はじまりのあの日   作:代打の代打

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連絡事項のその正体

おめでとう、めー姉

おめでとう、カイ兄

考え始める、黄色い娘


連絡事項の正体は

連絡事項を告げるだけなのに、あれ、隣のめー姉が寄り添いに行く。マイクを持つ、カイ兄に手を添える。おおっ、なんて誰かの声。ミク姉、察したのか、何が起きてもヌカリナイように、か。スマホカメラを翳す

 

「え~っと、はは、やっぱり照れるな」

「ほ~ら、カイトしっかり」

「ん、わかってるよ、め~ちゃん」

 

姉と一度、視線を合わせ、兄は今度、宣言した

 

「オレ達、結婚するよ」

 

一瞬は静まりかえる。だって、勘付いた人が居た一方、唐突すぎて、という人も居た。イヤ、婚約はメンバー周知の事だ。だけど『連絡事項』といつものノリで言われて『結婚』宣言は、わたしには思い至らない。え、アレ、としばらく呆けた。半分くらいのメンバー、特に子供組は

 

「おめでと~うカイト、やったじゃない。本当に良かったな、メイコ」

「お姉様~、お兄様~。わたくしも今、とっても幸せですわぁぁぁ」

「コレカラハ、真の夫婦(めおと)でゴザルなっ、メイコ殿、カイト殿~」

 

姉兄夫妻の元に、紫の彼、ルカ姉、アル兄の年長組が駆け寄って祝福。甘露の言葉を振りかける。その声、その行為が始まるまで、わたし、レンの姉弟は揃って呆けていた

 

「おっ、おめでとうございますっ、メイコさん、カイトさん。わわっ『連絡事項』なんて言ってたから、結婚なんて思わなくって。ビックリして、固まっちゃったっ。おめでとう~」

「これこそサプライズというに、相応しいタイミングでしたね。お二方とも、おめでとうございます。生涯のご多幸、心より祈念しますよ」

 

跳ねるように立って、お辞儀はめぐ姉。微笑みながら手を叩く、キヨテル先生。リリ姉は気が付いていたらしく、紫の兄を伴って、年長組と共に、新婚夫婦を祝福している

 

「「「「おめでとうございま~す」」」」

 

天使様も駆け寄っていく

 

「いや~あ、素晴らしい光景っ。おめでと~、め~姉、カイ兄。カメラ回しといて良かったあ」

 

相変わらずのミク姉。撮影を一人続ける。みんなそれぞれ、祝辞を述べる中、わたし、慌てる。お祝いの言葉、ええっと、兎に角

 

「カイ兄~ぃっ、めー姉~ぇ、おめでとうっ。二人の結婚、おれ何かすっごくうれしい」

 

と、ここで立って駆けていく弟の行動が、わたしに変な対抗意識を奮い立たせた

 

「めー姉、カイ兄、おめでとうっ。わたしだって嬉しいよっ。ずっと前から約束してたんだよねっ」

 

そう、二人の婚約を知った日のことを思い出す。偉大な宇宙戦艦が運んで来てくれた思い出話

 

「いやいやあ~最高の画が撮れたっ。めー姉、カイ兄、おめでとさ~ん」

 

最後、ミク姉、撮影を続けつつ、全速力でお祝いの塊の中へ。いつの間にやら、全員団子。新婚二人を中心に

 

「男衆集まれっ、カイトを胴上げしようじゃないっ」

「え、そっそんな、イイよ殿」

「おれ賛成っ。カイ兄に拒否権は無~い」

 

親友の紫様が、カイ兄を担ぎ出し、レンは囃し立てる

 

「ウッス、がくサンッ。派手にイクっすよ~」

「あはは~、うちも賛成っ。わっしょいわっしょ~い」

「では皆さん、しっかりと手を添えて胴上げいたしましょう」

「手ヲ緩めてハ、イカンデゴザル」

 

勇馬兄もしっかり胴上げ体制に入り、Mikiちゃんまでもが参戦。先生、アル兄、気がつけばめー姉まで胴上げに加わって、カイ兄、まな板の鯉状態

 

「これよりどうあげのかいしです」

 

リュウト君の発声

 

「カイトさん、メイコさん、おめでとう」

 

ユキちゃんの祝辞

 

「「いッセーのーッデ」」

 

いろはちゃん、オリバーくんの声かけで

 

「「「「「「「「「「ぅわあっしょ~いっぅわあっっしょい(わっしょいわっしょい)」」」」」」」」」」

 

始まる、カイ兄の胴上げ。手の届かない者も、一緒になって飛び跳ねる

 

「おめでたいタイ、鯛のお頭」

「メイコさんがお嫁さんです~」

 

飛び跳ねる、カル姉。手を挙げるピコ君。計14回宙を舞う兄。それは、兄がこの世に生まれた日と同じ数。初め戸惑いの笑顔

 

「あ、あはははは~みんな~ありがと~」

「愛してるわよ~、大好きっ、カイト~」

 

しだいに、破顔でお礼のカイ兄、めー姉とも会話。14回目で胴上げを終え、しっかりとカイ兄を、床に降ろす一同

 

「カイ兄、おめでとうっ。ちょっとヘタレだけど、おれ自慢の優しい兄ちゃん」

「へへへ、レンタンも似たところあるじゃね~か。こんな弟がいて幸せ者だぜ、カイトタンよ」

 

照れ交じり、皮肉交じりの弟に、ツッコミ祝福テト姉

 

「わ~い、カイ兄、めー姉っだいしゅきぃぃぃ(大好き)」

「わたしもわたしもっ、大好きだよ、おめでとうっ、メイコお姉ちゃん、カイトお兄ちゃん」

 

心底嬉しげなミク姉。わたし、敢えて昔の呼び方で

 

「カイト、メイコ。幸せにな。おめでとう、尊敬するマブダチ二人」

「お姉様、お兄様、生涯掛けて、お慕いしていますわ」

 

世間様に言われる『始まりの七人』わたし達一族六人。そして、一族と事務所の括りなど関係ない。固い堅い、縁を持った、紫の彼。本当に初めの頃から、苦も楽も共にした仲間。その祝福の声で、ぼろぼろと泣き始める、兄。泣きながら近寄っためー姉。大泣きで抱き留めるカイ兄

 

「よろしくね、カイト。マダマダ此所からだけど、せめてここまで来ることが出来たわ。アンタのおかげよ」

「~っ、よ、よろしくね。ああ、あ~、辛かったな~ぁ。~~め~ちゃんのおかげだよ、今のオレがあるの」

 

兄の涙の理由、わたしには解ってあげられなかった。兄が語り始めるまで。紫の彼、思いを語るまで。だから

 

「へっへっ、うれし泣きか~、カイト。んにしても泣きすぎじゃね」

「カ~イ兄、泣いてんなよ~。めでたい席でさあ。いっくらめー姉と結婚できるのが嬉しいからってメソメソ―」

 

リリ姉の冷やかし。弟が、兄の涙を止めようとしたであろう軽口に、わたし、同調しようかと思った。紫の彼、優しい微笑みと物言いで遮った

 

「リリ、レン、そんなに簡単な涙じゃない。カイト、俺の推測になるけどさ、色んな気持ち、混じってるだろ。少し前まで、俺も込みコミで、どんな仕事させられてたか。ま、俺は今でもじゃない『道化』演じるの。レン、カイトが何て呼ばれてたか覚えてる」

「え、え~っと、バカ―」

 

にこやかに言おうとして、凍り付く弟。途端、憤怒の顔になるリリ姉。全員が思い至る。思い至って、悲しさ、仕方のなさ、それでも込み上げる、悔しさ。なぜ、兄達は執拗なまでに『変な役』をさせられるのか、という、口惜しさ。そう演じなければ『食べて生けないからね』と兄は言っていた。そう、事実仕事を選べなかった、はじめの頃

 

「ま、俺ら基本、仕事は選ばないけどさ。あの舞台は、主達でさえ戸惑ってたじゃない」

 

わたし達、事実仕事は選んでない。あくまでも『紙一重』だって、さすがに『倫理的にどうか』という仕事は、プロさん達だってさせようとしない。が、あるときのことだ『大手からのオファー』とプロデューサーと共に訪れた先で。張り切っていた皆に告げられた役割は衝撃的だった。紫の彼、前触れ無く『変な道化役』を押しつけられた。リリ姉激高、多少修羅場と化した。カイ兄までも、その役にしようとする主催者サイドに、プロさん達さえ戸惑う中、当の紫様

 

「俺一人でイイでしょう。やりますよ、食っていくために。俺の仲間を、兄妹を、護るために、ね。かかってこいよ」

 

リリ姉をなだめ、涼しい顔で言ってのけた。それは、彼らが家を建てた時期だった。一家の長として、やって来た妹達を護るため。彼は『道化』を買って出た。この時暴れたリリ姉は、イベント自体、ほぼメインで呼ばれることがなくなった。めぐ姉は、公演後、楽屋で大泣きしていた。なぜ、あんな役を、何故大好きな兄を殴りつける役など演じなければならないのか、と。紫の彼が諭して、公演が終わったら、兄妹デートすることで、めぐ姉の涙は微笑みへと変った。もちろん仕事が頂けるのはありがたい。でもそれは、道化を演じ続けてくれた、兄達のおかげも大きい

 

「俺も『あ~あ』って役目、結構演じた。でも、それで皆が、カワイイおまえ達が困らないなら、俺はこれで良いって思ってた。けっこうしんどかったけど、今は、もう辛くない。だって、俺はあんな人間じゃないって、みんな解ってくれてるじゃない。大好きなおまえ達が、解ってくれてるから辛くない。今はむしろ、楽しんでやってやる。でも、カイトは一人でやって来たじゃない。俺が来るまで。カイト、違ってたら済まない。でも『辛かったよ』ってそのことじゃない」

 

めー姉の肩の辺り、顔を埋め、二三度頷くカイ兄。選べない、選ばない。兄と紫様は、仕事に対して、そのレッテルを貼られていた時期がある。彼は今も、年に一回、必ず貶めるほどの道化を演じさせるイベントを断ることはない。それは皆を護るため『変な役は全部引き受けてやる』という、彼の意思の表れ

 

「当たり。でも、それだけじゃないかな。オレ、一体、め~ちゃんの何の役に立ててるのかなって、何度も思った。バカだの変○だの、やぱり嫌だった。それに、殿まで巻き込んじゃってさ。食べていく、養っていくためだって解ってても、ちょっと辛かった。たださ、やっぱり一番はめ~ちゃん。オレ『歌い手』として、め~ちゃんの役に立ててるのかなって。何時もそれは気がかりだったかな」

 

涙を拭う兄。照れ笑いしながら、涙は止まってない

 

「ばかねカイトォ。アンタがいなかったら、今のアタシだって居ないのよ。身の回りの世話してくれたり、食事作ってくれたり。愚痴も弱音も聞いてくれたわね。おちゃらけの役割、自分で引き受けてくれて『歌姫様に演じさせる役じゃない』なんて。珍しく啖呵まで切っちゃって。うふふ、アンタはアタシのナイトなのよ。いっつも支えてくれる騎士様、もっと胸を張りなさい」

 

途中で姉のハグを離れ、肩に手を回す兄。カイ兄の胸に、頭をもたげるめー姉。自然の動作は、二人がもう、心の底から通じ合っている証。姉を、歌でも生活でも、ずっと支え続けていた兄。どちらが欠けても、今の二人はあり得なかった。PROJECTの成功はあり得なかった。わたし達を、育て続けてくれた兄と姉。ずっとわたし達を護ってくれた、偉大な姉弟

 

「支えて、なんて、もったいないお言葉です、お后様。オレの命は、貴女様に捧げてみせます。これからも、オレの女神様でいてくださいね。あ~っ、幸せっ」

 

抱き合う二人。拍手喝采、メンバー。リリ姉、指笛、アル兄口笛。大リーグ試合のような盛り上げ。照れるカイ兄、喜びに満ちるめー姉。そこに近付いた

 

「お目出度うのぅ、二人とも。他所一族のワシじゃが、我が事のように嬉しいものじゃ」

 

本日の役割『紫の御館様』モードで、抱きしめに行く紫の彼。年長三人による、感動シーン。さらにわき上がる、わたし達メンバーの拍手、祝福の歓声。めー姉と共に、カイ兄の頭を撫でる彼。ここで、カイ兄、めー姉に何か耳打ちし、一度年長団子が解かれる。すると今度、紫様に向き直る兄

 

「御館様、殿もありがとうね。オレさ、友達が出来て、すっごく嬉しかった」

「俺もだ。憧れの先輩様が、イキナリの友達宣言してくれてさ。飛び上がるぐらい、嬉しかった」

 

固い握手を交わす、彼と兄。と、抱きつきに行く兄っ。抱きしめる彼っ。一部女子、垂涎の光景っ。BLの気無いって言ってなかったっ、紫様っ。あ、良くよく思い出したら『あんまり』とか言ってらした。じゃあ少しは、あるんだろうかソノ『気』カイ兄の言葉は続く

 

「でね、仕事していくうちに思ったんだ。殿は親友でさ、オレの頼れる『兄ちゃん』だって。弱音聞いてくれた、役割変ってくれた、いっつも皆を気に掛けてくれた。兄ちゃんありがとう、オレまで護ってくれてさ」

 

あの『道化役』公演の他に。わたしの知らないところで、そんな事もあったらしい。と、台詞は感動的なんだけど、光景は完全に『薄い本』的。ミク姉なんか

 

「ふぉぉぉぉおっ」

 

なんて言いながら撮影してる。現在でも、女子組メンバーがお酒のアテにする、門外フ出の秘蔵映像。ハードディスクにしっかり保存。しばらく堅い抱擁が交わされる。ちなみにわたしも『この頃は』ただの友情的光景で観ていた

 

「『兄貴』だの『親父』だの、俺も中々のもんじゃない。頼られるってのも良いモンだ。これからもメイコと『支え合って』生けよ、カイト。頼れるんなら甘えに来い『兄ちゃん』に任しとけ」

 

頭を撫でてあげる、紫様。親父ってのは、彼が自分を『オヤジ』と呼ぶアレではない。きっとユキちゃんが呼ぶ『ぽ父さん』のことだろう。ここでテト姉が茶化さなかったのは。茶化そうとのそぶりを見せた瞬間、キヨテル先生がメガネを外したから。先生の必殺技の威力は絶大。抱擁を終える二人、再び握手。今まで、無言で観ていためー姉、おもむろに

 

「ありがとう、神威君。うふふ、御館様、これからもよろしくね。カイト、ず~っと仲良し夫婦でいましょっ、アタシだけのナイト様。さあ、みんなで乾杯よ~」

「結婚祝い、は~じめ~るよ~」

 

彼とカイ兄の握手に、手を重ねるめー姉。三人の年長者、堅い縁を再確認。この三人だからこその、感動。その三人に、光りを当てたミク姉、撮影しながら促す。会場貸し切りなので、ホテルのスタッフさんを呼ぶときは、ブザーを鳴らす。まず、用意していただいていた飲み物で乾杯。一度大きく盛り上がった後

 

「ええ、その年のワインを、赤白お任せで。ただし、最高の物をお願いします『庶民』の払える額の物を」

 

ワインソムリエを呼んで、何か話していた彼

 

「がっくん、なにナニ、お酒頼んだの~」

「ああ、ささやかながら結婚宣言祝。式当日は、もっと派手に祝うけどさ。今はこれで精一杯じゃない」

 

少し離れた場所で話していた彼。グラスを手に戻ってくる

 

「ぉ酒は詳しくないけど~。特別なヮインなの、に~さ~ん」

「そ、二人が前話してたじゃない『おもちゃの指輪』で子供の頃にって」

「ああ、記憶リバースした日だね、がく兄。宇宙戦艦から話しが膨らんだ」

 

立食テーブルに戻って、IA姉、レンとも言葉を交わす紫の彼。一同笑顔

 

「その年に作られたワイン、20年物か。最高のヤツを頼んだの。俺からのお祝い。って言っても『支払えるなかで』って程度の、ちっぽけなモンだけどさ」

 

20年物のワインとなれば、一瓶数百万などという代物もある。けれど、最高の物であっても、庶民的値段のワインもあるのだ。お酒好きの彼が言っていたこと。紫様が頼んだのは『庶民』のわたし達で手が届く値段の、けれど『最高』の代物

 

「メイコ、カイト。乾杯し直そうじゃない。人生で一番輝く瞬間だ。って言っても、飲めるメンツに行き渡ったら、微々たる量の酒にしかならないだろうけどさ」

 

その言葉に、わき上がるメンバー。特にお酒好きめー姉、ワイン好き、ルカ姉華やぐ。葡萄酒を好むキヨテル先生も上機嫌

 

「ありがとう、神威君。最高のお祝いだわ~」

「殿、すっごく嬉しいよ」

 

カイ兄、笑顔が子供のよう。アル兄も頬が緩んでいるし、わたし達も嬉しかった。メイカイ様の結婚報告も嬉しいけれど

 

「子供組に、特別なカクテルジュースも頼んどいた。アルコール無いヤツだから、安心して飲もうじゃない。仲間はずれ無~し、リン、一緒にお祝いしようじゃない。レン、お前の兄貴を祝福だ~」

「ありがとう~、がっく~ん」

「サンキュ~、がっく兄~」

 

紫の彼のお気遣いも、大変に嬉しくて。弟と喜びの言葉が重なる。飲み物の到着を待つ間に、しばしの食事を頂く。明日はオフなので、ここぞとばかりにスパイスや香草の利いた料理を取るテト姉。歓談しながら食事していると、デキャンタに入れられ、ワインが到着。赤白、そしてロゼ

 

「すみません、Service(サービス)の品(しな)までありがとうございます。支払いは、神威に付けといて下さい」

 

ホテルサイドのサービス、ロゼワイン。カクテルジュース数種類と、デキャンタワイン数本。運ばれて、再びスタッフさんが下がって後

 

「さ~乾杯も~いっか~い」

「美味しそうです~ぅ」

 

ピコMikiちゃんコンビの歓声、揺れるハートマークのアホ毛。各々注ぎ合って、然々(しかじか)のグラスが、色とりどりの飲み物で満たされていく、と

 

「まあまあ、上等のワインですわね、氷山さん。素晴らしい香りですわ」

「時の流れが育んだ味です、さぞ美味でしょうね、巡音さん。神威さん、ありがとうございます」

 

ワインをグラスの中で回し、楽しそうなルカ姉。グラスを翳して色を堪能、期待顔のキヨテル先生。ワイン好き二人、の会話を観て、やっぱり面白くなさそう、リリ姉。でも『閃いた』と言う顔になって

 

「おっし、センセ、連盟でウチらも酒頼もうぜっ。メー姉が好きだって言うウイスキー。ウチらからお祝いってことでさっ。ちょっと高級なヤツ~。ワリカンワリカ~ン」

「素晴らしいご提案です、リリィさん。注文いたしましょう。割り勘では不公平です、年長者の私が多めに支払いますよ」

 

祝福を自分の幸へとも共有させるリリ姉。以前の『ワイン一口』から学習した神対応。先生と連名のお祝いが提出できる喜びで、破顔するリリ姉

 

「あ、なら、かるもお祝い。お酒ばっかりじゃ不公平。カイ様にあいすっ。甘いおかし、かるのお祝いわ~い」

「かるねいさま、ぼくも、おいわいいたします」

 

カル姉、両手を挙げて宣言。リュウト君、お小遣いで支援を宣言。ここから、二人を盛大にお祝いする贈り物。好きな飲食を贈り合いパーティーになるメンバー

 

「っす、自分、パフェ頼むすっ。カイサンさん好きっすし、チョコパフェ。メグサンも好物ス」

 

勢いづく勇馬兄と、前のめりになる

 

「Mikiちゃん、ぼく達もお祝いしましょ~ぅ。二人で連名です~」

「賛成~、うちとピコ君でケーキ頼んじゃおっ」

 

ピコMikiちゃんの二人

 

「でもでも~、ま~ずゎ乾杯しようよ~ぅ」

「イアちゃんに賛成っ。メイコさん、カイトさん、お待たせさんだよ」

「今日のパーティーのメインディッシュ~」

 

乾杯前に、収拾がつかなくなりそうな流れを、二人の祝福に戻すIA姉。主役を置き去りにしてはならない。めぐ姉、元気よく肯定。ミク姉、ジュースのグラスを翳す

 

「乾杯済ませて、祝福の肉を頼むぜ。特上の肉」

「それ、テト姉が食べたいだけじゃないの~」

 

肉料理の追加宣言を、突っ込むわたし。ただテト姉に『肉ケーキにナイフ入れでも良いぜ~』とカワサレル

 

「っす、カイサン、メイサン。マジ、メデテッス(目出度いッス)」

「発声はカイト、やんなさ~い」

「うってつけじゃない、この祝賀にふさわしい」

 

勇馬兄もグラスを挙げ、ついにパーティーの幕が開く。発声を命ずる女王様。呷る御館様。言われて照れるナイト様が立ち上がり

 

「ありがとうね、みんな。オレ、すっごく幸せ。大好きだよ、めーちゃん。これから宜しく。ず~っと一緒だよ。ありがとう、みんな。これからもよろしくね。それじゃあ始めようか」

 

グラスを翳し、乾杯の動作

 

「オレ達、結婚します、今、すごく幸せです」

「ありがとね、み~んな。愛してるわよ、カイト」

「「「「「「「「「「いっえ~い」」」」」」」」」」

 

ここで乾杯。グラスを併せようと、一斉に二人の元へ群がるメンバー。めー姉、カイ兄といの一番に乾杯。その二人と紫様、グラスを併せて、盛り上がる

 

「そういえば、カイト、式は何時じゃない、結婚式。メイコ、何時結婚するって決めた」

「六月にあげようかなって。オレがめ~ちゃんに初告白したのがその月だったから」

「六月で、丁度20年目なの、あの日から。良いタイミングかなぁって。さっき頼んでくれたでしょ、ワイン。尚更嬉しいわ」

 

『そりゃこの酒頼んで良かった』と、紫様。談笑する三人が幸せの輝きに照らされている

 

「めー姉、カイ兄、おめでとうっ。わ~何だか憧れちゃうな~。がっくんもジュースありがとねっ」

 

メイカイがく様、三人と乾杯がしたくって。遮二無二近寄って、口をついて出た言葉。意外な反応が返ってきた、兄と姉から。紫様以外のメンバーから

 

「あら~ぁ、リ~ン。憧れるってな~に、何に憧れたのか・し・ら」

「リンリン、憧れる、れるれる~」

 

何かを期待する眼差しのめー姉にのぞき込まれ、カル姉も目の星が倍増

 

「ん、何だろ。ん~、あ、今の二人。めー姉、カイ兄、幸せそうっ。何時かわたしもそんな風に成りたいな~って」

「ってコトは、リンっ、結婚したいってコトだよなっ」

「きたかこれっ」

 

リリ姉、わたしの肩を、しっかり掴みもの凄く楽しげにまくし立ててくる。ミク姉、スマホを構え、何かに期待。でもわたし、この時は『結婚』に思い至らなかった。漠然と、仲良しメンバーと、幸せに生きていきたいと思っただけで

 

「え、そうなのリリ姉。そっか、結婚か。そうか、お父さんお母さんも結婚したもんね。う~ん、でも、わたしはまだ考えられないや」

 

この返答に見せられたのは『落胆』の表情、姉一同

 

「で、でもさ、昔はリンちゃんの歳って結婚適齢期だったんだよっ」

「そそそ、リンちゃん、結婚するならこの人~とかゎナイかな~ぁ」

 

そう、Mikiちゃん、IA姉の言葉で。わたしの心はきっと変っていった。少しずつ少しずつ、意識したんだと思う。でも、鈍い人間が突然変異するはずもなく

 

「まだ無いな~。今はまだ、みんなと歌ってる方がイイ。歌って踊って、学校行って。みんなとご飯食べて、がっくんとお料理して。今は考えられないな~」

「良いんじゃない、それで。少しずつ大人準備しようじゃない、リン。その辺りも、お姉に教われば良い」

 

と、グラスを併せて、頭を撫でてくれる紫様

 

「ただし、変な嗾け(けしかけ)するなよお嬢様方。何か今、そんな気配を感じたから釘をさす」

 

わたしを撫でつつ、言う

 

「は~」

「あ~」

「ぅあ~」

 

何故か呆れるリリ姉。何故か凹むめー姉。何故か袖ぱたぱた、焦れるIA姉

 

「ゆ~っくり考えたら良いよ。リンの心のままに、ね」

「時が想いを育みますよ。焦りは禁物です」

 

優しい顔のカイ兄、少しだけ寂しげ。慈愛の顔、さすがキヨテル先生

 

「ん、そうする。良く解んないけど~」

「子供達みんなも同じじゃな~い。将来を考えろ~」

 

大人達の言葉に、気持ちが上向くわたし。紫様、おそらく未成年組みんなに向けて言った言葉、に

 

「べんきょうになります、にいさま」

「ぽ父さん、ユキもしょうらいを考えてみます」

「あたし、演歌もっと極めようかな~」

「ニホンゴ、モットウマクナリタイデス」

 

リュウト君、眼差しが弩真剣。ユキちゃん、拳を胸の前。いろはちゃん、演歌道を考える。オリバー君、宣誓。実際、この時の大人達の言葉、金言になっているフシがある。みんな将来の役に立っているし、幸せになっているから

 

「へへへ、ジジくさくなってんじゃね~か、かむい~」

「そうだろう、同い年。お前は考えなさすぎじゃない」

「うるせ~、ボクは日暮らしで行くぜ。さて、肉頼むぜ、祝肉~」

 

最年長二人の掛け合いで、空気がメイカイ二人の祝賀へと立ち返る。アル兄も笑顔で

 

「Whiskey(ウイスキー)のアテとイエバ、Nut(ナッツ)でゴザル。拙者、売店でMixnut(ミックスナッツ)とカキピー買って参ロウ」

「にゃ、アルにいさん、あたしも~。メイコさんのすきな、ピリからチーカマ買う~」

「ボフモデフ~」

 

宣言し、エンジェルスマイルのいろはちゃん、オリバー君を伴って、デレデレで買い出しに向かう。みんなのオーダーによって、この日も大宴会になった。この日から、考えるようになった、将来を。未来、わたしは歌って生きたい。歌えなくなる日、この命尽きる日まで、歌っていたい。その傍らに、誰が一緒かを考えるようになった。ただ、漠然と。だが、しかし、だ。このメンバーとお別れする選択肢は何時だって皆無だった『誰が欠けても嫌だ』その思いは、メンバーの共通のものだ。そしてわたしの『兄妹』『親友』皆、このメンバーの人物が名を連ねる

 

カイ兄やめー姉はもちろん『兄妹』

 

めぐ姉やリリ姉も『姉』

 

IA姉やMikiちゃんは『仲良しの友達』

 

そして『親友』は『彼』

 

何時だって『親友』の名に出てくるのは、紫の彼だった『親友』だと思っていた。メンバーの中、わたしが一番の仲良しは彼だった。今もっても、メンバー誰一人否定しない

 

仲良しの『がくリン』

 

男女の間で、友情が生まれるのか、そんなTVの音で、一度意識が今へと引き戻される




親友だった

親友だと思っていた

考え始めた黄色

まだ、思い至らない
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