Re:CREATORS 〜白夜叉、創造主の世界へ〜   作:平山雑賀

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第三訓 短所は長所と同様に必要な個性!

本気(マジ)……かよ……」

 

広場から遠くに離れた場所にあるファミレスにて逃げおおせた銀時は、

 

「ここってつまり、原作者達がいる世界なのかよ?!」

 

コンビニで買った週刊少年ジャンプの表紙に写るてめぇを見て驚きを露にした。

 

「私たちは彼らを『創造主』と呼んでるけどね。 それで、自分が作り物の世界の登場人物だと知って、どんな気持ちかしら?」

 

少しイジワルそうな顔で、彼の向かいのテーブル席に座るセレジアだったが、

 

「べっつに〜、まぁ無事に元の世界に戻りゃどうでもいいけど」

 

先ほどとは売ってかわって、買ったジャンプを読み出す銀時を見て、吠えるように訴える。

 

「何でよ?! 自分が誰かの手によって造られたって知ったなら、もっと他に……ッ」

 

広場にて受けた怪我の傷みが、セレジアの口を閉ざす。

 

「すまない、回復魔法は私の設定の範囲外」

「セレジアさん、怪我してるんですから大声を出さないほうがいいですよ。 一度病院で診て貰ったら……」

 

彼女の隣りに座るメテオラと、通路を挟んだ隣りのテーブル席に座る颯太はセレジアの身を案じ、

 

「大丈夫よ、私はこの世界の人達と違って頑丈だから。 ……『創造主』様のおかげでね」

 

セレジアは少し睨むように、颯太の向かいに座る松原を見た。

 

「しかし、セレジア殿の意見も最も」

 

メテオラはセレジアの気持ちを代弁する。

 

「私も彼女も、自分達が『創造主』達によって作られた物語の登場人物である事に対して、複雑な気持ちがある。 坂田殿、貴方は自身が漫画と呼ばれる本の登場人物である事に対して、何もないっと言うのは変ではないだろうか?」

「いや、俺、物心ついた時からてめぇが漫画の主人公だって知ってたし」

「……は?」

 

銀時の言葉にメテオラが目を点にすると、

 

「あの、彼は皆さんの物語とは違って特殊なんですよ」

 

颯太はそんな彼女に説明を行った。

 

「彼が、坂田銀時が登場する漫画『銀魂』は、こっちの世界の時事や人物をネタにして話を描かれたり、酷い時には関係のない別の『創造主』が描いた物語を模倣した話があったりするんですよ」

「パクりじゃねぇ、オマージュだ。 お前詳しいな、読者ファンか? 握手する? 今なら銀さん兼小○旬だから二重にお得だぞ」

「どっちにしても、あんたの世界が常識外れなのは解ったわ」

「ふーん、随分と面白ぇ世界から来たんだな、銀時のオッサンは」

 

銀時の隣、窓際の席に座る弥勒寺優夜は注文した料理を口にしつつ、

 

「いやぁ旨ぇな。 こっちに来てから一食も食べてなくてさ。 まぁ、俺の世界とは金銭が共通してんだが、この先何があるか解んねえだろ?」

「あんたの方はだいたいの経緯は、もう解ってんのか?」

 

松原の問いに弥勒寺は食事の手を止め、

 

「俺らはその『創造主』ってやつに創られた世界の人間だってな。 笑うわ、翔の奴に教えたら、あいつどんな顔すっかな……」

「翔って?」

「『あっち』にいる、俺の遊び友達だよ」

「原作、『閉鎖区 underground -dark night-』の主人公です」

 

松原にそっと耳打ちする颯太をよそに、メテオラは話を続ける。

 

「貴方方の所にも、軍服の少女は来たの?」

「軍服?」

 

その言葉に銀時は漫画から彼女に視線を移し、

 

「俺がこっちに来て、最初に会ったのはお前らなんだが」

「俺ァ会ったよ。 三日くらい前にこっちに来た際、最初にな」

 

パフェに伸ばした手を銀時に叩かれた弥勒寺は舌打ちし、

 

「やったら上から目線で喋る高慢ちきなガキだ。 糞ムカつくオヤジと一緒に来やがったんで、そのまま喧嘩になってそれっきりだが」

「オヤジだって?」

 

松原は新たに出た人物に眉をひそめる。

 

「同類だろうな。 こっちの世界じゃ、宙に浮ける奴なんていねぇだろ?」

「俺の世界にも、首を荒縄でフォークリフトして宙に浮く奴いっけど、違うだろうな」

「坂田殿、それは宙ではなく天に浮いてるのではないだろうか?」

「あんた、本当にどんな世界から来たのよ」

 

気にせずパフェを食べ出す銀時にメテオラとセレジアは突っ込みを入れ、

 

「話を戻すぜ。 あの軍服のガキはこの世界を神の世界だと言ってた。 言葉にすりゃ何でも作り上げられる世界だってな。 俺は描いた『創造主』さえ探し出せば作り替えるのは簡単だとほざいてやがった」

「あなたは、それを信じなかったの?」

「『創造主』を捻り上げて世界を変える? ああ、そうやって楽しい世界に創り直すのも悪くねぇ」

 

けどよ、

 

「誰かさんが作った檻ん中で飼われてるのを解っちまった今、てめぇの虫かご心地よくするのって意味あんのか?」

 

ふと、弥勒寺は窓の向こう側を歩く人々に目を移し、

 

「別に、『創造主』様に言いたい事が無ぇわけでもないんだが、虫かごは虫かごで気に入ってんだ。 ダチも仲間も、それから翔の野郎も……」

「そいつに関しちゃ、俺も同感だな」

 

空に鳴ったパフェの器から手を離し、テーブルに置いてたジャンプに添えて、

 

「てめぇや、てめぇのダチや世界が誰かの手で創られたとしてもよ、そこで過ごした経験や思い出は造り物じゃねぇんだ。 泣きてぇほど楽しかった事も、笑っちまうほど苦しかった事にも、言葉にしてぇ感動も、言葉にできねぇ絶望も、てめぇにとって大切な本物(物語)なんだよ。 そいつをてめぇの我が儘で変えちまう事は、それを全部裏切ることに他ならねぇ」

 

厚みのある強い声と鋭い目に、対面するセレジアは唾をのみ、

 

「まっ、もし変えられるなら、学校の給食のメニューにチョコレートパフェを加えるのも良いかもな。 いや、ここは現実的に俺の糖尿病を完治して貰うべきだろうか……」

「急にシリアスな雰囲気をぶち怖さないでくれない」

「うっせぇな、こちとらこの設定のせいで一週間に一回しかパフェ食べられねぇんだよ! よくありがちな異性の恋愛感情に関してニブイくせに、T○ラブるめいた行為を及ぼすラノベ主人公のありがちな短所とは別に、私生活問題なんだよ、こっちは!」

「そういや、翔も女とよく揉めてたなぁ」

「セレジア、どうしましたか?」

「ごめんなさい、ちょっと自分の世界の事を思い出して…」

 

頭を抱えるセレジアに颯太はある事に気付き、

 

「主人公のカロンさん、ニブかったですもんね」

「それに関しては作者である俺の責任だが、謝らねぇぞ」

 

このやりとりを見た弥勒寺は成る程と呟き、

 

「そこのオッサンは嬢ちゃんの『創造主』か。 試してみたか?」

「なにを?」

 

セレジアの問いに弥勒寺は笑って、

 

「決まってんだろ、『改変』ってやつだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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