忘れられた龍の秘跡 〜MonsterHunter Legend 〜 作:妄猛総督
ついに海王龍覚醒、覚醒すれば海王龍編もあと2、3話で終われると思います。そして人形焼きさん以外のゲストもちょろっと登場。
これからも応援お願いします
「方位角、11時固定!弾道計算400mに設定!撃龍槍装填!!ーー今だ!破龍砲『
巨大な破龍砲のチャンバーに螺旋を描く大人三人分はある槍が装填される。送られた槍は標準に合わせた砲口内にセットされ打ち出す時を待つが‥‥‥‥‥‥
「キャプテンレガリア!!オーバーヒートです!発射出来ません!」
「なら、発射出来るまでの間大砲に切り替えな!カノン砲用意、弾込めぇ、装填!」
「アイ、アイサーッ!!」
破龍砲は高威力ゆえにどんなに頑張っても五分に一回オーバーヒートを起こしてしまう。そのため装填は出来ても発射できないのだ。
ドンッ、ドンッ、ドンッ!!!
着弾する大砲弾。
しかし、荒れに荒れた海の上で弾道計算は至難を極めた。標準がブレるのだ。結果的に弾は海王龍にほとんど当たらず。
風に煽られ、あるいは高波に威力を落とされ、射手のミスでやはり当たらない。
キィィィィィィィン、ズドォン!!
海王龍のブレスがヴァルキュリア号のすぐ側に直撃する。
音を置き去りにした空間を裂くつんざくようななんとも言えぬ衝撃がヴァルキュリア号を襲う。
「狼狽えるな!持ち場につけ!被弾してねえから攻撃をやめんじゃねえ!!」
トリヴィスの声で慌てて持ち場に着く船員。ハンターはガンナーによる飽和射撃で海王龍を撃ち抜いていく。狩猟笛の鼓舞によるバフの嵐で秘伝書によりカンストしないはずのステータスがこの時は完全にカンストしていた。
「貫通弾が尽きたわ!支援お願いっ!」
「支援隊はあっちでいっぱいいっぱいだ!俺のくれてやる、終わったら請求するからな!」
「チッ、弓兵から報告!貫通矢が届かない!もう少し船を近づけてくれ!」
「ダメだ!これ以上近づけると船が被弾しちまう!このまま維持だ!!」
「バリスタの弾が来たぞ、バリスタを当て続けろ!!」
「嵐龍のブレスが来るぞ、拘束用バリスタ弾撃て、撃てぇ!!!」
「面舵いっぱい!!その後3時方向取舵回しなっ!」
各々のハンターはガンナーを中心に海王龍に攻撃を当て続ける。
時節敵と判断したアマツマガツチの攻撃が迫るが、トリヴィスの巧みな操作とレガリアの航路判断がヴァルキュリア号の被弾を逃れている。
キリンは滑るように水上を駆け抜けている。キリンの足元には水面に触れておらず水面との間に風が流れている。
幻獣キリン、精霊種としてのキリンは霊長の王としてある地方において真なる崇拝を受けるほど強大な存在。
行く先に風を吹き込み、空気の幕を作り常に大地を歩く。草を踏まず虫を殺さず、慈悲の心を見せる。
彼が一歩歩けば、大地は花が咲き誇り、死にかけた大地は息吹を吹き返す。
一啼きすれば、芽生えぬ種子は大きく芽を出して目を覚まさぬ者たちは一様に目を覚ます。
されど一度怒りを覚えたならば、額の角は光の剣と錯覚するほど肥大化し、頭上に嵐が荒れる。しかし、自然に一切の危害を与えず害あるものだけを滅ぼす存在になる。
今、キリンは雷光を従えて海王龍へと疾走する。光の剣と化した角を槍のようにして突進する。
そして、同じく精霊種である神魚アマノヌボコヌシが浮上し、キリンの踏み台になる。
アマノヌボコヌシの背を借りて跳躍、光の剣を振り下ろすーーー!!
無論、海王龍も抵抗しないわけがない、3つの首からブレスを吐き出し、押し出そうとする。
光の剣となったキリンは激流を引き裂き突き進んで行く。そのスピードには衰えはない。
危機感を覚えた海王龍はブレスを維持しながら前足を海底に叩きつける。現れるのは牙向く瀑布の壁。
流石のキリンもこれも同時に受けながら剣を突き進むのは至難であった。
弾き飛ばされると思いきやーー
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!
ギュイィィィィィィィィィィン、ギャリギャリギャリッ!!!!!!!
ズズゥゥゥゥゥゥン!!!
《グウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァッ!!?》
「よぉし、『
先ほど発射出来ずにいた破龍砲の弾である槍が高速で接近、海の鎧を簡単に貫通し甲殻を吹き飛ばし肉を回転しながら抉り出す。吹き出す鮮血。
思わず、悲鳴の咆哮を上げブレスも鎧も外してしまう海王龍。
そして此処ぞとばかりにアマノヌボコヌシは右端の首に噛みつき反動をつけて何倍もある巨体を投げ飛ばした。
《ぐうゥゥゥゥアアアアアアッ!?》
投げ飛ばされた方向には幻獣キリンの光の剣。絶え間なく打ち出されるヴァルキュリア号のカノン砲の嵐、ガンナーによる飽和射撃。
さらに嵐龍の水流ブレスもなぎ払うように海王龍を打ち払う。
キリンの光の剣が一閃される。
《グギャァァァァァァァァァァァアアアアアアァァァァァァァァァァァッ!!?》
体に巡る熱と、吹き出す鮮血。胸元を深々と切りつけられ海中に叩き落される。着水と同時に起こる高波。
海王龍の巨体が海水を押し出して並みの撃龍船であれば転覆は免れぬ高波。
着水した場所から、打ち出される砲弾、弾薬、落雷ーーー
「やったか?」
誰かが呟いた。
それほどに静かだったーーー
ーー
「いやぁ、さすがに三界。ある世界じゃこれぐらいは日常らしいけど‥‥‥‥‥それでも上から数えても遜色ない強さじゃない?どう思うトール?」
「俺に聞くな。だがお前ならともかく俺があいつに勝てるとしたら‥‥‥‥‥そうだな、いかに覚醒させず‥‥だろうな」
銀色の髪を揺らして少女がそばにいる武人に似た男に問いかける。トールと呼ばれた男は腕をすくませてやれやれとなんともはっきりしない答えを出す。
「ふぅん?なら覚醒しないなら勝てるの?」
目を細めながら面白おかしく笑みを浮かべる少女。その顔は悪い顔である。
「覚醒させずに戦えば勝率はそうだな。ギリギリ3割いけばいい。それも運が重なった上で、だ」
「それを踏まえればあのヴァルキュリア号はよくやってる。おそらくあれを上回る兵器は今後現れんだろうな、全く人という奴はいつも可能性の化身だな関心するよ」
「それには同意見。でも彼らは苦労するよね。だってーー相手は創世の怪物。覚醒すれば一瞬で世界が氷河期になるなんてーーー誰もわかるわけないじゃないか」
「まったくお前は‥‥‥‥‥人を手助けしたかと思えば今度は傍観か。はっきり定まらぬ主人よな。さて、そろそろ出てきたらどうだ?この世界の龍滅刃よ」
ガサ、と茂みから出てきた1人の男は至高の武器の一振りとも言われる天上天下無双刀の最終形態、三千大千世界無双刀を背負う。
「お前は、この世界の異変には傍観なのか介入するのかどちらなのか?」
武人、トールに問いかけられた龍滅刃と呼ばれた男は
「俺の狙いは、最強と言われるーーーー精霊王だけだ。あいつは俺に史上初めて勝てないと恐怖を覚えさせた奴だからな。リベンジという奴だ」
「アレに挑むつもりか?
星の最強種だぞ?星の内に生きてる生命は勝てない、そういう権能だ」
忠告を受けた男はフッ、と不敵な笑みを浮かべて心からの本音を吐き出した。
「俺より強いやつが星焔以外にいるなんて許せるわけないだろうが」
ーー
「おい、なんか変じゃねえ?」
「なんだアレは‥‥‥‥‥‥?」
ブクブクと白い泡を出しながら、周囲の海水が煮立ったように範囲が広がっていく。
「いけねえ!!全員衝撃に備えろ!!」
パキパキ、パキ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ピシッ、ピシッ‥‥‥‥
そして海面に高速で広がる凍結面。さらに空気中の水分が凍りつき、ダイヤモンドダストが発生する。それだけではない、振り続ける雨さえ凍りつき、
大気も、温度が下がりすぎて何も見えない白となる。
ガシャンっ!!
1人のハンターが凍った海面に大剣を振り下ろして衝撃の事実が。
「っ!?なんだよこれ‥‥‥」
「海面じゃねえ、海水丸ごと
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴっ‥‥‥‥!
続いて鳴り響く地響き。
ズドォォォォォォォォォン!!!
凍てついた海面を突き破り、3つの首を持つ異形の巨体がおどり出る。
《グゥウウウウウウウウウウゥゥゥゥアアアアアア‥‥‥‥‥!!》
そして変化する。
海王龍は背中の未発達と思われた翼と思わしき機関が殻を吹き飛ばしながらまるで蝶が、蝉が蛹から羽化する際弱々しい羽を伸ばすように萎れたように見える翼が背中から突き破るように出現する。
更に背中に引っ張られたのか胸元からひび割れて中央から赤く輝く紅玉がまるで巨大な目玉のように露出する。
「どうやら、ここからが本当の正念場らしいな‥‥‥‥」
《グウアアアアアアァァァァァァァァァァァアアアアアアァァァァァァァァァァァアアアアアアァァァァァァァァァァァッ!!!」
海王龍は大きく咆哮をすると地平線の彼方から天に届こうかという白いナニカーーーーー。
衛星があればこういう風に見えただろう。星をまるで、飴玉に包むように津波が覆い尽くそうとしているとーーー
そう、これこそが
世界太古の災害、【大海嘯】である。
海王龍、幻獣、神魚、嵐龍、戦女神の船ーーー新たな神話の紡ぐ戦いが真の意味で始まろうとしていた。
海王龍、覚醒ーーー!