はじまりのあの日   作:代打の代打

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乗れなくなってしまったの

いつもの場所

いつもの甘味祭、開くようになったのは

あの日くれた『魔法の』チョコのおかげ


バレンタインとリップサイン

キヨテル先生の膝に乗るユキちゃん。先生、よく正気を保てると思った。リリ姉にもくっつかれている状態だし

 

「あれ、そ~いえばリン。最近おにぃに乗らね~じゃん。今、ユキがセンセに乗ったの見て思ったけど」

「あ、言われてみればそうかもね。どして、リン」

 

彼の膝に乗らないわたし、不自然に感じての質問。訪ねてくる、リリ姉。彼のノエルを手に、カイ兄。まあ『膝の上にいる方が自然』というのもどうかと、今は思う。乗ることが出来なくなった理由。古都のあの日以来、彼の膝に座ると受ける、生暖かい視線。それが気になって、座れなくなってしまったのだ。素直に、ワケを口にする

 

「だって~。がっくんの膝に乗ると、みんな変な顔するんだもん。何だかイヤ」

「確かに。アレは気になる。生暖かい。お前達何か言いたいことでもあるのか」

 

隣の彼まで同感だと頷く

 

「うそ。あああしまった~。あう~、責任感じるわ」

 

なんて言い、落ち込むめー姉。相当な落ち込み方。珍しいリアクション合戦

 

「ぐああ~おにぃ、リン、すまね。ん~なつもりじゃなかったんだ」

 

リリ姉頭を抱えながら謝る

 

「だから言ったのに~。みんなそんな目でみたらダメだって~」

 

珍しくIA姉、メンバーにお説教をする。でも、IA姉の眼差しも、実は同じ

 

「あ、あのね、リンちゃん。気にしなくても良いんだよ~。これからはそんな風に観ないから~」

 

めぐ姉に言われる。何の事だか、分からなかった。が、そんなことを言われれば、余計に気になってしまう

 

「ま、俺のほうはどうでもいい。リンの気が向いたら、何時でも乗ったら良いじゃない」

 

頭を撫でてくれる彼、ああ、心地イイ。まあ、結局彼にひっついている事に変わりはなかったのだけれど

 

「なんだ~、かむい『乗ったら』なんて促してよう。お前結局は、まごう事なきろ―」

「か・さ・ね・さ~ん」

 

眼鏡を外す先生。たちまち眼光が鋭いものに変わる。膝の上のユキちゃんからは見えない。フライング土下座のテト姉、しながら、チョコレートを献上する

 

「テトちゃんどうしたの~」

「オイタのしすぎはいけね~よってこと。気にすんなユキっ」

 

リリ姉が頭を撫で、益々先生にくっつく

 

「そうだ、リン、重音を見て思いだした。さっきはありがとうチョコ。一番ってのも嬉しかった。で、これは、お返しのチョコレート。ホワイトクランキー作った」

「え、がっくんチョコ免除で良かったのに。まさか全員分」

 

包みから取り出してくる。さっき欲を出していたクセに、何を今更。心の中は驚喜の舞

 

「いや、リンにだけ。今、こんな風に、みんなでバレンタインパーティー出来るの、リンのおかげじゃない。だから、贈りたくて」

 

優しい眼差しで告げてくれる

 

「ここにいるみんな、特別なメンバー。誰かに迎えられた。俺が来た日、いきなり飛び込んで来たじゃない。黄色い弾丸が。それ、俺を迎えに来てくれたリンだった」

 

可笑しげに笑い、お酒を一口、紫様

 

「あ~、それがリンと神威君のファーストコンタクトだったのね。アタシ達も初耳だわ~。待ちくたびれてたリンがね、真っ先に飛び出していくんだもの」

「引っ張ってきたね、サムライ姿の殿を。これは、すごそうなヤツが来たって思った。楽刀も、楽器だって分からなかったから。初めは仲良く出来るか不安になったよ」

 

いつの間にかわたしと彼、メンバーの注目を受けている。あの日のわたしは気付かない。さいわいに『後日談』として、萌え萌えで見ていたということをIA姉から聞かされた。あの日、聞いたらまた変な流れになったはずだ

 

「そう。で、仲間にしてくれてさ。嬉しかったよ、出迎えてくれる人がいるって。だからさ、頼んだじゃない、テルに。新しい家族達を迎える家長になってくれって。悲しいじゃない。自己紹介おわってさ、一人、真っ暗な『家』帰るの」

「ああ、そうだったんですか神威さん。そこまでの、深い思慮と思いやりがあったんですね。そんなに、大切なお役目を下さったとは。とても光栄ですよ」

 

キヨテル先生、少年のような笑顔。これまた珍しいリアクション

 

「そ~だったんだ~神威のに~さん。わ~、に~さんのおかげ~」

 

両手を胸の前で握りしめ、ときめくIA姉。前のめり

 

「嬉しかったな~。ゎたしが来た日にね~、皆の前で自己紹介したよね。先生さんの案内でシェアハウス帰るとね、明るかった。電気つけててくれた。先生言ってくれたんだ~『家長のキヨテルです。今日から家族として仲良くしましょうね』って~」

「IAちゃん、ゆきもおなじだよ。それでね『こまったことがあったら、何でも言ってくださいね。言いにくければ、これに書いて下さいね』って。そのひからね、ゆき、こうかんにっきはじめたの『せんせいあのね』っていう」

 

なんだその可愛らしくて萌え尽きてしまいそうな交換日記。あの日全員が思ったに違いない

 

「言いにくい事も、日記ならばいかがかと考えまして。ノートを手渡したところ、先程のタイトルが書かれて帰ってきました」

 

やや、照れ笑う先生

 

「拙者モ嬉しかったでゴザルよ。右も左も、ワカラヌ時だったユエ。Englishの質問ニモ、親切に応えてクダスッタ。今『家』のリビングに『なにか一言ノート』を置いて下さったのも氷山殿でゴザル」

 

アル兄、腕組みで壁にもたれ、リキュールを感慨深げに含む

 

「っす、自分はぶっちゃけ、最初突っかかったす」

 

勇馬兄の話しも初めて聞く。止めようとする先生をさえぎって、話す勇馬兄

 

「ストリートの世界って『潰しあい』なトコもあるす。ダンス、歌、どこでもケンカ茶飯事で。超一流のストリートファイターだった、がくサンなら、分かってくれるかも、っす」

 

その問いに、肯定の印『I love you』のサインで応える紫の彼

 

「だから『仲良くしましょう』なんて迎えられて。自分、言ったす。そんな馴れ合いでやってけんのかって。テルサン、眼鏡外して言ったす」

 

ものすごく真剣な勇馬兄。ここまでの真剣モード、歌ってるときを除けば滅多にない

 

「『このPROJECTは、人を癒すのが目的です。メンバーみんなで進んでいくものです。誰かを蹴落として御自分が目立ちたいなら、今すぐに立ち去りなさい』って。ビビりました。自分、ちっぽけだったす」

 

眉をさげ頭をかく、勇馬兄

 

「あ、ね~ねぇ、キヨテル先生って、本気モードの時眼鏡とるよね。ちょっと怒ってる時ってゆ~の。なんで~」

「お恥ずかしい。眼鏡を取ると、私、目つきが変わるじゃないですか、Mikiさん。視力が弱いためなんです、目を細めるの。以前、その目で睨まれると、反抗が出来なくなると言われたことがありまして」

 

確かに、あの目で先生が怒るとき。迫力は紫の彼の獰猛顔に匹敵する。といって、本当に『怒った』所は見たことない

 

「あの目は迫力ありました~」

「古都の時、恐かったも~ん」

 

ピコ君、Mikiちゃんが、笑いながら竦む

 

「知らない物語があるもんだね~。でも、こうして垣根なく話し合う事ができる。素敵だよね。殿の一言に、そんな願いも籠もってたんだ」

 

カイ兄、酔っているためか、僅かに顔が赤い。酔いに任せて、めー姉にもたれかかる。撫でナデめー姉

 

「ま、家長を見事に務めてんのは、テルの器量の大きさじゃない。けど、俺の一言がきっかけでさ。こうやってみんなと過ごせるようになったんなら。その、大元のきっかけは、リンが作ってくれたじゃない。だから、リンには贈りたい、チョコレート。えこひいき~」

 

わたしの頭に、彼の手が乗る。その手の感触は、いつも通りに心地良い。昔からわたしとレンの頭は、良く撫でてくれる

 

「そういえばさっきリンちゃんが言ってたよね~、Mikiちゃん」

「あ、そうそう、神威のアニキってチョコ嫌いだったんでしょ」

 

思い出して、質問IA姉、Mikiちゃんも興味深げ。言われれば、その理由を彼から聞いたことは無かった

 

「わたしも気になる~、何で、がっくん」

 

隣の彼をのぞき込む。彼、微笑み返してくれながら

 

「チョコを、最初に食べたの時の状況だったのかな、今思うと。俺、子供の時から、家じゃ一人のことも多くてさ。あまり間食ってなかった。幼稚園の時だったな。ある日にさ、公園で遊んでたんだよ、ダチ数人と」

 

彼とわたしの周りに輪が出来る

 

「夏でさ、喉が乾ききってるところにくれたんだ、ちっさな一口チョコ。半分溶けたどろどろのやつ」

 

彼が、指で示す大きさは、アル兄のくれた一口チョコとは違うもの

 

「ばっか甘いうえに、生暖かなどろどろ、しかも変な味でさ。カラカラだった口の中で、粘るおかしな味。一ミリも美味しいと思わなかった。で『もう、これは食べなくて良いな』って思って。以来食べなかった。学校給食でパンに塗るチョコクリームとか、全部ダチにあげてたし」

「あ~もったいない出会い方しちゃったんだね~がくさん」

 

ミク姉が面白そうに笑っている。メンバーも笑い合う

 

「デハ、イカニシテ食べられるように。ソノ転機に、リン殿が関わられていると、聞こえるでゴザルが」

 

女性陣は、もうこの時点で知っていた。でも『彼の立場で』話を聞くと、わたし語りとは、又違うはずだ

 

「初めて二人っきりで留守番したことがあってさ。俺の、殺風景な部屋見たいってリンが言うじゃない。別に断る理由もないから、まねいたじゃない」

「楽しかったよ~、刀とかグローブ、見せて貰って~」

 

何か言おうとしたテト姉、間伐入れず、眼鏡を外すキヨテル先生。軽口を言わさない『牽制球』牽制アウト、効果バツグン。テト姉、開けた自分の口に目一杯、ケーキを突っ込む

 

「あ、取ってあったんすか、ファイター時代のグローブ。ぅぉわ~、ガクサン、自分にも見せてッス。レア情報、リンっなうっ」

 

勇馬兄、歓喜。話しがここで多少ぶれる

 

「ああ、格闘家時代のアレェ。っへ、あんなの観たいってイミ解んね~。勇馬って変な趣味してんな~」

 

『小馬鹿』にした表情のリリ姉。言われた途端、逆に『馬鹿に仕返す』顔で勇馬兄

 

「はっっ、解んねえなら、口挟むんじゃねェよ。イイカ、BloodyVioletっつたらな、ソノスジじゃ『神レベル』のファイターだぜ。鑑定する番組に出したらゼロ七つは付くわ。協会支給のグローブ、普通じゃ手に入らねーって知らねえのかよ」

「へ~、マジ、勇馬、うっわ知らねかった。おにぃのグローブごときがね~、やっぱすげぇ、おにぃ。勇馬サンキュッ」

 

しかし勇馬兄の反撃は、暖簾に腕押し。紫おにぃの事が分かって嬉しいリリ姉。勇馬兄、何も言えなくなって『お、おう』と一言

 

「その中二な通り名、久々聞いたじゃない。で、話戻そうじゃない、どこまで話したっけ」

「刀とグローブまで~」

 

彼の隣、ご機嫌わたし。ぶれた話しが戻される

 

「ああ、そう。そしたら、今度、リンの部屋にお招きされちゃって。お礼だからって」

 

彼の口から、あの日の思い、聞くのは初めてだった。状況説明は、何度かあったけれど

 

「おやつまで用意してくれるじゃない。招いてもらって、お茶菓子貰って。もらってばかりじゃ悪いからさ。もらい物のチョコレート、食べて貰おうと思って。もともと、みんなに食べて貰おうと思ってたから。リンに最初にごちそうしたじゃない。今のところ『もらい物』ばっかりだな」

 

『もらう』という言葉が重なり、またも笑いの渦が起きる

 

「ずり~よな~。あのチョコ美味しいやつだもん。まぁ、その後しっかり貰ったけどさ~オレ達も。あ、また『もらった』話しじゃん」

 

不満げな片割れ。こういう所はまだ子供。苦笑いの彼

 

「そしたらさ『あ~ん』なんて。食べたことのない、白いチョコ取ってくれるじゃない。多少、驚いた。そんなリアクションが来るなんて思わないじゃない。処理がしきれないで食べた。甘かった、美味かった。そこから。これ、みんなでチョコ会したら楽しいんじゃないって。カイト(マブダチ)の誕生日も近いからさ、次の年に作ってみたじゃない、ケーキ」

「あのトルテも、うんま(美味)かったな~」

 

正面のリリ姉が、思い出の味を反芻しつつ、紫の彼のグラスにウォッカを満たす。わたしに、飲み物のリクエストを聞いてくれるIA姉。コーヒーウォッカを含む彼。私もブッシュ・ド・ノエルを食べる。甘いホワイトチョコ、ココアのスポンジ、濃厚ビターチョコクリーム。トッピングのクリームはカスタード。完璧な甘みの多重奏。少しの間静かになる。無言ではない。次にいつ、彼が話し始めるか。さざ波のような会話。みんなも甘い物を口に運ぶ。IA姉、湯気立つ紅茶を持ってきてくれる。わたしの隣に座り、チョコムースを一口。一息にお酒を流し込む彼。同じものを注ごうとするリリ姉。それを辞して、今度はウイスキーを手酌で。おつまみのチーズに手を掛け

 

「結果、今こうして、み~んなで楽しめてるじゃない。生まれも育ちも、血筋も。国さえ違う俺達が、さ。すごいことじゃない。ある意味完璧に体現してる。主らが立ち上げたPROJECTの理念を、俺達が」

 

銀紙を取って、一口で放り込む。ウィスキーで流す

 

「そうか、もう六年ね。神威君がやってきて、間違いなく変わったわ。メンバー同士の空気感、接し方。初めて来てくれた『親族』以外の貴方様、今の仲良し空気を作り出してくれたわ」

「そうか、メイコ様。それはさ、貴女達『家族』の仲が良かったからってだけじゃない。俺なんかそこに、土足であがりこんだエセ侍ってだけじゃな~い」

 

もう一口、お酒を含む。褒められたミク姉、照れくさげ。わたしと弟は誇らしい。やっぱり双子だ。ルカ姉は感動的表情

 

「いや、変わったよ殿、間違いなく。殿が来てくれて。今、みんながここで楽しく暮らしていること。こんな風に、楽しいパーティー。オレ思いつかなかった」

「リリ姉言ってたけど、初めてバレンタインパーティーしたときのケーキも、美味しかったよがく兄」

 

めー姉に寄りかかり、目を閉じる。やや、眉毛が濡れているカイ兄。弟は朗らかだ

 

「さ~て、ね。ま~ぁだとすればそれは、あのホワイトチョコからだった、かもじゃな~い。あの日、リンがくれた、魔法のホワイトチョコ。ありがとう、リン。その魔法が、今この宴を開かせてる」

 

見つめあって、微笑む彼とわたし。撫でてくれる紫様

 

「だから、えこひいき。リンには贈ってあげたい、チョコレート」

「ありがとがっく~ん」

 

わたしの肩に、腕を回してくれる彼。嬉しくて、抱きつくわたし。と、失敗したと瞬時に思った

 

「あっ、ごめん、付いちゃった」

 

あの日、日常で初めてした化粧。意識などせずに飛びついたせいで

 

「ああ、別に気にしなくてイイじゃない」

 

セーターの胸に、付けてしまったリップ。慌てて離れる

 

「あら~、気を付けなきゃ、リン。神威君、落ちないかも知れないわよ~」

 

苦笑のめー姉

 

「え~、ごめんねがっくん」

「あはは、だったらさ、ケーキのお礼って考えちゃわない、コレ」

 

謝るわたしを、いつものように撫でてくれ

 

「リンが俺にくれた、お礼のし・る・し」

 

胸のリップサインを示す彼。何故照れたのか、あの日は思いつかなくて。でも、ただタダ照れくさくて。照れ隠しの『つもり』で

 

「お礼かぁ、なら、もっとあげちゃおっか」

 

自分の下唇に人差し指をあて、上目遣いで言ったはず

 

「こ~ら、調子に乗らな~い」

 

少し身をかがめ、指でおでこをつついて来る紫様。二人で、こんなやり取りをしたところ

 

「ぅあ~、神威のに~さ~ん」

「リ~ンちゃ~ん、もぉぅぅ~」

「ううう、あしのさきがむずむずむず」

 

悶え出すIA姉、自分を抱く。めぐ姉、自分の膝を叩く。カル姉が内股、膝をさする。慌ててわたし、彼から離れる

 

「じ、じれったい。確かにコレハジレッタイ」

 

アル兄、片腕を何度もさすり

 

「リリちゃん、ど~したの」

「なんでもね~。しばらくこのままで」

 

ユキちゃんに抱きつく。というか、先生もろともに、抱きつくリリ姉。抱きつかれ、困り果てるキヨテル先生

 

「う~ん。デリケートな問題だから何とも言えないけど」

「本当に気付かないだけか、不安になりますわ~」

 

困り顔のめー姉。ため息交じりのルカ姉

 

「つ~か、みんな何言ってんの」

「どうかしましたかみなさん」

「なんでもありませんよ。仲良きことは、美しきかな、というお話です」

 

分からない弟、リュウト君と天使様。困りながらも、神がかり対応のキヨテル先生

 

「仲良しでこまるの~」

「ミンナコマッハカオ(困った顔)シテマフ~」

 

もっともな疑問の、いろはちゃん。首をかしげるオリバー君

 

「ちゃうんだ~、もっと仲良くなりゃ~って思ってんの」

 

顔をあげたリリ姉、困り顔

 

「何だか、自分にも、何だかその~。はぁ~」

「気長にいこうか~」

 

何かに嘆息する、勇馬兄。カイ兄が背をさする

 

「その目が気になる。意味が分からん」

「本当っ。さっき変な目で見ないって言ったのにぃ」

 

不満を言うわたし、彼から離れる。きっと顔中不機嫌。言って、ササミの燻製を噛みちぎり、ウイスキーを一息で飲み込む。獰猛笑顔を浮かべる彼。腰が退けるメンバー。さっきとは違う静けさ。気まずさを誤魔化すため、無言で、甘い物をムサボル。めー姉や彼、テト姉はお酒とおつまみ。少しずつ回復する、会話のキャッチボール。ただ、彼とわたしのことには、もう触れない

 

「何かテンション低いぞ~、カラオケでもしようじゃな~い」

「はは、カラオケ大会始めましょ~」

「わ~い、リク合戦で~す」

 

やや、あきれ声のMikiちゃん。甘いお菓子で、テンション沸騰中のピコ君。彼の号令によって。始められたカラオケ大会。飛び交ったリクエスト合戦。あらゆるジャンルの曲、メンバーの持ち歌。飛び交うリクエスト。本当に歌好きなみんな。リリ姉と紫の彼、有名アーティストの歌を歌う。リリ姉の歌と、彼ラップが格好よかった。リュウト君は、アル兄と炭酸飲料歌を踊り付きで可愛く歌う。いろはちゃんの演歌は力強い。勇馬兄は、歌いながらダンスを披露。アクロバティックな踊りは、メンバー随一。楽しい時間だった。下ゆでしたじゃがいもを、蒸し器に並べる。ちょっと熱いな。熱の出る料理をしているんだから、当然か。ひょんな事で、意識が今へと帰ってくる。汗を拭き、わたしは又、調理に集中する―

 




あの日、くれたチョコレート

あの日、くれたリップサイン

あの日、くれたお礼の印

あの日はまだ気付かない
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