紫と同じ、大人に
キミは大人に変わっていく
紫と、又違う大人に
駐車場にて
「じゃ、いい加減出発するぞ~お・ま・え達~」
「「「「「「「「「「やは~兄さ~ん」」」」」」」」」」
目立つ集団だったと思う。大人数で、大量買い。バレないと思ったら、最後の最後。カート押して、屋上駐車場に向いがてら、すれ違ったお客様に見抜かれた。求められた、握手やサイン。有難いじゃない。その上で大量買い。運転してて車が重い、現在十二時五十分。駐車場遭難は回避できた。四台高速移動中。IA、めぐ、勇馬の三人、ポーカー展開中
「ワンペア」
「ツーペア」
「IA、フルハウス」
もち歌の歌詞っぽいな、めぐ
「だ~あ負けた、最下位スカっ」
「ぅふふ、今まで見せてたそれはウソ」
「IAちゃん、ポーカーフェイスすぎ~」
はしゃぐ車内。華やぐじゃない
「がっくん、あ~ん」
差し出される、チョコスティック。ありがとう、胸がキュンキュンするじゃない
「まだ遠い、がっくん、疲れない」
その気遣いが栄養剤
「いや、大丈夫。あと、三十分くらいかな。一時過ぎには着くだろうから、ついたらすぐに、どんちゃん騒ぎじゃない」
その間に、ウーロン茶のキャップをひねって
「お茶、置いとくね。飲むとき言って、渡すから」
なんて。最高です、プリンセス
「ゎ~、ぜんぽ~に、萌えるカップル~。がくリン萌ぇ~」
最後尾のIA。のが、突然ふってくるじゃない
「うふふ~、カップルじゃないよ~。まだ、超仲良しさん」
赤面するリンが横目に映る。慌てなくても良いじゃない、時間はイヤでも過ぎていく。今日のここまでだって、掛け替えのない思い出。この思い出と、この仲間達と、俺は今生きている
「うふふ、はい、IAちゃんもあ~ん」
「ぁ~ん」
後ろ向いて、食べさせてあげるのは、めぐ
「は~い勇馬君~」
「っっす、は、ハズイ(恥ずかしい)っす」
言っても嬉しそうだ、勇馬。良かったじゃな~い
「はい、リ~ンちゃん」
「めぐね~え、あ~ん」
妹が、スティック係を買って出る。リンとめぐ、食べさせあってる声がする
「ふふ、ね、リンちゃんも一緒にしない~」
「あ、するする~めぐねぇ~」
何する気になる、俺。弱冠、悪戯ッコの声がする、と
「ぽ兄ちゃ~ん」
「がっく~ん」
「「はい、あ~ん」」
差し出される、二本のチョコ菓子。一瞬固まる。どうすんの、この状況、俺溶けそう。でも、次のセリフで
「食べてね、がっくん。わたしを~」
「ぅ~~~~~わぁ~~~リンちゃんんん」
凍り付いた俺。IA盛大に焦る声。なんて事言う、リン。さては同級生の入れ知恵か。メンバーじゃない事は確か
「リンちゃん、そんなこと言っちゃめ~、だよっ。でもぽ兄ちゃん、チョコスティックは食べてあげなきゃ~。わたしも一緒に、食べて欲しいカナ~、カナカナ~」
「ガクサン、リンのスッ事(すること)に振り回されてッス。メグサンも悪ノリっス~」
二本のチョコ菓子、二人の手から、前歯で引っこ抜く。ちょっと勢いづいて、かみ砕く。からかうんじゃ無い、めぐ馬。まったく、大人の余裕、無くなりそう。イイ指導するじゃない、めぐ。多少、声が怒ってる。でも、悪ノリが玉に瑕。と、言うか、お前そのブラコン発言はヤバくない、めぐ。まぁ、冗談だと受け止めましょう。なら俺は『お返し』しようじゃない、リンに、は。教育的指導の念も込めまして
「リン、そのお菓子、もう一本ちょうだい」
「ん、がっくん、あ~ん」
「いや、そうじゃなくて、頂戴」
左手を出す。渡してくれる、リン。で、俺、スティックを口元へ
「こ~れさ、きっと『キミの味』だと思うじゃない。リンの味~、知っちゃおうじゃな~い、キミの味。まだ本当は知らないキミとの、恋人の味。キミ本人で知っちゃうより先にさ。このスティックで知っちゃおうじゃな~い」
このセリフも反則くさい。俺、内心焦る。でもこのクライやらないと、このお姫様は留まらない
「だだ、ダメ、がっくん、返してそれぇ~~~。そんなのヤ~」
あせる声が聞こえる。まだまだコノくらいで良かったじゃない。こんな意趣返しで、焦ってくれる、純粋っ子
「はい、リン、お返しのあ~ん。まったく、滅多なこと言うんじゃない。怒っちゃうぞ、今度そんなこと言ったら。誰に入れ知恵、された」
「ぅん、ごめん。ん~学校の友達、委員会の」
恐るべし女学生。その子は相当マセテルじゃない。どんな会話か、知りたくはない
「でも実は、どんな意味か知らない。わたし、聞きそびれちゃって~」
知らないじゃない、その意味さえ、この子は。純粋少女、鏡音リン。な・ら・ば
「その意味を、教えてあげようじゃな~い」
「ぽ、ぽ兄ちゃん~っ」
「うん、がっくん教えて~」
めぐが焦ってる。安心して、めぐ、言わないから
「物騒な意味、だ。昔、日本の戦闘機に乗ってた人が使った言葉『クッタ』は撃墜した。飛行機を打ち落としたって意味。戦争なんかするもんじゃない」
平和が一番。幾つも時代が過ぎまして、茶色の戦争、あったじゃない。世界の皆様に、オハヨウオハヨウ
「で『クワレル』ってのは『撃墜される』ってこと」
誤魔化す。でも、言ってることは正しいじゃない。物騒、間違いなく物騒だろう『神威の誤魔化しは、数年後にバレのである。けっけっけ』重音の声が聞こえた気がする、喧しい(やかましい)何の予言だ。バレようが、今はこれでイイ。誤魔化す
「撃墜されたら、もうそれでお終い。あの世に逝っちゃう。そこからきてるの。食べられるって『命を差し出す』ってこと。使うんじゃない、そんな言葉」
「そ、そぅだよ~ぅリンちゃん。食べられたら、リンちゃんが大変な目に遭っちゃうよ~」
その通りじゃない、IA。あんな事
「絶対言ったらダメ。俺の前でも、メンバーの前でも。増して、他の人の前で絶対言わない。約束出来る~」
「あ、そんな意味だったんだ。ぅわ、わかったがっくん。絶対に使わない。やだ、がっくんと恋人成れないで逝っちゃうの~」
煙に巻かれてくれた。ああ、良かった。イイじゃない、こんなトコロは純粋少女。勘繰ったり、疑ったり、しなくていい。潔癖、純血、そんな事には拘らない。でも、思う、もう少しそのままでいて。重音が居たら、絶対茶化すんじゃない。でも、ね
「無理矢理、背伸び、しないで欲しい。俺、もう少しの間、純粋女の子、リンでいて欲しい。今だけじゃない、そのキミでいられるの。大人に成ったら、イヤでも長く大人、しなきゃいけないから」
大人って、年齢で『括られて』早十二年。窮屈になったじゃない。そう『恋』さえ自由に出来ない。俺が平均天寿まで、仮に生きるのなら。あと約五十年、窮屈に生きなけりゃいけない
「がっくん、大人ってそんなに窮屈なの。なんか大人に成りたくなくなる~。がっくん、大人は『イヤ』って言ってる気がする~」
ははは、そうだね、リン。大人に成ったから
「大人で楽しい事もある。酒飲むとか、色んな経験も楽しめるじゃない」
「たしかにね、ぽ兄ちゃん。出来ること、増えちゃったカナ~」
めぐが、どんなこと増えたのかは解んない。まあ、俺が増えたことは、バイトだった。PROJECTに来る前は。遅い時間帯、出来るようになった
「ガクサンはアレっすか、お子様見たらダメみたいなの。ホラー映画とか、その他い゙でッ」
「ゆ・う・ま・君、めっカナ~。そんなのを見たら~」
あ、珍しくめぐ、勇馬の耳をツネッテる。アレは仕置きか、嫉妬なのか。怒ってるなふふ
「さてな~ぁ、勇馬。そこは一緒なんじゃない『野郎』ってのは」
そこを突くんじゃない、勇馬。お前もか、なんたら、って風情。というか、変な自爆になってない、勇馬君。ふふ、汚れてしまった悲しさは、何も望むな、願いを乞うな
「大人は大人で、大人の嗜みを楽しむの。でもね、大人に成ったら、子供に戻ることは出来ない。大人っぽい子、は良いけど、子供っぽい大人って、それはあまり宜しくない」
社会的立場、とかなんとか。ま、外聞とか何とか、そんな括りをされるじゃない
「今のキミは貴重な年齢を過ごしてるって思おうじゃない。掛け替えのない、今、キミのままのリンでいて。無理な背伸びは、俺嫌い」
「ん、解ったがっくん。嫌いはヤダ」
悲しい声が聞こえるから、俺は本音をハクじゃない
「だ~か~ら、俺はキミが好き。まぁ、背伸びするなって言ったけどさ、可愛いと思っちゃう。色んな事学んで来て。それで、さっきみたいな事あったら、その都度(つど)注意。何にも気にしないで、キミはキミを謳歌して。リン、キミの人生(みち)を歩いて」
「うん、がっくん。楽しく生きればイイんだよね」
その通り。俺如きが、リンの制約をする権利無し
「楽しく~ぅ。今日は楽しい、休日だよ~ぅ」
「楽しもうね、IAちゃん。リンちゃん、勇馬くんも」
そう、IA楽しいじゃない。バックミラー越し、お、めぐが勇馬を勢い良く撫でるじゃない。アレはさっきの言動に対するお説教とミタ
「っす、メグサン、アザッス」
でも勇馬、お前嬉しそうだ。めぐの独占欲じゃない、あの行為
「そういうことで、リン。羽目(はめ)外して楽しもうじゃない。この度の休日を。大好き、リ~ン」
「今度は嬉しい~~~っ。がっくんありがとう、だ~いすきだよっ。仲良しでいてね、一番の」
俺もうれしい。隣に座る、純粋っ子、想いを寄せてくれる。大人(笑)のこんな俺に。恋の神様のヒマツブシ、盛大につき合ってあげようじゃない
つき合うのなら、いっそ楽しく
苦も楽しもうじゃない
大好きな人とだから
キミと一緒だから