はじまりのあの日   作:代打の代打

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大好きな姉の誕生日

いつものように大騒ぎ

何時もと違う、胸騒ぎ

いつものように、彼の横


ミクの誕生日

またも、新しい休日が加わる。ニュースキャスターが読み上げる。休み、増えすぎじゃないかと思う。なんとかの日、というのもやたらと増えた。こじつけて、休日にするのは良いけど。では、なぜ超過労働や黒企業が減らないのか。その点は、わたし達、本当に恵まれていると思う。しっかりOnとOff、仕事、休みは分けられている。まあ、わたし達に、カレンダー通りの休日は無いけれど。大体が皆様の大型連休などに公演が入るから。休日か。彼との最大のきっかけ。その序章も休日の大宴会だったな。ごめんね、ミク姉。主役の座、奪ったみたいになって。でも、あの日が無ければ、きっと『今』もなかっただろうな。記憶の図書館の重要文献、わたしは手を掛ける―

 

「誰のリクか、当てていこうじゃない、カイト母さんや。リクエスト当てクイズ」

「おもしろそうだね、ぽお父さん。間違ってたらツッコんで、み~んな」

「「「「「「「「「「は~い、兄さんフ夫婦~」」」」」」」」」」

 

八月中旬、熱い日だった。なんと大人組全員、三日連続で休暇がとれた。一月後の夏休みでもないのに、こんなことは二度とないだろう。通学組は、夏休みの真っ最中、が、仕事はほぼ毎日。しかし、休暇が取れたのだ。この機会を逃す手はない、と、めー姉。夕方からのパーティーを発案。ミク姉の誕生日も近いことだと、お祝いモード。その至高の提案を聞き、天使様たちは大はしゃぎ。おのおの全員もテンション沸騰。この高いテンションのメンバーに、ぽ父さんとカイトお母さん

 

「「じゃ、何食べたい」」

 

なんて素敵なことを聞いてくるので、もはや制御不能のリクエスト。次々あがる声に、メモをしとけと彼の指令。午前九時、マンションに集合。リク当て大会が開催されたあの日。先手はカイ兄だった

 

「まず、先手、オレねっ。ローストビーフ」

「リリィの字だな。丸い」

 

メモをのぞき込んだ彼、即座に答える

 

「さすが兄妹だね殿。次はえ~と、さ・ん・ど~」

「Sandwich(サンドイッチ)オリバーの字。英文だからすぐわかる。次、俺の攻め。お造り盛り合わせ、大間産は必須で。ぶっちゃけ、俺誰か分かった」

「うん、まあ、ルカだろうね。流通してるかな、大間産。さて、又、オレからいくよ。チカメの煮付けを。え、ちかめってなんだろ」

 

首をかしげるカイ兄、のぞき込む紫様、首を縦に振る。どうやら、望みの料理を理解したようで

 

「字が近目(きんめ)になってるじゃない。誤字はアルだな、金目鯛の煮付けってことだろ」

「Sorry、その通りデゴザル、神威殿」

 

申し訳なさそうに頭をかく、アル兄

 

「ふふふっ、なるほどね。さて、この『ろぶすたあ』は」

「カルの字。ひらがなだし、好物だ。後手、俺。九条ネギと夏野菜のサラダ」

「ミクの字、カックカク。ネギ好きだし」

「さすがカイ兄じゃな~い。ミク、今日の主役なのに、そんな安物でいいのか~」

 

愉快そうに笑う、紫様。筆記のクセで、誰がリクエストしたか分かってしまうほどに。共同生活を送る、メンバー縁(えにし)が深い証

 

「だあ~って、がくさんの作るお任せサラダ、絶品だも~ん。今日もお任せっ、その代わり美味しいの作ってよ~」

 

みんなに貰ったプレゼント、囲まれてご機嫌、大手を振るミク姉。解ったと微笑み返す紫様

 

「あはは、安上がりに出来てるよね、メンバーの一同、さ。次ぎも、多分原価安いよ。がくサンの『ゴロホロ肉ジャガ』がいっす」

「勇馬か。書き文字に『ス』を付けんな勇馬。じゃが芋なら、家庭菜園が生きるな。肉は牛様豚様、どっちがイイ」

「っす、サーセン。豚バラでお願いしまッス。畑のじゃがいも、食べ頃っすかね」

 

愉快という笑いの紫様。頭を下げる勇馬兄。ゴロホロ肉ジャガとは、ジャガイモはゴロリと大きいのに、箸を入れるとホロリと崩れる、柔らかな絶品肉ジャガのこと。昔、ミク姉が命名した

 

「肉まで安い方だね、っはは~。さぁて、え~っと、おつまみ適当にってこれは」

 

カイ兄、言った瞬間、紫様と目を合わせ

 

「「メイコ様しかない」」

 

即座に理解、言い放つアニキ様

 

「「「「「「「「「「メイコ様しかな~い」」」」」」」」」」

 

吹き出すメンバー

 

「何よ~いいでしょ」

 

苦笑いの女王様

 

「作っていけば、何かおつまみ出来るよ、め~ちゃん。さて、にんじんのグラッセ。あま~くしてね、は~」

「めぐ、好きなもので解るじゃない。しかし好きだな、にんじん。俺達の作るご飯アテは、イコールツマミになるじゃない」

 

紫様、めぐ姉、めー姉に話しかける。と

 

「だって、にんじん好きにしてくれたの、ぽ兄ちゃんだよ~。グラッセで、にんじん嫌い、治ったんだから~」

「食ドラマでも言ってたわねぇ『おつまみがおかずとして立ち上がる』って」

 

応える、彼、の料理でにんじんが好きになったのだろう。めぐ姉の言葉で、容易に想像がつく。メンバー共通のことだもの。がく×カイ様のお料理で、好き嫌いが極端に減る。おつまみ要求、めー姉、喜ぶ。セリフは、叔父様がご飯を食べる、美味しそうなドラマのもの

 

「あ~、殿が『好物』にしてあげたってやつだね。次ぎ、和風ラーメンたべたい『にゃ』」

 

そのカイ兄『にゃ』でにゃんこのポーズ、あらかわいい。その問いに紫様

 

「ど~うもそうらしい。麺はいろは。にゃ、ってわざとだな。中華麺好きじゃない」

「にゃ~、せいかいで~す」

 

いろはちゃん、両手を挙げて嬉しそう

 

「カツオ出汁の、野菜大盛りにした奴だね、。作ってあげるよ、いろはちゃん。これは、殿、セルフクレープ、トッピングにチョコバナナ必須で」

「バナナ大好き、レンなんじゃない。生地作っといて、ホットプレートで勝手焼きだな。これもすぐネタが割れるじゃない。それならイロイロ具材、用意して、ご飯クレープもイクか」

「なんだよ~いいじゃん、好きなもの~」

 

正解の苦笑い、弟。カイ兄は優しく微笑み、紫様、やや茶化す。次のリクエストを読み上げる

 

「ケイジャン・ステーキ、その他肉料理」

「肉好きの重音。てか、リクが二つだ、欲張るんじゃない。さて、この辺りで、フェイズ、俺。あじふらい、連名。ふふふふふ」

 

顎のした、拳を当てて微笑む彼

 

「ハハッ。リュウト君とユキちゃん。殿が吹き出すってことは。ふふっふ、想像だけで可愛くて、オレもムセそう、ははっ。返し手で、味噌漬け玉子をお願いいたします。だって」

「テル。そこまで丁寧に申告するのは」

「次ぎ、カニクリームコロッケおねがい、がっくん」

 

正解ですと告げるキヨテル先生。の、後に読み上げられる自分の注文。ちょっと緊張する。だって、万一、間違えられたら滅茶苦茶ショック

 

「リン。がっくん呼びは、リンしかない。カニコロも好物じゃない」

「大正解~っ―」

 

正解で、すごく安堵。微笑み掛けてくれる彼、わたし嬉しい、のだけれど『結婚』を考え、彼の夢を観たあの日から。彼の事を考えると、彼と居ると。何か胸が締め付けられる感がある。不快な感覚でなく、何かの高揚感が伴った、胸の痺れ。それがジャマになって、今までみたいに飛びつくことが出来ない

 

「ん、どした、リン。今何か『妙』な間があったじゃない」

「あ、ん、んん何でも無い。コロッケ楽しみだな~って」

 

その些細な引きつりに気付く彼。彼も良く見てくれたんだ、わたしのこと。僅かなリアクションで、変化に気付く。わたし、誤魔化す

 

「よ~し、とびっきり美味しいの作ろうじゃない、リン。さ~て、次。カイトのアニキ、シウマイおねがい。とさ」

 

それでもわたし、嬉しくなる。次のクイズを楽しむ、余裕も生まれる。そう、胸の痺れ、その『正体』を意識しないように、はしゃぐ。リククイズに集中する

 

「Mikiちゃん。カイトのアニキ呼びで分っちゃう。次のリク、神威のに~さん、タルタル万能ソ~ス。に、あう料理」

「IAか。ロブスター、鯵フライのソースにもイケるな。で、最後、お寿司食べたいです。Mikiちゃん、かむさん合作で~す」

「ピコ君」

 

最後の回答と共に、全員起立、拍手しながら

 

「「「「「「「「「「全問正解~。あとは、おに~ちゃん達の好きなもの~」」」」」」」」」」

「「好きにリクエストしすぎじゃな~い」」

 

リクエストクイズ大会の後、現在キッチンで大容量冷蔵庫×3とにらめっこ。マンションに集合した流れで、今日の調理拠点はココ。何があるか、何が足りないかを確認。わたしは、足りない食材をメモするからと称し、彼の左キープ。かけられる、あなたの声が宝物

 

「よし、常備の食材も減ってるからこんな所か。買い出しいけ~お・ま・え・達~」

「「「「「「「「「「おっしゃ~アニキさま~」」」」」」」」」」

 

うん、漏れはないな。と、確認をとり、彼からメモが放られる




感じる、胸騒ぎ

解らない、その正体

夢を観てた

彼と生きる、夢
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