忘れられた龍の秘跡 〜MonsterHunter Legend 〜 作:妄猛総督
さて、そろそろ出すかな。
《ルモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっ!!!》
硬く握り締められた拳が振り下ろされる。
だが拳は空を切り、噛み付かれた片腕は既に自由だ。
ガラ空きになった胴に鈍い衝撃が走る。
ズガンっ!!!
《ボアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!》
ソニックブームが発生する凄まじい勢いで森猿に頭突きをぶつける峯陵龍は爛々と輝く瞳に怪しい意思を称えるかのようだ。
《グボアアアアアアアアアアアアアアアア、ルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!》
咆哮と共に大地が盛り上がり幾千に束ねられた植物が意思を持つかのように読めぬ軌道を描き鞭のように振るわれる。
それだけではない、周囲の山にある植物も異常なほど成長して、上だけではなく粘菌のように広がっていく。
そこから竹林のように無差別に、高速に成長し始め森猿の足を貫かんと展開される。
さらに峯陵龍の背にある世界樹から蔓がまるで弓のツルのようにしなり、絡め取った岩石や瓦礫を弩のように番え、放つ。
放たれたソレは音速の壁を初速で超え、マッハの領域へ。空気の抵抗により角ばっていたソレは円錐型に削れて貫く矛に見える。
しかし、ソレも森猿の突き出した崩拳で粉々に。
さらにはいくつかを見事にキャッチして逆に投げ返し世界樹の枝のいくつかをへし折る。へし折れたところから赤い血のような樹液?が流れ出し付着したところは酸のように白い煙を上げている。
《ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!?》
世界樹の樹液はソレを背負う峯陵龍でさえ苦しむ猛毒で、大地に降り注げば真っ白に脱色し、そしてそのまま溶けて液体になる。ソレに触れた虫が煙を上げながら一瞬で溶けてしまう。
だが、森猿もこれはまずいと判断したのか、体から種子をまいた。溶けた大地に落ちると溶け落ちることなくむしろ大地を補強する形で綺麗な花が咲く。
痛みに怒りを震わせる峯陵龍はさらに蔓をまとめ上げ、自身を持ち上げることが出来る領域まで数を、太さを増やす。
手足を内側に引っ込めて防御のために頭も引っ込める。もはや触手同然となった蔓を投石機のように自身を打ち出す準備も出来た。
刹那に打ち出された回転する超超大質量の物体、一つの弾丸となった峯陵龍。
周囲に世界樹の花粉がばらまかれ、気流に乗るとソレを吸った生き物は体から発芽して巨大なモノリスと化す。
《ルモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっ!!!???》
そのたくましい肉体を持って受け止めようとする森猿は、受け止めること叶わずシュレイド城を粉々にして吹き飛ばされかなり遠い山脈にぶつかり山体崩落を起こして動かなくなった。
死んではいない、気絶しただけのようでその体は、かの輝きの丘に還っていないのがその証拠である。
しかし、その体の中心は見事なまでの風穴が空いており重症なのは明らかである。
森猿を一時的に退けた峯陵龍。
あたりは、超超大質量を持つ二体のモンスターにより地面は更地になるどころか、地盤は5キロメートルまで沈下し、擬似的なクレーターに。
溶岩が沈下する地盤に耐えきれず、隙間から絶えず吹き出し、森猿の体からこぼれ落ちた種子により周囲の環境に合わせて育った溶岩に燃えない、世界樹の樹液にも耐える植物と、かなり混沌とする場所へと変貌していた。
《グボアアアア‥‥‥グフゥ、ゴボオォォ‥‥》
峯陵龍の口から血のような、毒々しいドス黒い液体を吐き出した。
吐き出す最中に、峯陵龍の体には、血管が浮き出るように、ミミズのようにのたうつナニカがうごめいていた。
だが、それも一瞬だったようで、すぐさま復帰するとそのままクレーターを出ようと一歩を踏み出そうとした。
しかし、それを世界は許さないのだろう。
《ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!》
黒い、死をその身にまとう峯陵龍からすればアリのように小さい怪物がその足に噛みついている。
しかし、振りほどこうと持ち上げるが、その身のどこにそんな力があるのか何倍もの差がある峯陵龍と拮抗する
「ジョー君、離しちゃダメよ!逆に抑え込んで!!」
《ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアはっ!!!!》
場違いな凛と澄み渡る声が響くと、その怪物は顎を持って峯陵龍の足を持ち上げる。
《ボアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!?》
「フィー君、焼き払え!!」
《ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!》
突然の大爆発、そして、体格差を無視した慮外な力で押し返される。
「おいおい、喉元ガラ空きだぜ?狩技!『紫電迅閃』!!」
シルバーソルZXを身に纏う、三千大千世界無双刀が峯陵龍の喉元へ振るわれる。
そこへ、黒い、高速で接近する影。
《ガルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!》
目にも止まらぬ速さで火球を連射する黒い空の王者、黒星龍は狙いを定めた傷つけたと思われる喉元へ炸裂させる。
これが刹那の瞬間に起きた出来事。
大抵のモンスターや強いというモンスターも彼らからすれば確かに片手間だろう。
しかし、だ。
それはあくまで、彼らが見てきたモンスターの強さが片手間で終わるというだけだったということ。
三界の龍帝は、伊達に龍帝を名乗っているわけがない。
土煙が晴れると、確かに喉元には亀裂があるが、良く目を凝らさねば見えぬほどの小さな傷。
さらにその周りに少しだけ焦げ付いた跡がある。
「だから、いっただろうが。向こうと同じ感覚で狩ると倒せねえぞこいつは。向こうは星が救援を出さなかった、だがこいつは、こいつらは星が世界を跨いでも救援を要請させるほどの怪物だぞ。気をひきしめろ、
もう一人、ジェスト・オルタは風になって現れると、太刀を一閃。ジェストの背後から忍び寄っていた世界樹の蔓がバラバラに引き裂かれる。
ついでに投げナイフを取り出すと、複数まとめて投擲、同じようにエクセリアにも忍び寄っていた蔓を切り裂く。
「さて、ぶっつけ本番だがやるぞ
新たな狩の極致、狩技と狩技の合体、融合技。
いいかーー
俺はお前で、お前は俺なんだ。
魂のレベルで合わせられる。
二人が同時に駆け出す。
武器を構えながら、高速で大地を駆け抜ける。
二人は互いに跳躍すると光のオーラのようなものが二人を包み込み軌跡が交わりながら交差する。
武器の太刀は赤く輝きながら、その時を待つ。
ジェスト・オルタは駆け抜ける中、ジェストに語りかける。それは詠唱にも似た詞。
ーーこれぞ、行き着く狩の極致なれば
ーー絆、友情、愛慕、あらゆる良きかな心に
ーー強きもの、一人なく心合わせる者あれば
ーー狩技と狩技を合わせ真と新とする一撃とせよ!!
「「『
《ボアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!?》
右前足に伝わる一撃は峯陵龍の腱を切り落とし、体を崩れさせるのに十分な一撃だった。
しかし、復帰が早く。
彼らが再び向き合う頃にはすでに峯陵龍は立ち上がる動きを見せてはいたが、
ただ世界樹はーーーー根元から紫色に変色し始めていた。