はじまりのあの日   作:代打の代打

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彼と作る

みんながいるけど

『彼』と作る

褒めて褒めて


誕生会の準備

全員ノリノリ

 

「料理人二人は、買い出し除外確定ね。あとのお手伝いさんは~、リン当確~」

 

めー姉、にこやかに宣言。買い出しの担当を決めていく。調理担当は兄貴様確定。アシスタントも選別。最も言われる間でもなく

 

「うんっ、わたし、がっくんとお料理してる~」

 

初めからそのつもり。めー姉のお気遣いには気付かないバチアタリ者

 

「ゎたしもお料理の係がぃいな~」

「かるもおてつだい、だ~い」

 

IA姉がわたし達と行動を共にするのは自然なこと。カル姉が残った理由はよく解らない、けれど

 

「じゃあ、勇馬も残ってもらえるかな。結構料理力たかいから」

「天使組もな。車割りの都合じゃない、お手伝いしてくれるか~」

 

残って調理や手伝いを願い出るカイ兄、紫様

 

「「「「は~い」」」」

「っす、了解っす」

 

朗らかなエンジェルスマイル。勇馬兄、少しだけ残念そうなのは何故だろうか、と、あの日は思っていた

 

「じゃあ、あたしは酒屋行く。アル、一緒に選びましょ」

「是々非々でゴザル、メイコ殿。車出し申す」

 

グータッチの大酒家二人、お酒屋さん行き、意気投合

 

「じゃ、グミちゃんとレンも行って。飲み物、選んでおいで」

「グ、グミさ~ん、ヨロスっす」

 

カイ兄の指示。めぐ姉にやや弱々しいというか、何とも言えない声をかけた勇馬兄

 

「は~い、行ってくるね、勇馬君」

「らじゃ~、カイ兄」

 

両手を胸の前で振って、微笑むめぐ姉。Vサイン、弟。二人も加わりめー姉たちが、女王様と従者という風情で、華やかに出かけていく

 

「神威さん、ワタシ、魚介を見て参りますわ~」

「お任せしようじゃない。お魚姫ルカが行くなら、お野菜姫ミク、一緒に行ってくれ。肉食獣重音、車出してもらおうじゃない。ついでに肉、選んでこい」

「「了解」」

 

二人からびしっと敬礼がかえってくる。特に、テト姉は『隊』仕込みの本物。肘を張る陸上仕様。キレが良い

 

「ああ重音、フランスパン多めに仕入れてこい」

「お、イイのか、かむい」

「どうせ買うんだろ。バゲットに使おうじゃない。食パンも一緒にな。サンドに使う。ただし、パンと肉、買い『過ぎ』るんじゃないぞ」

 

フランスパンも大好物のテト姉が小躍りする

 

「ミク、シュウマイの皮も忘れずにね。今日は贅沢にカニシュウマイとエビシュウマイ」

「やった~おいしそ~う」

 

カイ兄の美味しそうなシュウマイ案、ミク姉目が輝く

 

「じゃ、ウチ、センセとデザート関連かってくる」

「私ですか」

「スイーツなかまっ」

 

なんとなく、それ以外の何かがありそうな雰囲気のリリ姉。カル姉がお残りを申し出たのは、このWのお出かけをジャマしないためだった、のカモ

 

「そうだね、テルさんとリリちゃんにまかせた」

「デザート、任せた、リリ『ザ』抜きじゃな~い」

 

笑むカイ兄。口の端だけで笑う彼。両者共通しているのは『ですよね~』という表情

 

「サンキュッカイト。おにぃ分かってる~ぅ。でもナラ、何でわかんね~かな~」

 

複雑そうな表情のリリ姉に

 

「リリね~さん、うちとピコきゅんも良い。お総菜みた~い」

「お邪魔してもいいですか~」

 

微笑みながら話しかけた、ピコ君Mikiちゃん。今度は先生、リリ姉共に破顔しながら

 

「もちろんですよ。行きましょう、皆さん」

「い~よっ。Mikiピコイエ~イ。Wデザートレッツゴ~」

 

さっき紫様が言ってた『ザ』抜き。デザートから『ザ』を抜くと。そういうテンション、今ならわかる。いくよセンセッと、リリ姉がキヨテル先生の腕をとって。Mikiちゃんがピコくんと腕組みで、出かけていった。人数が減って、少しだけ静か。最も、調理を始めれば騒がしくなることに変わりなし。現に

 

「何から作りますか~に~さ~ん」

 

キッチンへ向いながら、賑やか会話。連れだって、みんな笑顔。調理計画を促すIA姉に

 

「じゃ~まず、おつまみとサラダからいこっかな、IAちゃん。野菜なら困らないからね。どう、殿」

「いや、サラダと刺身は、鮮度が命。ミクリクの九条葱も無いじゃない。だからつまみと煮物系で行こう。いちど冷ますと味がよくしみて美味いから。食べるとき温め直せばいいだけになる」

 

案に同意しかけた兄に、待ったを掛けた紫様

 

「味染み肉ジャガ、チョ~楽しみスっ。ここでしか食えねっす」

「勇馬兄、食ったって言っちゃダメ~」

 

『生意気言ってんじゃね~』と勇馬兄に撫でられる。うん、彼のと全く違う

 

「リ~ンの言うとおりじゃな~い、勇馬食った言うな、食べ物様に感謝しろ~。エラいぞ~リン」

 

はいっ、撫でてくれた彼。やっぱりコレ。彼でなきゃ味わえない~。積極的に行動できなくても、彼から『される』事には歓喜。喜んで撫でられます『サ~セン、ガクサン』と、いつものやり取りは勇馬兄。みんなで楽しくキッチンへたどり着く。それぞれにエプロンを着ける。彼、腰巻きエプロン、カイ兄フリルエプロン。女性陣得の構図。まあ、今、そんなに女性いないけど

 

「ああ、そだね~、殿の言うとおりだ『寝かせておく』と美味しいもんね、煮物系って。でも不思議だよね、放っておいても美味しくなるって。煮物マジックって感じ」

 

まな板を用意しながらカイ兄

 

「ああ、料理ってのは、冷めていくときに味が染みるんだ。大事じゃない『寝る子は育つ』ぞ~」

「あ~そ~なんだぁ」

「そ~ぅいう事なんですね~」

 

漠然、感性で料理していたわたし。仕組みというか理論というか、味が染みる工程を知る。お手伝いIA姉納得

 

「よく眠るから、リンみたいにイイコが育つじゃない。さて、野菜は~、菜園からもいくか」

「あ、カイサン、がくサン自分が採ってきまっす」

「ゆ~ま~、かるも行く~」

 

野菜収穫を名乗りでる、勇馬兄、カル姉

 

「カルちゃん、お願~い」

「たのむ勇馬」

 

言われるが早いか、大型キッチンボールを手にする二人。ミク姉と彼が始めた畑。最近では、メンバー全員で協力して、営を手伝う家庭菜園へと向かう。二往復して、大葉、きゅうり、長ネギ、トマト、ジャガイモ、茄子と枝豆。泥を落として取ってきてくれる

 

「お、センス良く選んできたね。サラダ、煮物につかえる」

「大葉も、造りには欠かせないからな。分かってるじゃない」

 

褒めてあげるカイ兄、頭を撫でてあげる紫様。嬉しそうな勇馬兄、カル姉

 

「ぅ、あざっす」

「いいこいいこ~」

 

なんで頬まで赤いのか、ちょっと羨ましい。だからわたしも褒められたくて、撫でてほしくて

 

「がっくん、肉ジャガのお出汁取っとくね」

「ありがとリン、お利口さん」

 

行動する。しっかりと撫でてくれる彼、もの凄く嬉しいわたし。胸の奥がジンジンする。調子づいて調理、みりん、料理酒を沸騰させて、アルコールを飛ばす。煮込まないと、本みりんは味が出ない。昆布とタップリのかつお節。もちろん、取り方は、彼に教わった。味付けも煮加減も

 

「リン、ついでに、鍋にお湯、沸かしとこうじゃない。ゆで玉子作って。沸騰した鍋に、玉子入れて、十分。煮るだけだ」

「おっけ~がっくん」

 

彼と、ハイタッチを交わす。ああ、楽しい。ただ、彼が『ハイタッチ』しようとすると、わたしの手は届かない。彼自身は『ミドルタッチ』くらい

 

「ぁ、ゆで玉子、ゎたし作るよ~ぅ、リンちゃん」

「ありがとIA姉~」

 

IA姉とは、しっかりとハイタッチ

 

「勇馬、味噌漬け玉子の味噌、イケるか」

「ッス。喜んでっす。レシピ通りやっとくッス」

 

勇馬兄、手を洗ってギャルソンエプロンを身に纏う

 

「じゃ、オレ玉ねぎとツナ缶のマヨネーズ和えでも作るかな。め~ちゃんのおつまみ用。ああ、豚バラブロックで、角煮もいこう。豚(とん)ちゃん、冷凍してあったよね、殿」

「あったはず。スモークサーモンも冷凍してあったな。サーモンカルパッチョ、作っちゃおうじゃない。ああ、ご飯は炊いておいた方がイイな」

 

対面式のキッチンスペース。普段のごはんはここで足りる。今日集まるのは大人数。集まるホールは離れた場所

 

「にいさま、なにかないですか」

「ユキたちにもできること」

「おてつだいしたい、カイトさん」

「ナニカナイデフカ」

 

やや低い位置からかけられる、カワイイ声。その離れた、ホールで遊んでいた天使様。いつの間にかやってきてくださった

 

「そうだね。じゃ~あ、お菓子をホールに出しておいてもらおうかな。みんなで協力して」

「お利口さん。スナック、キャンディー、ウエハース。出しちゃおうじゃな~い。カル、手伝ってあげて~」

「「「「は~い」」」」

「あにさま、いえいっ」

 

キッチンの奥、お菓子を取りに行く天使様、カル姉。キャスターに乗せて運んでくれる。午前中に、豚の角煮、肉ジャガ。玉ねぎとツナ缶のマヨネーズ和え、アボガドのディップに味噌漬け味玉子。スモークサーモンのカルパッチョ完成。大型冷蔵庫に寝かせておく。手を『加える』ご飯は蒸らしに入る

 

「よし、後は買い出し部隊、待とうじゃない」

「だね、殿。作る楽しみって素敵」

「お料理の楽しさ、目覚めて良かった~」

 

紫様、カイ兄、グータッチ。わたし、両者に撫でられ至福

 

「でゎ~会場も少しつくり~ましょ~、ロロく~ん」

「っす、IAさん。天使も手伝ってくれてる事っすね」

 

IA姉もご機嫌。楽しげな勇馬兄。全員でリビングに移動




彼と作る

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