これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

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大変、お待たせしました。(笑)
今回から、次章に突入となります!

SJ?この章の次章となります。
プロットは着々と手を進めておりますので、今しばらく、お待ちください。

では、本編をどうぞ。


第四章 光と影 〜Light and shadow〜
Episode55 その理由 〜The reason〜


「まあ……いろいろ聞きたいことはあるけれど」

「……っ!」

「とりあえず「その理由」を聞こうかな。なんで、タスク君と決闘したいと思ったのかを……ね?」

「そ、それは……!」

 

キリトが、店主もびっくりするような発言をしてから数分後。

 

やたら緊張していた彼を、店主はカウンターへと促し、向かい合って話していた。

 

「そ、その……」

「?」

 

店主の質問に、キリトは俯きつつもポツポツと話し出す。

 

店主もカウンターの反対側で座り、その言葉に耳を傾けた。

 

「き、菊岡やアスナから聞いたんです」

「……ほう」

「裏血盟騎士団の事だったり、死銃事件のサポートの事だったり……」

「……」

 

店主は瞬時に、その時のことを思い出す。

 

不安でいっぱいだった()()()の目。

安全を証明をし、安心させた時の()()()の明るくなった顔。

 

店主にとって、彼女らのあの仕草はとても印象に残っているため、まるで昨日のことのように思い出せる。

 

「それで……、その中で、店主さん達は、常に落ち着いて、堂々としていたと聞きました」

「……!」

 

すると、そう言ってキリトは、とても期待のような感情を込めて、店主を見た。

 

店主はその時、()()()があの時の自分達を彼にどのように話したのか、あらかた予想できて内心苦笑する。

 

……確かに店主達は、彼女らの前では堂々と振る舞おうと心掛けていた。

 

なぜなら彼女らは、「SAO生還者(サバイバー)」であり、それに加えてキリトと親密な関係にあるという、いわば()()()()()の人間。

堂々と振る舞っていなければ、彼女らの不安など到底払拭できない。

そう考えたからだ。

 

……とは言うものの、店主だってBOBは内心ハラハラしながら見ていたし、タスクに関しては平然を保つために、組んでいた腕の裏側で体を一生懸命につねっていた。

 

あの作戦、成功したんだな……と、店主の内心の苦笑は、微笑みに変わる。

キリトは、そんな考えもつゆ知らず、まだまだ黙々と話し続けた。

 

「……それを聞いた時、思ったんです」

「……?」

「あ、あの……急にですけど、裏血盟騎士団で生き残ったのは、メンバーの約1割だけ……なんですよね?」

「……!」

 

ああ、そんなことも話したっけ、と、店主は回想する。

と同時に、こくりと頷いて肯定した。

 

「ま、まあね」

「じゃ……じゃあ!」

ガタン!

「……!」

 

するとその時、キリトがカウンターに手をつき、いきなり立ち上がる。

店主は座ったまま、それに合わせて少し体を後ろに倒した。

 

だがキリトは、その仕草など眼中にないように、店主に質問の嵐を浴び始める。

 

「何故、そんな()()()()をしてまで、まだ()()()()()()()()()ことが出来るんですか?」

「……」

「お……俺は、SAOでは強く生きてきたつもりです。でも、アスナや菊岡から聞かされ……いや、()()()()()話は、俺の想像を絶するものでした」

「……!」

「俺は今でも、あの時を思い出すと怖くなる。戦いから逃げたくなる。でも、店主さんたちは俺より辛い経験をしてるのに、平然と戦い続けている」

「……!」

「その理由が、知りたい。……そしてその強さを、()()()()してみたいんです」

「……」

 

そこまで話すと、キリトは我に返ったようにはっとして、そしてまた、力なくまた元の椅子に座り込む。

そしてすべてを出し切ったかのように、脱力して俯いた。

 

「……なるほど」

 

店主は、そんな彼が座るのを見届けながら、ひとまず……と言わんばかりに相槌を打ち、しばしの思考に浸る。

 

店主は、キリトの言いたいこと、欲しているものは、正直、手に取るように理解出来た。

 

タスクはもちろんだが、彼と同じく店主だって、SAO時代は(裏)前線で戦い続け、そして生き延びた、「1割の精鋭」である。

そんな彼が、キリトの言う強さを()()()()()()()が理解できないわけがないのだ。

 

確かに、「自分より強い人がいる」という話を聞くと、心なしか血が滾り、一度でいいから剣を交えたいと思う気持ちは店主も知っているし、持って()()

 

だが、今は「状況」なるものが違う。

 

「ねえ……キリトくん」

「はっ……はい?」

 

不意に声をかけられ、キリトは慌てつつも返事する。

 

すると店主は、どこか()()()()ように、質問を繰り出した。

 

「その「決闘」ってさ、」

「……!」

「【ALO】での話、だよね?」

「あっ……!」

「強さを生で体感したい……ってことは、白兵戦がしたいんだよね?」

「そ……そう……です」

 

言い忘れていたことを思い出したのか、はたまたそれを先読みして指摘されたからなのか、キリトは半ば驚いたような顔をして、店主の言葉を肯定する。

 

すると店主はその反応を見て、「やっぱり」と言わんばかりにをしかめた。

キリトも、そんな店主の反応を見て、顔をしかめる。

 

決闘自体は、別にどうということは無い。

タスクがこの事を了承し、正式な手続きを踏んでくれれば、店主は一向にやってくれて構わない。

 

……が、()()()()()となると話は別だ。

 

というのも、今は「事件後」。

何か大きな事件の後には、それの二次、三次と、最初の事件の余波から、連続して事件が発生するというパターンがあるのは、刑事ドラマを見ていればそれとなくご存知のはずだ。

 

逆に、一気に沈静化するパターンもあるにはある。

だが、それを祈り、先走って次の行動に出てしまうと、前者のパターンになってしまった時にどうしても対応できなくなってしまうのだ。

 

そうならないように、タスク含め店主の店に所属する裏世界プレイヤー達は、現状、GGOのどこで事件が発生しても対応できるように、店主により、いつもよりある程度任務地域をばらつかせられている。

 

……が、前述の通り、()()()()()となると話は別なのだ。

 

それに加え、タスクは裏世界プレイヤー達の「()()」であり、最も強い「()()」でもある。

 

そんな彼が、「コンバート」という手続きを踏まないと移動できない所に行ってしまうとなると……

どうしても、不安が残るのは事実である。

 

まだ、以前のBOBの時のように、事件の発生予測範囲と時間がはっきりと分かっていたら、その時はまあ、できなくもないし、現にその時は店主もろともコンバートした。

 

だが今のように、GGO全体が発生予測範囲である時には、到底そんなこと出来ない。

 

「う〜ん……!」

 

そんな思考をぐるぐる巡らせ、唸り出す店主。

キリトは、そんな店主を見て、「やはり厳しいか」と諦めようとした。

 

……が、するとその時。

 

ガチャリ

「……別に、構いませんよ?」

「「!!」」

 

射撃演習場の扉が開いた瞬間、そんな言葉が飛んできた。

店主とキリトは、はっとしたようにそちらを見る。

 

するとそこには、

 

「やあ!キリト君!この姿では、はじめまして……ですかね?」

「君は……!」

「え?やっぱり信じられませんか?」

「……!」

 

そんな事を言いながらニコニコしている、小柄で中性的な、とても愛らしい少年がいた。

 

キリトは、虚をつかれて言葉が出ない。

そんなキリトを見て、その少年ははふふふと微笑む。

 

「な……!そ……え……?」

 

そしてその少年、もといタスクは、未だキリトが虚をつかれているのをいいことに、改めて自己紹介した。

 

「ふふ……僕の名前は「タスク」。コードネームは、」

「!」

 

 

「「ビッグ・ボス」ですよ!」

 

 

 




いつもありがとうございます。
駆巡 艤宗です。

いやー、お待たせ致しました。
次章、【光と影】編、堂々始動でございます。

え?SJ?
……そ、その前に、この章を挟まないとこの後の(見せられないよ!)

今後ともよろしくお願いします。(笑)



すみません!
前回登場した新キャラが、某「虹〇S」のなんのオペレーターを組み合わせたのか、すっかり紹介し忘れていました!

……というわけで。

プレイヤーネーム…シャルル
コードネーム…ウォッカ
【IQ】【トゥウィッチ】【ヴァルキリー】

プレイヤーネーム…トレンチ
コードネーム…フォートレス
【カプカン】【キャッスル】【エコー】

です!

今後とも感想をお待ちしております。

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この動画にしかない物語の鍵があります……。

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