翌日、一同は屋上に集まり智也から根本の件の詳細を聞いていた
「・・・以上だ」
話を聞き終えた一同は黙り込んだ
「・・・根本君、これからどうなるのかな?」
「さぁな。本人は罪を償って一からやり直したいって言っていたが」
「もしまた海人に手を出したりしたらウチがぶん殴ってやるわ」
拳を握ってそう言う美波に一同は苦笑いをする
「まぁ複雑な気持ちなのはわかる。特に木下や小山はアイツに脅されたこともあるしな」
「あ、いや、アタシ達は別に・・・」
「それより北条君の方こそ・・・」
優子と友香は自分よりも愛する人を奪われた智也の事を心配する
「俺はもう大丈夫だ。前に進むって決めたからな」
「そういえば瑞希、アンタ根本に捕まったんだしょ?大丈夫なの?変な事されなかった?」
「あ、はい。智也君が助けに来てくれたので平気です」
「まぁ念のため、英雄と坂本にも声を掛・・け・・・」
そこまで言って智也はやっと、二人をあの場に呼んでいたことを思い出した
そしてあの場での出来事を思いだし、ギギギと音を立てながら二人の方を見る
するとそこには・・・口を三日月のように吊り上げニヤリと笑う英雄と雄二の姿があった
「いやー、姫ちゃんがあんな大胆な行動に出るなんてなぁ~」
「本当だよな~・・・で?姫路をお持ち帰りした感想はどうだ?」
「え・・・?」
「「「「「ええええぇぇぇ!?」」」」」」
雄二の爆弾発言に驚きを隠せない一同
(くくっ、弄られる側の気持ちを味わいやがれ!)
(くっ!坂本、貴様・・・)
雄二を睨み付ける智也
「きっと大人の階段を昇ったんやろな~一緒にお風呂に入ったり・・・」
「んなわけあるか!!」
「いやいや、きっとそんなもんじゃないぞ。同じベッドで一緒に寝たり・・・」
「な、何で知ってるんですか!?」
「・・・え?」
雄二の発言に顔を真っ赤にして叫ぶ瑞希
カマを掛けたつもりだった雄二はフリーズする
「・・・マジで?」
「ふぁあああ!!い、いや、その・・・」
慌てて否定しようとする瑞希だがもう後の祭りだ
「ひ、姫路さんって大胆なのね・・」
「驚きじゃのう」
(・・・いいなぁ・・・康太君はすぐに鼻血出しちゃうもんなぁ・・・)
友香と秀吉は感想を述べ、愛子は少し羨ましそうに瑞希を見た
「ん?海人と木下さんはやけにリアクションが薄いやん?」
「そそ、そんなことないよ。びっくりしたよ」
「そ、そうそう。驚きすぎて声が出なかったっていうか・・・」
「ふ~ん。俺はてっきり、自分らはすでに一緒に寝た経験があって、あんまり驚かなかったんかと思ったで」
((なんでこんな時に限って鋭いんだ!?))
※第百四十三問参照※
女性陣に質問攻めされている瑞希と雄二と英雄にいじられている智也
「北条!瑞希をキズモノにした責任はきっちりとりなさいよ!」
「何もしてねえよ!布団がないから同じベッドで寝ただけだ!」
「身体だけの関係ってこと?サイテー」
「人の話を聞け!!」
今度は女性陣まで智也弄りに参戦し始めた
割と滅茶苦茶な発言をしているが、もちろん冗談である
(くくっ、北条の慌てふためく姿。最高の気分だぜ)
ライバルの弄られる姿を見てニヤニヤと笑う雄二
と、その時・・・
「ん?お、おい翔子。なんで俺のズボンに手を掛ける?」
「・・・私たちも負けてられない」
翔子が対抗意識を燃やした
「待て待て待て!!お前は何をするつもりだ!?」
「・・・そんなの・・恥ずかしくて言えない」
「コイツ変態だぁぁ!!」
「さ、邪魔になっちゃ悪いし、俺達は先に失礼するか」
「北条キサマ!!さっきの仕返しのつもりか!?ま、待てお前ら!誰かこいつを止め・・・って、こら!翔子!俺のズボンを返せぇぇ!!」
屋上に雄二の叫び声が響いた
※数日後※
海人達は根本の面会に来ていた
来ているメンバーは海人、美波、優子、明久、雄二、翔子の六人だ
本来なら面会など不可能なのだが、学園長が色々と手を回して手続きをしてくれたらしい
(なぁ明久。美波を連れてきて大丈夫なのか?少年院で大暴れとかシャレにならねえぞ)
(た、多分大丈夫じゃないかな?ほ、ほら、分厚いガラスとかで遮断されてるはずだし・・・)
(キレたアイツならそれすらぶち壊しそうだけどな)
(・・・否定できない)
(その時は頼りにしてるよ悪鬼羅刹♪)
(待て待て、俺に振るな。お前こそ彼氏なら止めろよ)
(無理だよ!)
(落ち着きなさいよ。海人君がいるんだから大丈夫でしょ)
雄二と明久が小競り合いを始めたのを見て優子が止めに入る
そうこうしているうちに面会室に到着
「久しぶりだね・・・根本君」
「島田・・・」
現れた根本は昔のようなイヤらしい笑みや狂ったような黒い感情は無く、いかにも人畜無害そうな表情に変わっていた
「随分大人しくなったじゃねえか」
「・・・ここに入って色々考えていたんだ。芹沢の事。その後、自分が今までやってきたこと。俺はもう取り返しのつかないことをしてしまったんだ。もう死んで償うしか・・・」
「それは違うよ!」
根元の弱気な発言に海人が叫ぶ
「確かに根本君がやったことは許されない事かもしれない。でも死んで済ませようなんて言うのは間違ってる」
「そうね。ここでしっかり反省して、罪を償って一からやり直すべきよ」
「死んで楽になろうなんて許さないわよ」
「出てからが大変かもしれないけどね」
「・・・そうだな・・・お前らの言うとおりだ。ここでしっかり罪を償って一から出直すよ。・・・島田」
「ん?」
「本当にすまなかった」
「もういいよ」
「すいません。そろそろ・・・」
看守が時計を確認して海人達に声を掛ける
「じゃあ、元気でね」
そう言って一同はその場を後にした
「にしても美波、今日は随分大人しかったね」
「・・・ちょっと昔の自分のことを思い出しちゃってね」
「昔の?」
「うん。海人に酷い事をしていた時のウチ。優秀な弟に嫉妬したウチと優秀な兄と比べられた根本。ちょっと似ていると思わない?」
「言われてみれば・・・」
「それにウチには海人や両親、友達だってたくさんいたけど、アイツには周囲に味方が芹沢さんしかいなかった。両親もクラスメイトもみんな敵。それで唯一の味方の芹沢さんが違う男の人と結ばれちゃって・・・あ、いや、アイツがやったことを肯定しているわけじゃないのよ。何て言ったらいいのかな・・・?上手く言えないんだけど・・・」
「言いたいことはわかるよ。根本君も辛かったんだと思う」
「もちろんアイツがやったことは悪い事よ。それはわかっている。でも、もしウチがあいつと同じように両親に見放されたり、友達から嫌がらせを受けたりしていたらって思うと・・・なんだか恨めなくなっちゃったのよ・・・おかしいわよね?海人にあんなに酷い事したのに・・・」
「・・・美波は優しいね」
「そうだね。姉さんは優しいよ」
「な、何言ってんのよ!」
「照れなくてもいいじゃない。相手の立場に立って相手の事を思いやることができるのは美波が優しい証拠よ」
「~っ!!もう!この話はおしまい!さっさと帰りましょ」
恥ずかしくなったのか、美波は顔を真っ赤にして早足で歩いていく
そんな美波を見て、海人達はクスッと笑いながらそれについていくのだった
本編はこれにて終了
次回からは後日談を書いてエピローグに向かいます
次回も頑張ります