六限目の授業が終わった。
今日は非番だ。ならばこのまま帰るのみ!
俺は早速、教室を出る。
「まあ、まて比企谷どこへ行く」
早速……白衣を着たアラサー教師に捕まった。
「今、何か失礼な事を考えなかったか?」
「いえ、何も」
ホントだよ? ハチマンウソツカナイ。
「俺この後バイトがあるんですが――」
「――ああ、昨日連絡があった。ボーダーに入ってるそうじゃないか」
「――!?」
「バイトと言っていたのは冗談かと思っていたが……まさかボーダーとは……何故クラスに隠している?」
「目立ちたくないんですよ。あと、広めないで下さいよ」
「君がそう言うのならそうしよう」
おお、退いてくれた。
であれば早速――
「まあ、待て比企谷」
「……何ですか? これから任務なんですけど」
「君は今日非番だろう?」
そう告げる平塚先生の手には俺の防衛任務の時間割が――
何故あなたが持っている?
「不思議そうな顔をしているな。これは昨日連絡をくれた者に貰った情報をまとめた物だ」
連絡をくれた者……嫌な予感がする……
「『部活への参加は非番の日にお願いします』君の隊の隊長さんからだ」
くれはぁぁぁあああああああ!!
ただいまカゲさんに捕まってランク戦中の一色くれはです。
どこかから叫び声が聞こえた気がする。気のせいかな? 気のせいだな。
「あぁん? 気を抜くとは良い度胸じゃねぇか」
カゲさんのマンティスが飛んでくる。シールドをブレードにして防ぐ。
耐久性でいえば伸ばしに伸ばしたスコーピオンより、元々シールドだったものをブレードにしたこちらの方が固い。
「チッ」
カゲさんが突っ込んで来る。
「グラスホッパー」
グラスホッパーの壁を作る。
壁って言っても五枚ぐらいだけど。
当然カゲさんは当たらない様に直前で後ろへ回避。
まあ、回避直前に後ろにも置いておくんですけどね。
「なっ」
さあ、掛かった。逆ピンポールの時間だよ。
ピンポールって自分で飛び跳ねるでしょ?
これは逆、相手のグラスホッパーに無理矢理飛び回される。
俺は『お手玉』って呼んでる。
体勢を立て直せないように次から次の間隔が狭め。
ピンポールとの一番の違いは自分の意思ではないという事。
つまりどうなるか。三半規管が大変な事になる。
さあ、最終着点にバイパーを引いておこう。
「一色ぃぃいいいい!!」
『ベイルアウト』
叫び声が聞こえた気がする。気のせいかな? これは気のせいじゃないな。
フラストレーションが溜まるのに何故俺としたがるんだろう?
八幡としなよ八幡と。
次がラストか~。最後ぐらい小細工無しじゃないと怒られるんだろうか。
小細工なしか……
10本目、出合頭にカゲさんに斬りに掛かられる。
イラついてるな~。俺もスコーピオンとシールドの二刀流で応戦する。
「あぁん? ようやくやる気になったのかぁ?」
「いやいや、ずっと真面目にしてましたよ~? 勝率90%と勝率50%なら勝率90%を選ぶのが当たり前じゃないですか~」
だってそっちの方が勝てるんだもん。
「俺がどっちと戦うつもりでテメーを呼んだと思ってやがる」
「
「分かってんじゃねぇか!」
おおう。カゲさん荒々しい。
本当に野獣の猛攻って感じだよなぁ。
捌くのがキツい。
此処は一手奇策を混ぜるか。
「アステロイド!」
近距離高火力のアステロイド。ほぼ正拳。
「甘ぇ!」
躱されて右腕を肩から落とされる。
重心が後ろに倒れて足が上がる。
その足をカゲさんの心臓部に合わせスコーピオンを出す。
「甘ぇっつたろ」
シールドに防がれたかぁ……
「シメ―だ」
カゲさんが決めに掛かる。
「グラスホッパー」
当てるのは自分の背中。自身をお手玉する。
間隔を狭めれば体勢を保てない代わりにスピードは上がる。
上、前、斜め後方下に飛びカゲさんの後ろを取る。
と同時にスコーピオンで斬る。
『ベイルアウト』
双葉との訓練中に考えついた疑似韋駄天。
韋駄天に比べたら遅いし、体勢が保てないから全身から出せるスコーピオンじゃないと使えないのが難点。
その上失敗するとただ自身の三半規管に少し影響出すという、なかなか無様な結果だから扱いづらい。
勝利の為に腕一本……この状態でネイバーの連戦は厳しくなるから、被害は最小限で勝つのがベストだよなぁ。
カゲさんとのランク戦を終えて嵐山隊の作戦室を訪ねる。
「はーい……って一色くんか。時枝くんに用?」
綾辻に出迎えられる。
まあ、時枝と戦いには来たんだけど別件でお話があります。
「綾辻さんにお話があります……」
「え? 何急に改まったりして……どうしたの?」
「総武高にあると噂の……奉仕部とはなんですか……?」
「……奉仕部?」
あれ? 綾辻も知らない?
「えーっと確か同窓会に近い部活だね、部員も一人だし」
「部活として成り立つの?」
「まあ、顧問もいるしね。なんで急に? もしかして雪ノ下さん絡み?」
「雪ノ下? それって雪ノ下建設の雪ノ下?」
「え、そうだけど……」
なんとビックネームが飛び出したもんだ。
雪ノ下建設のご令嬢かよ。
「成績も学年トップでまさに才色兼備って感じだよ~」
「ほほう~才色兼備ねぇ~」
「一色くん興味あるの?」
「ある意味興味あるね。そこの奉仕部に八幡が入部になったからね~」
「え!? 比企谷くんが!?」
うん。隊長としてしっかり許可出しておきましたとも。
「そんな、でも……うーん……」
「ところで奉仕部って何する部活なの?」
「……え? あ、えーっとね、学校生活支援部みたいな感じで、困り事の解決とか手伝い、相談とか受ける部活らしいよ」
なるほどなるほど。まあ大体予想通りかな。
「じゃあ綾辻、
「――! 確かに! そうだね!」
「逆もまた然り。生徒会からお願いする事もあるかもしれない。互いに生徒の生活支援って意味では一緒なんだから協力関係が築けると思うよ~」
「うんうん! 比企谷くんに提案してみるよ!」
おー綾辻が燃えております。
妹贔屓はしない。勝負は公平に。さあ、盛り上がって参りました。
俺は時枝と遊んできま~す。