これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

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今回は、少し謎かもしれません(笑)

それと、最後に大切なお知らせがあります。
よろしくお願いします。


Episode61 美しくも凄惨な、愉快ながらも残酷な 〜Beautiful and miserable, pleasant and cruel〜

ガチャリ……

「お……いらっしゃい」

 

店主、もといタモンは、とある店の扉を開けた。

 

そこは、東京都台東区、御徒町の裏通りにある、「ダイシー・カフェ」。

 

タモンは、そこの店主と()()()()()から知り合い、あれよあれよという内に気づけば週2〜3日、仕事終わりの時間帯に、必ずそこへ行くようないわゆる「常連」になっていた。

 

「やあ、エギルさん」

 

そして今日も、タモンはその店へと入っていく。

いつもどおりと言わんばかりに、慣れた手つきでドアを開け、なおかつ店主の名前を呼びながら。

 

すると、名前を呼ばれたそこの店主……エギルは、さぞ嬉しそうにその「常連」を迎え入れた。

 

「よお、タモンじゃねぇか!!いらっしゃい」

「ふふ、邪魔するよ」

 

タモンも、そんな店主の出迎えを快く受け取り、店の奥へと歩みを進める。

そしていつもの席、カウンターの一番端に腰掛けた。

 

「いつもの……か?」

「ああ。お願いするよ」

 

エギルが、待ってましたと言わんばかりに注文をとる。

タモンは、それに少し笑って答えた。

 

このやり取り、もう何度もやっているのだ。

聞かなくても、いつものに決まっている。

 

だが、そこはこのエギルという男で、律儀に毎回、注文をとってくる。

そんな所に、この一見筋肉質で無愛想な外見とは裏腹な、この男の真面目さが伺えて、タモンは割と彼の性格が好きだった。

 

「……」

 

タモンは、そんな彼の慣れた手つきを眺め、肘をついて、息を吐く。

 

2年もブランクがあったとは思えないほど、洗練されていて、効率がいい手さばき。

 

いつ見ても、迷いなく必要なものだけを取り出し、ホイホイと言わんばかりに料理を仕上げていく様子は、圧巻である。

 

飲み物にしても、彼の調理場には全くこぼした形跡がないし、実際目の前で飲み物を容器に入れる際も、彼が水滴を一滴たりともこぼした所を、タモンは見たことがない。

 

それだけ練度が高いという事実は、それなりにこの店が繁盛している事も、なんとなく察させてくれる。

 

「……ふふ」

「ん?」

 

タモンは、そんなことを考えつつ、エギルの手つきをなお眺めながら微笑んだ。

 

 

「ほい、待たせたな」

 

それから、数分後。

 

エギルが、タモンの注文した「カフェオレ」と「オムライス」を持って、やってきた。

 

「まずオムライス……と」

「おお!」

「で、カフェオレだ」

「ありがとう」

 

順番に渡される料理を、タモンは受け取って机に置く。

そして最後に、

 

「はい、スプーンとフォーク」

「……どうも」

 

料理を食べるのには欠かせない食器を受け取って、

 

「いただきまーす!」

「はーい、召し上がれ」

 

タモンはさぞ嬉しそうに、そう言って食べ始めた。

エギルがその声に言葉を返す。

 

もぐもぐとオムライスを咀嚼し、ゴクリと飲み込んだら今度はカフェオレを少し啜る。

そしてまたオムライスを口に入れ……

 

「おいひぃ〜!」

 

口を手で抑えつつ、タモンは思わず感嘆符を口にしてしまった。

未だに口をもぐもぐさせながら、口に手をあて、それでもなおはっきりとわかるくらい満面の笑みで。

 

「はは、そうか。それはよかった」

 

そんなタモンを見て、エギルも思わず微笑みをこぼす。

 

 

 

そこには、「店主と客」ではなく、「友人同士」のような関係があった。

 

 

そしてそれからまた、数分後。

 

「ほい」

「んお?」

 

タモンが食べ終えた食器が片付けられると、入れ替わりで、コーヒーがやってきた。

 

それを見たタモンは、少し驚きつつ、そのカップを受け取る。

なぜなら、タモンはそんなものなど注文してないからだ。

 

なぜ?という思考をぐるぐるさせていると、ふと、なにかが閃く。

そしてそれと同時に、はっ、と、タモンはエギルを見る。

 

するとエギルは、ふっと微笑んでその視線を見返した。

その時、タモンは悟る。

これはいわゆる、「サービス」というやつだ、と。

 

「……ふふ、ありがとう。いただくよ」

「なぁに、気にすんな」

 

タモンはエギルに、にこりと笑ってそう言葉をかける。

するとエギルは、照れくさそうに言葉を返した。

 

「……」

 

改めて、彼はいい人だ、とタモンは物思いに耽ける。

 

()()()()に閉じこめられてから、性格が豹変した人も少なくない。

それどころか、現代社会に馴染めなくすらなってしまった人だっている。

 

美しくも凄惨な、愉快ながらも残酷な()()()()は、少なからず閉じ込められた全ての人の人生に影響を与えた。

 

それでもなお、彼はこの店を、()()()()からの帰還者の心の安らぎを与える場所を切り盛りし、今ではすっかりブランクも消し去って、社会復帰を果たしている。

 

「……僕とは違うな」

「ん?」

 

タモンは無意識に、そう呟いてしまう。

それが少し耳に入ったのか、食器を片付けていたエギルがその言葉を聞き返した。

 

すると、

 

「あ、ああ……いや、違うんだ。なんでもないよ」

 

タモンは少し焦りつつ、いつもの調子でエギルの声に答える。

エギルは、そんなタモンを不思議そうに見つつ、最後の食器をしまい終え、彼の前にカウンター机を挟んで座った。

 

「……?」

 

そうして、エギルはタモンと向き合う。

だが、エギルはその瞬間、あることに気づいた。

 

それは、

 

「……タモン?」

 

タモンが、いや、正確にはタモンの視線が、いつもなら不自然な所に向いているということ。

 

手元のコーヒーでも、さっきまでエギルがいたのれんの奥の厨房でもなく、なぜか、左をじっと見すえていた。

 

「……ふふ、勉強かい?少年」

 

そう、彼は、彼のちょうど対象に位置する席に座る一人の少年を、首だけ曲げて肘をついて、眺めていたのだ。

 

すると、その少年は、急に話しかけられたからか、それともそもそも話しかけられること自体希なのか、不自然なほど取り乱してその言葉に答える。

 

「い、いや……その……」

「はは……若いね、最近の子はさ」

「は、はい……?」

 

だが、その言葉に帰ってきたタモンの言葉を聞くと、ますます訳が分からない、と言わんばかりにその少年はタモンを凝視する。

 

そしてそんな彼らを見つめ、間でオロオロしているエギルが、

 

「知り合い……?ではない……のか?」

 

そんな呟きを発する。

 

 

 

 

 

そんなタモンと少年と、そしてエギルのあいだには、いつのまにか、どこか見覚えのあるような、異様な空気が漂っていた。




いつもありがとうございます。
駆巡 艤宗です。

え?遅い?
も、申し訳ありませんでした!(´;ω;`)
大変、お待たせ致しました。

言い訳なら沢山ありますが、ここにそれを書いてしまうと、恐らく画面からはみ出してしまうほどになってしまいます故、ご容赦を……(笑)



さて、ここからが本題です。
そうです、前書きにて告知しました、「お知らせ」についてです。

ええと……結論から申しますと、


『設定集・後書きなどの、大型アップデートを行います。』


つまり、「大規模な周辺情報の更新を行います。」ということです。

主な内容として、
・「ストーリーダイブキャンペーン」にて誕生したキャラクター達の情報を設定集に追加
・各キャラクターの使用兵装情報を設定集に追加
・前書き及び後書きの更新・改稿・削除
・その他、細かい部分の修正・訂正
を、行います。

ただし今回のこの作業は、本作品の本編には全く関係ありません。
あくまで「周辺情報」の更新です。

ですので、話筋がいきなり変わっていたり、設定が変わっていたりという事はありません。ご安心ください。

また、これに伴い次話(Episode62)の更新が大幅に遅くなることが予想されます。
併せて、ご理解をよろしくお願いします。



台風21号や、北海道地震の影響は、皆様大丈夫でしたでしょうか。
一刻も早い復興を、何も出来ない身ではありますが、この作品と共に応援・お祈り致します。

駆巡 艤宗

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この動画にしかない物語の鍵があります……。

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