想い、決められない少年
尋ねられた『どっち』って
出した応え、それが答え
午後三時半
お好み、デザート、スナック菓子。ころがる缶瓶、飲み物の殻。宴たけなわ。はしゃぐ子供。じゃれるメンバー。俺も楽しいじゃない
「あ、そ~いえばさっ、みんな~ぁ」
リリが声を上げる
「車ん中で、何話してた~、気になんじゃん。話し合おうぜ~」
言われたら確かに。みんな何話してたじゃない
「ウチらはさ、あやかし時計とカツゼアイ。天使様がすっき(好き)な話題~」
「年配ですから、付いていくのに精一杯でした」
「あやかしどけい、おもしろいです」
「ね、リュウくん」
成る程、人気アニメとゲームの話題。子供達夢中じゃない。リュウト、ユキ、お好み食べて楽しそう
「ニホンハ、アニメモたのしくて、すてきです」
「カツゼアイ、いいよね~」
エビフライのタルタルで口の周りよごす、オリバー、いろは
「うちらはね、オシャレとか、今日楽しみだね~とか」
「次の公演なんかの話もしてました~」
らしいじゃない、Mikiピコ。Teenager(ティーンエイジャー)らしい話題
「かるも同じ、あくせさり~気になる、る。も、も、ダンナさまさま、てとてとさま、違うお話し」
まぁ、それも想像つくじゃない。歳とタイプが違いすぎる
「拙者と重音殿は、国内GDPの低下について、議論していたでゴザル」
「国内で賄えば、働き口も増えるのによう」
アル、重音、真面目な話だな。と言うか、アル、国内って、さすが魂は日本人
「オレ達はね、やっぱり今日のこと」
「お酒も旅行も、お料理も。楽しみね~って」
夫婦間の会話じゃない、想像つく
「話ながら、レンがかき回されてるの、笑ってみてた」
「ダメな大人よね~、ふふふ、レン、好きなのよね」
「めめ、め~姉えええ」
ダメじゃない、メイカイ夫妻。弟の恋模様、にやつきながら観るって、それは楽しいじゃな~い
「へっへ、どっちが好きなんだ~、レ~ン」
リリ、悪戯っ子モード全開。お好み片手、レンの首に、腕回し
「うちも気になっちゃうかも~」
「選択の機会が来たでゴザルカ」
にやにや、Mikiアル。両者、豪快にお好み焼きにかぶりついて、飲み物一気
「ちょっと気になるな~。ルカ姉相手じゃ、負けちゃうかも~」
「アラ、ワタシも心細いですの。ミクちゃんの愛らしさに、負けてしまわないか、不安ですわぁ」
選ばれる、緊張感、ミクとルカ
「わ~、コッチまで緊張しちゃいます~ぅ」
「ゎ、レン君、選んじゃうの~」
ピコ、色違いの瞳爛々乱。IA、萌えてるな、あの顔
「れんにい、みくちゃんすき」
「れんさん、るかさんすきです」
「え、選んじゃうの、恋人」
「エラブノ、ムズカシイデス」
天使に悪影響じゃない、この話。しかしまぁ、良い悪いの参考にはなるか
「へへへ、両手に花ってか~。そのまま行ったら、ガンジガラメ、こじれるっす。どうすんだ~レン」
「はっきりしたら~。わたしは言ったよ、皆の前で、がっくんが好き~って」
「大きな声で言ったじゃなあ~い」
「れんれん、三人、お似合い愛」
勇馬、カラカイモード。リン、ちょっと意地悪モード。俺も若干、イタズラモード。カルの言葉、そう来るか、と思った。みんなの声と、やや茶化しと。他ならぬ『姉』の声が、レンの琴線に触れたんじゃない
「~っどっちもぉぉぉ~~~~~」
涙目、頬真っ赤、叫ぶレン。おお、この展開は考えてない。全員静か、何だかあの日と、似た展開
「お、おれ選べないっ、今は二人っとも好き。わかんない、選べない~~~。だからどっちもぉっ。イヤだっ、おれ、おれの事好きって二人で言ってくれてさっ。おれも二人が好きなのっ。選ぶ方がイヤだっ。どっちか『キズツケル』なんてイヤだっ。悪いか~~~~~」
ヤケも入った。だけど、これが、この子の答え。まったくこの双子には叶わない。反則行為が道理を通す、そんなこともある。無茶で通りを蹴飛ばすなんて、どこかのアニキが言ったじゃない
「何にも悪くないんじゃない。それこそボカロファミリー内、LocalRule(ローカルルール)でイイじゃない。大体、先手、ルカだった。告白はルカが先だった、ミクも好きって言ったのも、ルカ」
車の中で、勇馬が言ったローカルルール。大人が告げた、子供のレンに。子供が告白した、大人のルカに。年上のミクに。まぁ、お嬢と野郎で温度差ある。でも考えたら、勇気の要ることじゃない。ルカもレンも。立ち上がって、頭を撫でに行く、俺。レンの前にしゃがみ込んで
「決め切れないんじゃない、二人とも同じくらい好きなんだ、レン。どっちか片方選んだら、もう片方が傷つく。そんな優しいレンでいい」
これは、俺個人の意見。間違えと思ったら、誰か否定して
「が、がくにい、おれ、おれイイのかな。ミク姉、ルカ姉『どっちも』なんて。おれなんかまだ、ミク姉よりチビだしさ。る、ルカ姉は大人で美人、お、おれなっんか、まだ子供で」
撫ではじめたら、レンがボロボロに泣きはじめちゃった。それがお前の心音なんだ、レン。でも
「気にしない、レン。外見なんて、恋心には関係ない。お前十二分に美少年。気を使わなきゃならないのは、俺達、大人の役割。目の前の俺は、お前の姉と、じゃない。よっぽど俺のが反則的。確かに二人ともって、反則かもしれない」
リンは撫でられるの好きだから、効果あるかも、レンにも。そう思って撫で続ける
「それが『反則』って解ってるから、選ぼうと努力したんじゃない。心の何処かで。じゃなきゃ『選ぶ』って言葉もナイ。考えてみたら『選ぶ』ってのも失礼な言い回し『決める』って言おうか」
食事のMenu(メニュー)でも選ぶみたいな、軽い選択じゃあない
「決められない、それ、レンが出した答えでイイんじゃない『決めない』と『決めた』優しいレンの答え。どう、百合姉妹」
と、ミクルカを観る。二人っとも、瞳潤ませ、頬紅潮『え』も言われない、じゃない、その顔。俺、リリ、レンの元から離れる。飛びついていく、百合姉妹
「これでイイんじゃない」
「双子そろって、面倒くさい恋模様だな、おにぃ」
じゃない、リリ。でも、間違ってないんじゃない。朝、カイトが言ったように。リン、レンも、導き出した、自分の答え。間違えが、間違いじゃない。そんな答えがあっても、イイんじゃない。現に今、メンバーが三人を祝福してる
「姉弟揃って、どんな恋のシナリオ、じゃない。なぁリリ」
「へへ、ま、ウチも似たようなモンかな~」
じゃない、リリ。俺とリン程じゃなくても『年の差』思い人。神様の戯言は、いよいよもって宜しくない。随分とまぁ、趣味の良くないヒマツブシ。そんな歌もあるじゃない
「がっくん、座って」
リンが、立って、俺に座ることを促す。ってことは
「指定席じゃない、お姫様」
「ぅふふ~」
座って、脚を立て広げる。その間に収まる、お姫様。コレも七年で変化した。はじめの頃は本当に膝の上、片足ずつにリンとレンが座った。いつの間にかリンだけになって、完全に指定席。リンが成長するにつれ、膝の上だと、脚が痺れるようになった。で、今の座椅子スタイル。両足の間に、収まるリン
「ありがと、がっくん、レンのこと」
リンが俺に、凭れ(もたれ)ながら告げてくる
「おちゃらけ気分で訊いたけどね、レンに『どっち~』って。どっちもなんて『だめ~』って思ったから」
「まぁ、本来はだめなんじゃない。でもさ『二人とも』でも許される道を探すしかない。それがレンの答え」
あ、いつの間にか撫でてた、リンの頭。もうコレ条件反射、習慣じゃない
「やっぱり『弟』だから、何だかスッキリしちゃった。それにね、がっくん、レンのこと、慰めてくれた。俺より反則じゃないって。それはちょこっと気になっちゃったけど。でも、反則じゃないって、言ってくれた」
「『決めない』って『決めた』優しいレン君、カナ~。ぽ兄ちゃん、お疲れ様、はい、お酒~」
俺よりは反則じゃない。少なくとも『現時点』では。この先は、俺以上の反則になる。それは言わない、そして知らない方がイイ、今は。でも、探すしかない『抜け道』を
「ありがとう、めぐ。俺、リンと同じようにさ、超えていかなきゃ、レンも。高い壁を」
ちょっと疲れて、リンの頭に顎を載せる。コノくらいなら許して欲しい『恋人』ごっこ。俺、レンの『抜け道、茨の道』に思いを馳せる
「さ~ぁ、レンが『決めた』お祝いはじめるわよ~」
「お祝いだよ~~~」
「今、素晴らしい気分ですわ~」
「ふぇひぇ、コッチの展開も面白くなってきたぜぁぇぇ~ん」
やっぱりそうなるじゃない、女王陛下。主役、ミクルカ、完全にノリノリ。重音、お前どんな趣味。こんな神様が、暇潰ししてるんじゃない。重音みたいに、悪趣味の暇潰し。なら俺も提案、しようじゃない
「乾杯だけ済ませて、今度は中で、はしゃがな~い。スイーツやスープ系料理は、キッチンの方が都合良い」
「あ、わたしがっくんにさんせ~い」
「ゎたしも~。お菓子も食べたいよ~ぅ」
リンとIAが賛成してくれる。これならもう決定じゃない
「ウチもおにぃにっ。スイーツ食べようぜっ、センセ」
「私も神威さんに。皆さん、入浴も済ませてしまいませんか」
リリの同意と、テルの良い提案
「良いわねえ、身支度済ませて、飲み直したいわ~」
「オレも汗流したいかな」
メイカイ夫婦もご賛同。ここでもう、決定じゃない
「じゃあ、飲み物用意~」
「お三方をお祝いします~ぅ」
Mikiピコ楽しげ。飲み物が各位に。俺はさっき、めぐが注いでくれた米焼酎
「発声は、レン、ミク、ルカ。それぞれがおやんなさ~い」
女王陛下、ご氏名。当然じゃない、この三人の発声
「ん、おれまだ気持ちの整理、付いてない。あ、ん、っと整理って言うか、なんかふわふわして、心の中。まだ、本当なのか解んない。世界中のみんなから好かれてる、かわいいミク姉。ファンからはさ『ルカ様』なんて呼ばれてる、美人のルカ姉。その二人が、本気でおれを、お、おれなんかを、さ」
ややうつむきかける、レン。感じるんじゃない、劣等感。まったく、そんなモノ感じる必要ない、って思ったから
「レン、顔をあげようじゃな~い、宣言しろ~っ。二人はお前のだって」
「ルカ姉、ミク姉の、だよ~、レンは~」
声だしたら、リンも声をあげる
「世界を敵に回したって、わたし、好きなんだよ~、レン君がっ。あ、味方なら一人は必ず居る。大好きなルカ姉が味方っ。ううん、20人も味方がいるも~ん。みんながみ~か~たっ」
そうじゃない、ミク。一人の味方はルカ。ルカを含む、俺達二十人は、総てお前の味方
「ワタシ、幸せですわぁ。誰よりも好きな、素敵なレン君に決めていただきましたの。大好きなミクさんと共に」
どんな形の、愛があってもイイじゃない
「おれっ、二人を護れる男になるからっ。がく兄、鍛えてねっ。乾杯しよ」
イイ男気じゃない、レン。勝手に思う。杯を掲げる一同
「「「かんぱ~~~いっ」」」
「「「「「「「「「「レンルカミク、おめでと~うっ」」」」」」」」」」
悪趣味なヒマツブシを、せめて俺達が楽しんでやろうじゃな~い。乾杯して、午後四時、いったん、打ちアゲ。全員協力、お片付け
午後四時半
傾いてきた、日差し。涼しい、気持ちの良い、湖風が良い塩梅。片付けがてら、残った料理なんかも運ぶ
「このテラスでも、楽しめそうじゃない」
「いいね、明日朝ご飯、ここで食べようか」
思いつく、俺。カイトの提案。休日、カスタム計画進行中
「「「「おそとでたべたいで~す」」」」
「これは決定です~ぅ」
「天使様のリクエスト~」
じゃない、ピコMiki。天使組のリクエスト
「動画映えもバッチリっ。外ご飯だって特別だよ~」
ミクもはしゃぐ。明日は
「お外朝食、決定ね~。さ、どうぞカイト、神威君」
「あるがとう、め~ちゃん」
「すまないメイコ」
決定が、女王陛下によって下される。洒落たランタン付いてる、玄関。その扉を、女王陛下が開けてくれる。料理のお盆を手に、敷居をまたぐ
「はい、スリッパもどうぞ~。がっくん、カイ兄」
「ありがとう、リ~ン」
お姫様、スリッパを差し出せてくれる。本当にお利口さん。観る、室内。目の前には階段。左を観ると、キッチン。コンロとオーブン。広いリビングが奥に
「すごいね、め~ちゃん。コレ何畳分、広さ」
「38畳って書いてあったわ~」
大リビング。そこに長テーブル。その上で回る、シーリングファン。天井で回る羽根のアレ。見上げると、真ん中は吹き抜け。テレビと冷蔵庫、エアコン完備。階段右の通路奥、風呂場と手洗い、男女分け。洗面所も、又別に。二、三階が個々の部屋。くつろげる間取り。まずは料理をテーブルに。次は、一塊になっている私物を、部屋に入れるため
「部屋決めちゃおうじゃない」
「そうね、一階の寝室から決めましょうか。三人部屋」
一階にもあるのか、寝室。ああ、そういえば玄関の右にも部屋があったじゃない。それは、俺達に都合が良い『万が一』無いようにするなら。人数もばっちり
「俺、テル、レンが使おうじゃない、一階の部屋。どう、メイコ。テル、すまないけど、レンも」
「そうね、ありがと、神威君。ごめんなさいね、みんなと離れちゃって」
「私も賛同致しますよ、神威さん。ご配慮感謝申し上げます」
この分け方、しっかり理由がある
「う~、がっくんの部屋、近くが良かったのに」
「センセの隣とかが良かったな~」
『部屋分け』の言葉で、イタズラ姫二人の瞳が輝いたじゃない。だから遠ざけた、部屋。お菓子をあげても、悪戯する、リリリン姉妹。まぁ、この二人へは、何とか俺、テル、対処できる。しかし、リスクが軽減するに越したことはない。で
「あ、ん、おれもそれでいいよ。なんか危険信号が浮かんできた」
「え~、レン君、一緒に寝ようよ~。ルカ姉と三人で~」
ほら来た、ミクの目が悪戯星で満たされてる。閃き、か。ロボアニメの『勘の良い新人類』みたいじゃない、レン。勘で何か感じたか
「ルカ、良いわよね」
「ええ、残念ですが。ご一緒すると抑え切れません、わ」
自覚症状、抑えなきゃだめ。だから『ご一緒』しないルカ。抑えきれないのか、ルカ。これ、ミクも危険なんじゃない
「ですので、お姉様、リンちゃん、同室いたしませんか」
「ん、解った、いいよ、ルカ姉」
多少萎む、リリリン二人。そんな顔するんじゃない
「部屋が遠くたってイイじゃない。心が近ければ。さて、これからみんなで、もっと楽しもうじゃな~い」
「では、決まった方から私物を運んでしまいましょう。さあ、レンさんも」
「わかった、がく兄、先生」
荷物を手に一団から離れる。歩きながら、玄関横の部屋へ。ベッド三つが並ぶ、オシャレな洋室。手前には、三人掛けの丸テーブル。扉を閉じる。ベッドの上、それぞれバッグを置く。と
「神威さん、お気遣いの部屋割り、感謝申し上げます。人選で察しがつきましたので」
「さすがテルじゃない」
話しかけてくる、テル。さすが
「何となく解ったけど、どうして、がく兄」
まぁ『生々しく』は話せない、けど
「レン、本当に一緒に眠らなくてもさ、無理じゃない」
解ってない目のレン。危なっかしい
「リンもリリもさ、恋人に成りたいわけ。俺、テルとさ。本心は俺も同じ。テルは」
「許されるのでしたら、私も同じですよ、神威さん。今はまだ許されません」
少し寂しそう、テル。お前も切ないんじゃない
「ミクとはまぁ、許されるよ、レン。でもルカとは恋人成れない、レン、今はまだ。さっき、レン『決めない』って『決めた』後さ、ふわふわしてるって、心が。そう言った」
「うん、実は今もまだ、何だか解んない」
ほら、危なっかしい。この『隙(スキ)』は危うい
「その心の状態でさ、求められたら危なくない、お前も男の子。ミクは女の子。ルカは大人。断り切れる、恋人。最近、リンより『おませ』なレンきゅん。恋人がするコト、しようって言われて断れる。あの二人に言われて、さ」
次の瞬間、顔真っ赤。両手を口に当て、しゃがみ込むレン。思い至ったか、レンのある意味成長の証し
「―、がく兄、無理。なんか今日だけは無理っぽい」
「じゃない、レン。ソレが野郎って生き物か。高揚したしの心のままじゃ、危なっかしい。しかもさ、ミクと恋人は、まぁ許されるけど、ルカはダメ」
目を潤ませるんじゃない、レン。赤くなって、しゃがんで、口を覆って、目を潤ませる。ちょっと~、可愛いじゃな~い
「ミクとだけ恋人に成ったら、ルカが傷つくじゃない。ルカ自身、耐えられそうに無いって言った。ルカに反則をさせたら、どう思う、レン」
ヤダヤダ、首を横に振る、レン。そんなところが、優しいこの子
「だから、の部屋分け。落ち着かせようじゃない、その心」
「落ち着けば、お付き合いの方法も、浮かび上がって参りますよ。焦ってはいけません」
心の奥を掴んで、揺さぶられれば弱い。動揺の正体は、二人の姉。今の状態は危なっかしい。簡単に『反則』をしちゃう可能性があった。テルの完璧なFollow(フォロー)が入る。よいねっって感じ
「さて、落ち着くために、男三人で風呂にでも行こうじゃない」
「シャワーを済ませましょう、レンさん」
「ん、行く。解った、うわ~危ないトコだった~」
未だに顔の赤いレン。下着や着替え、タオルを手に、未だ部屋割りに騒ぐメンバーに告げて入浴。お、まだ細やかだけど、レンも成長したじゃない。ははは、風呂をあがった後、ドライヤー大会。テルとレン、手伝ってもらう、俺
「でも、おれどんな風につき合えば良いのかな、がく兄」
「それは見つけるしかないんじゃない、レン自身が」
俺が首を突っ込む問題じゃない。と言って、大人ができる、注意事項はあるんじゃない
「まぁ、一つだけ言えるのは、恋人に成らないこと。今は、ね。俺とリン、何処までも恋人じゃない。見える、レン、俺とリン、恋人に」
「ううん、見えない、まだ恋人には。リンは昔からがく兄に懐いてるから。今はまだ、そのまんまなカンジ」
そう見えて、リンには悪いけど良かったじゃない
「少しはHint(ヒント)にならない。そういう事、さっきレンが気付いたように。恋人ダメは大前提。その上でおねぇ二人、許される範囲でお付き合い。仲良くはしようじゃない」
「レンさんも御苦心、されると思います。何せ『お二方』のお相手。その上で年齢も上のお二人ですからね」
そうだ、テル。レン『決めない』と『決めた』なら、その『三人』で乗り越える。あくまでも『三人』で。偏りはナシ
「背伸びも併せようともしない。無理に大人に近付かない。その上でおねぇ二人、求められるお付き合い、しようじゃない」
「ご相談には、いつでも応じますので、お話し下さいね」
「ん、解ってないけど、少しだけ解った」
男三人、風呂上がりのそんな会話
午後五時半
今日はボイトレ休み、どのみち後で歌うじゃない、カラオケ大会。メンバー、部屋割り決定。二階、四部屋。男の娘を、男の中に放り込むのは不味いのでは。と言う事で、男の子の保護者にしたらしいじゃない。ピコ、リュウト、オリバー一部屋。さっきと違って、重音ストッパーということで。メイコ、重音、ルカ、一部屋。リリ、いろは、ユキ、一部屋。勇馬、アル、カイト、一部屋。階段に近い部屋がお嬢。遠い方が、男組。三階、めぐ、ミク、リンで、一部屋。Miki、IA、カルで一部屋。代わり番こに、風呂場へ向かう。俺達は寝室で緩やかに休み中
「はあ~、ホント、信じらんない。ミク姉ルカ姉、ほんとに、おれのこと。おれなんかのこと。っ~~~」
本当にその心境なんじゃない、レン。今日までは信じられなかった、百合姉妹が、本気でレンを好きな事。大の字に寝ていたレン、自覚して照れ照れ。枕を抱いて横向きになって、脚ジタバタ。可愛らしい反応じゃない
「自覚しろ~、ちょっとだけ自惚れろ~。お付き合いする人が出来たって。世界の人気者、可愛いミク。世界級大美人、ルカ。それがお前の想い人だ、レン。ただし、自惚れ『過ぎ』るんじゃ~ない」
「交際を始めた事実を自覚しませんと、またお相手を傷つけることもございます。清く、正しく、慎み深く、ですよ、レンさん」
レン勢い良く起き上がる。ベッドに腰掛け、枕を抱いたまま
「うん、がく兄、先生。教えて、イロイロ。でも、おれ、今嬉しい。おれ、学校に仲良い女の子とかも居ないのにさ」
多分、それは牽制の仕合で、誰も『手が出せない』からじゃない。ヘタに動けば、周りに吊し上げられる。女の子は恐ろしい。絶対居るんじゃない、レンきゅん親衛隊
「カワイイミク姉、美人のルカ姉。二人とも、すごくイイ子だし、やっぱ信じらんない」
『イイ子』って表現が、まだ子供の証し。だからこそ自覚しなきゃ
「だからと言って、お調子に乗ったらダメ。調子付いて、他に言ったりすれば、あっという間に崩れちゃう。三人の関係、レンが築いてきた総て。許されてるのは、このメンバーの中だけだから。ルカ、ミクだって、お調子に乗った、浮ついちゃったレンを好まないんじゃない。あくまで、自然体のレンでいること」
狭い世界だから許される、幸い。これも歌にあったな、俺が若い頃、活躍してたバンドの歌に
「やっかみとは、恐ろしいものです。レンさん、口を閉ざすのは、レンさんご自身を護る意味もあります。残酷な物言いですが『本来ならば許されない』間柄であることは、お忘れ無く。レンさんのご年齢、浮ついてしまう方も多いですからね」
「うん、がく兄。だって叶わないよ、二人、ミクルカ姉に。先生、解ってるよ。だって、お父さん、お母さん、一人ヒトリ、だもん。どこ観たって、二対一、なんてない。解った、二人とも。ムリに変える、変わる必要、ないんだね」
国と時代で、あったりするんじゃない。まあ、今この国じゃ反則。あ、ちょいと考える。ルカが想いを告げなければ、この関係なかったんじゃない。ってことは、『ルカによる一婦多妻』なカンジもする。そんな会話してたら、ノックされる、部屋のドア
「どうぞ、開けて構いませんよ」
テルの応答。顔を見せた
「あがったよ、殿。準備に入ろうか」
カイト。よし、掛かろうじゃない、第二弾
「宴会の準備しようじゃな~い」
「お手伝い致しますよ」
「手伝う、がく兄~、あ、がく兄」
部屋を後にしようとして、レン思い出したように、イヤ、何か思いついたじゃない
「ヘアピン、持ってないかな」
「ああ、一応持ってきてる。何か使う」
バッグの中から、取り出し、渡す。箱売りの、飾りっ気ないヘアピン。長髪の俺、必要なときもあるじゃない
「ん、ちょっとね。考えた、おれ『仲良し』でいる方法。変な背伸びじゃなくって」
「偉いじゃない。さて、行こうか」
一先ず(ひとまず)色恋忘れ、楽しもうじゃない、この休日を
『決めない』と『決めた』
間違いが間違いじゃナイ
そんな答えが、あってもいい
これから大変、だろうけど