SIDE 海人
「・・・ってことがあったんだ」
「あの二人も相変わらずだな」
只今、野球部の朝練中
僕はキャッチャーの北条智也君と話をしながら投球練習をしている
「よし、そろそろ終わるか」
「うーん・・・もうちょっと」
「ダメだ。肘が下がって来たし、球速も球のキレも落ちてきた。これ以上続けるのは逆効果だ」
「うぅ・・・わかったよ」
もう少し投げたかったけどわがまま言うと智也君に怒られるので言わない
「そういや試召戦争を起こしたんだって?」
「あ、うん。Dクラスに勝ったよ」
「そうか。まぁAクラス並みの成績の生徒が5人もいれば勝てるわな」
「あれ?なんで知ってるの?」
「いつかは戦うことになるかも知れない以上、情報収集は基本だろ?全部調べたよ。それよりも・・・Bクラスには気をつけろよ」
「?どういうこと?」
「Bクラスの代表は根本恭二、悪い噂が絶えない男だ。おまけにBクラスには根本の仲間達がごっそり集まってやがる。おそらく点数調整でわざと集めたんだろうな」
「へぇ・・・でもそんな情報こっちに回していいの?」
「構わん。どうせいずれわかることだ」
智也君はそっけなく返してくる
クールな雰囲気から冷たい人って思われがちだけど、本当はとっても優しいんだよね
「おっ!なんや楽しそうやな!俺も混ぜろ!」
英雄君がこっちにやってきた
「失せろ。バカがうつる」
「なんやと~バカって言う奴がバカなんやで!」
智也君の暴言に英雄君がプンプンと怒る
もちろん二人とも本気ではなく、このやり取りは、いわゆる『お約束』というやつだ
「ところでさ・・・さっきから視線を感じる気がするんだけど・・・」
「海人もか?実は俺もだ。殺気とか嫌な感じはないからスルーしていたがな」
「どうせまた自分らどっちかのファンやろ。ええな~俺も自分らみたいにモテたいわ~」
「だったらまず片っ端からナンパするのをやめろ。全くいつもいつもお前は・・・」
おっと、話が脱線した上に智也君のお説教モードが発動している
長くなるから止めよう
「まぁまぁ、それよりそろそろ準備しないと遅刻しちゃうよ」
そう言って二人の背中を押して部室に向かった
「北条君・・・やっぱり島田君と仲が良いんですね・・・」
・・・一人のピンクの髪の少女が影からこちらを見ていることに気付かずに・・・
「疲れたー」
午前中のテストを終えてアキ兄さんがだらけている
「お疲れさま、調子はどうだった?」
「いい感じだよ。これも海人が勉強を教えてくれたおかげだよ」
アキ兄さんは好調のようだ
姉さんは・・・
「うぅ・・・古典だけは・・・」
・・・不調みたいだね
まぁ僕も古典は苦手で100点以下なんだけどね・・・
日本語って難しい
「さて昼飯食いに行くぞ!今日はカレーとカツ丼と炒飯と唐揚げ定食にするか」
・・・食べ過ぎじゃない?
しかも、ご飯物ばっかり、どんだけお米が好きなの?
「あ、あの・・・」
「?どうしたの姫路さん」
「その・・・昨日言ってた味見をお願いしたいんですけど・・・」
そう言って姫路さんは鞄から弁当を・・・って、重箱!?
「・・・随分多いね」
「味見って言ってたからあまり多くないと思って、ウチも作ってきているんだけど・・・」
「すいません。つい張り切り過ぎちゃって・・・」
「まぁそこに赤髪の怪物胃袋がいるし、問題ないんじゃない?」
「誰が怪物胃袋だ!!・・・まぁいい、せっかくの厚意だ、ありがたく頂こう」
「では今日は天気もいいし、屋上でいただくとしようかの」
「じゃあお前らは先に行っててくれ」
そう言って雄二君はどこかに行こうとする
「あれ?雄二は?」
「飲み物でも買ってくる。昨日の礼も兼ねてな」
「あ、じゃあ僕も行くよ。一人じゃ持てないでしょ?」
そう言って僕と雄二君は自販機に、みんなは屋上に向かった
「何にしようか?」
「お茶でいいんじゃないか?」
「そうだね」
そう言って僕達は人数分のお茶を買って・・・
「あら?島田君じゃない?」
「え?あっ、木下さん!」
「久しぶりね」
「うん。そうだね」
木下さん・・・やっぱり綺麗だなぁ・・・
「?ちょっと顔が赤いわよ?熱でもあるんじゃない?」
そう言って木下さんは僕の額に手を伸ばす
「だだだだ、大丈夫!!なんともないから!」
「?まぁいいわ。秀吉から聞いたんだけど、風邪で欠席してFクラスなんですって?災難だったわね」
「体調管理できてなかった自分の責任だから仕方ないよ。姉さん達まで巻き込んじゃったのは申し訳ないけど・・・」
「そう・・・それはそうと、Dクラスと試召戦争、勝ったらしいわね?それで?いずれAクラスにも宣戦布告するつもりなのかしら?」
「え、えっと・・・それは・・・」
「ぷっ!あはは、ホント、島田君って嘘をつけないのね。北条君の言ってた通りだわ」
木下さんがクスクスと笑いながら言う
むぅ・・・カマをかけられたのか・・・
・・・木下さんって智也君と仲が良いのかな?もしかして木下さんの好きな人って・・・
「??島田君?」
「ふぇ?わわわっ!!」
気がつくと木下さんは僕の顔を覗き込んでいた
ち、近い!近いよ!
「どうしたのよ?ボーっとして?」
「な、なんでもない!」
「?変なの、まぁいいわ、それじゃあね」
そう言って木下さんは自販機の方に向かって行った
「ほぅ・・・」(ニヤニヤ)
「な、なに?」
雄二君がこっちを見て何やらニヤニヤしている
「いや別に、さて、さっさと行こうぜ・・・食事中の話のネタもできたし(ボソッ)」
「待って雄二君!それどういう意味!?まさかみんなの前で言うつもり!?」
(にしても木下姉も近くに俺がいたことに気付いてなかったな。まるで海人しか視界に入ってないって感じだった。もしかしたら・・・)
スタスタと歩いていく雄二君を追いかけながら屋上に到着
するとそこには・・・
屋上で一体なにが・・・?ww
次回も頑張ります