バカとテストとウチの弟   作:グラン

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海人は実はある物が苦手
そのある物とは・・・


第九十七問 苦手なもの

  SIDE 優子

 

 

「みんなどこに行ったのかな?」

 

「見当たらないわね」

 

 

適当に歩いていると他のメンバーを見失ってしまった

どうせ愛子辺りが主犯で陰からこっちを見ているんだろうけど

 

 

「ま、そのうち見つかるでしょ。それよりせっかく海に来たんだし、泳ぎ・・・」

 

「ねえねえそこの可愛い彼女」

 

「俺達と遊ばない」

 

 

え?アタシ!?

 

 

「あ、えっと、友達と来てるので」

 

「友達ってあの娘?」

 

『あ、あの、困ります』

 

『いいじゃんいいじゃん、俺達と遊ぼうよ』

 

『その・・・本当に困ります』

 

 

・・・海人君はすでに連れて行かれそうになっていた

見た目が女顔の上にパーカーを着ていたので女の子と勘違いされたらしい

 

 

「アタシ達、他の友達を待たせてるので、行こ」

 

 

アタシは急いで海人君の手を取りその場を離れる

 

 

「ここまで来ればもう大丈夫ね」

 

「ありがとう優子さん。助かったよ」

 

「・・・こういうのって本来、男の子の役目なんだけど?」

 

 

アタシがジト目でそう言うと・・・

 

 

「あぅ、ごめん」

 

 

海人君はションボリとしてしまった

その表情、なんかもっとイジワルしたくなるようなぞくぞくするものが・・・

 

 

悪魔『もっと虐めちまえって、もっと困った顔が見たいだろ?』

 

 

あぁ、アタシの中の悪魔が頭の中で囁いてくる

いやいや、落ち着くのよ木下優子

そろそろアタシの中の天使が・・・

 

 

天使『そんなことしたら美波に殺されるわよ?』

 

 

・・・悪魔が一瞬で消え去った

効果はバツグンだ

たしかに、魔王降臨(キレた美波)だけは絶対避けたい

 

 

「優子さん?どうしたんの?」

 

「な、なんでもないわ!それよりちょっと走ったら疲れ・・・あっ、あの貸しボートに乗らない?」

 

 

そう言ってアタシが指差したのはゴムボートの貸し出しの看板

少し休むのにはちょうどいいわ

 

 

  ※数分後※

 

 

思いっきり泳ぐのも好きだけど、こうやってのんびりするのも悪くないわね

さてと・・・

 

 

「海人君」

 

「ん?」

 

「まだ・・・こないだの試合の事、気にしているの?」

 

 

アタシは思い切ってこの話を切り出す

今いる場所は海の真ん中

ここなら邪魔は入らないし逃げられないし逃がさないわよ

 

 

「何度も言うようだけど、あれは海人君のせいじゃないわ」

 

「う、うん。先輩たちもそう言ってくれた。でも、僕が投げた一投のせいで試合が決まったと思うとどうしても割り切れなくて・・・」

 

「そっか。でも・・・きゃ!」

 

「優子さん!大丈夫?」

 

「ええ、少し波が荒れてきたわね。そろそろ戻ら・・・」

 

「ん?どうしたの優子さ・・・」

 

 

アタシ達はある一点に視線を移して固まった

そこには・・・まるで津波のような大波がこっちに迫って来ていた

 

 

((ここ、海水浴場ですよね!?))

 

「うああああああ!!」

 

「きゃあああああ!!」

 

 

アタシ達はその大波にのまれた

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 海人

 

 

「う・・ん・・」

 

 

ここは・・・?

そうだ、たしか大波にのまれて・・・

 

 

「優子・・さん?優子さん!!いたら返事して!」

 

 

どうしよう

まさかどこかで溺れてるんじゃ・・・

 

 

「ん・・・かいと・・・君?」

 

「優子さん!?そこにいるの!?よかった!」

 

 

岩場のほうから声が聞こえた

よかった。無事だったんだ

 

 

「ちょ、ちょっと待って!今は来ちゃダメ・・・きゃ!」

 

「優子さん!?どうした・・・の・・・」

 

 

僕が慌てて声のする方に向かうと優子さんは尻餅をついていた

スカートのついたタイプの白い水着

そう、ここまでは問題ない。下半身はね

しかし、上は何もつけておらず両手を地面に着いていたため、胸が丸出しになっていた

 

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「い、いやあああああ!!」

 

「ごめんなさああああああい!!!」

 

 

  ※数分後※

 

 

「ぐすっ、海人君のバカ。ダメって言ったのに・・・」←海人にパーカーを借りた

 

「ごめんなさい!ホントにごめんなさい!」

 

 

もうダメだ

絶対に嫌われた

野球がダメ、人としてもダメ

僕は最低のダメ人間だ

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 優子

 

 

うぅ・・・不幸だわ

溺れそうになるし、お気に入りの水着は流されるし、男の子に胸を見られるし・・・

 

 

(ザァァァァァァ!)

 

 

・・・おまけに雨まで降ってきた

今度お祓いにでも行こうかしら・・・

 

 

「とりあえずそこの岩場で雨宿りしましょ」

 

 

そう言ってちょうど祠のようになっている岩場で雨宿りを・・・

 

 

(ゴロゴロゴロ!)「ひぅ!」

 

 

荒れてきたわね

雷まで落ちて・・・

・・・ん?今の声・・・

 

 

「海人君?」

 

「な、なに?」

 

 

海人君の方を見ると涙目になっていた

もしかして・・・

 

 

「ひょっとして、雷が怖いの?」

 

「こ、怖くなんか・・・(ゴロゴロ!)ひっ!」

 

「怖いのね」

 

 

へぇ

海人君って苦手なものとか無いのかと思ってたわ

 

 

「でも海人君の腕輪の能力って『超電磁砲』じゃなかった?」

 

「そ、それは偽物だってわかってるから・・・ひぅ!」

 

 

空が光る度に怖がる海人君

ふふっ、可愛い所あるじゃない

なんて考えていると・・・

 

 

「う・・・ひくっ・・・」

 

 

ポロポロと涙を流し始めた

 

 

「ちょ、ちょっと海人君!?だ、大丈夫よ!雷なんてそうそう当たったりしないから!」

 

「・・・ち・・・たかった」

 

「え?」

 

「勝ちたかった・・・もっと先輩たちと野球がしたかった・・・」

 

 

海人君は今まで堪えていた物が溢れてきたかのように泣き出す

 

 

「・・・もう・・・我慢しなくていいのよ」

 

「え?」

 

「泣きたい時は思いっきり泣いていいのよ。だから今は思いっきり泣いて、また次の試合に向けて頑張ろう?ね?」

 

 

アタシがそう言うと海人君は思いっきり泣きだした

海人君はずっと我慢していたんだ

自分が泣けば美波や葉月ちゃんが心配するからだ

優しい彼は家族に心配を掛けたくなかったんだろう

 

 

  ※数分後※

 

 

「落ち着いた?」

 

「うん。ごめんね。迷惑かけちゃって・・・」

 

「気にしなくていいわよ。友達でしょ?」

 

「うん。ありがとう。優子さん」

 

 

そう言った海人君の表情はいつも通りの笑顔だった

 




海人復活!
やはり主人公を癒すのはヒロインの役目
次回は夏祭りにてあるイベントが・・・

次回も頑張ります
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