦った方がいいはずなのに、ねぇ」
「そ、そうだよ!!なんでみんな……!!」
タスクの言葉に同調し、憤慨するレン。
あれだけ緻密に作戦を立てたのに。
決闘を見送ってまで、協力してくれたのに。
何故ここにきて、全てを投げ出すような真似をするのか。
フカも、SHINCも、タスク達も。
「レンさん、知ってます?」
「!?」
すると突然、タスクが撃つのをやめて、レンを見る。
レンは思わず目を見開く。
「うんうん言って悩んでも、即決でこれだ!!って決めちゃっても」
「……!!」
「結論はほとんど変わらないってやつ。聞いたことないですか?」
「あ、ある……けど……」
いきなり何の話?
レンの中に疑問符が浮かぶ。
すると。
「よっこらしょ」
「!?」
タスクはゲパードから完全に手と目を外して、空を見るように仰向けになった。
手と足を投げ出して大の字に。
おおよそ戦闘中とは思えない体勢だが、タスクは話し続ける。
「その話ってね、その道の専門家であればあるほど、当てはまるんですって」
「……は、はぁ」
「チェスの達人さん達は86%も結論が一致したらしいですよ。すごいですよね」
「すご、すごい、けど今そのはな……」
「レンさん」
すると、不意にタスクが首を回してレンを見る。
声のトーンが落ち、レンは思わず押し黙る。
「レンさんは、突撃するタイプの戦い方ですよね」
「……!!」
「こんなところでうんうん悩んでたって、どうにもならなくないですか?」
「っ……!!」
まっすぐなタスクの言葉が突き刺さる。
レンは思わず目を背けるが、タスクは続ける。
「逆に言えば。レンさんの得意な戦い方に持ち込めば勝機はあります」
「え……」
「そうされたくないから、彼らは立てこもってるんじゃないですか」
「!!」
レンがぐい、とタスクの方を向く。
ハッとしたような、そんな顔で。
「何も考えなくていい。ただ、レンさんが得意な……レンさんの専門分野で戦えるフィールドさえあればいい」
「!!」
「そこまで持ち込めれば、あとは正解を即決できる。そうでしょ?」
「それは……そう……だけど」
微笑んだまま、大の字のまま。
心に刺さる言葉を淡々と続けるタスク。
レンは地面を見つめて、拳を握り締める。
そんなこと言ったって。
それができたら苦労しない。
そう心の中で悪態をつきそうになった、次の瞬間。
「だから、リセットしましょう」
「……は?」
タスクが立ち上がって、微笑んだ。
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