夏、初めての場所。彼の故郷に近い街
彼と歌って踊った公演
指定席で観た、大花火大会
あ『ゴロッとしたお肉』用意するの忘れたな。炙り肉や、ステーキ好きが来たらどうしよう。まぁ仕方ない、カンベンして貰おう。TVの肉フェスタCMを観て『肉』忘れを思い出す。台所用のTV。そんなものがあるのは『家が広い故』の珍事だろうか。そのスピーカーが、今度は花火大会の宣伝を告げる。そういえば、花火大会の前座。みんなで勤めたことがあった。それこそ彼のお膝元の地で。さて、行ってきますか記憶の中へ。12歳の、あの夏へ―
「ぽ兄ちゃん、あの花火大会だよ~。前座で歌えるって~」
「懐かしいな、あの町か。十年ぶりくらいじゃない。俺は」
「へぇ、海の大花火大会なんて初めてだよ殿」
パンフレットを観る。海面に映る美しい花火。その光景に、カイ兄同様、心が躍る
「わ~がっくんのふるさとだ。楽しみ~」
「まあ、暮らしてたのは違うトコなんだけどな」
七月後半のこと。彼が暮らした町の近く。越後、その町の大規模イベント、海の大花火大会
「前座で歌ってほしいんだって、僕らも楽しみなんだ」
「なかなか観れねぇ種(たぐい)の花火らしいからな」
「あたしのアレンジ手腕の見せ所よ~」
プロデューサー達の言葉。雪祭りの時同様、お祭りらしい楽しい曲を歌ってほしいと言う依頼。メンバー多数参加型の曲が得意、女性デューサーの腕の見せ所。選択されたのは、ライブの時間も考慮して四曲
「ダンス中心の歌と、ミュージカル×2、物語といくからね~」
「ジャンル混交だ。トチるんじゃ~ねぇぞ~」
「しっかり練習しなきゃね。厳しくいくわよ」
そういえば、と思う。このPROJECTは、いわゆる『芸能人』のような活動とはちょっと違う。わたし達のお仕事は、あくまで歌うこと。それには、色々な『歌』がある。ヒップホップや、ミュージカル。ラップもあれば賛美歌も歌う。時には、日本一有名な歌劇団に匹敵するレベルの歌劇もこなす必要がある。プロデューサー、依頼者要求に応じられる範囲で。その代わり、わたし達は『タレント』のように、TVに出演することは殆どない。公演がお仕事のほとんどを占める。そのほかは、トークショーや、自治体さんの地元アピールに華を添える等。多くのことをこなす必要がある。基本は『生』を訊いて欲しい、観て欲しいというのがプロデューサーの考えだ。その、生の公演のため、アレンジされたダンス。交代のタイミング、曲の歌い込み
「そこ、ズレてるよ~」
「頭っからもっかい通しで練習すんぞ」
「は~い、皆もどって、戻って~」
プロデューサーたちの指導が入る。この練習は本当に大変だった。それだけに、予想以上に、楽しかった。リリ姉の持ち歌、ダンスが格好いい曲も選ばれる。これは二人が中央で、別バージョンを踊る。ストリートダンス系だけに、勇馬兄。歌った本人のリリ姉が選ばれると思っていた
「がくくんとリンに、別パート踊ってもらうよ~」
「後輩の押しが強えのなんの、うるせえからよ」
「リリちゃんは、最後ソロで踊って貰っちゃうわよ」
わたしと彼が選ばれる。跳ね上がる心
「がっくん、たくさん練習しようね~」
「気合い入れて、成功させようじゃない」
目覚めれば朝練、学校から戻ればまた踊る。二人で躍り込んだ。給水や、汗の始末に気を回してくれた、優しい彼。ライブの前から、それはもう楽しかった。迎える前日の早朝の出来事
「車割り、どうする神威君」
「運転できんの、俺、カイト、テル、アルだろ、車は三台だから」
はじめは一台だけだった大型ワゴン。メンバーが増えて、移動用のワンボックスも増えた。中古でも、車が購入出来るくらいに成れたのは、ありがたいことだ。機材やスタッフは、すでに前日先行している
「おい、かむい。ボクが抜けてるじゃね~か」
「移動距離が長いからな。ヤロウに任せとけ、重音」
「お、さんきゅ~かむい。後で踏んでやるぜ」
軽口を言うテト姉。この日は車で移動する理由の一つは費用の節約。わたし達の暮らす場所から、その街へは、二時間あれば着くらしい。もう二つ、理由があって
「車で行けば、好きに動き回れるからな。何もない町だが、イベント終わったら観光しよう。荷物も積んでおけるじゃない。ま、土産も買ってこよう」
「殿に賛成。混雑回避にもなるだろうし」
という、彼と兄の発案。PROJECTが少しずつ世に広まって、わたし達の周りに、人だかりが出来る。そんなありがたい現象が起きるようになったあの頃。テト姉は、優しい彼らの計らいで運転せずに済んだ
「わたし、がっくんの車が良い~」
車割り会議を車座で行う大人組に、ズケズケと申し出る
「じゃ、リンは俺の車ケッテ~イ」
「ゎたしも、に~さんの車がいいな~」
「よし、IAも決定~」
「あにさまさま、かるも」
「良いじゃない、カル姫様。これで一号車ケッテ~イ。なんだかハーレム状態じゃない」
一号車から三号車まで、各車、割り振りが済む
「先導するからついてこ~い。お・ま・え達~」
「「「「「「「「「「いえ~いアニキ~」」」」」」」」」」
出発を告げる彼。そういえば以前、IA姉が言ってたな『おまえ』って呼ばれるの嫌だったと。それを聞いた彼
「それは済まなかったIA。これからは使わない。許してくれ」
丁寧に謝った。しかし、当のIA姉
「ん、い~よ~、に~さん。ゎたし、神威のに~さんの『お・ま・え・達』好きだから~」
と言うことで、以来問題にならない。わたし達メンバー、彼の『お・ま・え・達』好きなんだよね。なんだろう、気合いが入る。思いやってくれているのが伝わる。ぞんざいな『オマエ』じゃない。本当の『御前(おんまえ)』という響きがするから。その彼、途中、定期的にサービスエリアに寄って休憩時間を取ってくれた。その休憩中、メンバー全員に飲み物を買ってくれた、優しい彼
「これ、限定サイダーみんなに」
「わ、殿ありがとう~」
「そんなのあんだね~がく兄、あんがと~」
「カタジケナイ。拙者モ頂くでゴザル」
メンバーに、サイダーを手渡す彼。蓋を開ける。どういうわけか、レンのものだけ吹き出す炭酸。不意打ちを食らって顔ずぶ濡れ。ルカ姉が拭いてあげる
「このキャラメルも限定~。笹団子味、お米の味~。好きなヤツは召し上がれ~」
「ありがとがっくん。わたしお団子味~」
「はいリン、あ~ん」
「あ~ん」
紙をとって、食べさせてくれる
「私にもいただけますか、神威さん。お米味が気にかかります」
「もちろんだ、テル。運転も体力使うからな」
言って、同じように紙を取る。そして、先生に迫る彼
「お口開けようじゃな~い」
「いや、神威さん、それは無しで」
「「「「「「「「「「え~、見たいんだけど」」」」」」」」」」
女性陣に言われ、仕方なく口を開ける先生。Boysなんたら的構図。なんだか可愛らしかった。このシーン、ミク姉によって激撮され、マンションのディスクに永久保存されている
「そうだ、メイコ。終わったら越後の酒、買い込もうじゃない。美味い銘柄たくさんアルぞ~」
「あら、楽しみ。打ち上げでも吞むわよ~」
「拙者モ期待が膨らむでゴザルヨ~」
「さぁ、その越後に向かおうよ、殿。まずはステージ、成功させなきゃね」
ふたたび乗り込んで出発
「がっくん、飲み物のキャップ開けておくね。あと、トマト味スティック、あ~ん」
「ありがたいじゃな~い、リン。うん、美味しいな」
ナビシート、運転する彼のお世話をさせて頂く。移動時間も、彼となら楽しい以外の何でも無かった
「わ~、何だか萌え萌え~」
「ホントだね、IAちゃん。仲良しこよし~」
IA姉、めぐ姉が、愉快げに話しかけてくる。そうこうして、目的地にたどり着く。主催者さんと打ち合わせ、会場の下見。当日、手伝ってくれるボランティアスタッフの大学生が紹介される。紫の彼のファンだという学生さん。髪型は彼と同じ。少し短かったけど。優しい彼は、肩を組んで写真撮影に応じてあげた。夕方には移動して、用意された温泉ホテルでくつろぐ。部屋は男女分けの四人一組。合計四部屋。でも四人には広い部屋。結局は、一部屋に集まって。メンバー全員集合で話していた
「がっくん、このおまんじゅうもちもちで美味しいね」
「気に入ったならリン。お土産に買って帰ろうじゃない」
テーブル、お茶を煎れてくれる彼。わたし、彼の膝に腰を下ろす。対面に座るめぐ姉とカイ兄
「オレもほしいな~。美味しいよこれ。このおまんじゅうもご当地なの、グミちゃん」
「そ~なの、カイトさん。黒糖入りの皮と餡がおいしいよね」
「もったいない、全国で売って頂きたいおいしさです。これは、多めに買って帰りましょう」
「おいし~だろ、センセ~。ウチの好きな蜂蜜も入ってんだ~」
キヨテル先生の膝に頭を乗せ、寝そべるリリ姉
「日本に帰ってきたら、ご当地グルメまんさ~い」
「そうでごザルカ。拙者ハ、全てが新鮮でゴザル」
「グミサンの地元も、楽しみっす」
IA姉、おまんじゅうをツイバム。アル兄はお茶を啜る。勇馬兄は、ガイドのペーパーを見ながらまったり。そんなふうに、皆一緒。楽しく時を過ごした。眠ったのは別々だったけど。日付が変わって公演当日。その日は朝から熱い日だった
「室内なのに、蒸しますわ、神威さん」
「うっわ。高温注意が出てるじゃない、ルカ」
うちわで扇ぐ、ルカ姉。携帯で、情報を確認する彼
「ホントなの、神威君。ならあんたたち、水分しっかりとるのよ~」
「め~ちゃんの言うとおり。でも、冷たいのじゃなくて、温め(ぬるめ)くらいのをね」
お味噌汁で、ご飯を流してめー姉。カイ兄、箸を置く
「冷タすぎると、腹を壊す故。塩分もタイセツでゴザルナ、カイト殿」
「では、梅干しを買っておきましょう、アルさん。売店にありました」
言い終わり、豪快に塩鮭でご飯を掻き込むアル兄。梅干し購入を提案、キヨテル先生。朝食を食べながら、大人組の気遣い。あの日、滝のように汗をかいたけど。倒れなかったのはそのおかげ
「おっはよ~、みんな。衣装できてるよ。まずは、口火を切る服ね」
「この服のオソロ。結構な破壊力だぜぇ~」
「ま、本当の勝負は『歌』だけどね」
ホテルのバスで、午前中に会場入り。まずは、近くのユースホステルで衣装合わせ。本日、はじめの曲はメンバー全員が同じ衣装。炭酸飲料を連呼した歌の時の、黒のボンテージ。ただでさえ、熱が籠もるレザー地の。歌うの曲のイメージにも合うからと。神威のプロデューサーが推して。全員で着るのは、当日がはじめて
「うっわ~、ルカ反則~。大人びたもんだね~」
「あら、カイト兄様、お言葉そのままお返ししますわ」
着替え終わって、お互いの姿について感想を言い合う。めー姉、ルカ姉、めぐ姉は、文句なし、大人の色気。紫の彼、カイ兄、キヨテル先生も、大人の色香が凄まじかった。リリ姉の小悪魔感も反則的。身長に反して、恵まれた体つきのIA姉。今にして思うと、変な反則感があった。アル兄も、まあ、反則は反則。逆に、わたし、レン、ミク姉は、明らかにミスマッチ
「しかしな、主らよ。悪影響じゃない、子供に着せるなよ。これを」
彼に言われ、ちょっと悲しくなる。そういえば彼や先生は、少なからず、わたしたちがこのボンテージを着ることに反対していた。悪ノリした、神威組のプロデューサーはムチまで持たせようとして、キヨテル先生が個室で『話し合い』をしていた。干からびてプロデューサーが出てきたことを覚えている。その口から『おっかねぇ』と零れていたことも
「何いってんだ、がく。それが狙いだぜぇ~」
「本気で言ってんのか、我が主よ。正気と思えん」
顔をしかめる、紫の彼。咳払いをする、キヨテル先生。目をそらす、神威のプロデューサー
「がっくん、リン達そんなに変かなぁ」
「や、そういう意味じゃない。似合ってるじゃない。リンレン、ミクもカワイイよ。だ~か~らこそ。変な目でみてほしくないじゃない」
「あいかわらず過保護ねぇ神威君。まちょっと言い分もわかるけど」
困り顔の紫様に、苦笑いのめー姉応える
「いまさら変えられないから仕方ないけどな。今日も精一杯やるぞ、可愛い双子もミクも」
「ダンスがんばろ~ねがっくん」
機嫌を直す単純さ。われながら、あきれたものだ。一度練習着に着替え直し、リハーサルを行なう。熱心なファンは、この時点で見学に来て下さる。野外ステージなので丸わかりだが、昨日のボランティアスタッフ。紫様ファンの学生さん。陣頭指揮の警備によって、近くでは見られない。リハを終えて、シャワーで汗を流し、昼食を済ませる。午後三時、ステージに大声援で迎えて貰う。暮らしていた期間が長い彼。ミク姉のふるさとよろしく、お帰りなさいの声
「ありがとう、たっだいま~」
大声で応える彼。盛り上がる会場とわたし達大盛況のうちに、ライブが終わる。アンコールの声まで頂いて、もう一曲
「また逢おうな~お・ま・え・達~」
「バイバ~イ」
歌い終わって、ミク姉と紫の彼。観衆の大歓声に応える。このライブも大成功と言って良かった。先程、衣装へ着替えをした、ユースホステルでシャワーを浴びる。今度は、私服へ着替えを済ます。花火鑑賞モードへと移行する
「はい、リンちゃん。一層かわいくなりました~」
「ありがと~。でも、めぐ姉の方が、かわいいよ~」
着付けが出来ない私。着付けてくれるめぐ姉
「さ~花火見に行こ~」
高めのテンションで。同室のミク姉が言う。二人と手を繋いで浜辺へ。あつまるメンバー。男性陣は甚平さん。女性陣は色とりどりの浴衣で。ありがたいことに、ここでも記念写真や、サインの声が上がる。ひとしきり応え、リラックスタイムに移行させていただく
「花火始まるね~ルカ姉」
「たのしみですわ、ミクちゃん」
ミク姉、今度は待っていたルカ姉と手をつなぐ。うちわで扇ぎあう
「レジャーシート、引いておいたでゴザル」
「屋台で、食べ物も買って参りました。甘い物も。どの屋台主様からも、申し訳無いことに―」
「テルサンに付き合って買ってきたす。めっちゃサービスの品、貰っちゃったっす」
「感謝しなきゃ~なぁ。メイコ、飲みながら観ようじゃない」
特別席、主催者様サイドが用意してくださる。そこに、敷物を敷いてくれるアル兄。美味しそうなモノを両手いっぱいに、先生と勇馬兄。半透明の一升瓶を片手にやって来る彼
「待ちかねたわよ~神威君」
「ゎたし、花火をおまちかね~」
「始まる前のむずむず感、わくわくわく」
屋台の発泡酒で、すでに上機嫌のめー姉が言う。シートの上に座るIA姉、さっそく冷やしきゅうりをカジる。カル姉も、お好み焼きのソースで、口の回りを汚ごす。思い思い、腰を下ろす。わたしは当然彼の膝の上。一升瓶の蓋を開け、プラスチックのコップに注ぐ彼。めー姉に手渡してあげる
「少し風出てきたね。涼し~」
「このくらいの風あっと良いんだぜ、レン。煙が飛んでくから」
屋台の焼きそばを食べながら、レン。その頭を撫でつつ、たこやきを摘まみあげるリリ姉。さきいかや、チータラを肴に、大人組も盛り上がる。まだ、うっすら明るい、宵の口。花火が気になる様子のメンバー、気持ちが高まってゆく。周辺の人たちの高揚感とも相まって。さざ波のような人の声。と、突如、鳴り響くファンファーレ。ナレーション、開始告げる。火ぶたを切る、スターマインの閃光と轟音
「すっげええええ」
「It’s a beautifuoooo」
「こんなのはじめてだよ。めーちゃん、すごいね」
「お酒もおいしいし、最高のシチュエ~ションだわ~」
仰天する片割れとアル兄。姉も兄も見とれる。打ち上げられる、尺玉。その下では、花火によって、光の滝が海面へ向かい形成される。左右へ飛び交う、光の球。視界の全て、180度。星の洪水、轟く爆音。こんな花火ははじめてだ
「すごいねっ、がっくんのふるさと花火」
「こんなの観たことないよ~神威のに~さ~ん」
「まだまだすんごくなるじゃな~い」
そんな彼の言葉通り。三尺球が連発されたり、クマのキャラクターの花火が上がったり
「がっくん、子供の頃から観てたんだ~。わ~羨ましい」
「その頃より、かなり等級上がった感があるけどな。俺も初めて見るようなのが幾つもあるじゃない。さてリン、何か食べたいのある」
「あ、やきそば食べた~い」
いつものように図々しい。カイ兄に頼んで、焼きそばを取って貰う彼
「じゃ~あ」
「「いただきますっ」」
二人、手を重ねて手を合わせる。割り箸を割って、当然のように
「はい、リン、あ~ん」
「あ~ぅ。ん、ういひい(おいしい)」
口へと運んでくれる。今思えば、よくも公然と甘えていたものだ
「あら、コチラでもスターマインが打ち上がっていますわぁ」
「花火とがくリン。いや~高画質モ~ドって素晴らしい」
ルカ姉が、うちわで扇ぎながら、ミク姉、新式のスマホを構える
「なに言ってるんだ、ルカ、そ~言うのは、カイメイ様に言おうじゃない。ミク、良い構図ならそこかしこに転がってな~い」
指摘され、今まで寄りかかっていためー姉から離れようとするカイ兄。時既に遅し。構図が強制膝枕へと昇華
「シャッタ~チャンスっ」
激写をはじめるミク姉に
「え~、というワケなのでリリィさん、ご移動頂けると幸いなのですが」
「え~、別に良くね、撮って貰お~ぜ、逆に」
リリ姉を膝枕する、先生が焦りはじめる
「ぐ、グミさん、この焼き菓子、もちもちで美味いすけど、どっすか」
「ありがと~勇馬君。お礼にこれ、美味しいよ、冷やしパイン」
ちゃっかりとめぐ姉の隣。勇馬兄が勇気をだす
「う~む、素晴らしい花火大会」
「ふはっ、ミクとは趣旨が違うけど、良い思い出になるんじゃない。楽しいな、リン。楽しそうだな、おまえ達~」
「すっごく楽しい~。あ、またファンファ~レ、スターマインだ~」
特大のファンファーレ。ラストの、市民様ご一同の寄付で行なわれる、特大最大のスターマイン。すごかったな。鍋ぶたが、カタカタ音を発てる。その音で、意識が今へと帰る。あの日も、わたしを、わたし達を思ってくれた優しい彼。そういえば、彼は言っていた『そんなに変わった土産はない』と。でも、おまんじゅう、地酒に、地ビール地サイダー。ようかんに、魚の形のおかき。美味しかった魚の干物まで買い込んで。結局はおみやげ盛りだくさんで、越後の国から帰ってきた。彼は今日、どんな手土産を持って帰るだろう。図々しくも考える。いや、まずは『彼が帰って来てくれること』が、最大お土産。わたしにとっては。うふふ、おのろけごめんなさい。誰に聞かれるでも無し。盛大にのろけよう―
神威とリン、まだ二人の距離は変わらない
少しづつ変わる周りの空気。変わる眼差し
少し修正とお詫び
まだ加わっていないメンバーまで登場させてしまいました
申し訳ありません