これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
時は、遡ることBOB予選があった日の夜。
現実世界へと戻っていた店主……もといタモンは、とあるメールを見つつ、食卓に置かれたカップラーメンを啜る。
そのメールの宛名は、もちろん『店主』ではなく、『オセロット』だ。
なぜなら、そのメールの差出人が、「裏世界プレイヤー」だから。
その差出人の欄には、こう書かれていた。
『シャルルより。Codename:ウォッカ』
と。
そして、その下に本文が続いている。
タモンは、その文を、スクロールしながら目で追っていった。
✣(以下、本文)
調査結果
ゼクシードは例外として、その他のプレイヤーの被弾したシーンを録画、細分化分析したところ、死銃の銃「トカレフ TT-33 黒星」からの発砲弾の被弾と、強制ログアウトシステムの無関係を確認した。
理由として、
・被弾してから強制ログアウトシステムが作動するまで、タイムラグがプレイヤーによってまちまちであり、このタイムラグのばらつきは、現実世界でなんらかの人為的な干渉が行われている証拠であること。
・タイムラグは、最短1.485秒であり、アミュスフィアの電子系統暴発実験のタイムラグとは全く異なるものだったこと。
から。
結論として、この犯行が現実世界からのなんらかの犯行と、死銃の銃「トカレフ TT-33 黒星」からの発砲のタイミングを合わせた計画的な犯行である可能性が大きい。
死銃の中のプレイヤーは、特定出来ず。
ただ、サーモグラフィー透視の結果、右腕に
よく分からないけど、なんか意味がありそうだったから、一応報告しておく。
補足
こんなもんでいい?
明日の本戦待機会場でも一応監視するけど、調査結果を早めにまとめて出してみたの。
この結果を見つつ、明日の本戦を見ながら、ボスと結論を出してね。
あと、いつもいってるけど報酬は私の口座に入れて!彼の口座に入れないで!彼から渡されるのが恥ずかしいの!わからないの!?
もうほんと、お願いします。よ!
✣
「ふふ……本当は嬉しいくせに」
そんなことを呟いて、タモンは微笑む。
「棺桶……やっぱりね」
その後、少し考えながら、そんなことを呟く。
そしてその思考に耽り、すべてが繋がった時。
タモンはニヤリと微笑んだ。
「……よし。これで、君たちはチェックメイトだ」
そこには、「添付ファイル」として、死銃の写真が表示されていた。
「……さてと」
そのページを閉じ、タモンはまた別の宛先へと、今度は自分が差出人となってメールを打つ。
そして、そのメールを送信し終えると。
タモンは、寝床へと入っていった。
✣
ピーピロロン!ガガガッ…
「んん!……?」
一方、既に寝床に入っていたタスクである。
緊急時に即座に対応できるように、着信音を変えている差出先からのメールの来訪を告げるその着信音が、暗いタスクの部屋に響く。
タスクはすぐさま無理矢理にでも目を覚まし、メールを見た。
「死銃……!!ふわあぁ……っ」
すぐにそのキーワードを見つけ、メールを読みつつ、大きなあくびをかますタスク。
「タイムラグ……人為的……証拠……むにゃむにゃ……」
眠気を覚ますかのように、声に出して読もうとするタスク。
だが……
「そういう……ことね。了解」
そんなタスクは、そう言葉を残してまた寝入ってしまう。
そしてその数分後。煌々と光る携帯の光も、消えてしまった。
「クソ……ラフコフめ……!すーーっ……」
目を閉じて、寝息を立てるタスクから、そんな
どうやら、こんなふうでも、メールはきちんと読めたようだ。
✣
時は戻って、現在。
キリトと親密な関係にある上、SAO
……訳ではなく、その個室にはむしろ、状況がひっくり返され、唖然とした雰囲気が漂っていた。
「え……今、なんて……!?」
「だから、もう大体は検討ついてるんですよ。僕ら」
「……!!」
いきなり店主の口から飛び出した、とんでもないこと。
すると今度は、クリスハイトが横槍を刺してきた。
「おっ……おいおい、それは僕も聞いてないぞ?」
「はい。あえて言いませんでしたからね」
「あ……あえて?」
にこやかに答える店主に、さらにその場が唖然とする。
「表で手を出さず、裏でキリトくんを支える。これが、クリスハイトさんに指示されたことです。なら、キリトくんの支えを盤石にするために、
「な……!!ということは、まさか、君たちは……」
「はい?」
「その
「……」
クリスハイトが、完全に想定外だと言わんばかりの顔をして店主を問い詰める。
すると、店主の顔からすっと笑顔が消え、冷酷な、
「まぁ……こっちも、はいそうですかと黙っているわけには行きませんでしたからね」
「……!」
「でも、さっきも言いましたけど、クリスハイトさんのいったことには何ら反していません。表で手を出すのはもちろん、ボスに関しては、一回も出撃してませんし」
「……!!」
「そう簡単に言いくるめることが出来る人種じゃないんですよ。SAO
「……!!!」
「SAO
驚きのあまり立ち尽くすクリスハイトと、店主の口から出た不可解な単語に疑問を持つ、他のSAO
そんな妖精たちの中の一人、リズが、ポツリと疑問を漏らした。
「あ、あのさ、アスナ」
「?」
「そ、その、店主さん……?達はともかく、クリスハイトは、ラフコフ……いや、そもそもSAOの事知ってるの?たしか、リアルでは……?」
「ああ。そのことなら心配ない」
「え?」
「僕は元々、SAO対策チームの一員だったんだ。SAOのことなら、大体は把握してるけど……」
クリスハイトが答えつつ、店主たちへと視線を向ける。
「君たちはどうなんだ」という視線が、それにつられて妖精立ちから向けられる。
「アスナさん」
「はっ……はい?」
すると突然、今度はタスクがアスナをいきなり
そして、タスクはその冷たい目のまま、アスナに問いかけた。
「僕、入ってきた時、こう言いましたよね、「お久しぶり」と」
「え……ええ」
確かに今まで忘れていたものの、そんなことを言われて疑問を持っていた。
それが一体何なのか。アスナが疑問をさらに重ねた時。
ゆっくりと、タスクがまた口を開く。
「覚えて……いませんか?僕らの事」
「……?」
アスナに視線が集まり、答えをその場の全員が待つ。
とは言うものの、本人のアスナには一体なんのことかわからない。
やっぱりな、と言わんばかりに、タスクは次の瞬間、
「「
「
アスナがすこし、思い当たる節が浮かび上がってきたのは、彼女の表情からとって明らかだった。
……さて、そろそろ、タスクたちの詳しい過去が明らかになっていきます。
お楽しみに!
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