結婚式の前日準備
ブライダル会場見学会のCMで、再び意識が記憶図書館へ。めー姉、カイ兄、二人の結婚式の本へ手を掛ける
「楽しみだね~、明日結婚式だよ~ぅ」
前日、リビングルームを飾り付けながら、IA姉との会話
「マブダチの結婚式だ、俺もテンション上がるじゃない」
「わたしも楽しみ~。ん、花飾りこんな感じかな」
マンションのリビングルーム。そこがメイカイ、二人の結婚式場。公に広報はしない。メディアやマスコミには言わない。呼ぶ人間も、新郎新婦の御両親。なじみ商店街、中華の商店街ではない。わたし達の町、顔なじみの商店街。大将さんやおかみさん、近所の農家、仲良しおじいちゃん、おばあちゃん、極身近な人だけ
「トトノッタでゴザルカ、IA殿」
「決まった~リン~」
下から声が掛かる。背の低いわたし達二名、現在肩車して貰ってる状態
「ふぇへへ、こういう時、デクノボウズは役に立つぜ~」
「重音、曲がってないか教えろ」
「テトさ~んどぅかな~」
紫様にはわたし、アル兄にはIA姉が載って、高い場所を飾り付け。テト姉がチャチャを言う
「おっと失敬、デクはかむいだけだったな。オッケ~だぜ、IAたん」
装飾もメンバー手作り、料理はケータリング。お客様兼務で来てくれる大将さん、女将さんに作って頂く
「まだ、手作りの結婚式ですみませ~んって思っちゃうな」
「グミ姉、ま~だ言ってる~」
やや後方、レンと作業をしていためぐ姉の声。ただ、手作り結婚式を提案したのは他ならぬ
「でもさ、カイ兄、めー姉、本人さんのご希望だからね~」
「ウエディングドレスも衣装さん達にお願いしたって」
ミク姉、テーブルクロスを敷き、レンはまた、別の作業へかかる
「みんなに作ってほしい。そのほうがオレ達っぽいよ」
「ふふ、特上の結婚式ねぇ。みんなから最高の贈り物だわ」
とは、結婚するカイメイ様からのお言葉。そう言われれば、断れない。飾り付けなど全部お任せ、ということで数日掛け、仕事の合間に考えた各メンバー。良いところを選び出して、たどり着いた全体図に近づけるため、リビングの装飾中。それこそミク姉曰くのダンスホール的リビングで良かった。所々に花を置き、折り紙やイミテーションの飾りを提げる
「ケーキもドレスもタッノシミ~(楽しみ)どんなの着るんだろっ。メー姉が着るんだから、ちょ~綺麗なのは間違えね~けど~」
「カイトのアニキはタキシードだっけ、リリね~さん。そっちは何度か衣装で観たな~」
食器類、並べて布巾や蠅帳を掛けてゆくリリ姉、Mikiちゃん。ちなみに、カイ兄とめー姉はここに居ない。商店街に、お酒類の確認へ行っている『会場をサプライズで観たいから』とめー姉。カイ兄と二人で出掛けて、簡単なお菓子なども買ってくると言っていた
「新郎新婦席のステージ、持ってきました~」
「っす~、スマネ~ちょっと道空けて~」
ピコ君、勇馬兄、二人が座る、みんなより一段高い席の、土台を用意。アル兄、紫様、当日は二人を照らすだろう、照明器具を設置。その少し前脇、ウエディングケーキを乗せるテーブル準備、キヨテル先生
「にいさま、ぼくたちもよういできました」
「かけたよ~、ぽ父さ~ん」
「お、上手じゃな~い、二人とも」
リュウト君、ユキちゃんが書いてきてくれたもの。それは、純白のドレスを身に纏う、めー姉であろう、お姫様の似顔絵
「せんせ~、あたし達もかけたよ~」
「デキアガリデフ~」
「お二方も、大変素晴らしいですよ」
いろはちゃん、オリバー君は王子様姿のカイ兄。どちらもクレヨンをつかって大きなA2の画用紙に描いてくれた
「こ~ぅゆうのこそ、買えない宝物だよね~」
「みんなありがとう~。わあ~カワイイ~」
肩車から降りたIA姉、わたし、天使様を撫でてあげる。絵は二人の後方、高い位置に額縁に入れて飾る。似顔絵を天使様に描いて貰い、飾ろうと提案したのはリリ姉
「これ、喜ぶと思うんだよな~」
「うれしいうれしい、かるなら絶対」
喜ばないわけがないと思ったな、あの日。まぁ、世の中、色々な人が居るから、一概には言えないけれど。でも、めー姉、カイ兄ならきっと喜んでくれる。天使様を本当の子供のように可愛がっている二人、子供達からのプレゼントだもの
「では、額縁に納めましょう。皆さんもお手伝いしてください」
「これで完成だぜっ、みんな」
「「「「はいっせんせい、りりちゃんっ」」」」
手を挙げる天使様。ああ、可愛がってるレベルは、キヨリリ様の方が上手だったけど。大きな額縁なので、結果みんなでお手伝い。ここでも、大柄な彼、アル兄は活躍。記念の絵なので、額縁もちょっとだけお高いもの。ちなみに絵のセンスは、天使様達に丸投げ。お姫様、王子様になったのは、天使みんながメイカイ様をそう思ったからだろうな
「完成でゴザルナッ、コレハ素晴らしい」
「この絵は世界遺産級じゃな~い」
額縁に納まった、素敵な絵
「よし、提げて完成だ、出番だぜぇ~木偶~ズ」
「お前も手伝え、重音、デカい額縁じゃない」
踏み台に登る彼、そしてアル兄。二手に分かれて、手伝うメンバー
「は~い、がっくん」
「おにぃ、手ぇ離すぞ~」
「おっし、受け取った~」
当然のように、彼をお手伝い。めー姉の絵を掲げる彼
「曲がってないか~」
「オッケーだよ、に~さ~ん」
額縁が曲がっていないかを問う紫様、応えるIA姉
「こちらも万全整いました」
「輝いて見えるぜ~」
腕で大きく○印を示すキヨテル先生、頷くテト姉。ステージの両脇『メイコ女王 カイト王子 結婚式』の幕の脇、天使様の絵が掲げられる
「結婚式場かんせ~いっ」
「ぼくたち手作りです~ぅ」
「後は、明日、お料理待つだけだね~」
Mikiちゃん拍手、ピコ君ご機嫌、IA姉も袖を振って喜ぶ
「あとは女王様とナイトのご帰還を待つだけじゃない」
「ちょっと緊張するねっ、がっくん」
二人なら文句なんて言わないだろうけれど、やっぱり少し、身構える
「ん、ああ、噂をすればってヤツだ、帰ってきたぜ」
「では、お二方をお迎えしましょう」
玄関のモニター、帰ってきた二人を映し出す。呼び鈴の音
「よ~し、みんな、女王と王子を迎えにいこ~ぜっ」
「「「「わ~」」」」
リリ姉と天使様が駈けてゆく。あ、何だろう、何故か懐かしい。しばらくの間、と、紫様、可笑しそうに
「あんな感じだったんじゃない、リン。俺迎えに来た時って」
「あ、あ~そっか。何か懐かしいって思っちゃった」
彼が来た日、いの一番に迎えに出た。まさしく彼が言う通り
「あの日、待ちくたびれたよ~。一時間も遅くなってさ」
「ぁ、前に聞いたに~さんとリンちゃんの初対面だね~」
「本日はリリィさんが弾丸ですね」
微笑み合う、わたしと彼。IA姉も破顔で袖を振る。キヨテル先生も愉快気だ
「天使様もお迎えだよっ、すごい幸せ~。早く来ないかな~」
「弾丸ではなく『来迎』のようでゴザル。おっと、マダ二人とも召されテハナラヌガ」
ミク姉楽しみで仕方ない様子。アル兄のライコウは、あの日、意味が解ってない。その天使様、リリ姉を伴って入って来た夫妻
「わ~凄いわね~飾り付けも、お花も」
「いつもと雰囲気がまるで違うよ~」
「へっへ~、頑張ったんだ~。観て、メー姉、カイト」
あちこちを見渡しながらやって来る。そして、リリ姉が指差すその先。自分たちが座ることになる、メインステージ。今し方、わたし達が造ったその場
「「「「めいこちゃんかいとさん、おめでとうっ」」」」
「―っつ」
「―」
めー姉、口に手を当て、瞳を見開く。カイ兄も目がまん丸。わたし達、それなりに頑張った。キャンドルタワーは、火の用心でLED。だけど、台座から作った。小さめなのはご愛敬、アル兄大活躍。メイコ女王、カイト王子の幕には薄紙で造った花飾り、ベタだけどね
「あの絵、描いてくれたの」
「そ~、リュウトとユキが描いたんだぜっ。メー姉をさっ」
「カイトさんは、いろはさん、オリバーさんの作品ですよ」
瞳を潤ませ、絵に気付くめー姉。それぞれ呼んだ名前の子供の肩に、手を置いて言うキヨリリ様。一度先生、リリ姉と微笑み合い
「かいとさま、ぼくのあこがれです。にいさまとおなじく、もくひょうです」
「カイトお母さん、おいしいごはん、いっつもありがとうね」
天使様、めー姉、カイ兄に歩み寄って
「メイコさん、あたしね、自分のよびかた『あたし』に変えたの、メイコさんに憧れたからなの~」
「メイコサンガイナカッタラ、PROJECTナイ。アリガトウめいこさん。おかげでぼく、ここにいます」
それぞれ、描いた逆の人物にお礼。丁寧お辞儀、リュウト君、手を取るユキちゃん。抱きつくいろはちゃん、手を合わせ祈りのポーズオリバー君
「ありがとうを言わなきゃなのはアタシよ~。も~世界一の絵だわ~。はいっ、天使様全員集合っ」
途中から、震える声を励ました感のめー姉。整列した天使様四人、まとめて抱きしめる。そのまま泣き出してしまう
「ありがとう、みんな。オレ、言葉が出てこない、嬉しい。あ~、め~ちゃん泣いてるから、オレ泣かないつもりだった、の、のに」
泣き笑いでめー姉の肩を抱き、天使の頭を撫でるカイ兄
「良かった~、頑張ったカイあったね」
「本番明日だけどさ、おめでとうっ、めー姉、カイ兄」
装飾成功の手応えを感じるわたし、祝福の言葉を述べるレン
「お気に召して、光栄でゴザルヨ」
「大道具系は、ダンナの独壇場だったス」
「きゃんどるたわ~、だんなさまさま~」
アル兄、安心した様子。勇馬兄は労を労い、カル姉も賛同する
「カル、お前も折り紙ガーネット頑張ったじゃない。燭台は勇馬もアルを手伝った。手つき危なくておっかなかったけっど~」
おっかないは『恐ろしい、とか恐い』って意味。わたし達北海道出身者が使う方言。だけど、彼も始めの頃から使っている。東北や北陸ではまあ普通に使うって感じ
「みんなでね、アイディア出し合ったの~。どんな飾り付けが良いかな~って。喜んでくれて良かった~」
「め~こさんとかいとのに~さん、天使様に描いて貰おうよ~って。アイディアはリリちゃんなんだよ~」
ミク姉、やっぱり緊張してたのかな。今、元に戻ったのか、スマホを掲げ、撮影開始。IA姉の安堵のお顔、を観ると、こっちも安心しちゃうほわほわ感。お姉ちゃんなのに、何だか妹みたいに思える。天使様のオデコに、感謝のちゅ~を差し上げるめー姉。天使様、照れっ照れ
「メイコ泣くとは思わないじゃない。はは、明日に涙取っとかない」
微笑む紫様、に、今度は微笑みで応えて
「あら、神威君、アタシ明日は泣かないわよ」
ウインク、涙を拭う女王様
「人生で最高の瞬間だもの、アタシにとってはね。大好きなカイトと結婚、これからね、一生一緒に成れるのよ。その出発の式、とびっきりの笑顔でいたいから」
「オレも同じ、かな。そのために、今日泣いとかなきゃね」
天使様の両手を握り、お礼の意を示すカイ兄。この夫婦愛は最強だ
「リリ」
そう言ってリリ姉に向き直り、手を取るめー姉。不意打ちの行動で、リリ姉珍しく呆気に取られる
「ありがとう。何時か目標なんて言ってくれたけどね、貴女の目標でいられること、義姉(あね)として誇らしいわ。うふふ、リリ、良い奥さん、お母さんに成れると思うわ」
手を取り言って、手の甲にちゅ~。頭半分背の高いリリ姉を抱きしめる
「いっいやメー姉、ウチのお祝いの形だからっ。アイディア出しただけで、頑張ったのリュ~達だしっ」
もの凄い勢いで、真っ赤になるリリ姉。こんなリリ姉レア、だから
「ナイスショットっ。ぐっじょぶ、めー姉」
ミク姉大喜び
「さて、昼食にしましょう、お姉様、お兄様。今日は前祝いのFeast lunch(ご馳走ランチ)ですわ」
「重いメシじゃなく、贅沢サンドイッチっす。具材に凝ってみたス」
前祝い、と言うにはささやかなご馳走だったかも。だけど、ちゃんと理由がある。本番は明日だ。ごちそう食べて、お酒飲んで二日酔い、では目も当てられない。何より
「ありがとうね、我が儘きいてもらって」
「今日の夜は、積もる話し、したいんだ」
という、メイカイ様からのご希望。この二人だからこそあるだろう、降り積もる大雪のように『積もる話』が。だから、全員揃えるお昼を贅沢にして前祝い。わたし達はソフトドリンク、大人はワインで乾杯。ささやかながら前祝い
結婚式
メンバーの
手作りの
結びの式