これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「え、永遠?」
「そう。永遠に、です」
夜風が背筋を撫でたのか、シノンはゾクリと寒気を感じる。
タスクの旧友、アユムの話。
殺伐としたSAO時代に、確かに存在した熱い友情。
今まで聞いてきた話は、シノンのSAOへのイメージを変えるほど、意外な……そしてとても良い話だった。
そしてそれを語るタスクも……無意識なのか、墓石を見ながら懐かしそうに微笑んでいたのだ。
……が、今となっては打って変わって、タスクの話すトーンはガクンと落ち込み……
どちらかと言うと、シノンの想像していたような、いわゆる冷たいSAOの感触へと変わっていた。
「で、でも、一体どうして……!!」
「いやぁ、簡単なことですよ」
シノンのボヤキに、タスクは今度は悲しげな笑みで答える。
「はは、まあつまりは、
「ば、馬鹿?」
「そう。恐らく、相手も気づいてたんでしょうね」
「……?」
「戦闘の勝率の上昇と共に、
「あっ……!!」
するとその時。
シノンの中に、一気に
結果は分かる。
タスクが、懐かしそうに眺めている墓石を見れば。
……ただ、そう分かっていても、胸の中がチクチクするようなこの予感は、シノンにはどうしても拭いきれなかった。
そして、
「当時、僕らは、『裏血盟騎士団』というギルドで、活動していました」
「……」
「元々、『血盟騎士団』というそれはもう……強く大きなギルドが母体となっている、言わば子会社みたいなやつです」
「……!!」
「設立された理由は、いわゆる「
「
「そうです。当時、血盟騎士団は、おそらくは最強だった。するとですね、そんな彼らを、止めようとする連中も出てくるんですよ」
「な、なんで……」
「はは、それはですね……」
するとその時、タスクは言葉を一旦切る。
そうして、しばらく時を置いた後、こう言葉を続けた。
「
「な、な……!?」
シノンは、嫌な予感なぞとうに通り越して、恐怖を感じる。
なぜならばそれは、現実世界へ帰る、それが全員の目標ではないのか、そう疑問に思っていた矢先、とんでもない言葉がすっ飛んできたからだ。
「人を……こ、こ、殺したい?」
「ええ……そうです。あの連中はね」
シノンが、恐る恐る、タスクの言葉を復唱する。
対してタスクは、さらりと言葉を返した。
……が、タスクもあまりにも簡単にし過ぎかと思ったのか、説明を付け足す。
「まあその……つまりですね」
「え……ええ」
「あの世界では、人殺しをした時、なかなかその実感が湧きにくいんですよ」
「……!!」
「あの世界だけじゃない。今僕らが戦っている世界でだって、相手を殺す、という実感はあまりないはずです」
「……!!」
「たとえ剣で首を落としても、体を切り刻んでも、出てくるのはポリゴン片のみ」
「あ……!!」
「ふふ、分かりました?」
シノンは、タスクの言わんとしていることを嫌でも理解する。
ただ純粋に、人殺しをしたい。
並大抵の覚悟では到底できないような
だが、それは簡単にはできない。
なぜならば、そこに悲惨な光景が現れることが、目に見えているから。
実際、シノンはその
……ただ、もし、その
確かに人が死んでいる。それも、自分の手で。
だがそこに、人殺しをした、という明確な証拠が残らなければ。
シノンの
答えは簡単だ。
確かに罪悪感は残る。
だが、それを上回る正義感が、シノンを支配していたはずだ。
PTSDなど、もちろん発症しなかっただろう。
「っ……!!」
シノンの心拍が、警鐘となって体中に響き渡る。
それと同時に、思考が先程のタスクとの会話につながってくる。
そう……つまりそのラフコフという連中は……
「人を殺したい……っていう、よ、欲望のために……」
「そうです。実感は湧かない、でも確実に死んでいる。そう分かっているから、人を惨殺し、自己肯定感を得ていたんです」
「な、なんてこと……!!」
「そしてそれを、今にも終わらせようと、動いている人達がいる」
「あ……!!」
その時、シノンの中で、タスクの難解な言葉の意味が、自然と現れてくる。
攻略組を、そしてその最大勢力、血盟騎士団を、ラフコフらレッドプレイヤーが、止めようとした理由。
それは……
「つまり彼らは……」
「自分たちの欲求を満たしたいがために、世界の終わりを阻止しようとした……そういう事?」
「そういう事です」
「……!!」
するとタスクが、そこまで言って、懐かしくも悲しそうな目を引っ込め、どこか怒りの感情が含まれた目を地面にむける。
「……」
「……」
そしてその後、しばらくの沈黙の後。
どこか……その怒りを抑えているような、必死に息を押し殺した声で、こう……話を続けた。
「それでそのうち……彼らはその欲望を暴走させるようになります」
「……」
「そしてそれを止めるべく、僕らが組織されて……」
「……!」
「するとだんだんと、その欲望の矛先が、僕らに向いてきて……」
「……!!」
「僕ら裏血盟騎士団を、
「あっ……!!」
「とてつもなく残虐に、そして永遠に……」
するとその時、シノンの中で、全ての話が繋がる。
裏血盟騎士団の
つまりそれは……いわゆる「
「彼ら……いや、連中は……」
「……!!」
「アユムを誘拐、監禁したんです」
いつになったらこの章が終わるのかって?
え、SJ編のプロットができてからです!
ヽ(゚ω。)ノ≡ヽ(。ω゚)ノウヒャヒャヒャ
すみません(笑)
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