会議室へと足を運ぶ。
元はと言えば今日はそれが目的で来たわけだしね。
「失礼します。一色ただいま到着しました」
会議室に入ると共に城戸さんに睨まれる。
あはは、ですよねー。
「……一色、勝手な発言をしたらしいな」
「いやー実際に初日で俺か八幡から腕を取れる人材が居るなら欲しくないですか? いませんでしたけど」
無言で睨まれる。はーい、説明しますよう。
「文句ならうちの比企谷に言ってくださいよ。あのまま放置していれば体験入学者に『ボーダーのA級隊員は大したことない』なんて噂流されかねませんでしたからね。上辺しか見てなかったとしても彼らの発言は重みがでます。悪評が広まるのを事前に防ごうとしただけですって」
「…………まあいいだろう」
ふぃーおっかないなぁもう。
「じゃあコレいつもの、B級以上の隊員の成長記録、今期分です」
分厚いレポート用紙とUSBメモリの二つを城戸司令、忍田本部長、林藤支部長に渡す。
「今期分をザックリ纏めると緑川、黒江と村上先輩の成長が著しいですね。村上先輩はサイドエフェクトだとして緑川、黒江は若さですかね」
「お前も若者だぞ一色」
林藤さんにツッコまれた。確かに。
「逆に絵馬が少し落ち込んでます。鳩原さんが抜けたショックですかね。まあここは本人の問題ですが、A級に異常有りはよろしくないですね」
「絵馬くんはもうA級隊員では無いよ」
根付さんがそんな事を言った。どうゆう事。
「根付さん、どうしたんです? その顎」
「影浦くんが私を殴ったのだよ……影浦くんは減点、影浦隊はB級に降格だよ」
カゲさーん! 何してんのー!?
「……勝手な行動をとる隊員が多くて困る」
城戸さんがこっち見ながら言ってる気がする……俺も含まれてるのかな、それ。
「まあ、大方はそんな所です、詳しくは詳細を見て下さい。指揮官が部下の力を把握しとくのは大事な事ですからね」
「一色、城戸司令と忍田本部長に渡すのは分かる。しかしなぜ林藤支部長に渡し、儂らには渡さんのだ」
「林藤さんにも渡すのはフェアじゃないから。派閥には属すつもりが無いという意思表示ですよ。鬼怒田さん達に渡さないのは単純に紙の量が多くなるから。150人分ですよ? 三つ用意するだけでも大変なんです。ご希望でしたらUSBでのお渡しは可能ですが」
「頼んだぞ」
お仕事増えちゃったよ。まあ、仕方ない。
「フェアか……この情報を持っている一色隊と当たるチームはフェアな勝負と呼びにくくなるんじゃないかい?」
「やだなー唐沢さん。この情報は全てログを見てデータを作り上げた物ですよ。やろうと思えば誰でも可能です。それをしたのかしなかったのかの違いですよ」
(それは君のサイドエフェクトがあってこその物だろうに……)
「話はそこまでだ、会議を始める――」
会議終わりの一色です。
今度の遠征についてと隊務規定の徹底だってさ。
鳩原さんにカゲさんと問題を起こしてるのが元A級ばっかりだもんね。
示しが付かないよB級やC級に。
俺は違反はしてない。むしろ頑張ってると思う。
「いやいや、お前もなかなかの問題児だぞ」
この声は!
「よう、ぼんち揚食う?」
「S級隊員、セクハラエリートの迅さんじゃないですか~」
「実力派エリートね。実力派」
神出鬼没のゴーグル男に遭遇した。
この人苦手なんだよな~人間的に。
でも、ぼんち揚は頂きます。
「で、どうしたんですか~? またしても厄介事ですか~?」
「お前、俺が話しかける=厄介事だと思ってない?」
「違うんですか?」
厄介事が起きる前兆、予知夢みたいな感じ」
「予知夢って……お前なぁ」
肩を落とされてしまった。声に出てた?
どうやら今日は本当に違う様子。
「夏休み、千葉村で行われるキャンプのボランティアがある。それに参加すると良い事があるぞ」
良い事があるねぇ、また思わせぶりな言い方だな~
「で、具体的には?」
「……一色の未来ってコロコロ変わるのに、こういう時に詳細を聞くのだけは確定してるんだよなぁ」
そりゃあ、知らずに転がされるより、知ってて転がりたいじゃない。
「戦力アップだよ」
「お! 光る原石ですか~、そりゃあ良い! で、具体的な条件は?」
「可能性を上げるなら早めに三上と仲直りしとけよ。あと駿や黒江ちゃんに声を掛けとくといいぞ」
「仲違いしたつもりは無いんですけど……まあ謝りには改めて行きます。しかしそのメンツは……小型高性能組ですか!?」
あれー? 迅さんに苦笑いされた。なぜゆえに。
「……お前の未来、前途多難だな」
「え!?」
不吉な事言わんで下さいよ。貴方が言うと洒落にならない。
「そういえば遠征は断って良かったのか?」
「小町ちゃんが受験生ですからね。それにうちの隊は遠征には興味無いので辞退です~」
「まあ、俺としてもお前にはこっちに残って貰った方が助かる」
「うげ、扱き使われそうな予感……」
でも俺が残った事で変わる事、戦力アップの推奨。これから導き出されるのは――
「――近々、動くんですか? 未来が」
「……ああ、今度のはでかいぞ。出来るだけの準備はして起きたい」
なるほどね~じゃあ仕方ない。大人しく掌の上で転がされてあげましょう。
「なんだかんだ言ってやっぱり厄介事じゃないですか~」
まあこの人から忠告を受けるっていうのは、受けてないと不利益を被るのか、切羽詰まっているかのどっちかだからな。
迅さんを苦手だと公言する俺なんかだと特に。
「それじゃあ俺は忍田さんに用があるからこの辺で、またな」
「そう何度もお会いしたくないですね~」
「お前なぁ……」
苦笑いしながら迅さんはさって行った。頑張ってね~。
さて、何しようかな。今から学校は間に合わないし、この時間は隊員も少ない。
体験入学も時間的に終わってるだろうし……試作トリガーの実験でもしようかな。
一色隊作戦室へと向かい、試作用トリガーに転換する。
試作用トリガーの服装は燕尾服。
オペレーターの制服イメージでデザインした物。二宮隊じゃないよ。
訓練室に入ってバムスター相手に設定する。
試作1:鎌
う~ん微妙。スピードそこそこでパワーもそこそこだけど扱いにくい。
パワー一点型なら小南の双月の方が使いやすいと思う。
試作2;ブーメラン
これ面白い! 面白いけど実戦で使うには難しい。
ハウンドの様に誘導性が付けれればもう少し扱いやすくなるかな?
手元に戻って来るまでの時間をもっと短縮したい所。
試作3:モーニングスター
威力は申し分ない。申し分ないけど……完全に大型トリオン兵向きだな。
人間相手には色々な意味で扱いにくい。でも鎖は良いな。
単体の鎖にしようかな?
試作4:鞭
思ったよりこれ使える。でもクセは強い。
でもいいねこれ。しなる剣って感じ。防御には一切向かないけど攻撃に関しては怒涛だね。ちょっと楽しくなって来た。
ふぅ~割と鞭は使えた。ブーメランは改良の余地あり、モーニングスターは鎖だけの武器に改造しようかな~――ん?
「やっほー小町ちゃん。そんな所で固まってどうしたのー?」
学校帰りかな?
「……くれはさん……」
顔を俯かせる小町ちゃん。そしてゆっくりと顔を上げ、目を見開いた。
「Sに目覚めたんですか!?」
……へ?