はじまりのあの日   作:代打の代打

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自由行動の京観光

いつものように、彼の横




一緒とナイショの京巡り1

修学旅行先で『愛』の告白したことがあるか無いか。そんな街頭アンケートを知らせる特集。そんなことを報道して、何になるのか。ああ、でも、だ。わたしと彼『秘密の贈り物』を交わしたことはあったな。告白はしなかったけれど。公演を終えた京の都、修学旅行の聖地で。今も大切に使っている髪飾りがある。彼がくれた髪飾り。彼が贈ってくれたもの、使えるものは殆ど、大切に使っている。サイズが変わって、使えなくなった物も、取ってある。嬉しいのは、彼も大切に使ってくれていること。わたしがあげた贈り物、彼も大事にしてくれる。そっか、あの日初めて贈ったな。少しだけ改まって、ちょっと『高め』の品物を。今日の朝彼は『今日はちょっと特別な日』と結んで行ってくれた。わたしが贈った品物を。記憶の図書館さん。今日はやけに招いてくるね。抵抗なんて致しません。入館させていただきます―

 

「今日は自由行動だけど、みんな何処に行きたぁ~い~」

 

朝ご飯の後で、めー姉が聞いてくる。二泊三日の京の都滞在。二日目は自由行動。どこに行きたいかはそれぞれ。わたしはどこに行きたいかは思い浮かばなかった

 

「拙者ハ、寺社仏閣めぐりをキボウするでゴザル。ナカナカ、機会が無い故ゼヒ」

「ワタシは、駅でのお買い物を提案いたしますわ。あの駅も名所の一つですので」

「ウチは甘い物食べにいきたいな~、本場の和菓子。センセ、行こ~ぜ」

 

アル兄、ルカ姉、リリ姉。それぞれの希望を言う。見事にバラバラ。と言って、協調性が無いわけでは断じてない

 

「ボクはこの辺ぶらついて、宿でゆっくり休みたいぜ。コンビニでお菓子でも買ってよ」

「あ、うちもそうする、重ね~さん。どっかで、オセロでも買っちゃお、携帯出来るヤツ~」

「よしよし、なら分かれて行動しようじゃない。夕方には宿で落ち合って、土産物の聖地へ繰り出すってどう」

 

意見を纏めにかかる彼

 

「賛成~がく兄。じゃおれ、駅行ってみた~い。あの中メチャクチャ店、あるみたいじゃん」

「わたしも、がくさんの意見にのる~。レンくん。ルカ姉、一緒に行こ~」

 

弟、巨大駅の店巡りツアーに参加を申し出る。ミク姉も同行するようだ

 

「じゃ、オレもミク達と駅行こうかな『ならでは』の食材仕入れたいし。漬け物とか湯葉豆腐なんか。駅ビルの中で揃っちゃいそうだからね。め~ちゃんはどうする」

 

手を挙げながらカイ兄、同行を申し出て、めー姉に聞く

 

「アタシも行くわ、カイト。何だかんだで、一日遊べそうよね~。都の地酒も買いたいし。他誰かいる~」

「めいさま、かるも駅に行きたい。階段の上、気になるなる」

 

『なるなる』の台詞で、首を左右に傾げるカル姉。賑やかにひと塊が決定する

 

「じゃ、俺は寺社仏閣を案内するかな。アル、行くんだろ。有名な処だけじゃ~なく巡っちゃおうじゃない」

「カタジケナイ、神威殿」

「わたしも一緒に行く~がっく~ん」

 

いつも通り、彼と一緒が良いわたし。昨日から、ずっとみんなが浴びせてくる。生暖かな視線はちょっと気になった

 

「お、リン。駅とかの方が良いんじゃない。お寺巡りしてもつまんなくないか」

「か・む・い・君。リンは、貴男と一緒ならいつでも何処でも楽しいのよ~」

「そ~。わたし、がっくんと一緒がいいの」

 

ウインクをしながら、めー姉。紫の彼『いつでも何処でもは言い過ぎじゃない』と複雑そうな顔。あの時は、何も考えず答えるわたし(こども)正直、お寺に、あまり興味は無かった

 

「なら、ゎたしも~。神威のに~さんと行きたいな~」

「あ、神威さん、私もよろしいですか」

 

IA姉は、わりと彼、わたしと行動を共にする『波長が合ぅの~。あと、がくリン萌ぇ~』が、後に聞いた理由。ただ、リリ姉と、甘い物を食べに行くと思っていたキヨテル先生

 

「ん、テル、リリに誘われてたじゃない」

「センセ、行こうよ~ぉ甘い物~」

 

以外、という顔をする彼。顔中不満、リリ姉。先生は微笑んで

 

「ええ、リリィさん、是非。ですがまだ、時間も早いです。お昼までは、神威さん達と行動して、途中で分かれませんか。子供さん達に、神威さんのお話を聞いていただきたくて。古都のお寺や神社。あまり、ない機会ですからね」

 

先生の提案を聞いたとたん、瞳が輝くリリ姉。天使様も笑顔になる

 

「そっかぁ。じゃ、みんなでいこ~ぜ。さすがセンセッ。ナイスアイディア」

「やった~。みんなでいっしょだね、リュウトくん」

「にいさまのおはなしは、おもしろいです。ゆきちゃん」

「リリちゃんも氷山先生もいっしょ~。楽しいね、オリバーくん」

「ニホノオテラ、ハジメテデフ。イロハチャン」

 

手をつなぎ、輪になってはしゃぎ出す天使様

 

「それ、いい案じゃない。博識のテルがいれば、俺も心強い。他、行くヤツいるか~」

「わたしは、重音さん、Mikiちゃんとのんびりしてるよ、ぽ兄ちゃ~ん」

 

『天使の輪』に頬を緩め紫の彼、他の同行者を確認。めぐ姉、にこやかに申告、手を挙げる

 

「自分もそれで。カードゲーム持って来たす」

「ぼくもの~んびりしてますよ、かむさ~ん」

 

勇馬兄、ピコ君も。それぞれの行動計画が決定。駅、宿、寺社仏閣。修学旅行よろしく、班分けが済む。わたしの班は、やさしい神威『先生』とキヨテル先生が引率。頼もしいことこの上なかった

 

「神威君、宿には何時に集合しよっか」

「そうな、四時にしようじゃない」

「早くない、殿。あ、でも今、まだ九時半か」

 

腕の時計を観る兄。ジャケットを着る彼

 

「そ、四時集合っつても、多分押すじゃない、時間。早めに設定しといた方が余裕持てるからな。晩ご飯が五時半だろ、食べてから、土産物通りに繰り出そうじゃない」

「私も、神威さんの意見に賛同いたします。帰ってきたら、一応点呼もとりましょう。皆さん、寒くないように、暖かくして下さいね」

 

大人組の会話は、完全に引率の先生そのもの

 

「それじゃ~行くわよ、付いてきなさい」

「タクシー拾おうか、め~ちゃん。少しでも混乱回避」

「さんせ~カイ兄。今、そんな感じになっちゃたもんね」

 

私服、サングラスの女王様達が、賑やかに行く。PROJECTを認めてもらえた証。歌い手と気付いてくださる方が増えた。場合によっては人だかりが出来てしまう。混乱を、回避するため

 

「では、私達も参りましょうか」

「戸締まり確認したな。鍵は預ければいいじゃない」

 

わたし達も同様。紫の彼、薄い色合いのサングラス。アル兄は濃い黒、迫力がある。わたしやIA姉はニットキャップにだて眼鏡。以前IA姉と揃えたネコミミ付きのキャップをかぶる。先生は、掛ける眼鏡を変えている。楽しい修学旅行。そんなタイトルがぴったりの展開だが、格好だけはほど遠い

 

「いってらっしゃ~い、みなさ~ん」

「気を付けてね~」

「じゃボクらも計画立てようぜ、ピコたん、Mikiたん」

 

見送られ、三組分かれる。めー姉達は、地下鉄で駅へ。分散行動なら、少しは混雑も避けられる。私達は、フロントでタクシーを頼む。到着を待つ間、ペットボトルの飲料を買う。ジャンボタクシーを二台、一日貸し切り。わたし、彼、IA姉、アル兄で一台。先生、リリ姉、天使様達で一台

 

「あまりはしゃいで迷惑かけるなよ~」

「神威さん、しっかり監督いたしますので」

「騒ぎすぎは、ダメだからな~」

「「「「は~い」」」」

 

乗り込んで、目的地を告げる彼。運転手さんはとても気さくで親切なおじさん。京都の町や、向かうお寺の見所なんかを、簡単に説明してくれる。わたしに、ビスケットを振る舞ってくれる

 

「午前中に、二箇寺、一社(にかじ、いっしゃ)くらいは参拝しようじゃない」

「ニカジイッシャってな~にがっくん」

「ああ、お寺や神社の数え方。お寺は『箇寺』神社は『社』ってかぞえるじゃない」

 

それも彼から教わった新知識だったな

 

「へぇ、そうだったんだ。わたし『一軒』で良いと思ってた~」

「ゎたしも~。そうなんだ~神威のに~さん」

 

ビスケットをつまむわたし、IA姉

 

「ま、こだわらなくてもいいけどさ。お寺も神社も、観光する場所じゃない。本来は拝みに行く場所だから、礼儀として一応な」

「神仏に『参拝』をするでゴザルな」

 

午前中、彼の言葉通り、いや、予定より『一社』多く回った。安置されている仏様や、神様の由来を聞くうち

 

「あ、ならさ~センセ、縁結びの神社とか寺ってねぇの~。おにぃ、どっかない~」

 

と、リリ姉の希望でくぐる、縁結び神社の鳥居。みたらし団子発祥の場所だという

 

「境内は良いけどさ、仏様、神様の前では外そうじゃない」

「本来は境内も、ですが、最低限のマナーですからね」

 

紫様の指示で、参拝するときはサングラスを外す。最初のお寺で言われたこと。キヨテル先生の言う通り、礼儀は大切。礼節をわきまえたわたし達に、神様からのご褒美、おみくじを引いたリリ姉

 

「『時が来るのを待つべし。成就した想いに合わせれば、必ず成就するなり』お、成就するんだ、ヤリイ~ぃ」

 

良い運勢だったのか、大喜びだった。何か『お守り』も買っていたっけ

 

「リンも引かね、おっみくじ~」

 

と聞かれたけれど

 

「ん、わたしはイイや~リリ姉。レンアイとか解んない~」

 

そう応えると、何故かものすご~く『渋い顔』をされた。苦いクスリでも飲まされたような。昼食は、運転手さんオススメのお店に連れてきて貰う。ならばと、彼の誘いで、一緒に食べる運転手さん。その運転手さんのお薦めメニュー

 

「わ~お魚のってるうどん、初めてだね~。ユキちゃん」

「ね~、いろはちゃん。おつゆも、いろがうす~い」

 

盛り上がる、いろはちゃん、ユキちゃんの女の子組

 

「おりばーさん、にいさまと、かいとさんがつくるおそばも」

「Soupノイロガティガヒマフ(スープの色が違います)リュフトクン」

「だよな~オリバー。ウチもさ、おにぃ、カイトが作るツユの色の違いに、始めビビッタもん」

 

興味津々、男の子。子供と大人、向かい合わせで座る。わたしも、大人の『つもり』で彼の横

 

「おつゆは、関西と関東の違いですね。関西では『ダシ』関東は『つゆ』お醤油の色の濃さで変わります。好みの問題になりますが、どちらも美味しいですよ、皆さん」

 

答えてくれる、博識のキヨテル先生

 

「そ、俺も蕎麦は関東風のつゆ。うどんは関西風のダシが好みだしな。煮出す素材で味も変わる。麺だって、地方によって違うじゃない。コシがあったり、柔かったり」

 

店員さんが運んでくれた、湯気立ち上るうどん。魚がのっているうどんを食べるのは、わたしも初めてで

 

「がっくん、乗ってるこのお魚はなぁに~」

「ああ、鰊(にしん)鰊の甘露煮をのせてるの。うどんに魚の油と出汁が染み出して旨いじゃない」

「オオ、これは拙者モハジメテデゴザルナ」

「ゎたしもはじめてだ~。ぅ~、いいにお~い」

 

京名物ニシンうどん。初めて食べたあの日。アル兄は、紫の彼の真似をして唐辛子をかける。最初の一口でむせてしまったのが面白かった。でも、慣れた二口目からは、おいしそうに食べていた。コシのあるうどんにからまる、出汁の利いたおつゆ。ニシンから溢れ出るアブラとの多重奏。甘辛、それ自体おいしい、ニシンの甘露煮。とても美味しかった。何時だったか食べた『立ち食い蕎麦』と大違いの味。ネギが入れ放題のお店。ミク姉だったらネギ山盛りだったろう

 

「さて、どうするテル。ここで分かれるか」

「いえ、神威さん。もう一、二箇所参拝してからにいたしましょう」

「え~ウチ正直飽きたな~寺巡り~。リュー、ユキも飽きてね~」

 

昼食後、つまらなさそうに言うリリ姉。聞かれたリュウト君、ユキちゃん

 

「ぼくはたのしいです、りりねえさま」

「ゆきも~。ひやま先生と、ぽ父さんのおはなし、たのしい」

「あたしも~リリちゃ~ん」

「オテラ~、チャンジャ~(神社)メデュラシ~デフ~」

 

天使様の援護得られず。何も言えないリリ姉

 

「すみません、リリィさん。私の話が至らないばかりに」

「え、ち、ちげ~ってセンセ。寺とか神社って、どこ行っても同じっぽいってだけでさっ」

 

謝る先生に、焦り、手を振って弁解するリリ姉

 

「センセと一緒だったら、ま~いっか」

「私と、ですか」

 

不思議そうな顔の先生。いよいよ押し黙るリリ姉。頬が朱色

 

「はは、リリ、天使様のがお利口さ~ん。ま、なら後一箇寺参拝したら、皆で行こうじゃない。甘い物食べに」

「甘い物食べた~い。やった~、ありがとがっくん」

「オッしゃ、話せる~。さっすがおにぃ~」

 

わたしは別に、お寺が嫌では無かった。行ってみたら、以外と楽しい。まぁ、彼と先生のお話が面白かった、ということが大きな要因だと思う。けれどやっぱり、甘い物の方が心躍る。リリ姉、紫様に飛びつき、ほっぺちゅ~。さすがは筋金入りのブラコン。でも何故だか思った『うらやましい』と

 

「こらコラ、リリ、はしゃぐんじゃない。アルも良いだろ。京都の和菓子だって、そうそう機会、ないじゃない。IAもどう、ぶっちゃけ、俺も食べたいし」

 

そのリリ姉を抱き留め、オデコ合わせ。撫でながら彼。完璧なシスコンブラコン、神威の一家

 

「拙者は、寺社仏閣も格別でゴザルが。イワレレバ、甘味も気にカカルでゴザル」

 

楊枝を咥え、頬を緩めるアル兄、顎に手をあてる

 

「ゎたしも~。甘い物がた~べた~いな~」

 

両手を挙げ、破顔するIA姉。今日は袖が余る私服なので、必然、余った袖が揺らぐ。袖パタパタ。甘味処行き、全員異論無し

 

「店はリリ、目当てがあるんじゃない。その様子じゃ~」

「もちっ、おにぃ。食べてみて~のあんだ~。宿にも、歩いて帰れる距離の店だしさっ」

 

話しがまとまって、会計を済ませる。タクシーへ戻って、もう一箇寺、お寺へ。大きな山門をくぐり参拝。階段の多さが半端じゃない。多少息が切れてしまう

 

「おお、コレハ珍妙デゴザルナ」

「おもしろいね~、リュウトくん」

「にんじゃもあるけませんね、ゆきちゃん」

「このお寺の特徴なんですよ、みなさん」

 

解説をしてくれる、キヨテル先生、神威先生

 

「わ~、歩くと音が出るんだね、がっくん」

「除夜の鐘も、有名じゃない。なんか『技』みたいで。毎年観てるじゃない、TVでさ。イク年、来ちゃう年~」

「ぁ~あれ、このお寺なんだね~に~さ~ん」

「ぉあ、そっか、此所その寺なんだぁ、おにぃ」

 

どんなに静かに歩いても、キュッキュと音が出る床が面白かった。大きなお寺を、じっくりと観覧させていただく。隅々まで観ると、時間は二時半を回る。参拝を済ませ、タクシーへ戻る。移動して、お菓子屋さんの前で降ろしてくれる。一日、私達に付き合ってくれた運転手さん。仕事とは言え、本当にありがとうございます。お礼をいう。すると運転手さん、怖ず怖ずと色紙を差し出してくる。娘さん、奥さんがわたし達のファンと打ち明ける、わたし達号車の運転手さん。子供さんがPROJECT『中毒』という天使カーの運転手さん。みんなでサイン色紙をプレゼント。記念写真にも収まり、固く、握手を交わす。車の料金は、大人達が事前に支払ってくれていた

 

「ここココ。センセ、ウチ気になってたんだ~。この店、ぜんざいがうっまそ~なんだ。モチも豆もでっかくてさ」

「それは、本当に美味しそうですね。リリィさんのお眼鏡にかなうお店です。間違いないでしょう」

 

趣のある店内、テーブル三つに分かれて座る。注文を取りに来てくれた店員さん。わたし達が歌い手だと気付いてくれる。店の店員さん、お客さん。それぞれ集合で写真に収まる。即席サイン会にも笑顔で応じる。本当にありがたい。お店への、連名サインを書き終えて、注文を受け付けてくれる。運ばれてくる和菓子。湯気を発てる、温かなぜんざい。大きなお豆にたっぷりあんこ、大きいお餅にかけられている

 

「ぅわ~、お~いしそぅ~」

「すっご~い、いいにお~い」

 

大喜びのIA姉。いろはちゃんも大興奮。アル兄や先生も頬が緩む

 

「あの、この栗羊羹は―」

 

頼んでいない生菓子を認める彼。その質問に『お店からです』と。なんと、羊羹を一つずつ、心配りで付けてくれる『ありがとうございます、恐縮です』と返す彼。まずは、ぜんざいを味わう。温かな品物、熱々のうちに楽しまなくては、作った職人様に失礼だ

 

「んま~ぃ。もちもちぉ餅~。さすがリリィちゃんが、選んだぉ店~」

「素晴らしいお仕事ですね、小豆の舌触りも堪りません」

「っだろ~っ。とか言って、ウチも初なんだけどさっ、超ウマ~」

 

甘い物大好き、IA姉、先生ご満悦。リリ姉も堪能する

 

「ちょ~おいしいぃ~。よかったね、オリバー君、リリちゃん達といっしょで~」

「ゼンザヒ、ハジメテデフ~。オイヒイ~」

 

いろはちゃん、口の周りを汚す。オリバー君、伸びるお餅に舌鼓、笑顔が『完璧天使』の天使様。メンバー一同、お菓子に大満足。羊羹の栗もポクポク。皿まで食べる勢いで完食した後

 

「はい『ボカロ』大集合」

 

PROJECTの略称で、一つのテーブルに集結を促す紫様。VOCALOID PROJECTの略称が、聞き手の皆様から『授け』られるほどに、染み渡った。このお店での出来事だってその証に他ならない

 

「この真心お菓子のお礼としてさ。大人組とティーンで、あの歌、アカペラ即興で歌おうじゃない。子供達、好きに踊ってほしい」

 

紫の彼、お店の心遣い、お客さんの眼差しに答えようと提案

 

「良いですね、あの曲なら、そう長くもなりませんから」

「デハ、拙者、バスメロディーを担当イタス」

 

みんな、顔を近づけ、ナイショの会話

 

「ゎたしと先生さんでソプラノを、ハモはもするから、リリちゃんがティナーパートね~」

「おにぃ、リン。メイン歌ってくれよ~」

 

リリ姉の手が、わたしの首に回る。片手で撫でてくれる

 

「やった~。がっくん、よろしくね~」

「歌っちゃおうじゃない、リン。よっしゃ、みんな~ごっめんよ~」

 

店のみんなに呼びかける彼。歓喜の歓声。少し、テーブルが下げられ、始まる即興の歌会。楽器が無くたって、この声がわたし達の商売道具。披露させていただきます。歌う大人組、踊る天使組。気ままな野良猫と、飼い猫『恋』の歌。レンとめぐ姉の持ち歌。思えば、わたしと彼に歌わせてくれたのは、IA姉、リリ姉の『応援』だったのかもしれない。お店の中でも、大歓声を頂いて。美味しい和菓子まで頂いて。大満足で後にする

 

「おみせでおどると、おもわなかったです。ひやま先生」

「私もですよ、ユキさん。浸透したんですねプロジェクト。光栄な事ですね」

「超たのしかった~。ぜんざいもメッチャ旨かったし、言うことな~し」

 

ユキちゃん、先生、リリ姉と手を繋ぐ。旅館は、もう近くなので歩いて向かう

 

「さいんをかいたのは、きょうがはじめてです。あるのだんなさま」

「良い経験ガ出来たでゴザルナ殿下。きっとコレカラ機会が増えるでゴザルヨ」

 

リュウト君を肩車するアル兄

 

「オリバーくんは、どうだった」

「オテラ、オチャヤサン。タノシカタデフ」

「渋いじゃない、オリバー。見所あるぞ~」

 

わたしと彼、キヨテル先生達と、同じように手を繋ぐ

 

「あたしも~。初めてばっかりで楽しかった、IAちゃ~ん」

「良い一日だったよね~いろはちゃ~ん」

 

古都、京の都。そう言われるが街の中は、現代の大都会に他ならない。一大観光地でもあるこの街は、人の密度も高かった。手を繋ぎあったのは、子供達とはぐれないようにという大人達の配慮。その中に、わたしも含まれていたことは、あの日は考えもしない




何処へ行っても楽しいの

彼の横にいられるのなら

あの日のリンは気付かない
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