「お兄ちゃんです!」
「あら海人。今、帰り?」
「うん。姉さんと葉月は買い物?あ、半分持つよ」
部活帰りの海人は買い物袋を美波から受け取りながらそう言う
「おなか空いたでしょ?今日は二人が大好きなハンバーグよ」
「「やった♪」」
海人と葉月は嬉しそうに笑った
「あ、そうだ。さっき福引券を貰ったのよ。三枚あるから一人一枚ずつ引きましょ」
「うーん、でも僕、くじ運悪いし、姉さんか葉月が二回引いた方が・・・」
「何言ってんのよ。福引なんて当たればラッキー位なものなんだから、難しく考えなくていいのよ」
「・・・それもそうだね」
そんな会話をしつつ三人は福引会場に着いた
「はい、三回ですね」
「葉月が引くです!」
一番手は葉月
勢いよくガラガラと回す
出てきた球の色は・・・青
「おめでとうございます。七等賞の『ノインのぬいぐるみ』です」
「やったです!!」
嬉しそうにはしゃぐ葉月
「よかったわね葉月」
(でもまぁ七等賞じゃああまり期待は・・・)
「「って、デカっ!!」」
係員のお兄さんが持ってきたのは葉月の身体の半分くらいの大きさのぬいぐるみだった
「け、景品間違えてませんか?」
「いえいえ、これで合ってますよ。この福引はこの商店街の100周年の記念イベントなので景品が少々豪華になっています。各店舗から数品ずつ持ち寄ってそれを景品にしているのですが、どのお店も『自分の店が他所よりも良いものを出すんだ』と意地の張り合いをしておりまして・・・ちなみにこれはおもちゃ屋からの提供分です。持ち寄られた景品の中では一番安い物なので七等賞になっております」
商店街の裏事情をぶっちゃける係員
なるほどと納得する海人達
「これで七等なら・・・特賞は一体何が・・・」
海人達はリストに視線を移す
するとそこには・・・『特賞、スポーツ店提供、鉄アレイ詰め合わせ100万円分』と書いてあった
「「バカじゃないの!?」」
こんな物誰が喜ぶのだろうか?
「ああ、残念だけど、特賞はもう当たっちゃったんだ。君たちと同じくらいの男の子だったね。『これで筋トレのレパートリーが増えるぜ』とか言って喜んで帰って行ったよ」
「男の子・・筋トレ・・・ま、まさかね」
海人は同じ部活の筋肉バカを思い浮かべるが、まさかと思い考えるのをやめた
「じゃあ次はウチが回すわ」
ガラガラと回す
出てきた球は・・・赤
「おめでとうございます!三等賞です!」
「凄いよ姉さん!」
「お姉ちゃん凄いです!」
「えへへ」
「三等賞は二種類ありますのでどちらか選べます。まず、八百屋から提供の『旬の野菜詰め合わせセット』か・・・」
「え~どうしよう・・・「鉄工所提供の鉄パイプ・・・」・・・野菜で」
この商店街は顧客のニーズを調査すべきだと思う三人
「賞品は八百屋から準備して明日、郵送する形になります。配達時間のご希望はありますか?」
「じゃあ明日の夕方位で」
「わかりました。それではあと一回、どうぞ」
「海人、頑張って!」
「お兄ちゃん頑張れ!」
何を頑張るのかはわからないが、海人は真剣な目でガラガラを一周回す
出た球の色は・・・
「・・・なんかごめん」
「な、何言ってんのよ!あんなの当たればラッキー位のものなんだから!」
「お兄ちゃん元気出してください!」
海人の当てた商品は・・・ポケットティッシュ(一個)
当たり商品とは極端に差がある
この福引の9割はハズレ(ティッシュ)なのだが、二人が当たりを引いているだけあって若干ショックのご様子
「ほ、ほら!今日は二人の大好きなハンバーグだし、明日も新鮮な野菜が届くし、美味しいものが食べられるわよ」
「うん、そうだね。楽しみだなぁ」
「楽しみです!」
三人は旬の野菜を楽しみにしつつ、家に帰るのだった
※翌日※
(ピンポーン)「○○運送です!」
「あ、来たわね」
玄関へ向かう美波
ドアを開け目に飛び込んだものは・・・
「え?」
※数時間後※
「ただいま~って!何コレ!?」
「お、おかえり・・・」
部活を終え、家に帰って来た海人の目に飛び込んできたものは大量の段ボール箱と疲れ切った美波
「ま、まさか・・・」
海人は段ボールに貼ってある伝票を見る
そこには・・・『旬の野菜詰め合わせセット・・・5万円分』と書かれてあった
「多いよ!!」
迂闊だった
鉄パイプや鉄アレイを商品にするような福引だ
まともなものが届くわけがない
「た、たしかに旬の食材だし、美味しそうだけど・・・」
「そ、それだけじゃないの・・・これ」
美波が二枚の伝票と手紙のようなものを見せる
そこには・・・『豪華焼肉セット』『特製ソーセージ』と書かれており、手紙には『モンスターハンティングの賞品を送るのを忘れていたさねby学園長』『美味しいソーセージをたくさんもらったので海人君達にもおすそ分けです。フローラより』と書かれていた
「・・・まさか同じ日に全部被るとはね・・・」
「いっぱいです!」
両親不在なので島田家には三人しかいない
とても食べきれる量ではないのだ
(ピンポーン)
「ひぃ!」
チャイムの音に美波は敏感に反応する
「ど、どうしよう海人これ以上何かがきたら・・・」
「と、とりあえず僕が出るね」
海人はおそるおそるドアを開ける
するとそこには・・・
「あ、海人。帰ってたんだ」
明久が立っていた
「あ、アキ兄さんか・・・」
「よかった・・・」
安心する二人
しかし・・・
「?」
「それでアキ兄さん一体どうしたの?」
「あ、うん。えっとね。実は商店街の福引で・・・って!なんで二人とも耳を塞ぐの!?」
「「聞かない聞こえない聞きたくない」」
なんと明久も福引にてお肉を大量に当てていたのだ
玲も不在で食べきれる量じゃないから痛む前に海人達を誘って処理しようという結論に辿り着いたらしい
「アキ兄さん。コレ、なんだと思う?」
「?って、何コレ!?もしかして海人達も福引で?」
「「うん」」
「・・・あ、僕、急用が・・・」
「「逃がすか!」」
結局その日は明久を捕らえて豪華焼肉セットを処理
残りは明日、みんなを誘って鍋パーティーをしようということになった
※おまけ※
「ありがとなー智也。美味い肉ご馳走になってもうて」
「アタシまでなんだか悪いわね」
「招待ありがとうございます」
「気にするな。こんな量、一人じゃ喰えないからな」←智也君は実は一人暮らし
北条家では英雄、友香、瑞希を呼んで焼肉パーティーが行われていた
はたして美波達は大量の食材を痛む前に処理できるのか?
後半へ続く
次回も頑張ります