捻くれ者の2人   作:ゆさ

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三上歌歩1

 ただいま嵐山隊の作戦室にお邪魔しております。

 時枝から連絡が来るなんて珍しいなぁとは思ってたんだよ?

 そして今、俺の前には熱心に語る綾辻の姿が。

 どうしてこうなったのか。何を綾辻は語っているのか。

 簡単に説明すると、

 曰く、八幡がクラスメイトのテニスの練習を手伝うため生徒会室にコート利用の申請をしに来たんだとか。

 曰く、他のクラスメイトが現れ遊びたいと言い出し一悶着あったが、八幡が綾辻に連絡を入れ、綾辻が生徒会として対処したため事なきを得たとか。

 内容としてはそんなお話なんだけど、1日に学校で2回も話したとか、頼って貰えたとかを報告されております。

 何故俺に? いや、そうしたらって言ったのは俺だけども。

 作戦室に来てビックリ、時枝居ないじゃん。居るの綾辻だけじゃん。

 そしたら急に進展報告を受けるという。

 しかし八幡がクラスメイトの練習に付き合うなんて……隊長、嬉しいよ!

 どうせ依頼だろうけど。そういう部活だしね。

 テニスか……いい感じに青春してますな。

 

「――って聞いてる?」

「うん、聞いてる」

「でね――――」

 

 綾辻も青春してますな。

 しかし嵐山隊はボーダー広報部なだけあって色々資料の多い事多い事。

 ん? 何コレ?

 

「なあ、綾辻この資料って」

「――ん? これはね、総武高の体験入学の資料だよ」

 

 体験入学をボーダーにって……

 

「志望者が多くて、もしかしたら学年全部で来ることにあるかもしれないって」

「そんなに人気なのか……うちって割と機密情報の塊だけど見学させて大丈夫なの? 全員記憶封印措置とかならない?」

「そんな細かい所までは案内しないから大丈夫だよ」

 

 大胆な事するなー。

 本部内に一般人を入れる事なんてほぼ無いから、見学者の広める評価は重みを持つ。

 良い評価なら問題ないけど悪い評価が広まっちゃうとイメージダウン直結待ったなし。

 担当が嵐山隊になる訳ですわ。

 

「学年全部ってボーダー隊員も?」

「うん。うちの学年はみんな来るよ」

 

 って事は嵐山隊以外に三上、宇佐美、氷見のオペレーター3人と、奈良坂、辻、八幡の戦闘員3人か。攻撃手、銃手、狙撃手一人ずつで皆マスターランク以上とは豪華ですな。

 八幡がいるのか~

 

「面白そうだし見に行こうかな」

「え? 一色くん学校は?」

「この日丁度上層部に呼ばれてて本部に居るんだよね~」

 

 たしか八幡はボーダー隊員であることを学校の一部にしか伝えてないんだよね~

 これは一悶着ありそうですな。

 

 

 

 あの後遅れてやって来た時枝に怒涛の十本勝負をして貰おうと思ったら、一緒に来た嵐山さんに十字砲火の練習したいから相手になってくれないかと言われ相手をする事に。

 もう本気で頑張ったよね。どうにか二人とも倒してみせましたとも。A級一位の意地!

 今は風間隊の作戦室へと向かっております。

 お、あれは。

 

「歌川~やっほー今帰り?」

「お疲れ様です、一色先輩。今から帰るところです」

 

 歌川が一人だ珍しい。

 菊地原のお世話係兼フォローに居るイメージ。

 あれでも菊地原は1人でも割と居るな。なら歌川も1人で居るか。

 

「風間さんは来てる~?」

「あー……風間さんはまだ来てないんですけど……丁度うちの隊室に良いお茶請けの菓子があるので中で待たれませんか?」

 

 ほう、お菓子とな。良ければぜひ。

 歌川とともに風間隊の作戦室に入る。

 

「あれ? 歌川君なにか忘れ物――一色くん!?」

「やっほー三上~」

 

 目をパチクリしていらっしゃる。そんなに驚くかね?

 

「一色くんはどうして歌川君と一緒に?」

「いや、さっき廊下でバッタリ。お菓子が有るとのことでご馳走になりに来ました~」

「お菓子?」

「あーこれです。どうぞお二人で食べて下さい」

 

 おー! 美味しそうなお菓子!

 

「え、でもこれ歌川君の――」

「良いんです。それじゃあ俺はこれで」

 

 歌川が帰り三上と2人になった。

 急ぎの用事だったのかな? だとしたら呼び止めたのは申し訳なかったかな。

 歌川に貰ったお菓子を頂く。美味い。

 三上に入れて貰ったお茶を頂く。美味い。

 やっぱり普通お茶だよね。うちの隊ぐらいだよマッカンが常備されてるとこ。

 主に飲んでるの俺と八幡だけど。俺はサイドエフェクトの都合上糖分多めにとらないとしんどいのよ。

 

「ねぇ、一色くん。私たちの現場見学の日に見に来るってホント?」

 

 え? なんでそれ知ってるの? って綾辻か。

 いや、それにしても情報早くない? ついさっきよ?

 この子たちリアルタイムで連絡取り合ってるのん?

 

「うん、その予定だよ」

「そっか……じゃあちゃんと参加しようかなぁ」

「おや、珍しい。三上サボるつもりだったの?」

「サボるって訳じゃ無いんだけど……現場見学が始まる少し前まで防衛任務の予定でね、無理に参加しなくてもいいって言われてるの」

 

 なるほど……朝方勤務後の参加は確かにキツイ。

 それ寝てて良くない?

 

「なら参加しなくて良いんじゃないの?」

「うん……でも折角だし」

「真面目だね~八幡なら絶対に参加しないだろうに。というか任務無くてもバックレそうだよね~」

「正隊員は今回どうやっても目立つからね」

 

 まあ、そんな事したら忍田さんに怒られるだろうけどね。

 サボったら即バレるし。

 

「参加義務が無いなら二階で座って見れば良いんじゃない? 参加って形だとたぶん正隊員として立たないといけないだろうから疲れるよ? 俺も二階から見る予定だし、なんなら一緒に見る?」

「え? ホント?」

 

 ぼっちで二階から見るは心苦しいかもしれないけど、喋り相手が居れば大丈夫でしょ。

 俺は1人でも見るけど。隊員とバレない為に静かに奮闘するであろう八幡を眺めるために。

 

「まあ、無理にとは言わないけど――」

「――ううん、一緒に見よう!? 約束ね!」

「……おう」

 

 そんな満面の笑みで約束と言われたらするしかなくない?

 

「でも当日、疲れて無理そうだったらちゃんと作戦室で休むんだよ~?」

「ふふふ。うん!」

 

 何やら上機嫌ですなぁ。

 そう言えば風間さん遅くない?

 と思って扉を見たら覗き見てる風間さんが。

 

「何してるんですか~風間さ~ん」

 

 俺が風間さんに手を振ると三上がまた目をパチクリさせていた。

 どしたの。

 

「入ろうと思ったら中から騒がしい声が聞こえたからな。何事かと思って様子を見ただけだ……遅くなったな」

 

 時計を見るといつもより多めに遅れている。

 ほんとお疲れ様です。そんな中訓練に付き合って貰って申し訳ない。

 遅くなって疲れてるのかと思いきや、勝負中の風間さんは機嫌が良さそうだった。

 何か良い事でもあったのかな?

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