忘れられた龍の秘跡 〜MonsterHunter Legend 〜 作:妄猛総督
エピソード: zero 時は過ぎ、忘れるモノ
ーーー これは小さな、されど一つ間違えれば世界が壊れてしまったかもしれない災厄を起こす龍達について語る物語の断片だ。
それは今この時代に生きる者には語られる事はない。
彼らは今眠っている。どれ程の激動があったとしても目覚めない。
いにしえに語る石版にもモノリスにも書物にも描かれない。
口伝でのみそれを知ることが出来る。
さあ、世界の真実その一端に君達は触れる時だ。
それを聞いて君達は信じるか?殆どは信じないだろう。口伝だけでたった1人の語り部が綴る龍の姿を、大自然の象徴『古龍』、
『
三界の巨龍と呼ばれた者達を可能な限り見ていこうと思う。
みんな、準備はいいかな?では、始めようーーー
ひらひらと白いワンピースを着た少女はいつ建てられたかもわからない古びた塔の頂にて静かに微笑んだ。
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険しく、雄々しい槍のようにそびえ立つ山脈の麓、シャーナ村。
その夕暮れにそれはきた。
ここに気球船に乗って1人の学者風の男と護衛だろうかハンター四名が降り立った。
彼の名は『リッカート』。ドンドルマの大長老からこの地域の調査を命じられてやってきたのだ。
エリエンテ地方ともいわれるここは未だ見たことのない生物の生態系が見ることが出来、豊富な資源にも恵まれた豊かな場所である。
初めて訪れる
「おやまあ、よくぞ来てくれたねぇ。歓迎するよ。」
見た目はポッケ村の村長と同じくらいか。だが特徴的な耳は竜人族の証。かなり高齢で多くの叡智を持っていると推測できた。
「初めまして、村長さん。私はドンドルマの古龍観測隊所属のリッカートと申します。」
まずは挨拶。どんな時でも挨拶は大切だ。
「まあ、聞いてるよ。後ろのハンターさん達はこの村にしばらくいることもね。」
どうやらここにくる前に通達か何かで知らせてあったようだ。だとするならば話も円滑に進むだろう。
「そうですか、なら話は進めやすいですね。そうです。彼らはここで専属のハンターとして派遣されました。私は調査を命じられましたが彼らのサポーターでもあります。どうかよろしくお願いします。」
「そうかい、なら頼もうかね。まずは歓迎の催しをせんとな。詳しい事は明日聞くでね。今夜はゆっくりしていってくれ。」
かたじけない、そう返事をすると村長はニッコリと笑い今度はハンター達に体を向けた。
「では主達の部屋を案内しておこうかね、こっちについてきてくれんか。」
村長の小さな背中を追いかけながら村の中を順繰りに見ていく。それなりに交易があるようで時折複数のキャラバン商隊が見える。
大きく立派な建物があり、ギルドの紋章が見えるためおそらくは集会場だろう。
その隣には香ばしい香りが漂うため飲食店なのだろうと推測できた。
飲食店の名前が彫られた看板があり、『シャルケン食堂』と書かれている。
その隣には武具屋があり、その中にオトモ用の武具屋がある。ハンター達は武器や防具が気になるのか妙にそわそわしている。まあ仕方ない、ハンターたるサガだ。大目に見ておこう。
「おや、武具屋が気になるかい?なら見ていくといい。」
村長の許可が降りたのを知ると4人は真っ先に武具屋に向かっていく。
「へい、らっしゃい!何をお求めで?お?見ない顔だねあんたら。新人ってわけでもないな、それなりのランク持ちか。あいよ、武器ならこんなものがあるよ。」
そう、彼らは新人ではない。ドンドルマの大長老が召集したG級ハンターだ。中にはメゼポルタ出身までいる。
自分も気になったので少しだけ見せてもらうことにした。
やはりというか自分達が知るモンスターの素材で出来た武器が少ない。やはり討伐などをこなさないといけないようだ。
「そりゃ、そうさ。なんたってこのエリエンテ地方はあんたらの住んでる地方とは全然違うんだからな。例えばこの辺でよく見かけるモンスターといえば鳥竜種で『エルドゥス』なんてのがいる。こいつは羽毛を持っててな、木から滑空するように獲物を襲うんだ、まあ、そいつは親玉の『ドスエルドゥス』がやるんだ。『エルドゥス』は獲物を円で囲み逃さないようにする。こいつから作る防具は流水というスキルがつくぜ。どんなスキルかはつけてからのお楽しみだ。」
鳥竜種『エルドゥス』。聞く限り他の種と比べてかなり独特の進化を遂げたようだ。木から滑空するように獲物を仕留めるのはナルガクルガを連想するがおそらく素早さはそれに引けを取らないと思われる。
もし、仮に狩猟してきたら、素材の一部は提供して欲しいものだ。我儘かもしれないが生態系を知る為だ。我慢して貰いたいところ。
あらかた見終わったのか4人は村長の所に戻ってくる。
最後に目に入ったのは神殿、そういう見方しかない建物があった。聞いてみると巫女兼語り部が住まう場所なのだとか。
「あれはね、エリエンテ地方の伝承を口伝する巫女が住んでるのさ。この村の掟でな、この地方の伝承、伝説は口伝だけしか伝えてはいけないのさ。でも、口伝だけでは伝承は磨耗し、有る事無い事が付け加えられてしまう。学者さんがきてくれて助かったよ。記録に残してくれてありがとう。これで悪しき風習から解放される。」
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あの後、夜になり歓迎の宴が催された。私は酒の席で、この地に眠る古龍の伝承を聞いて見た。
聞いてみれば古龍観測隊に秘蔵する書物に記されてない古龍が聞くことが出来た。私は羊皮紙とペンを走らせて色々な人々に聞いてみる。
聞き込んで見た結果、口伝だけとはいえ信じられないことを知ることができた。
巫女や母親が子守唄として語るのだが聞いてみると驚愕する。
歌詞としてはこうだ。
眠れ、眠れよ天を統べる者よ。
祖なるものが抱く揺り籠で。
目覚めの時は訪れない。
子が育ち、地に満ち、溢れる大地よ
人の踏み込まぬ大空の
天に浮かぶ浮島に今は眠れよ天空龍。
静寂に微睡む母なる海に
光届かぬ岩底に
砂の蓋を閉じて
今は眠れよ、眠れ。
煌めく王冠は群青に輝き
ホウズキの瞳は深淵を知る。
貴方は目覚めの時は訪れない。
静かに眠れよ海王龍
永遠の愛着を求め
彷徨う大地よ
何もいらない
何も知らない
ただ、静かに眠れよ、眠れ。
その背に世界樹を背負い、
何処の最果てを求めて、
ただ微睡みの底に帰る時
今は眠れよ峰陵龍
最後に四つ目があるらしく、軽く酔った村長が教えてくれた。
三界ノ龍帝滅スル時
星ハ終焉ヲ向カウ
星ノ命ヲ糧トシテ
星ヲ覆イ全テヲ喰ラウ
汝ノ名ハ何カト尋ネルト
其ハ大地ノ全テヲ翼トシテ
星々ヲ喰ラウ『神龍』ナリ
人ニ語ル事ナク地ノ底デ
タダ眠ルノミ
にわかに信じられない。まるで黒龍伝説のようだと思った。そもそも黒龍伝説は禁忌だ。それが湾曲されて作られたと思ったがそれにしても違和感がある。
私の勘が告げている。
この伝承で語られる古龍は目覚めさせてはならないと。
私は酒を飲むことを忘れて、羊皮紙にペンを走らせたのだった。
この日を境に数ヶ月後メゼポルタの飛行船が、天に浮かぶ浮遊大陸を発見したという。