波の音が聞こえる。
風を切る音が聞こえる。
「ここは、船の上か。」
『旦那、ここに来ちまったか。』
「お前か。」
『ヒヒヒッ! ご名答、お前さん死にかけてるぜ?』
そんなとこだろうと思った。
『なんか納得した顔だな。』
「はっ、単騎で向かったんだ。無事に終わるはずないだろ。」
黒いそいつは違いねぇと、言う。
「名前を聞いてなかったな。」
『おや、俺に興味がおありで? ヒヒッ、俺は名乗った通り最弱の復讐者『アンリマユ』だぜ。人類にとって都合のいい悪役さ。』
これは大物が来たな。
「ゾロアスター教の悪魔か。」
『ヒヒッ、実際は生贄にされた無害な少年だがねぇ。』
「ま、いいさ。死ぬまでの間の話し相手だろ?」
『いんや、気まぐれさ。』
俺は呆然とする。
『ヒヒヒッ、人間は嫌いだが、好きだ。矛盾してるが、人間にも美しいところがあるだろ?』
「はっ、殆どが私利私欲のためにいるがな。」
『いやいや、そん中でもお前さんは美しいぜ。』
「キモッ…………。」
『ヒヒッ、傷つくぜ。まあ、時間つぶしは合ってるな。』
「どういうことだ?」
『まあまあ、見て見なって。』
アンリマユは空中に映像を写す。
そこには必死に応急処置をしている第一部隊のメンツがいた。
『これが現状だぜ。ヒヒッ! 美しいよな。お前のためにこんなにしてるんだからよ。』
俺はその光景に目を疑った。
『信じられないだろ? お前さんがアイツらに売って売って売りまくった恩を返そうとしてるんだぜ?』
アンリマユは言う。
『俺が1番嫌いな正義の味方だ。だがな、積み重ねて来たものは無駄じゃないだろ?』
俺は呆然とするしかできなかった。
「早く、輸血パック!!」
「はい! ここにあります!」
このままでは司令官は死んでしまう。
私たちは鎮守府についたと同時に医療器具を持ってきて、司令官に治療を施している。
「心拍数低下!! AED持って来て!!」
「は、はいっ!」
フウが慌ただしく取りに行く。
「ジャック、交代よ。」
「キャット頼みます。」
私は急いで他に必要な器具を取りに行きます。
ゼロは呆然とし、ラトはオロオロしてる。
スーヨは司令官の手を握っている。
ワンは何もできなかった自分に対して怒りで震えている。
その手からは血が滴り落ちている。
「何が第一部隊だ、何が覇道だ、何が守るだ!! 結局はこやつに救われ、我らは指をくわえて見てるしかできんのか!!」
ワンが怒鳴る。
でも、怒鳴ったところで何も変わらない。
そこに慌ただしい足跡が聞こえた。
「司令官が倒れたと聞いて来たぞ!」
そこにはいつも飲んで、迷惑ばっかりかけていたニコが来た。
「キャット、これを使え。医療用とはいかないが、取っておいた秘蔵の酒スピリタスだ。アルコール度数が高いから応急に使えるはずだ。」
あのニコですら酒を飲まず、ここまで飛んで来て、まさかの酒を渡すと言う普段からは有り得ない事をしている。
「助かるわ。消毒用のアルコールが足りなくて困っていたの。」
「そうか。勿体無いが、司令官のためだ。惜しくも何ともない。」
「ありがと。」
キャットは治療に取り掛かった。
その頃は……
『〜〜ってな訳よ。』
「フハハハハ! なんだそりゃ傑作だな!」
『そんでもってよ、願望機が汚染されちまって、歪んだ願いしか叶えることができなくなったって訳!』
「ハハハッ! 滑稽だな! ヤベェな! お前、弱いくせに影響が半端ねぇな!」
『うっせ、弱いは余計だっつーの!』
アンリマユの過去の話を聞いて爆笑してた。
『おっ、お迎えだぜ。』
「ん、そうか。これがお迎えか。」
俺は足から粒子になって消えていた。
『じゃあな。楽しかったぜ。っても、夢で会えるけどな。』
アンリマユの声を聞きながら意識が途絶えた。
「ゴホッ! あぁ、身体中がいてぇ。」
周りを見渡すが誰もいない。
俺は点滴の針を引っこ抜き、ベッドを降りようとしたら、コケた。
「ゲフッ! イッテェ、クソが。」
俺はまた立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。
扉を開けようとしたら、そこに第一部隊のメンツが揃って立っていた。
「よ、よお、なんか用か?」
「「「「「「………………。」」」」」」
「何だよ。その信じられないようなものを見た目は?」
「い」
「い?」
「「「「「「生き返ったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」
「うるさいなぁ。」
俺は耳を塞ぐ。
「え? 確かに心肺停止しましたよね?」
「勝手に殺すな。」
「はい、心拍数も呼吸も止まりました。」
「おい………。」
「あの状況で普通生き返るかしら?」
「はぁ、このボケども!!」
「「「「「「!!!」」」」」」
第一部隊のメンツは不動の姿勢になる。
「貴様ら、勝手に俺を殺しすな。そうだな、貴様らの仕事量は明日から2倍な。」
「「「「「「へ?」」」」」」
「さて、屋上に行くか。」
そのあと医療室に飛び込んで来た金剛が見たのは青い顔で項垂れる第一部隊のメンツがあった。