甘いお菓子
甘いけどすっぱい
通じ合わないから
少しだけ甘酸っぱい
女性一同が集まりだす。わたし、縮こまる。めぐ姉、耳元で『大丈夫』と
「あにさま、きょうのりんりんはっ」
「神威のに~さん、気付いてあげて~」
「ん、どした、カル。IA、リンが―」
応えようとして、わたしを観る。彼と目が合う、目を丸くする彼。次の瞬間微笑んで
「リン、イイじゃない、めぐ達がやったのか。いや、化粧はルカかな。髪のセットも洒落てる。ああ、リボンは『あの日』のヤツだ。すごく似合ってるじゃない」
即座に気付いてくれる。これ以上無い彼の言葉
「あ、化粧してんだ、リン。言われてみると『何か変わった』のってそれか~」
片割れの言葉、ようやく気付いたようだ。弟の言葉は、わたしの心を奮い立たせる効果もあったようだ『どんなもんだ』と『今日のわたしは違う』のだ、と
「がっくん、どうかな、お化粧。わたし、可愛くなってるかなっ」
調子付いたから、そして、めぐ姉が肩を抱いててくれたからこそ言えた台詞。肩を抱かれたまま、少しだけ胸を反らす
「と~っても可愛い『大人の可愛さ』に仕上がってるじゃない。コロンかな、香りの正体は。まつげ『つけま』じゃないな、ビューラーで上げてるんじゃない」
と、少し屈んで来る彼。顔が近くなって、思わず肩が跳ね上がる
「ふふふ、大正解っ。ぽ兄ちゃん、リンちゃんかわいくなったでしょ、すっご~く」
「リンちゃんは、神威さんのためにMakeupしたんですよ。勇気をだして、大人の一歩ですわ」
「史上最高にかわいいリンちゃん、披露会だよ~ぅ、に~さん。さぁリンちゃん、渡さなきゃ~」
ルカ姉が『援護』の発声、IA姉は『援軍』に来てくれる。ちょっとだけ躊躇したけど
「これ、今年のチョコレート。ありがとう、がっくん。いつも優しくしてくれて」
応援に促され、両手で差し出すのは、インゴット型のホワイトチョコ。黒の箱に入った、少し高級な。これ、少しだけ仕掛けをしているわたし。これも気付いてくれたら嬉しい
「ありがとう、リン。装飾(かざり)のリボンが白いってことは、ホワイトじゃない。中身のチョコは」
微笑んで聞いてくる彼。仕掛け成功
「うん。がっくんと、初めてのバレンタインもホワイトチョコだったから」
「うっわ、通じ合ってるな~、おにぃとリン。だっからマジ焦(じ)れって~」
リリ姉の声が聞こえる。受け取ってくれる、彼。少しの間、箱に手を掛け、次の瞬間、わたしの手を、優しく取ってくる。再び肩が跳ね上がる
「いい色合いじゃない、マニキュア。今日はおめかしモードだ、リン。ヘアピンもよそ行きのじゃない。そうか、リボンの結び方もあるな、大人っぽく見えるの。IAが言ったな『史上最高』って。ホント、今までで一番可愛い」
頬が熱くなっていく。気付いてくれたことが、褒めてくれたことが、堪らなく嬉しい
「良かったね~リンちゃ~ん」
「もぅ一息~ぃ、リンちゃ~ん」
「たたみ掛けろ~、トドメだぜっリンたん」
めぐ姉、IA姉の黄色い声。テト姉の弾んだ声で正気に。戻ったが故、一瞬の間
「え、もう一息って、何。とどめって」
顔を見合わせる、めぐIA姉。又一瞬の間、残念そうな微笑みを浮かべる。盛大なため息はテト姉だろう
「あ、な、なら、アニキの方からはナイっ、今日のリンちゃんに感じる事、とか~ぁ」
「おにぃ『可愛い』の外に何かねぇ、リン、今日は気合い入れてんだぜっ。なんっかナイ『想う』こととか」
「何だか知らんが、必死じゃないお嬢みんな『思うこと』か」
多分『おもい違い』をしている彼。あの日、そんな気は回らない。受け取ってくれたチョコを、テーブルに置く。そしてわたしをじっと観る。凄まじく照れくさかった覚えがある
「うん」
つぶやく彼、の右中指が、わたしの下唇に触れる。肩が跳ねる、めぐ姉の目がまん丸になる。なぜ、後ろのめぐ姉の表情が解るのか。彼の後方、つまり、わたしの斜め前で『撮影』していたミク姉。映像が保存され、それを後から見返したから
「この唇は『色っぽい』っと思う、多少。今までの『可愛い』よりは。綺麗に成っていくじゃない、リン。今までにはなかったカンジじゃない。クラッと来ちゃう」
あの日、言ってくれた精一杯の『お世辞』もう、わたしの心拍といったら、200m全力走を終えたとき以上の跳ね上がり方
「ととと、ということは~神威のに~さん」
「ぽっ、ぽ兄ちゃんっ、リンちゃんの事をっ」
頭の上に、巨大な疑問符が浮かぶ紫様。珍しく、彼のアホ毛まで?マークに変化
「可愛いと思ってるぞ、いつも。それがどうした」
今度はわたしの頬に手を当て、撫でてくれる。彼の手のひらの感触が心地よくて、思わずにその腕を取る。より自分の頬を押し当てる事で、心拍数が元に戻っていく
「がっくん、褒めすぎ」
めぐ姉の手を離れ、後ろ向きになって、彼にのし掛かる。図らずも手を取ったことで、彼に包まれる形になるわたし。照れているくせに、その気持ちを生み出す大元。紫様に寄りかかる。一体わたし、どういう神経していたんだろう
「でもうれしい。ちょっと恐かったケド、お化粧、してよかった」
「がんばったじゃない。変わるって勇気要ることじゃない」
抱え込んで、撫で回してくれる彼
「リ~ン、神威君も。な~んにも解ってないのね『そこ』だけっ。もぅ、甘ぁ~い空気なのに~」
困った顔で『何か』を聞いてくるめー姉。少しだけ頬が赤い
「ぐぐぐ、グミちゃ~ん、くすぐったいよ~ぅ」
「ど~ぅしてなのかなぁ。こんなに良い雰囲気なのに~ぃ」
めぐ姉の胸に、顔をうずめるIA姉。その頭に顎を乗せ、背中をさするめぐ姉様
「うずうずでも、時間を掛けて見守るしかない。おもいがはぐくまれることを」
「カルさんの言うとおりにするしかありませんわ。おそらく、お気づきでないダケかと」
カル姉目をつぶって、両手を組む。ルカ姉困った笑顔で、頬に手を当てる
「は~い、持ってきたよ。いちごのレアチーズ~」
「お~い、リン達何してんだよ、手伝えって~」
そのタイミングでキャスターを押し、入ってくるカイ兄。上がるレンの不満声『タイミング悪ィ』という、テト姉の小声
「お、カイトは二作か、負けられないじゃない。俺はこれ、作ってみた」
わたしの頭を一撫で
「さ、お手々離して、リン」
「ん、がっくん」
手を離すわたし、から離れる紫様、ちょっと残念。周囲の女性陣の残念感は何故だろう。わたしと彼へ注がれていた視線が散る
「「「「すごいんだよ~」」」」
天使様の声で、一斉に集まる期待の視線。完全にケーキモードメンバー。箱を開ける紫様。出てきたのは、白い大木。フルーツや生クリーム、チョコのプレートには、ハッピーバレンタインのローマ字。砂糖細工などで彩られた、とても美しいケーキ。わき起こる歓声
「すっげ~ぇ、がく兄。これもしかして、ブッシュドノエルなの」
「ゎ~、おいしそうぅ。食べるのもったいないくらいに綺麗~。でも、早く食べた~ぃ」
今にも食らいつきそうな片割れ。IA姉も悶絶。箱が取り除かれたことで、撒き散らされる甘い芳香『色気より食い気』と言う言葉の通り。すべてのメンバー、気持ちがケーキに前のめる、というか、倒れ込む。カイ兄と紫様の作る食べ物、それだけの神通力を持っているということなのだ
「レン正解~。ホワイト・ブッシュ・ド・ノエル。ホワイトチョコレートでコーティング。スポンジはココア味。間には、ビターチョコレートのクリームが入ってる。飾り付けは、天使様も手伝ってくれたじゃな~い」
普通のブッシュ・ド・ノエルと比べれば、五倍はあろうかという大木ノエル
「拙者、ソコマデノ甘党ではナイガ、これは堪らん。今にも胃袋が暴走しそうでゴザル」
「うふっ、分かります、アルさん。ぽ兄ちゃんも、カイトさんも、本職さんに勝っちゃうよね~」
辛党のアル兄、珍しく甘い物に食欲が先走る。楽しそうで嬉しそうなめぐ姉
「こんなの作れるんすね~。がくサン、ホントすっげぇす」
「さ~、それじゃあ、飲み物用意して~」
さりげなく、めぐ姉の隣に陣取る勇馬兄。すでに飲み始めているめー姉が声を弾ませながら
「あ、では私、お茶を煎れて参ります。その程度しか出来ませんので」
「ウッチも行く~センセッ。手伝うぜ~」
先生達がキッチンへ向かう『その程度』などと謙遜するが、先生の煎れてくれるお茶も、総じて美味しい。カイ兄、ケーキをテーブルに乗せ、彼やめー姉がフォークやスプーンを配る。紫様は片手にトレイ、ここはナンバー1の執事カフェか、と言う風情
「はい、リン。本当に似合ってる。そんな歳になったじゃない、でも『変な』背伸びはするんじゃ~ない。めぐやルカに教えて貰おう」
わたしの脇にフォークとスプーンを置いてくれながら
「ありがと、がっくん。でも『変な』ってどういう事~」
「その辺も含めて教わろうじゃない、野郎の俺じゃなくってさ。男に『女の子のコト』教えられない。それ以外は何とかなるけどさ。お願い、お嬢様方~」
言ってめぐ姉を見る、紫様。ルカ姉が微笑みながら
「ええ、神威さん、保証いたします。リンちゃんを責任持って『素敵なLady(レディ)』にいたしますわ~」
「まかせてっ、ぽ兄ちゃん。まずは『可憐な乙女』に成らなきゃねっ、リンちゃん」
さっきわたしを『変化』させてくれた二人。任せておけば間違いなし。わたしにはルカ姉の小声が聞こえた気がした『神威さん好みの』という
「ん~、あ、ああ~っ、リンお化粧してるっ」
顔を上げたカイ兄、ビックリ仰天
「今更~、カイトのアニキ~。いっちばん始めにコノリンちゃん観たの、あにさんなのに~ぃ」
「あ、うん。ケーキに没頭しちゃって、さ。うわ~、リン―あ~、なんか泣いちゃいそう」
眉間を押さえて、天を仰ぐカイ兄
「っはは~ぁ、カイ兄変なの~」
わたし、訳が分からず、笑いが込み上げる
「だ~って、この間までこんな小っちゃかったリンがさ~」
と言って、腰の辺りで片手を振る。どうやら身長を表しているようだ
「大人っぽくなってさ~、綺麗になっちゃってさ~。どんどん、オレから放れて行っちゃうみたいでさ~ぁ」
「カイト殿の方が、妹離れ出来ていない様子でゴザル」
ため息を吐くカイ兄。苦笑いのアル兄。メンバーから、微笑のさざ波
「カイト~、そんな急に大人になるわけじゃないんだから。喜びなさい、妹の成長をっ。寂しいなら、アタシが側にいるでしょ~」
「『お兄様は心配性』ですか、カイトお兄様。ふふふ、ワタシ達がリンちゃんに『大人の魅力』教えて差し上げますわぁ」
カイ兄へ寄って行き、やや強めに肩を叩くめー姉。気付け(きつけ)と、自分のアピールと。ルカ姉、得意の妖艶笑顔
「でも~ぅ、さすがだね、カイトのに~さん。すぐに解ったね、リンちゃんのお化粧」
そこは褒めてあげるべき。IA姉完璧対応
「だって可愛さが倍になってるもん。見たらわかるよ~」
眉を下げつつカイ兄。複雑そうだが、褒められれば嬉しい
「な~んか洒落っ気出してさっ。背伸びじゃね~の、リン」
「レンだって髪、整えてるじゃん。香水も付けたでしょ~」
変に張り合う姉弟。お互いの『背伸び』をからかう。この辺り、まだ子供
「あら、似合っていますわよ、レン君。二人とも素敵になっていますわぁ」
「レ~ンくん、いいにお~い」
ルカ姉、レンの顎を上げ、ミク姉、後頭部にハナを押し付ける。照れ照っれでもがく弟。姉に遊ばれ動いた結果、筋肉痛、誘発
「さぁお茶をお持ちしました。これは素晴らしい茶会になりますね、皆さん」
「おかわり用のサーバーなんかも持ってきた~。ははは~、遊ばれてんな~、レ~ン~」
お茶を、キャスターで運んでくれる先生。各種茶器をキャスターでリリ姉。からかう声で、解放される片割れ、息が上がっている
「お、おれだって『大人る』んだからっ。子供扱いヤメてって~」
距離を取りつつ、姉に抗議。警戒して、何か構えをとる
「あら、大人扱いでも変わらないかもしれませんよ、レン君。ワタシのCommunication(コミュニケーション)は」
「レンくんだからっ、のスキンシップなんだけどなぁ」
返った姉の言葉に肩を落とす。いつものようにメンバー、笑いのさざ波。キヨテル先生、微笑みつつお茶を並べる
「何だか『学園カフェ』にいるみたいな気になるわ~」
「学園カフェにいる女学生様カナ、この光景」
めー姉朗らか、そういえばTVで一度見たな、そんなカフェ。カイ兄もダメージが回復した様子。テーブルの上に、役者が揃う。天使様のチョコムース。焼きたて同然、ベイク・ド・チーズケーキ。同じく、作りたてのレアチーズケーキ。大木ホワイト・ブッシュ・ド・ノエル。結構、夢のような光景。ただ、そこかしこに、お酒のつまみが転がっているのがあまりにもおかしい。スマホで撮影を始める者までいる
「オレのベイク・ド・チーズケーキはさ、どっちかって言うと、塩気のほうが強いんだ。胡椒なんかも合うと思う。甘くなっちゃった舌休めに向いてると思うよ~」
「それ、酒が進むじゃない。メイコの好みに合わせたな、カイト」
紫様につっこまれ、照れ笑いのカイ兄。ウインクで応えるめー姉
「おにぃ~、お預けつれえよ~」
「かいさま、かるも」
「わかったワカッタ。切り分けちゃおうじゃない、カイト」
「だね、殿。今のうちに、飲み物決めちゃって~」
さっそく切り分けてくれる二人。一つ一つが、とにかく大きい。ブッシュドノエルは、切り株のようだ
「大きく切っとくから。それぞれ取って、後は分け合いながら食べようじゃない」
「大人数居ると、それができるからね。お皿に取るとき気をつけてね。ケーキベラも使って~」
「紅茶、コーヒー、玄米茶も煎れました。おかわりは、セルフサービスで」
紫の彼、カイ兄、キヨテル先生。男性陣の活躍で、甘味の祭典幕が上がる
「「「「「「「「「「ナイスマウンテン、いっただっきま~す」」」」」」」」」」
「「「めっしあっがれ~」」」
発声は、乾杯でなく『いただきます』二人を労って。あ、お茶を煎れてくれた先生込みで三人。まあ、いつもの食事会も二人に頼っているんだけれど。スイーツパーティーは『比較的』お酒要素が弱いので。この日も二人のケーキは格別の美味しさ。大賛辞の声があがっていた
「ふぅ~う、やっぱり合うわ~、ベイクドとウィスキー。カイトありがとうね。その愛しのカイトに、はい、チョコレート」
「ありがとう、め~ちゃん。ものすごく嬉しい。め~ちゃんだけに、お返し。愛の印のチョコレート」
チョコ免除。でも、愛する姉にはお返しチョコのカイ兄。メンバー一同囃し立てる
「いい画をいつもありがとう、メイカイっ。確かに、おかずケーキってカンジで美味し~い」
立食のままの者、椅子でくつろぎながらの者。それぞれの場所で始まる、チョコレート交換。めー姉が渡したのは、有名アイスクリームショップとコラボしたチョコ。撮影終了後、ミク姉も、兄にチョコを渡す。しながら、ケーキに口を付ける
「拙者、チョコレートに明るくないユエ。今年も変わらず、子供ダマシで申し訳ナイ。置いておくユエ、皆々好きに取って欲しいでゴザル」
やや困り顔でアル兄。一口サイズ、種類豊富。有名な二十円チョコの詰め合わせ。ちょっと高めのも混じっている。みんなに促しながら、天使様にも見えやすいよう、着席で食べるテーブルの上に広げる。アル兄は、決まってこれ。広げ終わって、おかずケーキを手に、立ち上がるアル兄
「わ~、ありがと~アルさん。ゆき、このチョコ大好きなの~」
「しゅるいがほうふ、とてもうれしいです、あるさん」
「あたしも、このチョコたくさんもらえてうれし~アル兄さん」
「カワイイChocolateガタフサン。アリガトデフ。アルサン」
天使様から、お礼の言葉の集中砲火。蕩けそうなアル兄。実際、わたし達も嬉しいの。毎年貰える、簡単おやつに最適なチョコ
「ありがと~アルさん、うちもこれ好きだよ~。頂くね~。これ、うちからアルさんに。あ、愛しのピコきゅ~ん、受け取ってチョコ~」
「ありがとうございます~、アルさん。ぼくからもチョコです、嬉しいなぁ。あ、ぼくもMikiちゃんに、愛のチョコレ~ト」
Mikiちゃんに、マカデミアナッツ。ピコ君に、ピーナッツ。それぞれチョコを贈られ、益々溶けゆくアル兄。互いに贈りあうMikiちゃんとピコ君。なんと偶然にも同じメーカーのチョコレート。益々嬉しそう。二人揃うと、♡マークのアホ毛ペア
「はい、レンくん。バナナクリームのチョコレート。ルカ姉には、牛乳のジュレ入り~」
「あら、ミクさん、わたしも同じですわ。レンくん、バナナキャラメルが入ってますの。ミクさんには、生クリームですわ」
「ありがと~ミク姉、ルカ姉。えっと、オレ二人にはこれ。ちょっとは頑張ったんだ」
移動したミク姉、ルカ姉。レンに渡す。言って、今度、弟が渡すのは『きっと勝つ』なんてゴロ合わせで。受験生へも贈るようになった有名チョコ、のプレミアム版。二人の姉に花が咲き、抱きしめられる弟。いつものように抵抗しようとするが、筋肉痛で、ままならない
「はい、センセ。このメーカー好きって言ってたじゃんっ。ちょっとフンパツしちゃった~」
その正面で、ダテ眼鏡をかけ、女性陣の中一人だけネクタイのリリ姉。華やかに渡す
「ありがとうございます。なんだか、無理をさせたようで申し訳ありません。私からもこちらを。蜂蜜お好きでしたよね」
先生が贈る、蜂蜜が練り込まれた限定ショコラ。好みを覚えていた事が嬉しいリリ姉。キヨテル先生の胸に頭をすりつける。やや困り顔で、たしなめる先生
「ぽ兄ちゃ~ん、はい、チョコレートっ。中にね、色~んな焼酎が入ってるの」
「ありがとな、めぐ。嬉しいじゃない」
撫でられて、おでこにちゅ~までされる至福のめぐ姉、腰が抜ける。カル姉やIA姉もそれぞれ、チョコレート交換。わたしも
「はい、ルカ姉、さっきはありがとう。お化粧教えてね。これ、チョコレート『ろぜわいん』が入ってるって」
「まぁまぁ、嬉しいですわぁ。可愛らしいリンちゃんに頂けて幸せです。お返しのチョコレート、オレンジピールが入ってますわ」
チョコレートを交換、に行ったことで、レンようやく解放。ルカ姉に頬を染められ、コチラまでやや照れる。ただし、ミク姉はまだ、レン独占。つぎにわたし、回復して交換を続ける、めぐ姉の元へと
「グ、グミサン、これ、受け取ってす」
「ありがと~勇馬君。これ、お返しのチョコレート。刀、好きだったよね」
勇馬兄は、めぐ姉に、いの一番渡す。髪の毛の色を意識した、抹茶味。緑のハートチョコ。お返しに渡されるのは、刀を『擬人化』美少年に見立てたキャラクターが描かれたチョコ。あまり、男子が受け取っても嬉しくないかも知れない。でも、リリ姉同様。刀好きを覚えてくれていた事が嬉しいようだ。ガッツポーズの勇馬兄が飛び跳ねていた
「ひやま先生、リリちゃん。ゆきたちのもたべてみて~」
「りりねえさま、あじみをおねがいしま~す」
「上手にできてるといいんだけどな~」
「タ、タベテミエクダハイ」
チョコムースを手に、テーブル席へ天使様。トレイに乗せて、二人の元へ運んでいく
「お、ユキ、リュ~さんきゅ~。みんなもなっ」
「いろはさん、オリバーさんも、ありがとうございます」
二人の前に並べる、リュウト君、ユキちゃん。と、いろはちゃん、オリバー君の手にはスプーン
「氷山先生、いつもやさしくしてくれてありがとう。あたし、先生のおかげで、さみしくないの。どうぞ~、あ~ん」
「リリチャン、ボクモオナジ。リリチャン、ボクノSister(お姉ちゃん)これからも、よ、よろしくね。ア~ン」
ムースを差し出される。完全に不意打ちの二人。頬を染めながら、二人の天使が差し出すチョコムース。オリバー君、後半がしっかり日本語。愛らしさの破壊力、防壁も張れずに直撃した二人。萌え上がって大炎上
「先生、どぅしたの~」
「リリ~チャ~ン」
その声で、なんとか意識を回復させ、口を開ける二人。観ていたわたし達まで萌え萌えだった
「氷山先生。ど、どうですか」
「もの凄く美味しいですよ、いろはさん」
クラクラとしながら、キヨテル先生が応える。めがねがずり落ちている
「ド、ドウデフカ、リリチャン」
「美味しすぎ、オリバ。ウチはなぢでそう」
オリバー君におでこ合わせ、リリ姉。安心の天使様
「いや~、一連の流れ全て。完璧でした、天使様。先生、リリ姉、GJっ」
親指を立てて、ご機嫌のミク姉。もはや、言葉もない。半分無視で、メンバーの興味は、天使様のチョコムースへ。一斉取りに向かう。立ったままで全員口を付けてしまう
「おいおい、ホントに初めてか。すっごく上手に出来てるじゃない。美味しいよ、リュウト。あ・り・が・と~天使様」
口をつけた、紫様のお墨付き。天使様一同、安堵のため息
「ほんと~。すっごく美味しい。口当たりがたまんな~い。甘さも絶妙~ぅ。ありがとお、み~んな」
「かるの大好物が又増えてしまった。天使様のちょこむーす」
めぐ姉、涙まで浮かぶ。カル姉、破顔で頭を振る。今日は、珍しいリアクションが多い
「ハンパねぇっ、マジ美味いスっ。みんな、マジありがとなっ」
「こんなにお礼言う勇馬、レアだね~。んっ、美味しいぃ。うちからもありがとう~。生クリームとチョコムースって反則技~」
お礼連発の勇馬兄。突っ込むのは、Mikiちゃん
「本当~だね、Mikiちゃん。んん、すごい。こ~れめちゃくちゃ美味しい。ありがとうね、みんな」
「天使のチョコムース。はっ、これは売れるじゃね~か」
甘い物好きカイ兄、笑顔三倍。商売っ気を出すテト姉。わたしも、彼の隣。立ったままで口をつける。爽やかな甘さ。口内をくすぐるムースの感。きめの細かい生クリームも絶妙だ。みんなに褒められて、照れっ照れの天使様。その表情がまたも愛らしくて、メンバー萌え萌え
「とっても美味し~よ、みんなありがとう~。がっくんの教え方も上手だったんだね」
見上げる紫の彼。微笑んでくれる
「俺は横から口出ししただけじゃない、リン。まぁ、美味しい一番の理由は、アレのおかげじゃない」
「アレってなぁに~神威のに~さ~ん」
正面、紅茶と共に楽しむIA姉。小首をかしげる
「天使様が掛けた魔法~。効果バツグンじゃない」
「あら、どんな魔法なの~神威君。これ、完全にアタシ好みの味よ~」
コーヒーウォッカで上機嫌のめー姉。隣に居る、カイ兄に寄りかかる。いたずらっ子な眼差し
「ぬふふ、隠し味に、大好物のラム(酒)が入ってるからだろうな、メイコ女王陛下。まあ、沸騰させて、酒の気は飛ばしてるけど。魔法はな、ムースをまぜマゼしながらさ」
「「しながら~」」
ピコ君、Mikiちゃん。期待感にアホ毛が揺れる
「『美味しくな~れ~』って、かけた魔法。俺、萌え萌えで逝っちゃうかと思った。想像してみろ~、お・ま・え・達~」
そこに居た全員、想像してみる。しかも、やや誇張して。クリームまみれの天使様が、微笑みながら『おいしくな~れ』の魔法。メンバー全員、大破炎上。よく、誰も倒れなかった。しばらく全員、無言で顔を覆う
「っはあ。も~ぅ萌え萌え~。ありがとうね~みんな~。でも、ずる~い、神威のに~さん」
「ん、なにかズルした、俺」
泣き笑いのIA姉、上目遣いで彼を見る。珍しく小悪魔ポーズ。紫様は、ウォッカ片手に上機嫌
「だって~、想像じゃなくて~。らいぶで観たんでしょ~、マホ~をかけたところ~。ぅ~らやまし~い~」
「ふふふ。キッチン要員の役得~。教えたカイがあるってモンじゃな~い。大変だったぞ~、逝きかけたじゃない。一瞬記憶が飛んでる」
こめかみの辺りで、指を回す紫様
「ぅあっははぁ~。その時入ったんだな~。がく兄、ケーキの中から固形バター出てきた。紙剥いでないやつ~」
爆笑の弟。苦笑いで謝る彼。幸い、出てきたのは、それ一個だけだった
「はい、リュウト君、チョコレート」
「ありがとうございます。ぼくからもちょこれーとです」
安心した天使様も、それぞれチョコ交換
「はい、オリバー君っ。色~んな味のチョコビスケなの~」
「イロハチャン、ネコサンノチョコクッキーデフ~」
メンバー全員が、総勢贈りあう。21名が21人と交換を終える。一仕事終了、本格的にケーキタイムに移行。グラスに琥珀色のウォッカを注ぎ、ムースを手に暖炉前の席に移動する彼。ついて行くわたし。彼作のブッシュ・ド・ノエルを手に持って。彼の『横』に腰をおろす
腰をおろす黄色い少女
紫の『横』に腰を下ろす
腰を下ろす
『上』じゃなく『横』に