Re:CREATORS 〜白夜叉、創造主の世界へ〜 作:平山雑賀
「まさか、そんな事になってたとはな」
メテオラの創造主である『追憶のアヴァルケン』のシナリオライターに会いに彼の職場へと向かったメテオラ達であったのだが、
「単車の事故でもう他界してるんですって」
自分の創造主が既にこの世に存在しない事実を知ったメテオラは、思い詰めた表情でその場をあとにし一人で何処かへ行ってしまったと言う。
「それで、あんた達は一体今まで何をしてたわけ?」
リビングにて仁王立ちする鬼の形相のセレジアの前には、
「なぁ、銀さんもう足が痺れてきたんだけど止めにしない?」
「短絡的だった件については俺も悪いと思ってる。 だから……」
「黙りなさい」
『はい』
正座する二人の大人、銀時と松原の贖罪の姿があり、床には複数枚のキャバクラの名刺が散らばっていた。
「昨日、私達が帰った後に、あんた達がどこで何をしてたかはこの際詳しく聞かないけど……」
セレジアは離れたテーブル席にて座る人物に指を差した。
それは湯飲みを手に一服する軽装の青い和服を身に纏った美青年。 その美しさはまるで古い歳月を歩んだ白磁器のような凄みが見てとれる。
実際、 その隣の席で彼を目にし心打たれた女性、まりねの姿があった。
「こういう事は早急に連絡しなさいよ!」
『本当にすんません』
○ ○ ○
昨日の夜、セレジア達が仕事場を離れた後、松原は銀時の誘いに乗っかって共に夜の街を遊び歩いていた。
「いや〜、少しばかり気が楽になったわ~」
「まっ、誘っておいて金があんま出せなかっどな」
「なぁに、その顔のお陰で割り増しで特をしたから良い事よ」
キャバクラを出て近場の飲み屋にて銀時は松原の愚痴を聞いていた。
「しかし、自分の描いたキャラクターが飛び出て来るなんてなぁ。 あいつ、最初は俺のファン装って接触してきたんだぞ?」
「それを鼻の下伸ばして騙されたのがお前って訳だな」
「そこはまぁ、変な詐欺にかかっちまったけど、悪徳のヤツじゃないよりマシ……かねぇ」
ビールグラスを手にする松原は少しある疑問を覚える。
「けど、何で一番最初にセレジアと会ったのが颯太君なんだ? 普通に考えたら俺が最初になるよな?」
「メテオラの奴が、何か感づいていた見てぇだな。 もしかしたら……」
「もしかしたら?」
「……いや、ただの一人事だよ」
気にせずお猪口を手にした銀時は一杯口にしようとするも、ふと手を止めた。
「おい、何か変な音しねぇか?」
「そうか? 俺にはよく聞こえねぇけど……」
酔いが回ってるからか耳鳴りだろと松原は口にするも、銀時はその音が現実のものだと瞬時に理解する。
日本の現代社会では聞く事がない
「上かっ!」
「ぐえっ?!」
直感的に、松原の襟首を掴み後方へ跳ぶように下がる銀時
。
瞬間、さっきまで二人が飲んでいた場所は、屋根を突き破った何かによって激しい音と共に押し潰された。
「無事か、松原?」
「おっ、おう。 何なんだ一体?」
直ぐ様飲み屋を出た銀時は、屋根の上を跳ぶように走る人影とそれを
「悪ぃけど松原、お前はここで待っててくれ」
「おい、もしかして今のって……?」
「あぁ、どう見ても……」
銀時は腰に下げていた木刀を抜き、影を追って駆け出した。
「
もぬけの殻である廃ビルの中にて、二つの影が舞っていた。
一つは、軽装の青い和服を身に纏った青年。
もう一人は、黒いコートの大柄な中年男性。
和服の青年は日本刀を手に、コートの男は銃を手に交戦し合う。
「銃は俺の生まれた時代にはなかった代物だが、お前のはなかなかキテレツだな」
コンクリートの柱に隠れた和服の青年は笑ってそう呟くと、
「驚愕するのはこちらもだよ。 "擬人化"と言うのかね。 物に人の姿を与えるとは、とんだイカれた神がいたものだ」
「はっはっはっ、生憎だがこの姿を俺に与えてくれたのは俺の
「それについて心配することはない。
コートの男は右手の銃の砲身をコンクリートの柱へと向かせる。
「まずはこの状況をどうにか打開いてみることだ」
放たれた銃弾は、コンクリートの柱を踏まれた空き缶のように押し潰し粉砕した。
だがその瞬間、和服の青年は柱の影から回避し、コートの男に特攻をかける。
それに対し二射目を構えるが、既に刀の切っ先はコートの男の間合いに入っていた。
「まだだっ!」
コートの男は拳銃を和服の男本人ではなく、彼の足下へと狙う。
粉砕された足場に掬われ、振り下ろした刀が虚空を斬った。 和服の男はそのまま崩れた足場から墜ちだす。
その身動きが取れない状態をコートの男は狙い……、
「うおりゃぁぁぁぁあっ!!」
しかし、突如として現れた銀時による木刀の一閃が、コートの男を妨げた。
殴られたコートの男は後方へと飛ばされるも、それを体で押さえ込む。
「たっく、硬ぇなぁ。 毎日ご飯にボンドでもかけて喰ってんのかよ、バカヤロー」
「……野蛮だな、まさかとは思うが弥勒寺という若者の知り合いかね?」
「生憎様、スタンドなんて持ってねぇよ。 俺の武器はコイツだけだ」
と、銀時は木刀の切っ先をコートの男へ向ける。
コートの男はメガネをかけ直し一息ついて、
「こうなっては、役目を果たせそうにないな。 すまないが、逃げさせてもらうぞ」
「させねぇ……!」
再び木刀を構えなおし攻撃に転じる銀時。
だが、
「■■■■■■■■■ッ!!」
「なっ?!」
横合いから現れた何かが銀時に襲いかかる。
その正体は赤い右眼を剥き出し、片目と口を布マスクで隠した白髪の少年。
しかし、少年には常人にはないものが生えていた。
黒い尻尾、いや触手だろうか、それは腰の後ろから大きく四つ生えており、一つの生き物として蠢き暴れだす。
「どこの人柱力だよ、てめぇは……!?」
木刀の太刀捌きで身を防ぐ銀時だったが、赤眼の少年は黒い尾を使い床、壁、天井を四方八方跳び回り、
「■■■■■■■■■■ッ!!」
「ではな、サムライ君」
「あっ、待ちやがれッ?!」
コートの男を拐って夜の闇へと消えていった。
「はっはっはっ、逃げてしまったか。 しかし、妖怪も出るとは此所はおもしろいな」
銀時の背後、呑気な声で喋るのは先程までコートの男と戦っていた和服の青年である。
「てめぇ、わざと逃がしただろ?」
「生憎と、こう見えても俺はジジイだからな。 あまり無茶は出来ない性分なのだよ」
「そうかよ、コンニャロー。 俺は坂田銀時。 ここに来ちまったのは今日だ」
それで、
「てめぇは一体何者だ?」
「ふむ……」
和服の青年は物腰柔らかに微笑み答えた。
「俺は三日月宗近。 天下五剣の一つであり、この世で一番美しい刀と呼ばれてる