はじまりのあの日   作:代打の代打

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想いを寄せる『二人』

想い、決められない少年

尋ねられた『どっち』って

出した応え、それが答え


鏡音の恋模様・レン

午後三時半

 

お好み、デザート、スナック菓子。ころがる缶瓶、飲み物の殻。宴たけなわ。はしゃぐ子供。じゃれるメンバー。俺も楽しいじゃない

 

「あ、そ~いえばさっ、みんな~ぁ」

 

リリが声を上げる

 

「車ん中で、何話してた~、気になんじゃん。話し合おうぜ~」

 

言われたら確かに。みんな何話してたじゃない

 

「ウチらはさ、あやかし時計とカツゼアイ。天使様がすっき(好き)な話題~」

「年配ですから、付いていくのに精一杯でした」

「あやかしどけい、おもしろいです」

「ね、リュウくん」

 

成る程、人気アニメとゲームの話題。子供達夢中じゃない。リュウト、ユキ、お好み食べて楽しそう

 

「ニホンハ、アニメモたのしくて、すてきです」

「カツゼアイ、いいよね~」

 

エビフライのタルタルで口の周りよごす、オリバー、いろは

 

「うちらはね、オシャレとか、今日楽しみだね~とか」

「次の公演なんかの話もしてました~」

 

らしいじゃない、Mikiピコ。Teenager(ティーンエイジャー)らしい話題

 

「かるも同じ、あくせさり~気になる、る。も、も、ダンナさまさま、てとてとさま、違うお話し」

 

まぁ、それも想像つくじゃない。歳とタイプが違いすぎる

 

「拙者と重音殿は、国内GDPの低下について、議論していたでゴザル」

「国内で賄えば、働き口も増えるのによう」

 

アル、重音、真面目な話だな。と言うか、アル、国内って、さすが魂は日本人

 

「オレ達はね、やっぱり今日のこと」

「お酒も旅行も、お料理も。楽しみね~って」

 

夫婦間の会話じゃない、想像つく

 

「話ながら、レンがかき回されてるの、笑ってみてた」

「ダメな大人よね~、ふふふ、レン、好きなのよね」

「めめ、め~姉えええ」

 

ダメじゃない、メイカイ夫妻。弟の恋模様、にやつきながら観るって、それは楽しいじゃな~い

 

「へっへ、どっちが好きなんだ~、レ~ン」

 

リリ、悪戯っ子モード全開。お好み片手、レンの首に、腕回し

 

「うちも気になっちゃうかも~」

「選択の機会が来たでゴザルカ」

 

にやにや、Mikiアル。両者、豪快にお好み焼きにかぶりついて、飲み物一気

 

「ちょっと気になるな~。ルカ姉相手じゃ、負けちゃうかも~」

「アラ、ワタシも心細いですの。ミクちゃんの愛らしさに、負けてしまわないか、不安ですわぁ」

 

選ばれる、緊張感、ミクとルカ

 

「わ~、コッチまで緊張しちゃいます~ぅ」

「ゎ、レン君、選んじゃうの~」

 

ピコ、色違いの瞳爛々乱。IA、萌えてるな、あの顔

 

「れんにい、みくちゃんすき」

「れんさん、るかさんすきです」

「え、選んじゃうの、恋人」

「エラブノ、ムズカシイデス」

 

天使に悪影響じゃない、この話。しかしまぁ、良い悪いの参考にはなるか

 

「へへへ、両手に花ってか~。そのまま行ったら、ガンジガラメ、こじれるっす。どうすんだ~レン」

「はっきりしたら~。わたしは言ったよ、皆の前で、がっくんが好き~って」

「大きな声で言ったじゃなあ~い」

「れんれん、三人、お似合い愛」

 

勇馬、カラカイモード。リン、ちょっと意地悪モード。俺も若干、イタズラモード。カルの言葉、そう来るか、と思った。みんなの声と、やや茶化しと。他ならぬ『姉』の声が、レンの琴線に触れたんじゃない

 

「~っどっちもぉぉぉ~~~~~」

 

涙目、頬真っ赤、叫ぶレン。おお、この展開は考えてない。全員静か、何だかあの日と、似た展開

 

「お、おれ選べないっ、今は二人っとも好き。わかんない、選べない~~~。だからどっちもぉっ。イヤだっ、おれ、おれの事好きって二人で言ってくれてさっ。おれも二人が好きなのっ。選ぶ方がイヤだっ。どっちか『キズツケル』なんてイヤだっ。悪いか~~~~~」

 

ヤケも入った。だけど、これが、この子の答え。まったくこの双子には叶わない。反則行為が道理を通す、そんなこともある。無茶で通りを蹴飛ばすなんて、どこかのアニキが言ったじゃない

 

「何にも悪くないんじゃない。それこそボカロファミリー内、LocalRule(ローカルルール)でイイじゃない。大体、先手、ルカだった。告白はルカが先だった、ミクも好きって言ったのも、ルカ」

 

車の中で、勇馬が言ったローカルルール。大人が告げた、子供のレンに。子供が告白した、大人のルカに。年上のミクに。まぁ、お嬢と野郎で温度差ある。でも考えたら、勇気の要ることじゃない。ルカもレンも。立ち上がって、頭を撫でに行く、俺。レンの前にしゃがみ込んで

 

「決め切れないんじゃない、二人とも同じくらい好きなんだ、レン。どっちか片方選んだら、もう片方が傷つく。そんな優しいレンでいい」

 

これは、俺個人の意見。間違えと思ったら、誰か否定して

 

「が、がくにい、おれ、おれイイのかな。ミク姉、ルカ姉『どっちも』なんて。おれなんかまだ、ミク姉よりチビだしさ。る、ルカ姉は大人で美人、お、おれなっんか、まだ子供で」

 

撫ではじめたら、レンがボロボロに泣きはじめちゃった。それがお前の心音なんだ、レン。でも

 

「気にしない、レン。外見なんて、恋心には関係ない。お前十二分に美少年。気を使わなきゃならないのは、俺達、大人の役割。目の前の俺は、お前の姉と、じゃない。よっぽど俺のが反則的。確かに二人ともって、反則かもしれない」

 

リンは撫でられるの好きだから、効果あるかも、レンにも。そう思って撫で続ける

 

「それが『反則』って解ってるから、選ぼうと努力したんじゃない。心の何処かで。じゃなきゃ『選ぶ』って言葉もナイ。考えてみたら『選ぶ』ってのも失礼な言い回し『決める』って言おうか」

 

食事のMenu(メニュー)でも選ぶみたいな、軽い選択じゃあない

 

「決められない、それ、レンが出した答えでイイんじゃない『決めない』と『決めた』優しいレンの答え。どう、百合姉妹」

 

と、ミクルカを観る。二人っとも、瞳潤ませ、頬紅潮『え』も言われない、じゃない、その顔。俺、リリ、レンの元から離れる。飛びついていく、百合姉妹

 

「これでイイんじゃない」

「双子そろって、面倒くさい恋模様だな、おにぃ」

 

じゃない、リリ。でも、間違ってないんじゃない。朝、カイトが言ったように。リン、レンも、導き出した、自分の答え。間違えが、間違いじゃない。そんな答えがあっても、イイんじゃない。現に今、メンバーが三人を祝福してる

 

「姉弟揃って、どんな恋のシナリオ、じゃない。なぁリリ」

「へへ、ま、ウチも似たようなモンかな~」

 

じゃない、リリ。俺とリン程じゃなくても『年の差』思い人。神様の戯言は、いよいよもって宜しくない。随分とまぁ、趣味の良くないヒマツブシ。そんな歌もあるじゃない

 

「がっくん、座って」

 

リンが、立って、俺に座ることを促す。ってことは

 

「指定席じゃない、お姫様」

「ぅふふ~」

 

座って、脚を立て広げる。その間に収まる、お姫様。コレも七年で変化した。はじめの頃は本当に膝の上、片足ずつにリンとレンが座った。いつの間にかリンだけになって、完全に指定席。リンが成長するにつれ、膝の上だと、脚が痺れるようになった。で、今の座椅子スタイル。両足の間に、収まるリン

 

「ありがと、がっくん、レンのこと」

 

リンが俺に、凭れ(もたれ)ながら告げてくる

 

「おちゃらけ気分で訊いたけどね、レンに『どっち~』って。どっちもなんて『だめ~』って思ったから」

「まぁ、本来はだめなんじゃない。でもさ『二人とも』でも許される道を探すしかない。それがレンの答え」

 

あ、いつの間にか撫でてた、リンの頭。もうコレ条件反射、習慣じゃない

 

「やっぱり『弟』だから、何だかスッキリしちゃった。それにね、がっくん、レンのこと、慰めてくれた。俺より反則じゃないって。それはちょこっと気になっちゃったけど。でも、反則じゃないって、言ってくれた」

「『決めない』って『決めた』優しいレン君、カナ~。ぽ兄ちゃん、お疲れ様、はい、お酒~」

 

俺よりは反則じゃない。少なくとも『現時点』では。この先は、俺以上の反則になる。それは言わない、そして知らない方がイイ、今は。でも、探すしかない『抜け道』を

 

「ありがとう、めぐ。俺、リンと同じようにさ、超えていかなきゃ、レンも。高い壁を」

 

ちょっと疲れて、リンの頭に顎を載せる。コノくらいなら許して欲しい『恋人』ごっこ。俺、レンの『抜け道、茨の道』に思いを馳せる

 

「さ~ぁ、レンが『決めた』お祝いはじめるわよ~」

「お祝いだよ~~~」

「今、素晴らしい気分ですわ~」

「ふぇひぇ、コッチの展開も面白くなってきたぜぁぇぇ~ん」

 

やっぱりそうなるじゃない、女王陛下。主役、ミクルカ、完全にノリノリ。重音、お前どんな趣味。こんな神様が、暇潰ししてるんじゃない。重音みたいに、悪趣味の暇潰し。なら俺も提案、しようじゃない

 

「乾杯だけ済ませて、今度は中で、はしゃがな~い。スイーツやスープ系料理は、キッチンの方が都合良い」

「あ、わたしがっくんにさんせ~い」

「ゎたしも~。お菓子も食べたいよ~ぅ」

 

リンとIAが賛成してくれる。これならもう決定じゃない

 

「ウチもおにぃにっ。スイーツ食べようぜっ、センセ」

「私も神威さんに。皆さん、入浴も済ませてしまいませんか」

 

リリの同意と、テルの良い提案

 

「良いわねえ、身支度済ませて、飲み直したいわ~」

「オレも汗流したいかな」

 

メイカイ夫婦もご賛同。ここでもう、決定じゃない

 

「じゃあ、飲み物用意~」

「お三方をお祝いします~ぅ」

 

Mikiピコ楽しげ。飲み物が各位に。俺はさっき、めぐが注いでくれた米焼酎

 

「発声は、レン、ミク、ルカ。それぞれがおやんなさ~い」

 

女王陛下、ご氏名。当然じゃない、この三人の発声

 

「ん、おれまだ気持ちの整理、付いてない。あ、ん、っと整理って言うか、なんかふわふわして、心の中。まだ、本当なのか解んない。世界中のみんなから好かれてる、かわいいミク姉。ファンからはさ『ルカ様』なんて呼ばれてる、美人のルカ姉。その二人が、本気でおれを、お、おれなんかを、さ」

 

ややうつむきかける、レン。感じるんじゃない、劣等感。まったく、そんなモノ感じる必要ない、って思ったから

 

「レン、顔をあげようじゃな~い、宣言しろ~っ。二人はお前のだって」

「ルカ姉、ミク姉の、だよ~、レンは~」

 

声だしたら、リンも声をあげる

 

「世界を敵に回したって、わたし、好きなんだよ~、レン君がっ。あ、味方なら一人は必ず居る。大好きなルカ姉が味方っ。ううん、20人も味方がいるも~ん。みんながみ~か~たっ」

 

そうじゃない、ミク。一人の味方はルカ。ルカを含む、俺達二十人は、総てお前の味方

 

「ワタシ、幸せですわぁ。誰よりも好きな、素敵なレン君に決めていただきましたの。大好きなミクさんと共に」

 

どんな形の、愛があってもイイじゃない

 

「おれっ、二人を護れる男になるからっ。がく兄、鍛えてねっ。乾杯しよ」

 

イイ男気じゃない、レン。勝手に思う。杯を掲げる一同

 

「「「かんぱ~~~いっ」」」

「「「「「「「「「「レンルカミク、おめでと~うっ」」」」」」」」」」

 

悪趣味なヒマツブシを、せめて俺達が楽しんでやろうじゃな~い。乾杯して、午後四時、いったん、打ちアゲ。全員協力、お片付け

 

 

 

午後四時半

 

傾いてきた、日差し。涼しい、気持ちの良い、湖風が良い塩梅。片付けがてら、残った料理なんかも運ぶ

 

「このテラスでも、楽しめそうじゃない」

「いいね、明日朝ご飯、ここで食べようか」

 

思いつく、俺。カイトの提案。休日、カスタム計画進行中

 

「「「「おそとでたべたいで~す」」」」

「これは決定です~ぅ」

「天使様のリクエスト~」

 

じゃない、ピコMiki。天使組のリクエスト

 

「動画映えもバッチリっ。外ご飯だって特別だよ~」

 

ミクもはしゃぐ。明日は

 

「お外朝食、決定ね~。さ、どうぞカイト、神威君」

「あるがとう、め~ちゃん」

「すまないメイコ」

 

決定が、女王陛下によって下される。洒落たランタン付いてる、玄関。その扉を、女王陛下が開けてくれる。料理のお盆を手に、敷居をまたぐ

 

「はい、スリッパもどうぞ~。がっくん、カイ兄」

「ありがとう、リ~ン」

 

お姫様、スリッパを差し出せてくれる。本当にお利口さん。観る、室内。目の前には階段。左を観ると、キッチン。コンロとオーブン。広いリビングが奥に

 

「すごいね、め~ちゃん。コレ何畳分、広さ」

「38畳って書いてあったわ~」

 

大リビング。そこに長テーブル。その上で回る、シーリングファン。天井で回る羽根のアレ。見上げると、真ん中は吹き抜け。テレビと冷蔵庫、エアコン完備。階段右の通路奥、風呂場と手洗い、男女分け。洗面所も、又別に。二、三階が個々の部屋。くつろげる間取り。まずは料理をテーブルに。次は、一塊になっている私物を、部屋に入れるため

 

「部屋決めちゃおうじゃない」

「そうね、一階の寝室から決めましょうか。三人部屋」

 

一階にもあるのか、寝室。ああ、そういえば玄関の右にも部屋があったじゃない。それは、俺達に都合が良い『万が一』無いようにするなら。人数もばっちり

 

「俺、テル、レンが使おうじゃない、一階の部屋。どう、メイコ。テル、すまないけど、レンも」

「そうね、ありがと、神威君。ごめんなさいね、みんなと離れちゃって」

「私も賛同致しますよ、神威さん。ご配慮感謝申し上げます」

 

この分け方、しっかり理由がある

 

「う~、がっくんの部屋、近くが良かったのに」

「センセの隣とかが良かったな~」

 

『部屋分け』の言葉で、イタズラ姫二人の瞳が輝いたじゃない。だから遠ざけた、部屋。お菓子をあげても、悪戯する、リリリン姉妹。まぁ、この二人へは、何とか俺、テル、対処できる。しかし、リスクが軽減するに越したことはない。で

 

「あ、ん、おれもそれでいいよ。なんか危険信号が浮かんできた」

「え~、レン君、一緒に寝ようよ~。ルカ姉と三人で~」

 

ほら来た、ミクの目が悪戯星で満たされてる。閃き、か。ロボアニメの『勘の良い新人類』みたいじゃない、レン。勘で何か感じたか

 

「ルカ、良いわよね」

「ええ、残念ですが。ご一緒すると抑え切れません、わ」

 

自覚症状、抑えなきゃだめ。だから『ご一緒』しないルカ。抑えきれないのか、ルカ。これ、ミクも危険なんじゃない

 

「ですので、お姉様、リンちゃん、同室いたしませんか」

「ん、解った、いいよ、ルカ姉」

 

多少萎む、リリリン二人。そんな顔するんじゃない

 

「部屋が遠くたってイイじゃない。心が近ければ。さて、これからみんなで、もっと楽しもうじゃな~い」

「では、決まった方から私物を運んでしまいましょう。さあ、レンさんも」

「わかった、がく兄、先生」

 

荷物を手に一団から離れる。歩きながら、玄関横の部屋へ。ベッド三つが並ぶ、オシャレな洋室。手前には、三人掛けの丸テーブル。扉を閉じる。ベッドの上、それぞれバッグを置く。と

 

「神威さん、お気遣いの部屋割り、感謝申し上げます。人選で察しがつきましたので」

「さすがテルじゃない」

 

話しかけてくる、テル。さすが

 

「何となく解ったけど、どうして、がく兄」

 

まぁ『生々しく』は話せない、けど

 

「レン、本当に一緒に眠らなくてもさ、無理じゃない」

 

解ってない目のレン。危なっかしい

 

「リンもリリもさ、恋人に成りたいわけ。俺、テルとさ。本心は俺も同じ。テルは」

「許されるのでしたら、私も同じですよ、神威さん。今はまだ許されません」

 

少し寂しそう、テル。お前も切ないんじゃない

 

「ミクとはまぁ、許されるよ、レン。でもルカとは恋人成れない、レン、今はまだ。さっき、レン『決めない』って『決めた』後さ、ふわふわしてるって、心が。そう言った」

「うん、実は今もまだ、何だか解んない」

 

ほら、危なっかしい。この『隙(スキ)』は危うい

 

「その心の状態でさ、求められたら危なくない、お前も男の子。ミクは女の子。ルカは大人。断り切れる、恋人。最近、リンより『おませ』なレンきゅん。恋人がするコト、しようって言われて断れる。あの二人に言われて、さ」

 

次の瞬間、顔真っ赤。両手を口に当て、しゃがみ込むレン。思い至ったか、レンのある意味成長の証し

 

「―、がく兄、無理。なんか今日だけは無理っぽい」

「じゃない、レン。ソレが野郎って生き物か。高揚したしの心のままじゃ、危なっかしい。しかもさ、ミクと恋人は、まぁ許されるけど、ルカはダメ」

 

目を潤ませるんじゃない、レン。赤くなって、しゃがんで、口を覆って、目を潤ませる。ちょっと~、可愛いじゃな~い

 

「ミクとだけ恋人に成ったら、ルカが傷つくじゃない。ルカ自身、耐えられそうに無いって言った。ルカに反則をさせたら、どう思う、レン」

 

ヤダヤダ、首を横に振る、レン。そんなところが、優しいこの子

 

「だから、の部屋分け。落ち着かせようじゃない、その心」

「落ち着けば、お付き合いの方法も、浮かび上がって参りますよ。焦ってはいけません」

 

心の奥を掴んで、揺さぶられれば弱い。動揺の正体は、二人の姉。今の状態は危なっかしい。簡単に『反則』をしちゃう可能性があった。テルの完璧なFollow(フォロー)が入る。よいねっって感じ

 

「さて、落ち着くために、男三人で風呂にでも行こうじゃない」

「シャワーを済ませましょう、レンさん」

「ん、行く。解った、うわ~危ないトコだった~」

 

未だに顔の赤いレン。下着や着替え、タオルを手に、未だ部屋割りに騒ぐメンバーに告げて入浴。お、まだ細やかだけど、レンも成長したじゃない。ははは、風呂をあがった後、ドライヤー大会。テルとレン、手伝ってもらう、俺

 

「でも、おれどんな風につき合えば良いのかな、がく兄」

「それは見つけるしかないんじゃない、レン自身が」

 

俺が首を突っ込む問題じゃない。と言って、大人ができる、注意事項はあるんじゃない

 

「まぁ、一つだけ言えるのは、恋人に成らないこと。今は、ね。俺とリン、何処までも恋人じゃない。見える、レン、俺とリン、恋人に」

「ううん、見えない、まだ恋人には。リンは昔からがく兄に懐いてるから。今はまだ、そのまんまなカンジ」

 

そう見えて、リンには悪いけど良かったじゃない

 

「少しはHint(ヒント)にならない。そういう事、さっきレンが気付いたように。恋人ダメは大前提。その上でおねぇ二人、許される範囲でお付き合い。仲良くはしようじゃない」

「レンさんも御苦心、されると思います。何せ『お二方』のお相手。その上で年齢も上のお二人ですからね」

 

そうだ、テル。レン『決めない』と『決めた』なら、その『三人』で乗り越える。あくまでも『三人』で。偏りはナシ

 

「背伸びも併せようともしない。無理に大人に近付かない。その上でおねぇ二人、求められるお付き合い、しようじゃない」

「ご相談には、いつでも応じますので、お話し下さいね」

「ん、解ってないけど、少しだけ解った」

 

男三人、風呂上がりのそんな会話

 

 

 

午後五時半

 

今日はボイトレ休み、どのみち後で歌うじゃない、カラオケ大会。メンバー、部屋割り決定。二階、四部屋。男の娘を、男の中に放り込むのは不味いのでは。と言う事で、男の子の保護者にしたらしいじゃない。ピコ、リュウト、オリバー一部屋。さっきと違って、重音ストッパーということで。メイコ、重音、ルカ、一部屋。リリ、いろは、ユキ、一部屋。勇馬、アル、カイト、一部屋。階段に近い部屋がお嬢。遠い方が、男組。三階、めぐ、ミク、リンで、一部屋。Miki、IA、カルで一部屋。代わり番こに、風呂場へ向かう。俺達は寝室で緩やかに休み中

 

「はあ~、ホント、信じらんない。ミク姉ルカ姉、ほんとに、おれのこと。おれなんかのこと。っ~~~」

 

本当にその心境なんじゃない、レン。今日までは信じられなかった、百合姉妹が、本気でレンを好きな事。大の字に寝ていたレン、自覚して照れ照れ。枕を抱いて横向きになって、脚ジタバタ。可愛らしい反応じゃない

 

「自覚しろ~、ちょっとだけ自惚れろ~。お付き合いする人が出来たって。世界の人気者、可愛いミク。世界級大美人、ルカ。それがお前の想い人だ、レン。ただし、自惚れ『過ぎ』るんじゃ~ない」

「交際を始めた事実を自覚しませんと、またお相手を傷つけることもございます。清く、正しく、慎み深く、ですよ、レンさん」

 

レン勢い良く起き上がる。ベッドに腰掛け、枕を抱いたまま

 

「うん、がく兄、先生。教えて、イロイロ。でも、おれ、今嬉しい。おれ、学校に仲良い女の子とかも居ないのにさ」

 

多分、それは牽制の仕合で、誰も『手が出せない』からじゃない。ヘタに動けば、周りに吊し上げられる。女の子は恐ろしい。絶対居るんじゃない、レンきゅん親衛隊

 

「カワイイミク姉、美人のルカ姉。二人とも、すごくイイ子だし、やっぱ信じらんない」

 

『イイ子』って表現が、まだ子供の証し。だからこそ自覚しなきゃ

 

「だからと言って、お調子に乗ったらダメ。調子付いて、他に言ったりすれば、あっという間に崩れちゃう。三人の関係、レンが築いてきた総て。許されてるのは、このメンバーの中だけだから。ルカ、ミクだって、お調子に乗った、浮ついちゃったレンを好まないんじゃない。あくまで、自然体のレンでいること」

 

狭い世界だから許される、幸い。これも歌にあったな、俺が若い頃、活躍してたバンドの歌に

 

「やっかみとは、恐ろしいものです。レンさん、口を閉ざすのは、レンさんご自身を護る意味もあります。残酷な物言いですが『本来ならば許されない』間柄であることは、お忘れ無く。レンさんのご年齢、浮ついてしまう方も多いですからね」

「うん、がく兄。だって叶わないよ、二人、ミクルカ姉に。先生、解ってるよ。だって、お父さん、お母さん、一人ヒトリ、だもん。どこ観たって、二対一、なんてない。解った、二人とも。ムリに変える、変わる必要、ないんだね」

 

国と時代で、あったりするんじゃない。まあ、今この国じゃ反則。あ、ちょいと考える。ルカが想いを告げなければ、この関係なかったんじゃない。ってことは、『ルカによる一婦多妻』なカンジもする。そんな会話してたら、ノックされる、部屋のドア

 

「どうぞ、開けて構いませんよ」

 

テルの応答。顔を見せた

 

「あがったよ、殿。準備に入ろうか」

 

カイト。よし、掛かろうじゃない、第二弾

 

「宴会の準備しようじゃな~い」

「お手伝い致しますよ」

「手伝う、がく兄~、あ、がく兄」

 

部屋を後にしようとして、レン思い出したように、イヤ、何か思いついたじゃない

 

「ヘアピン、持ってないかな」

「ああ、一応持ってきてる。何か使う」

 

バッグの中から、取り出し、渡す。箱売りの、飾りっ気ないヘアピン。長髪の俺、必要なときもあるじゃない

 

「ん、ちょっとね。考えた、おれ『仲良し』でいる方法。変な背伸びじゃなくって」

「偉いじゃない。さて、行こうか」

 

一先ず(ひとまず)色恋忘れ、楽しもうじゃない、この休日を

 




『決めない』と『決めた』

間違いが間違いじゃナイ

そんな答えが、あってもいい

これから大変、だろうけど
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