バカとテストとウチの弟   作:グラン

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犯人の正体は未だにわからない?


第百二十五問 犯人は・・・ピエロ?

「調べるまでもなかったな」

 

 

Aクラスの教室に入ってみると、一台だけ電源が入っているパソコンがあった

 

 

「このパソコンで間違いないだろうな」

 

「ってことはこのパソコンの持ち主が犯人?」

 

「それはないわ。だってそこは代表の席だもの」

 

「おそらくここは外から死角になるから選ばれたんだろう。代表の席だったのは偶々だ」

 

「なるほどな。見回りの先公に見つかるとマズイってわけか」

 

「それより早く調べましょ!」

 

 

美波が少し苛立ちながらそう言い、智也はパソコンの前に立つ

画面には『入室』と『退出』の二択

 

 

「これは・・・チャットか?」

 

 

智也がそう言いながら全員の顔を見るがみんなわかっていない

あまりパソコンに詳しい人間はいないようだ

 

 

「チッ!ムッツリーニを連れてくるべきだったか・・・」

 

「仕方ない。とりあえず『入室』を押してみるぞ」

 

 

智也はそう言って入室のバナーをクリック

すると液晶には動画のようなものが流れ始めた

 

 

「これは・・・動画か?」

 

『おや、やっと入って来たか。遅かったね』

 

 

智也がそう呟くと画面の中でピエロの被り物をした人物がそう言った

声は変声機のようなものを使っているようで、体型を見たところおそらく男である

 

 

「コイツが・・・海人を・・・」

 

『6人か・・・思ったより少ないね。もっといるかと思ったんだけど』

 

「!こっちの状況が分かるのか!?」

 

『なんだ、ビデオチャットを知らないのか?まぁテレビ電話のようなもんだと思ってくれたまえ』

 

「そんなことはどうでもいいわ!!海人を返しなさい!!」

 

「海人君は無事なんでしょうね!?」

 

『やれやれ、騒がしいね。わかったわかった。すぐに会わせてあげよう』

 

 

美波と優子が叫ぶとピエロは画面から離れる

そして『何か』を乱暴に画面の前に突き出す

 

 

「かい・・と・・・?」

 

 

それは両手を後ろで縛られ足もグルグル巻きにされた状態の海人だった

 

 

『ああ、安心したまえ。気を失っているだけでちゃんと生きているよ。さて、それじゃあ要求を聞いてもらおうか』

 

「ふざけるな!!誰がアンタの言うことなんか!!よくもウチ海人を・・・絶対許さない!!殺してやるんだから!!」

 

「よ、よせ島田!!」

 

 

ブチ切れた美波を慌てて雄二が止める

 

 

『やれやれ、今の状況が分かっていないのか・・・なるべく手荒な真似はしたくなかったが仕方ない。少し素直になってもらうとしよう』

 

 

そう言ってピエロはその場を離れる

そして大きなタライを持って戻ってきた

中にはたっぷりと液体が入っている

 

 

『安心したまえ。変なものではない。ただの水だよ』

 

 

ピエロは海人の髪の毛を乱暴に掴んで持ち上げる

海人は痛そうな表情をして目を覚ますもののまだ意識がぼんやりしている

そして・・・ピエロは海人の顔をタライに突っ込んだ

海人は必死に逃れようとするが、身体の自由を奪われているため苦しそうにもがくことしかできない

 

 

「か、海人君!!」

 

「イヤァアアアアア!!やめてやめてやめて!!!海人が・・・海人が死んじゃう!!」

 

 

美波がノートパソコンを掴んで泣き叫ぶ

 

 

『要求に従う気になったか?』

 

「従う!!何でもするから早く海人を!!」

 

 

美波がそう言うとピエロは海人をタライから離す

 

 

『ケホッケホッ!』

 

『全く、最初から素直にそう言えばいいのに。まぁいい。こちらの要求はただ一つ。文月学園学園長、藤堂カヲルをここに連れてこい。場所はそのパソコンの左下のフォルダに地図を入れてある。ただし、ここに来てもいいのはそこにいる君たちと藤堂カヲルだけだ。第三者の姿が確認されたり、警察に通報すれば・・・わかっているね?』

 

「わ、わかってる!わかってるから海人に手を出さないで!」

 

『ふふ、随分素直になったね。さて、次は制限時間だ』

 

 

そう言ってピエロは海人を抱えてどこかに行った

しばらくして戻ってきたピエロはカメラの向きを変える

するとそこには建物の柱にチェーンでぐるぐる巻きにされている海人の姿があった

それよりも気になるのは、その手前に設置されている『何かの金属の塊』

更にそれには『5:00:00』と表示された時計のようなものがついている

 

 

『さて、これが何かわかるかな?こうすればわかりやすいだろう』

 

 

そう言ってピエロがスイッチを入れると、表示が『4:59:59』と減り始めた

 

 

『映画なんかで見たことはあるだろう。これは・・・時限爆弾。制限時間は5時間。それを超えればゲームオーバーさ』

 

 

ピエロは爆弾に視線を移しながらそう言う

それを聞いた美波達の表情は真っ青になる

 

 

『それじゃ、彼を死なせたくなかったら早く藤堂カヲルを連れてきてくれたまえ』

 

「「ま、待って!!」」

 

 

美波と優子が慌てて叫ぶが、ピエロは回線を切ってしまった

 

 

「アキ・・・どうしよう・・・」

 

「アタシのせいで海人君が・・・」

 

「島田も木下姉も落ち着け。落ち込むのも後悔も後にしろ。今は海人を救うことが先決だ」

 

「そうだね!とにかくババア長を早く見つけて・・・」

 

 

明久がそこまで言って全員が固まった

気付いてしまったのだ

『見つけてどうする?』と・・・

『海人の代わりに死ね』と言うのか?

そんなこと言えるわけがないし、それで海人が助かっても海人は一生罪悪感を背負って生きて行かねばならない

 

 

「そもそも学園長の家を知ってる奴ここにいるのか?」

 

「「「「・・・」」」」

 

「それは職員室に行けば連絡先くらいわかるだろうが・・・」

 

「その必要はないさね」

 

 

智也の言葉に被せるように声が聞こえる

全員が振り返るとそこには学園長の姿があった

 

 

「召喚システムの調整で学園に来ていたのさ。廊下を歩いていると島田の叫び声が聞こえたんでね。悪いとは思ったけど話は聞かせてもらったよ」

 

 

学園長はそう言うが誰も何も言えない

明らかに罠だとわかっているところに行けなどと言えるわけないのだ

 

 

「何も言わなくていい。これはアタシがケリをつけなきゃいけない内容さ。巻き込んですまなかったね」

 

 

全員が言いにくそうにしている姿を見て学園長はそう言った

 

 

「地図をよこしな。あとはアタシが・・・」

 

「何言ってんのよ!!海人が捕まっているのよ!」

 

「じっとしてなんていられません!!」

 

「美波が行くのに僕が行かないわけにはいかないよね」

 

「海人には世話になってるしな」

 

「・・・はぁ・・・やれやれ、わかったさね。どうせ地図を見られた以上、アンタ達はここで断っても勝手についてくるんだろうし・・・どっちにしろ、救出した島田弟を連れて帰ってもらわないといけないしね」

 

 

学園長は諦めたような表情でそう言う

そう言って全員、Aクラスから出ようとしたその時・・・

 

 

「姫路」

 

「?なんですか?北条君。あっ、危ないからついてくるなとか言っても無駄ですよ。私も一緒に行きます」

 

「ああ、わかった。ただその前にお前に伝えたいことがあるんだ」

 

「?」

 

 

そう言うと智也は瑞希との距離を縮める

 

 

「ほ、北条君!?」

 

「目を閉じて」

 

 

智也と瑞希の顔を距離が数センチの所まで近づく

 

 

「ほほほほ、北条君!いいいい、今はそれどころじゃ・・・ああいや別に嫌ってわけじゃなくって・・」

 

「早く」

 

「は、はい!!」

 

 

瑞希は顔を真っ赤にして慌てふためき、智也は囁くように瑞希にそう言う

そして瑞希が目を閉じて唇が・・・

 

 

「・・・悪いな」(バチンっ!!)

 

 

・・・重なることはなく、瑞希はその場に倒れ込んだ

 

 

「ほ、北条君!?何を・・・」

 

「姫路は身体が弱い。危険なところに連れて行くわけにはいかない。万が一逃げなきゃいけなくなった時にコイツの体力がもたない」

 

 

そう言う智也の手にはスタンガンが握られていた

 

 

「なんでそんなもの持っているの?」

 

「万一に備えて土屋に借りたんだ」

 

「ってか、身体が弱い奴にスタンガン使うなよ」

 

「・・・手段を選んでいる余裕はなかったんだ」

 

 

智也は気絶している瑞希の方を見ながら申し訳なさそうにそう言う

そしてリクライニングシートに瑞希を寝かせ・・・

 

 

「帰ってきたら謝るよ・・・帰って来れたらな」

 

 

そう言ってAクラスを後にした

 

 

「本当は人の想いにつけこむような真似はしたくなかったんだけどな」

 

「お、おまえ・・・姫路の気持ちに気付いていたのか?」

 

 

智也の言葉に雄二が驚く

 

 

「あたりまえだろ。海人や木下じゃあるまいし」

 

「じゃあなんで気付いてないフリをしてんだ?」

 

「それをお前が言うか?」

 

「・・・そうだったな・・・悪い、忘れてくれ」

 

 

雄二は智也に問いかけるが言い返される

自分も翔子の想いに応えていないからだ

自分と同じように智也にも事情があるのだろうと思い、話を切った

 

 

(そういや翔子に連絡してなかったな)

 

 

「雄二、何してんのさ。早く行くよ!」

 

「あ、ああ」

 

 

(まぁいいか。どうせ間に合わねえだろ)

 

 

そう思い、雄二は取り出した携帯をポケットにしまった

しかし雄二は甘く見ていたのだ

 

 

 

   ※一時間後※

 

 

「・・・瑞希、起きて。雄二はどこ?」

 

 

女の子の行動力を・・・

 




海人を救うべく罠だとわかっていながら救出に向かう美波達
無事に救い出すことはできるのか?
そして瑞希と合流した翔子ははたして間に合うのか?

次回も頑張ります
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