これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「……で、どうなりそうですか」
「んー?」
廃墟の鉄骨に腰掛け、デザートイーグルをくるくる弄ぶタスクが、そう店主に問う。
対して店主は、タスクの真下に積み上がった瓦礫の上にどっかりと座り、こちらもまたシングルアクションアーミーをクルクルと回して楽しみつつ、さも退屈そうに声を返した。
すると、それを聞いたタスクが呆れたように言葉をつけたす。
「《例の計画》の話です。もちろん、『スクワッド・ジャム』を利用するんでしょう?」
「ああ……そのこと」
そしてその言葉を聞いた店主が、上を向いて笑った。
タスクは相変わらず真顔で店主を見下ろしている。
「大丈夫、準備はほとんど終わってるよ」
「ほう」
「あとはメンバーの発表と目標を伝えるだけ」
「……ふむ、最近入った彼の固有ガジェは? 彼もメンバーでしょう?」
「ああ……あれは心配ないよ。プルームさんとカチューシャさん、それにフォートレスさんが協力してくれてるし」
「……そうですか」
「うん、準備万端ってとこさ。待ち遠しいくらいだよ」
「はあ……」
すると、店主の言葉を聞いたタスクは、店主から目を外し前を見て、ぐぐっと眉間にシワを寄せる。
その顔は、どこか不安そうであった。
そんな顔を見て、店主はタスクに声をかける。
「どうしたんだい、そんな、不安そうな……」
「い、いえ……」
するとタスクは、店主の言葉に首を振って応えた。
……のだが。
「…………ボス?」
「っ……!!」
店主の絶妙な間と、その後に繰り出されだ呼び名に、タスクは黙っていることが出来なかった。
「その……ね」
「?」
「確かに、《例の計画》は素晴らしい。あれが成功すれば、僕らの至上命題が達成されるのはほぼ確実です」
「う、うん……」
「でも……逆に、あの計画に使われている《革新的な技術》は、悪用される可能性だってあるわけで……」
「……!!」
「もし仮に悪用されたら、それこそ僕らの至上命題と真反対のことが起きてしまう。現行VRゲームの、ほぼ全てが破壊されてしまう」
「そう……だね」
タスクの悲しそうな目を見て、店主も思わず下を向く。
実はこの事は、店主も菊岡に話を持ってこられた時、ちらりと頭によぎったのだ。
現状、この計画や技術の存在を知るものは数少ない。
それこそ、悪用を防ぐためである。
ただもし、この計画が実行され、あの技術が投入された時。
VR界隈は、ひどい混乱状態に見舞われるだろう事も、容易に想像できてしまうのだ。
成功か失敗か以前に、投入しただけで混乱は確実。
それがもし失敗なんてことになったら。
そんなこと考えたくもない。
でも……それでも。
この計画は、そしてこの技術は、VRという、素晴らしい世界を救える、1つの鍵になれる。
そう思い、タスクと店主はこの計画を受諾した。
……のだが。
「やっぱり、不安です」
「……!!」
「良い使い方ができるよう、最前の努力は惜しみません。でも……」
「うん……」
タスクの言葉に続く言葉は、容易に想像できた。
ただ店主は、あえてそれは口に出さなかったのである。
今回は少し短めでした。
次回より、いよいよスクワッド・ジャムへ動き始めます。
お楽しみに。
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