いつものように、料理する
いつの間にかそうなった
神威家の台所、もう『宴』状態で荷解大会。買い物袋を探ってゆく
「あっはは~。こだわりすぎなんて言ってたけどさ。結局レンもこだわってるよね~バナナに。甘々バナナに、モンキーバナナ。お、バナナチップスまで」
「な~んだ、レンも同じじゃない、好物しばり。お『プランテン』まで出てきた。こっちは、パイナップル、桃とサクランボか。洋梨もあるじゃない。果物大好きっ子だなレ~ン」
「い、い~じゃん。好きなんだからっ。作ってよ、バナナで何か。あと、フルーツポンチッ」
彼、兄指摘。恥ずかしがる弟。一同さざ波のように笑い合う
「わかったよ、レン。じゃあ、生チョコとバナナのデザートサンドで良いかな。プランテンは揚げて甘辛くしてあげる」
「白玉粉もあったから、浮かべてあげようじゃない。フルーツポンチにお団子。別に粒餡作っといて、和風パフェもいいな」
聞くだけでも美味しそうな両者のメニュー。というか、日本ではそこまで簡単に手に入らない、バナナの仲間プランテン。どこで手に入れてきたのやら
「わ、それ美味しそ、お願い、カイ兄。がく兄も」
「それ、ウチも食べたい、カイト。さっすがおにぃ」
最近、姉妹姉弟に見えてしかたないと言われる、リリ姉とわたし達姉弟。その、レンとリリ姉が喜びの声。二人のエプロンも前掛け式の物、黒地に金糸のリリ姉。うす碧のレン
「お総菜は、エビチリ、エビマヨ。ウインナーの盛り合わせもあるね。あ、サラミとスモークチーズも出てきた」
「そのメニュ~なら、冷えても美味です。二次会用でもイイカナ~っと思って買いました~」
商店街で営業している、お総菜屋さんの包み。開くカイ兄
「お、良い選び方してるじゃない、ピコ。ならコレ、もうマンションの冷蔵庫に入れちゃおう」
「オレ行くよ、がく兄」
片割れが、包みを両手にマンションへ
「ほれ、肉。美味く調理してくれ、このお肉様」
「お前、贅沢しすぎじゃない重音」
「わ~、ザ・高級肉って感じです~」
紫の彼、嘆息。ピコ君驚愕。塊で出てくる赤身のお肉。キログラム単位の越後和牛を勢いよく置く。テト姉好みの、脂身が少ない物
「あ~コッチもお肉か。鳥さんの胸肉。じゃあ、これでパスタ作ろうかな。オレ今日は肉料理担当するよ、殿。サイコロのトンちゃんは何に使おうか」
別の包みを開け、肉尽くしに苦笑するカイ兄
「すまん、肉系ってか、洋モノは任せたカイト。ま、豚様は後で考えよう。使わなかったら、冷凍保存しても良いじゃない。牛様はStake(ステーク)だな。切っといて外で焼こう。それでいいか、重音」
満足気に肯定するテト姉。出てくる物と、メンバーの反応で調理プランが決まって行く
「待ってまって、今日の主役のリクエスト優先だよ~みんな~。さあ、天使様は何が食べたいのかな~」
IA姉の一言に
「これの『なっとうはさみやき』がたべたいです、にいさま。おねぎものせてください」
両手に抱え、ポテポテと持ってくるリュウトくん。手にしているのは、越後名産の分厚い油揚げ。好みが渋い
「いい好みね~リュウト君。おつまみにもピッタリだわ~」
「俺も好きだしな、とびっきりおいしいの作っちゃおうじゃない」
微笑んでしゃがみ、リュウト君を撫でるめー姉。両者も、紫様も嬉しそうな顔
「ゆきは、おなすのおひたし。ぽ父さんがつくってくれる、あま~いのがいいです」
「ああ、揚げ浸しだな。よしよし、良い趣味じゃない、ユキ。さっきから、俺の好物が多くて、コッチまで嬉しくなるな」
怖ず怖ずとユキちゃん。笑顔、腕組みで応える紫の彼。実は茄子が嫌いだったユキちゃん。紫の彼、揚げ浸しを作って『だまされたと思って、一口だけ。イヤなら残そうじゃない』口を付けたユキちゃん。嫌いだった茄子が、大好物に早変わり。カイ兄と紫様のおかげ。二人のご飯で、メンバー全員、嫌いな物が激減する『好み』の問題は別として
「コレマタ良いでゴザルナ。酒が進みそうでゴザルヨ。Wow洒落たエプロンでゴザルナ、姫」
エプロンを着け始める天使様。お揃いのドレスエプロン。エプロン姿は初めてだ
「あ、ホントだ~エプロン。天使様に買ったんだね、テルさん」
「ええ、良い機会でしたので。皆さんお揃いです」
「おおお、みんな、かあいい」
アル兄に褒められ、照れくさそうなユキちゃん。カイ兄が気付いて、みんなも気付く。微笑む先生。カル姉は大はしゃぎ。ユキちゃんは、彼が料理する姿を見た時から『ぽ父さん』と呼んでいる。実のお父さんも料理上手だったからというのが、その理由
「あたしはね、キムチラーメンが食べたいです、カイトさん」
「よ~し、作ってあげる。あんまり辛くないのを。やっぱり、麺は茹でておいて外れないね、殿」
いろはちゃんは両手を挙げながら。微笑むカイ兄。ちなみに、二人の手によって『無臭キムチ』が漬け込まれ、常備されている
「やっぱり麺は鉄板だよな、カイト。オリバー、何が食べた~い」
最後、聞く紫様に
「ボクハ、macaroni au gratinガタベタイデフ」
応えたオリバー君。聞き取れなかったカイ兄が
「ん、えっと。マコル、え~っと、殿分かる」
翻訳を頼むと
「マカロニグラタンだな、オリバー。よしよし、カイト、お願いしていいか。和と洋中別れるカンジで」
「まかせて、殿。オリバーくんが好きなジャガイモも、沢山入れてあげるよ~」
通訳し、分担する彼。そこに被せて注文するのは
「神威さん、こちらもお願いしますわ」
「カイ兄、これで何か作ってよ~」
お揃いエプロンを付けた、二人の姉。キャスターを押して来る。発泡スチロール。その中身は、隙間なく詰められたお魚。同様、ダンボールの箱の中はぎっしり野菜。探る兄二人は
「キャベツにキュウリ、お、かぼちゃ発見。瓜繋がりで、これは金糸瓜(糸かぼちゃ)か。水菜もあるね。家庭菜園のトマトもあるし、野菜サラダは確定かな。サニーレタスとヤングコーンは、肉のお供だね。この流れならシチューもいいかも。あの牛肉、ちょっと使ってビーフシチュー作ろうか、殿」
メンバーに聞いてくる。カイ兄、とても楽しそう。ちょうど戻って来たレン、みんなからも、歓喜の声が上がる。テト姉は、使いすぎるなよと釘をさす、が
「独占禁止法って知ってるか重音、お前だけの肉ってわけじゃあないんだぞ。いいな、カイト、サシ(脂身)が少ない肉だ、使えるじゃない。糸瓜(糸かぼちゃ)は、俺がツナ和え作ろう。故郷の定番野菜だ。魚は、お、鱧と穴子。これは、湯引き、蒲焼き、白焼きだな。タイは、松皮造りにしようじゃない。どれも、つまみ、おかずに最適~」
テト姉、釘を差し返される。スチロールの中、氷をどけ、魚を取り出す紫の彼。美味しそうな調理法に、歓声がさらに大きくなる
「じゃあ、お米磨いでおくね、がっくん。定番のカレーも作ろ~よ、カイ兄。さっきのサイコロお肉使って甘いのと辛いの両方。じゃがいも、にんじん、玉ねぎも。まだ、たくさん残ってるじゃな~い」
彼の隣で、閃くわたし。額から閃光が出たかもしれない。土鍋を取り出しながら、彼の口癖を真似てみる。爆笑、彼&メンバー
「ふははは、良いアイディアじゃな~い、リン。お、イカ出てきた。ミクが買ってきた里芋もあったな。これは定番の煮物でいくか。イカと里芋の煮付け。よし、俺は和物と野菜料理担当だな」
「~~っふ。はぁ~。カレー、いいねぇリン。じゃあ、食材分けて、かかろうか、殿。オレ、マンションで作業するよ。洋と中華はオレが引き受けた。誰か手伝って~」
例のフリルエプロンをつける兄。腰巻きエプロン、彼。なんだか、反則的ツーショット
「あ、じゃ~ご飯、多めに炊いて貰ってイイ、リンちゃん。神威のアニキ~、お刺身分けて~」
Mikiちゃん、ピコ君もお揃いのエプロンを着けながら
「あら、カワイイ。でも、なんだか『ご主人様』と呼んでほしくなる格好ね、二人とも。ご飯、沢山炊いてどうするのMiki、あ、お刺身で海鮮丼とか」
めー姉、微笑むそして聞く。返ってきたのは嬉しいサプライズ
「お寿司握るの、メ~コ女王様。うち、お寿司屋さんでバイトしてたんだ。うちが握らないと回らないようなちっさなお店だったけどね。大将の人柄と腕で、人気のお店だったんだ。歓迎会って言えばお寿司でしょっ。まあ、うちが握るのは、不格好なお寿司だけどさ~」
「ええ~、すごいです~、Mikiちゃん。ぼくお寿司大好き~」
ピコ君、瞳が星空のように。メンバーも感嘆の声をあげる
「お願いしようじゃない、Miki。寿司握れるってすごいな。よ~し、別れて動くぞ~、手伝ってくれ、お・ま・え・達~」
「「「「「「「「「「お・ま・え・達~」」」」」」」」」」
拳をかかげるメンバー。テンション高いよね、わたしも含めて
「デザート、厳選して買って参りました。アイスクリームとジェラードです。私は、天使の皆さんとお菓子分けておきますね」
「ハウスで作業しよ~ぜセンセ。和好きに、かぼちゃ饅頭と葛ようかんも買っといた。みんなでやろ~ぜ」
「「「「みんなでしま~す」」」」
それぞれエプロンを着ける
「では調理音痴の拙者ハ、BBQの準備ヲイタソウ。外のLayout(レイアウト)整えておくでゴザル」
アルさん、卸し市場の人が着るようなエプロンをつける
「アタシも外、手伝うわ。ビールサーバー、用意しなきゃね」
「ボクも外作業してやるぜ」
外、マンション、神威家。一度別れる。テト姉も外作業『隊』時代に付けていたという、野外エプロン姿。ミク姉、ルカ姉、レン、カル姉はカイ兄のお手伝い。神威家のメンツは、午前中にプラスMikiピコちゃん。シェアハウスでは、先生、リリ姉、天使様。お菓子の盛り付け。まず始めに、お寿司用のご飯を炊きあげる。蒸らして、桶にあけた段階で、調理が本格化
「イカと里芋煮、かぼちゃの煮物、リンとIA担当。イカは俺が捌くし、かぼちゃは切るから。茄子の仕込みは勇馬。味付けは、俺がやる。挟み焼きはめぐ、とりあえず、納豆挟んでほしいじゃない」
「オッケ~がっくん」
「は~い神威のに~さん」
手を上げるIA姉。ひよこアップリケ、フリフリエプロンがカワイイ
「了解っす、切っときます」
「焼くのは後で良いよね、ぽ兄ちゃん」
ここのメンツは、料理が得意。というか、台所要員はある程度料理上手
「ご飯、扇いで冷ましますね~、Mikiちゃん」
「ありがとピコきゅん。じゃ寿司酢つくっちゃお~」
ピコ君、うちわを取り出す。Mikiちゃん、フリフリエプロンなのに、額にねじり鉢巻き。大層シュール。紫様まずは、かぼちゃを洗ってレンジに入れる。レンジで温めると、かぼちゃが切りやすくなる。ヘタを取って、真っ二つ、種とワタを取り除く。糸かぼちゃも似たようなもの
「いつ見ても、手際いいよね~ぽ兄ちゃん」
「長くやってるからな。この種も炒って、ツマミにするか」
めぐ姉と会話しながら、食べやすい大きさに切ってくれる。鍋に入れて
「あとはお願いな~」
「「は~い」」
わたしたちに渡してくる。今度は手を合わせ、お魚さんに感謝を捧げる。イカを捌き出す、紫の彼
「わ~、ちょっとぐろぐろ~。でも、に~さん上手~」
「ぼく、お魚さんは捌けません~」
それを観ていたIA姉、改めて感想。ピコ君、野菜は切り分けられる
「ふふふ、しっかり見ろよ~IA。目を離すんじゃない。ピコ俺達は、この命を頂いて生きてる」
「さっすがアニキ、お寿司屋さんの大将にも、同じ事言われたよ。うちも捌くのは習いそびれたなぁ」
彼の口癖。手を赤く染めながら調理。丁寧に、水で流して、切り分ける。Mikiちゃんも感心
「よしっと、イカのワタは、塩辛にでもしとくか。またメイコが喜びそうじゃない。はい、置いとくよ~」
調理バットに入れ、わたしとIA姉に告げてくる。わたし達は、お酒を飛ばし、煮物にかかる。ふたたび魚に向かう、紫の彼。今度は鯛。鱗を落とす綺麗に三枚おろし。丁寧に水であらう。バーナーで、鯛の皮を炙る
「お刺身焼くの~、神威のに~さん」
「あ、食べたことなかったかなIA姉。皮を炙ってね、お造りにするんだよ。鯛の松皮造り。塩で食べるのが美味しいよね、がっくん」
さといもの皮を剥き、切り分けながら言うわたし。得意気に
「本当に分かってるじゃない、リン。お利口さ~ん。カイトも言ってたけど、料理の腕も上がってるじゃない。ご飯のお供にも最適だ、IA。小ネギ散らしても、美味しいぞ~」
切り分けながら、微笑みかけてくれる彼
「リンちゃん『ぽ兄ちゃんのお料理教室』でお料理修行~って感じカナ~。あ、じゃあぽ兄ちゃん、アラ汁も作ろうよ。もったいないもん、捨てちゃうの」
「格闘、居合、料理に歌。がくサン多彩、そこがカッケエ所っすね。自分も精進するっす。なら、グミサン。オレ、骨せんべい作るっす。良っすか、がくサン」
それぞれの支度に取りかかる二人。調理のアイディアが素晴らしい
「い~じゃない、二人とも。良案、感心感心~。ネギ、三つ葉、油揚げ。材料も揃ってるし、任せた、めぐ。勇馬、油はね注意しろよ。お前も、可愛い顔なんだから。味付けは、甘くしてあげようじゃない、天使様のために」
言っている間に、出来ていく刺し盛り。メンバー、楽しく調理。完成したお造りの舟盛り、冷蔵庫へしまう
「こっちはMiki、使っておくれ」
「ありがとうアニキ。よっしゃ、握るぞ~」
腕をまくり、気合いを入れるMikiちゃん。酢飯を右手で掴み、そのまま回転させて、器用に握る。適当な大きさになったところで、ネタを載せ、大皿へ
「わわ、Mikiちゃんすっご~い。本物のお寿司屋さんみたい」
「オイオイMiki、たいしたモンじゃない。めぐ言うように、それ出来ない寿司屋だって多いぞ。しかもシャリ、捨てないのが良いな」
「ありがと~アニキ、グミね~さん。でも、シャリの大きさ揃えられなくってさ。いっつも大将にダメ出しされてたの~」
Mikiちゃん褒められて嬉しい。けれど、技術が高くないと、謙遜の照れ笑い
「がっくん『それ』ってなあに~」
「ああ、寿司に握るの、見たことなかったか。寿司のシャリ、ご飯をさ、Mikiみたいに、片手で握る。それ、結構凄いことなの」
「へぇぇ~そうなんだぁ~。Mikiちゃんすっご~い。本当にお寿司屋さんに見えちゃうなぁ」
照れ苦笑いする、Mikiちゃんのお寿司は確かに不揃い。でも、にぎり寿司さえ『自家製』ができる素晴らしさ。わさびを塗らないのは、天使様の事を考えて。お刺身用にわさびはおろすので、各々盛れば良い
「はいっ、鯛の松皮握り。みんなで味見して~。不味くなきゃいいけどな」
Mikiちゃん、にぎりたてのお寿司。味見を促され、みんなで頂きに行く。載っているネタの鮮度の良さ、皮の香ばしさ、そこに、塩梅絶妙の酢飯。シャリがホロリと崩れ、口の中でハーモニー。僅かの間、声が出ない一同
「あ、だ、ダメだったかな」
「~違いますよぅ、Mikiちゃ~ん。すご~く美味しいです~」
ピコ君、Mikiちゃんの手を取って、目を煌めかせる。味わい終わって、ようやく声をあげるメンバー
「やっべ、超~うめぇ。これすっげぇわMiki」
「さんきゅ~勇馬。ほっとした~」
勇馬兄、頬張った片手で、口を覆って破顔
「美味いじゃないMiki、こりゃ、ヘタな本職にも勝るぞ」
「ぅ~、Mikiちゃんのお寿司、おいしいよ」
紫様、Mikiちゃんの肩をぽんぽんする。IA姉は両頬を挟んで身もだえ
「本当においしいよ、Mikiちゃん。負けないように、頑張ってお料理しなきゃね、がっくん」
「だな、よ~し、気合い入れ直そうじゃない」
言って調理に戻るわたし達
「ありがとう、アニキ。リンちゃんも~。よっし、うちも気合い入れちゃうぞ~」
「本当に美味しい、Mikiちゃん。わ~、パーティー楽しみ」
めぐ姉もお料理に戻りつつお礼。一通りの魚を捌いてくれる紫の彼。鱧と穴子の湯引きは彼。骨を丁寧に取る技術は、彼でないと成しえない。捌いてくれたものを、各々調理。白焼きは勇馬兄、蒲焼きはわたしが作成。Mikiちゃんが、穴子とうなぎの握りも作ってくれる
「あら、酢飯余っちゃうか。もったいないなぁ」
「あ、普通の油揚げってありますか、かむさん。Mikiちゃん、ぼくおいなりさん作ります~」
決してモノを無駄にしない。メンバーの大事な心がけ。まあ、酢飯余っても、何かしらに使うだろうけれど
「あ、ピコきゅんのお料理、うち食~べた~い」
「あるぞ~、ピコ。素晴らしい案じゃない」
ピコ君、油揚げに味を付けて、鶏そぼろ入りの五目いなりを作成。茄子の揚げ浸し、味を付ける彼。めぐ姉とIA姉は味玉子、みそ玉子をお皿へ。鯛のアラ汁、骨せんべいまで制作。三時半には大体の料理が完成。その、良いタイミングで
「おいしそうなにおいがします、いろはちゃん」
「お料理がたくさんだ~、リュウト君」
「おにぃ、どんなカンジ~」
天使様が、リリ姉、キヨテル先生と共にやってくる。リリ姉は、長めの髪を一纏め。おでこを出し、髪を高い位置で一纏め。お手伝いがしやすいスタイルだ
「全品完成だ、リリ。煮物は温め直すから、玉子ちゃんズは運んでいいんじゃない。汁物は外のコンロへ載せて~」
「承りました、神威さん。マンションの皆さんも、準備の最中です」
汁鍋を手にするキヨテル先生、そこに加わる
「ユキもてつだうよ、ぽ父さん」
「ぼくもです、にいさま」
「みんなでおてつだいしよ~」
「ハコビマフ~」
作っておいた物を温め直し、天使様、と共に外のテーブルへ。煮物、枝豆や切った生野菜、手に持ったり、キャスターに載せたりして。それぞれメンバーが運んでいく。最後にわたし、残りの土鍋を持つ。紫の彼、刺し盛りを手に外へ出る。と
「あ、殿達も美味しそうなの作ったね~」
「おれもぅ、お腹空きすぎてつらいよ~」
寸胴鍋を手に、カイ兄、漂うカレーの香り。グラタンの入ったプレートを、鍋つかみを使って持つレン。美味しそうな物とやってくる
「切り分けたお肉もお持ちしましたわ。ミートスパゲティも」
「鶏肉パスタ、ビーフシチューも美味しそ~だよ~」
「そっちも同じじゃない、カイト。すっごく美味しそう。ルカ、ミクもありがとさ~ん。さすがにお腹すいちゃうじゃな~い」
キッチンタイマーが鳴り響く。枝豆の塩梅が頃合いの時間。電子音で、意識が今へと帰ってくる。この数分間、作業しながらどれだけの事を思い出していたことか。枝豆、ザルに乗せたらテーブルに置いておくので良いな―
紫の『隣』で料理する
紫に『収まらなくなった』黄色い子
確実に進む、二人の日