忘れられた龍の秘跡 〜MonsterHunter Legend 〜 作:妄猛総督
なお、bgmを流すこと推奨。fgo7章《終焉》ピアノのテンポがあっている気がしガス。
空が晴れた。
あれほど荒れ狂っていた空は、青く澄み渡って鳥たちの声が聞こえる。
戦いの傷跡は、何千、何万年かけても元の姿には戻らないだろう。雲の隙間から漏れ出た天の梯子が完全に崩れた塔と周辺の地形を照らしている。
祖龍と天空龍、そして精霊種。
これらのモンスターが争った結果、フォンロン地域一帯は永遠に封鎖されることになった。
天空龍が堕ちたことで、この世界は一時的に安寧を得た。
そして、古龍観測隊と大長老は此度の件で古龍種の危険性に改めて認識した。
それほどまでに天空龍のもたらしたものは凄まじいとの一言だけ。
人は、大自然の恐ろしさを、古龍の恐ろしさを改めて思い知った出来事だった。人もハンターも皆同じ気持ちだった。
「空が青いね。アリストテレス。」
「さようで。天帝は、あの広大な青い空を欲したのですな。」
2人は精霊が見つめるのを横目に大地に倒れた天空龍をただ見ているだけだった。
自らの光で自らを焼き尽くす。あの最後に放った光は、おそらく天空龍最後の一撃だったに違いない。
でなければ、光の奔流が迸るたびに体を焼き尽くして、血を垂れ流して、背びれが溶けたりしても、空を空気を焼いたりしない。
史上最大の一撃でも精霊種には届かなかった。
白い少女は胸に虚しさだけが残った。
その時だった。
《ウ、ウオオオオオォォォォォォォォ‥‥‥‥‥‥‥ルゥゥ‥‥》
大地に堕ちた天空龍が動いたのだ。ボロボロになった翼を羽ばたかせて、少しずつ、少しずつ、上昇する。
「そんな、彼にはもう動く力なんてないのに‥‥‥‥‥‥!」
天空龍は白い少女もそばにいる精霊種にもたった一度だけその片目で一瞥して、そして見なくなった。彼が見つめているのは、雄大で、広大な青い空だった。
「天空龍の願い。それは空を手に入れたい。だが、もはやそれは叶わぬ泡沫の夢。だから最後の力で、仮初めでも空を掴もうと‥‥‥‥‥!」
ゆっくりと上昇する天空龍。それにはかつての優雅さもなく、ただ惨めに大地を這う蛇のようにゆっくりと空を目指した。
上昇するたびに体からおびただしい血が流れ出し、背びれがロウのように溶けていく。
やがて、宇宙に一番近いところまで上昇することができた。
天空龍はそのボロボロに、砕けた爪、いや手を宇宙にある太陽に伸ばした。そして、掴むように握りしめ、最後に大きく、何かを成し遂げたように吠えた。
《ウオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥!!!!!!!!!!》
天空龍の心臓は今、停止した。
高度1万メートル上空。初めて仮初めとはいえ天を掴み取った天空龍は、そのまま流れるようにまっすぐ落ちていった。
異なる世界の神話。偉大なる発明家の息子は、蜜蝋で固めた翼で空を大きく飛ぼうとした。だが、神の怒りに触れ蜜蝋は溶け落ち、発明家の息子は海へと落ちた。
落ちていく天空龍の体は体から剥がれた鱗が雪のように散らばり、太陽の反射で幻想的な輝きを生み出した。
眠れ、眠れよ天を統べる者よ。
祖なるものが抱く揺り籠で。
目覚めの時は訪れない。
子が育ち、地に満ち、溢れる大地よ
人の踏み込まぬ大空の
天に浮かぶ浮島に今は眠れよ天空龍。
剥がれた鱗は大地に触れると、なんと不毛とかした大地に緑が広がっていった。
天空龍の遺体は大地に届く前に全て霧散した。天空龍のカケラは大地にに触れるだけで死に絶えた大地が緑に溢れたのだ。
天の歌が聞こえる。凱旋せよと歌う。ああ、人よ、天は誇りを貫いた。次は海だ。
海は再生を望む。心せよ、三界は未だ潰えず。
「大長老!一大事でございます!」
「何があった!」
大慌てで駆け込んできた職員にギルドナイトが問う。
「タンジアと、その周辺、厄海が‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
水没しました!!!!」
ゴボボボ。
見事という二本の角をその手で粉々に砕き、深海で六つの眼光がきらめく。
かの大海龍を首、腕、尻尾を其々の口で咥え、そして食いちぎった。
かの名を【
三界の一角にして、深海の王。
別名、海王龍。