「あーあ、やっぱり上手くいかないものだな。」
俺は執務室の窓から一部始終を見ていた。
「フウが止めなかったら、あの天龍は首斬られてたな。」
天龍とフウは気付かなかったが、天龍が最後の一言の後にはゼロが刀を既に抜いていたからな。
「まあ、ゼロが居合いをしないだけでもマシだったかな。」
俺は執務室の椅子に座り、書類の仕事を開始する。
コンコン
このノックはうちの第1部隊じゃないな。
「はーい、誰もいませんよー。」
「Hey! テートク! ティータイムにするネ!」
「あー、書類が終わるまでは無理だな。」
「つれないデスね〜。」
俺はガン無視して書類を片付ける。
一枚一枚を丁寧にそして正確に迅速に片付けていく。
「っ! んだよこの書類は………!」
そこには、『艦娘奴隷売買金額』とあった。
「おい、金剛」
「ん? テートクどうしたのデス?」
「ここ最近で轟沈でもなく、転属でもなく、あやふやな形でいなくなった艦娘はいるか?」
俺は少し怒気を込めて尋ねた。
「うっ、テートク怖いデース。瑞鶴と鳳翔がどこかに行ってしまったデス。」
「ふむ、瑞鶴と鳳翔か。分かった。」
俺は金剛から目線を外し、携帯からババアに電話をかける。
『はいはーい、どったの?』
「喋り方がキモいぞババア。」
『ひっどぉーい! すっごくギズついたわよ! 傷物にされたわ! これはもう結婚しかないわね!』
「頭に蛆でも湧きましたか? 仕事だよ。」
すると電話越しでも分かるように雰囲気が変わった。
『内容を聞きましょう。』
あの巫山戯た感じではなく、総司令としての威厳を持ったババアになった。
「この鎮守府からいなくなった瑞鶴と鳳翔について調べてもらいたい。」
『ふーん、どうしてかしら?』
「書類整理してたらホコリどころか粗大ゴミが出て来てな。『艦娘奴隷売買金額』という書類が出て来て、聞いて見たら2人がいなくなったと聞いたからな。」
『なるほどね。分かったわ。調べてみましょう。』
「そうか。時間はそうそう経ってもないから今日中に調べてくれ。」
『またまた無茶を押し付けるわね。』
このババアは!!
「テメェこそこんな所に俺を放り込んでおいてシラを切れるな? 調べきれなかったら俺の育てた第2、第3、第4部隊の全員こっちに派遣するからな。」
その瞬間電話の向こうでバタバタと転ぶような音がした。
『え? 冗談ですよね?』
上司が部下に敬語を使い出す。
「本気だからな。」
『ミロ〜! 龍司がいじめるよ〜!!』
『うるさい! 気安く触るな!!』
『ハブッ!!』
「分かったな?」
『え? ちょっとまっ!!』
そのまま俺は電話を切った。
「ふう、これで大丈夫だろ。」
コンコン
このノックはジャックかな?
「開いてるぞ。」
「失礼します。」
案の定ジャックが入って来た。
「来て早々悪いが、ラトとワンを連れて来てくれ。」
「はっ! 了解しました!」
ジャックはそのまま出て行った。
「んで、お前はいつまでいるつもりだ?」
「テートクとティータイムするまでデース!」
「はぁ、お前は何とも思わないのかよ?」
「んー、前のテートクは嫌いデース。でも、テートクはそんな事しないと思ってるデス。」
アホのように見えてしっかりと考えているのか。
「はぁ、ちと疲れたから休憩だ。」
「分かったデース! 今から紅茶入れるので待ってくだサーイ!」
金剛は紅茶を淹れに行った。
「騒がしいが、いい奴だとは分かる。」
金剛が来るまでの間、俺は窓から空を眺めていた。
ちなみに金剛の淹れた紅茶は中々に美味かった。