捻くれ者の2人   作:ゆさ

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比企谷八幡2

 現場見学当日、二階から訓練ブースに集まる総武高の生徒たちを見る。

 皆訓練用のトリガー、白のボーダー隊員服に身を包んでいる。

 本来ならトリオン量の少なさによってトリガーに触れる事すらないであろう生徒たちも多数いる。

 そういう生徒たちからしてみればトリオン体になるだけでも夢みたいだろうな~。

 三上はまだ来てない。時間的にはもう交代のはずだから引き継ぎでもしてるんだろう。

 C級トリガーを使ってる者が多いからこそ正隊員が目立つ。

 もちろん正規のC級隊員も混じっているが今は他と区別がつかない。赤の嵐山隊や、黒スーツのオペレーター組や辻が目立ってる。

 あれ? そういえば八幡居なくない? あいつサボりやがったのか?

 

「……はっ……はっ……お待たせ一色くん」

「お疲れ三上。急いで来たの?」

 

 もっとゆっくり来ても良かっただろうに。

 真面目だな~。

 

「引き継ぎに手間取っちゃって……あれ? 比企谷くんが見当たらないね」

「そうなんだよね~サボったら忍田さんに怒られるだろうに――」

 

 ……うん? おやぁ……

 

「ぷっ……くく……!」

「……? どうしたの? 急に笑い堪えて」

「……三上三上、アレ」

 

 俺が指さす方を三上の視線が追う。

 その先には白の隊服に身を包む生徒たち。

 その影に潜むように立つ、白の隊服を着た濁り目の男が。

 

「あいつ……バレたくないからってC級トリガー使ってやがる……!」

 

 必死過ぎだろ~~~腹痛ぇ~~~~~!

 

「一色くん笑い過ぎだよ……比企谷くんは相変わらずだね」

 

 三上に苦笑いされてしまった。

 いや、でもこれは八幡が悪い。木虎も何してるのって目で見てるじゃん。

 A級一位部隊の先輩がC級トリガー使って混じってたらそりゃそうなるよ。

 しかも木虎や佐鳥が近づくたびサイドエフェクト使ってるし。み・え・に・く・い。

 話しかけんなオーラ全開だな。

 こりゃしょっぱなから楽しくなってきましたな~。

 あ、綾辻がこっちに気付いた。手でも振っとくか、おーい。

 手を振ったらサムズアップで返された。いや、どうゆう事。

 あ、八幡もこっちに気付いた。指さしてやろう。

 一瞬苛立ったように見えたけど、その後悪い笑みを浮かべて来た。何それ、悪役みたいだよ?

 

「なんか反応おかしく――ってどうしたの?」

「ん、ううん! 何でもないよ!」

 

 少し顔が赤いような……熱か? やっぱり疲れてるんじゃない?

 

「任務後で疲れてるならちゃんと休んだ方が良くない?」

「あ、いや、別にそういう訳じゃないから大丈夫だよ」

 

 まあ、本人が大丈夫と言うなら良いか。

 ヤバそうだったら俺が運べばいいし。

 

「お、始まるみたいだな」

 

 壇上に嵐山さんが立つ。

 同時に沸き上がる歓声。大人気だな嵐山さん。

 先導になる嵐山隊の紹介とボーダーについての軽い説明。

 そして恒例手始めのバムスターとの戦い。

 

「一色くんはタイムどれくらいだったの?」

「俺が入った時、この訓練まだ導入されて無かったんだよね」

 

 しょっぱなにやるからこその面白さ。

 今やってもただの作業だからね。

 

『――じゃあ正隊員にお手本を見せて貰おうか』

 

 お手本とな。ここで八幡が呼ばれたら爆笑だな~。

 

『――辻、頼めるか?』

『……はい』

 

 辻か~まあ弧月使う人が多いからお手本には適任だね。

 

『一号室、記録一秒』

 

 マスター級なら一秒ぐらいで倒しちゃうよね~。

 生徒たちの反応は様々だな~。

 辻すげぇって思うのは良いけど、如何にも俺でも出来るんじゃねって思ってるのも居るなぁ。この後現実を知るんだろうけど。

 あ、辻が女子に囲まれてる。カッコいい所見せちゃったもんな。頑張れ辻!

 

『――それじゃあみんなも訓練に取り掛かってくれ!』

 

 訓練が始まった。

 でもやっぱり現場見学で一日C級隊員。正規でも無いからさ。

 トリオンが少なくて攻撃力が圧倒的に足りてない人が多いよね。

 中にはもちろんトリオンの多い人や動きの良い人もいるみたいだけど……

 光る原石はなさそうかな。

 さて八幡は――並んではサイドエフェクトで緩やかに最後尾に戻ってる。

 一応興味あります感は出しておくのね~~アホだ~~~。

 

「一色くんまた笑ってる……」

「いやいやいや~あれはギャグでしょ~~」 

 

 笑い疲れた。腹痛い。

 

『ん? 比企谷、なんで訓練用トリガー使ってるんだ?』

 

 あ、バレた。

 いや、バレない筈が無いんだけど。

 しかし周りがひそひそとし始めるのはいただけないな。

 この流れは良くない。

 

『え、あいつA級隊員なの?』

『あんなのが?』

 

 …………………………

 

『いやーヒキタニくんがA級隊員になれるなら、隼人くんも成れるっしょー?』

『いや……どうかな』

「――なら、試してみるかい?」

 

 

 

 

 

「――なら、試してみるかい?」

 

 試してみるかい? じゃねぇよ。

 急に二階から飛び降りてきて何を言い出すんだコイツ。

 

「どうも~初めまして。比企谷くんの所属する一色隊の隊長、一色くれはです~よろしくね~」

 

 笑顔が胡散臭い。にも拘らず女子が騒ぎ始める。

 妹の様に計算してる訳じゃ無くこれだから、なお質が悪い。

 

「試すとは……俺とヒキタニ君が戦うって事ですか?」

「ううん、違う違う。俺と八幡――VS此処に居るC級のみんな全員で」

 

 ――は?

 

「あーもちろんハンデは付けるよ~? 攻撃が少しでも掠ればそっちの勝ち」

 

 おい、ふざけんな。ナチュラルに俺も巻き込まれてんじゃねぇか。

 しかも面倒な条件まで付けやがって。

 

「なんなら腕の一本でも取れた人は、B級隊員に俺から推薦してあげるよ~」

 

 周りが騒めき出す。そりゃそうだ。

 

「待って下さい一色先輩! 勝手な発言は止めて下さい!」

「大丈夫だよ木虎。城戸司令には俺から話しておくから~」

 

 木虎が止めに入るが少し遅い。

 他の奴らが既にB級に推薦と聞いてやる気になっている。

 今取り下げれば批判をくらうだろう。

 この場は既にくれはの流れだ。

 

「一色、いくら俺でも庇いきれないぞ?」

「大丈夫ですよ嵐山さん。俺と八幡がくらわなきゃいいだけです」

 

 だからなんで俺も巻き込まれてるんだよ。

 

「ほら八幡。通常のトリガー持ってんでしょ? 入れ替えて」

「わーったよ」

 

 訓練用トリガーからいつものトリガーに換装しなおす。

 俺がくれはと同じ隊服を着てる事に周りが騒めく。だから嫌だったんだよ。

 つうかなんでコイツはさっきから若干キレてんの?

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