訓練ブースに俺とくれは、そしてC級隊員全員が入れられた。
何この数、これ全部モールモッドだったら泣きたくなるレベル。
『八幡は攻撃を当てる気でいる人から倒して。その間に俺が巻き込まれただけの人をバイパーで落として行くから。あとサラマンダーは禁止、シールドも必要最低限でギムレットだけでよろしく』
『どんだけ縛りプレイにする気なんだお前』
『いいじゃん俺もパイパーとスコーピオンしか使わないからさ。多対一の訓練だよ訓練。向こうはトリガー一個しか使えないのにこっちはたくさん使えて卑怯だなんて思われたくないでしょ』
じゃあバイパーかスコーピオンかどっちかにしろよ。
『訓練……開始!』
「バイパー」「ギムレット」
ギムレットが突っ込んできた男子生徒を貫き後ろの生徒を貫いた。
くれはのバイパーはやる気のない者、後ろに隠れて動く気の無い者からドンドン減らしている。
射手と銃手だから、まず俺らに近づける奴自体少ないな。
『大体それっぽいのは全部倒した。次アタッカー達とスコーピオンで相手してくるからカバーよろしく』
『俺がカバーに回るのかよ』
『サイドエフェクトでちょちょいのちょいでしょ~』
くれはがスコーピオン片手に突っ込んで行く。
俺はくれはの背後に回ろうとする奴を打ち抜き、飛んでくるアステロイドやメテオラも撃ち落とす。
シールド無しってキツイな。ギムレットじゃなくてアステロイドの方が良かったな。
『トリガー一個で縛るんなら、訓練用トリガーのままで良かったんじゃないか?』
アステロイドの拳銃だったし。
『隊服着てないと訓練生にしか見えないでしょ~』
バッカ、そこはアレだ。俺のテクニックとか動きでだなぁ。
そうしてる間に随分と数が減ってきた。だがこれは――
『最初に落ちた奴何人かシレッと参加してね?』
『してるね~良いんじゃない? 何度でも叩き潰して上げれば』
こわっ! 怖いよくれはる。
くれはる、漢字で呉春。水の妹にして酒の兄。
いや、読み方はごしゅんだけど。
「さ~てご満足頂けたかな~?」
いや~本当に一発も当たらなかったね~。
戦いを終えた後の雰囲気は……悔しがる者、尊敬の意を向ける者、満足げな者……それぞれだな。
「そこの眼鏡の女の子、君はちゃんと指導者が付けばB級上位に行けるポテンシャル。そこの金髪の女の子とそこの白髪の女の子――」
「――えと……僕は男です」
「……ごめん、男の子は頑張ればB級中位ってとこかな」
男!? あの子男なの!? マジでかー……。
「その他はB級も難しいかな。でも、これでも十分豊作な方なんだよ? それだけB級って難しくてA級はもっと難しい……才能ももちろんだけどそれ相応の努力をして、君たちの生活を守る為に、辻も、奈良坂も、比企谷も戦ってるという事を知っておいて貰いたいな」
よし、伝えたい事は伝えた。後はゆっくりフェイドアウトして――
「あの!」
声を掛けられてしまった。
はい、何でしょう。
「バイパーってどうやったらあんなに綺麗に動かせるんですか!?」
「うーんバイパーは慣れが必要だからどっちかっていうとハウンド、慣れない内はアステロイドから使えるようにするのがおススメかな」
「スコーピオンの使い方をぜひ!」
「スコーピオンも軽いけど癖は強いから弧月が安定して使いやすいと思うよ」
「ハウンドなんですけど――」
あれー……なんで俺に聞くのかな……
俺そろそろ三上の所に……やっぱ無し。
三上、三上、みか三上、目のハイライト消えてるよ。どうしたのそれ。
もど、もど……ろう。うん。ぼっちにさせるのは良くないな。怖いけど。
「みんな聞いて、辻はB級一位隊の攻撃手だし、奈良坂はナンバー2狙撃手、比企谷はナンバー1銃手だ。彼らに聞いてみよう!」
「「なっ!」」「あの野郎……!」
注意が逸れた! ベイルアウトっ!
「え、あの……って居ない!? あれ?」
二階へジャンプして戻って来た。カメレオンでも入れて置くべきだったか。
三上は……ハイライトが依然消えたままだ。
「一色くんモテモテだね」
笑顔なのに目が笑ってないよ、三上さん。
「いや、あれは初めてA級の戦いを見たからでしょ。初めて見る人は太刀川さんの戦いや風間さんの戦いを見るとやっぱりカッコいいと思うじゃない?」
「……っこよかったけ……」
「……うん?」
「『一緒に見る』んじゃなかったの?」
「それはホントにすみませんでした」
誠心誠意込めて頭を下げる。
やっぱり怒ってるかぁ……そうだよなぁ。
「独りぼっちは、寂しいもんな」
「……! ふん!」
三上の強めのパンチ。
三上ってトリオンが多ければ隊員になれてたスペックなんだよね。
トリオン体じゃ無かったら痛かったんだろうな。
殴るほど怒らなくても。