週末なにしてますか?忙しいですか?遊んでもらっていいですか? 作:ゆきめーる
人物紹介
・ヴィレム
……童女趣味疑惑ありの元勇者。某赤い彗星みたいな。
・クトリ
……フォーエバーヒロイン。今回は出番なし。
・アイセア
……にゃは。すかもかでは結構活躍しててとても良かったです。今回は出番なし。
・ネフレン
……可愛い。今回は出番なし。
・ナイグラートさん
……女神。今回出番なし。ところで貴女何歳ですか。
・ティアット、ラキシュ、コロン、パニバル
……すかもかの主役。今回の主役。
悲劇の始まりは、ティアットの一言であった。
「聞いて、みんな!クトリ先輩が紅茶に『からし』入れて飲んでたの!これってすっごくオトナだよね!?」
「ふむ?ティアット。それは一体どういうことだい?」
そうパニバルが問う。表情は変化に乏しいが、彼女が不思議がっていることがわかる。ならば応えてやらねばならないだろう。こんなにも素晴らしい発見をしてしまったのだから!
そうティアットは決心する。
「ふふーん、聞いて驚きなさい!
なんと、先輩が紅茶にからしを入れて飲んでたの!これって私たちは知らなかったけど、すっごくオトナだと思わない!?だってからしだよ!?かーらーし!!」
元気よくまくし立てるティアット。瞳はキラキラと輝いており、太陽の如く実に眩しい。
「紅茶にからしを…?それは初耳だ。
ラキシュ、君は聞いたことがあるかい?」
「え、ぇぅえ!?私!?わ、私は……、聞いたこと、ない…かなぁ……」
唐突に、しかも話題を名指しでふられたことに驚いたのだろう。ラキシュは、少し視線を泳がせながらそう返答した。
コロンは……、知らないだろう。こちらの瞳も、キラキラと太陽の如く輝いている。問うまでもない。
「…ふむ。つまり、紅茶に『からし』を入れるというのは、オトナである証拠というわけだね?」
「そう!そうなの!」
「なるほど。……ところで、机に置いてある、紅茶とからしは……」
「今、作ってみようと思って!!」
「…そうか……」
正直、冗談であって欲しいと願っていたのだが、どうやら神は私を見捨てたらしい。パニバルは、この後迎えるであろう悲劇を想像し、心の中でちょっと泣いた。
一番手はコロン。猪突猛進、向こう見ずと評されることの多い性格の彼女であるのは、必然とも言えた。
からしをスプーンで大量に掬いとり、ベチョっと紅茶の中へ投入する。そしてもう一杯。更にもう一杯。
製作過程を見ているだけで既に、恐ろしく感じる。というか、これはそもそも飲み物なのか…?非常に恐ろしい、悪魔的な、十七種の獣にすら匹敵しそうですらある存在ではないのか(見たことはないが)。
そして完成したそれを、ふーふーと何度か息を吹きかけ、終に、コロンは一息にあおった。
「ど、どう…?…コロン、大丈夫…?」
「………」
ラキシュの問いにコロンは答えず、しばしの沈黙。次いで、顔色が変化を始める。
最初は赤に。次いでゆっくりと真っ青となり、最後は蒼白の顔面を維持したまま、白目を剥いて床にぶっ倒れる。中々に強烈な百面相を披露した。出オチ要員としては順当な結果である。
「うーん、ちょっとからしの量が多すぎたのかな。次、いってみよう!」
もちろん、犠牲者が一人出たところで中止されるはずはない。寧ろ、良い結果が出たとして実験続行である。
次はラキシュ。自分の意見を押し通すことがあまり得意ではない彼女は、どうしても断りきれなかったのだろう。紅茶とからしとを手に取り、視線を交互に送っている。しかし、目が死んでいる。
そして、ゆっくりとだがスプーンを使い、からしを紅茶に入れ始める。しかし、彼女の慎重な性格が行動には如実に表れており、スプーンで掬うからしは一杯。その上で、からしの味を消そうとしたのだろう、砂糖も投入していた。実に用意周到である。
「それ…っ!」
しかし、その程度では口腔内に発生した妖精郷の門を閉じることはできない。というか、寧ろ悪化する。
「…………はうぁあ!?」
見事撃沈。その上、先ほどのコロンと比べても圧倒的に酷い、女子がするべきではない顔になってしまっている。名状し難い姿である。
やはりセニオリスに適合する者には、悲劇が訪れる運命なのか。
そして、遂にパニバルの番である。
撃沈した彼女らを見ていると、果たしてこのまま死んでしまったりしないだろうか、と不安になってきてしまう。というか、地面に倒れている彼女らが時折痙攣しているのだが、本当に大丈夫なのか…?いや、どう考えても大丈夫じゃない。
どうにかして、この悲劇を回避できないだろうか。一応、聞いてみるか。
「…すまない。ちょっと私は遠慮したいというか、なんというか……」
「そう?わかった、私だけでもオトナになるよ!」
…以外と普通に回避できてしまった。
「そ、そうか。がんばってくれ」
そして声援を送り、静観するにとどめる。
ティアットは、鼻歌を歌いながらからしを入れ始める。ニコニコと微笑んでおり、実に楽しげだ。
というか、子どもの舌では既に結末が決まっているようなものなのだが…。
「よーし、できた!」
そう言って、カップを両手で持つティアット。
何度か深呼吸をした後、カップの中身をしっかりと見据えて、ぐびりと多めに一口飲みこむ。
「……ぴゃぁぁぁああああ!!」
やはりこうなったか、と予想が当たり嘆息するパニバル。とりあえず片付けでもしておこうと思い、カップを持とうとすると、
「……ふむ」
カップの底に、僅かに残った紅茶が目に入る。
ふと、本当に酷い味なのか、確かめてみたくなった。
いや、もちろん酷い味なのはわかっているのだが、つい試してみたくなる。
僅かに躊躇するも、好奇心の勝利によりカップを口元へと近づけていく。
唇に触れる陶器の感触。次いで侵入した液体が口内に満ち---、
「……ふむ。以外といけるじゃないか」
パニバルは、紅茶とからしの混合物が以外と好感触だったことに驚きながら、飲み干したカップを持ち、台所へと運んでいく。
「はわ、はわあ……。パニバルってすっごくオトナだったんだ…。
私も負けてられないね!」
後日、紅茶にからしを入れたものをヴィレムに薦め、見事
コミック版2巻はアイセアが表紙で嬉しいです。