バカとテストとウチの弟   作:グラン

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海人君がまさか・・・


後日談
第百八十六問 海人が浮気?


あれから数日が経過

海人はいつものように野球部の練習に参加していた

いつもと同じ練習風景

ただ一つ違うのは・・・

 

 

「優子先輩、タオルとドリンクの準備ができました」

 

「ありがとう、あやかちゃん」

 

 

智也と同じ施設で育った少女、あやかが野球部のマネージャーとして入部したことだ

兄のような存在である智也の応援をしたいという想いと将来は看護系の職に就きたいらしく、怪我しやすい野球部で少しでも力になれればという想いから入部を決意したのだ

 

 

「あ、島田先輩。ちょっといいですか?」

 

 

休憩時間、あやかは海人を呼び出した

 

 

「さて、そろそろ休憩時間が終わるわね。ん?」

 

 

優子はお手洗いから戻ってくると海人とあやかが二人で話しているところを目撃

何を話しているのかはわからないが、あやかが嬉しそうな表情をすると、頭を下げて去って行った

 

 

「海人君」

 

「あ、優子さん」

 

「あやかちゃんと何かあった?」

 

「うん。ちょっとね」

 

「ふーん」

 

 

優子はそれ以上聞くことなく、話を切った

そんなことより優子には海人に言いたいことがあったからだ

 

 

「あ、海人君。明日って部活はお休みよね?よかったらどこかに行かない?」

 

「あー・・・ごめん。明日はちょっと予定が・・・」

 

「あ・・・そうなんだ」

 

 

優子はがっくりと肩を落とす

 

 

「ごめんね。次の休みは絶対に空けておくから」

 

「うん。わかったわ」

 

 

ここでごねても仕方ないと、優子は素直に諦めた

 

 

 

  ※翌日※

 

 

「あ~・・・暇だわ・・・」

 

 

ソファーに寝転がっている優子

海人と遊びに行く時の為に用事は全て終わらせておいたのでやることが無い

部屋の壁にはお出かけ用の服が掛けられており、部屋の中も、前回のように押し入れに押し込むだけではなく、キッチリと片付けをして、海人を招くことができるようにしていた

 

 

「姉上、ワシはちょっと出かけてくるのじゃ」

 

「ん?アンタ、今日は部活は休みじゃなかったっけ?あぁ、美春とデート?いいわね~せいぜいイチャイチャしてきなさい。このリア充」

 

「・・・ひがむのはやめるのじゃ。それに美春は今日は家の手伝いで忙しいそうじゃ」

 

「あらそうなの?」

 

「うむ、ワシは買い物に行くだけなのじゃ」

 

「・・・それこそ美春と一緒の時の方がいいんじゃない?」

 

「部で使う物じゃからな。少々量が多いのじゃ。美春に手伝わせるのも悪いしのう」

 

 

秀吉の言葉を聞いて優子は考える素振りを見せた

 

 

「ねぇ、アタシもついて行っていい?どうせ暇だし」

 

「む?それは別にかまわぬが・・・」

 

「それじゃ、準備するからちょっと待ってて」

 

 

そう言って優子は部屋に着替えに行った

そして二人はデパートに向かったのだが・・・

 

 

「・・・まさか改装閉店中とはね・・・」

 

「仕方ないのじゃ。まぁそこまで急ぐ物はないし、次の機会に行くとするかの」

 

 

近くのデパートは改装閉店中だった

他の所に行くことも考えたのだが、別に急ぐ物は無いとの事なので大人しく帰ることにしたのだ

 

 

「しっかし、せっかく出てきたのにこのまま帰るのもあれだし、喫茶店にでも寄っていく?」

 

「ふむ、そうじゃn・・・む?」

 

「?どうしたの?」

 

「あれは海人ではないかの?」

 

「え?あ、ホントだ」

 

 

二人の視線の先には海人の姿があった

優子が声を掛けようとしたその時・・・

 

 

「島田先輩!遅くなってすいません」

 

「大丈夫だよ。僕もさっき来たところだから。それじゃあ行こうか?」

 

「はい!」

 

 

新マネージャーのあやかが登場し、二人はどこかに歩き出した

 

 

「・・・」

 

「あ、姉上?」

 

 

優子の頭の中が真っ白になった

そして昨日の事を思いだした

休憩時間の二人の様子

あやかの嬉しそうな表情

いまのやり取り

どう見ても・・・デートだ

 

 

「あ、姉上!しっかりするのじゃ!」

 

 

固まっている優子に声を掛ける秀吉

 

 

「二人の後をつけてみるのじゃ」

 

「そ、そうね。きっと何かの間違いに決まってるんだから」

 

 

優子は海人を信じている

しかし胸の奥にモヤモヤする気持ちが残っている

このまま帰ったら明日から間違いなくギクシャクするだろう

そうならないようこの目で真実を見ることにしたのだ

 

 

「海人の奴はあの子とどこに行くのじゃ?まさか浮気・・・」

 

「海人君はそんなことしない!」

 

「わ、わかっておる。言ってみただけなのじゃ」

 

 

優子に睨み付けられ、たじろく秀吉

とはいえ・・・

 

 

(やっぱりあやかちゃんって可愛いわよね。小柄で小動物みたいでなんか守ってあげたくなるような感じで・・・それに・・・)

 

 

「・・・C・・・いや、Dはあるわね」

 

「何を言っておるのじゃ?」

 

 

優子はあやかの胸元を注視してそう呟く

 

 

(やっぱり海人君も胸が大きい子の方が好きなのかな?いやいや、アタシの事好きって言ってくれたもん。海人君は絶対浮気なんてしないんだから)

 

 

楽しそうに会話をしながら歩く二人を見ても優子は海人の事を信じる

が、やはり気になるようで後をつけるのをやめない

 

 

「あのマンションの中に入って・・・む?」

 

 

とあるマンションに入る二人を見て秀吉はある事に気付く

が、一方、隣で優子は再び頭の中が真っ白になっていた

 

 

 

※優子の妄想※

 

 

『海人先輩、私、初めて会った時から海人先輩の事・・・』

 

『ありがとう。優子さんとは別れるから僕と付き合おう』

 

『嬉しい。海人先輩、私の初めて・・・貰ってください』

 

 

 

ネガティブな妄想を始める優子

 

 

「・・・帰る」

 

「あ、姉上!待つのじゃ!」

 

 

涙をボロボロと流しながらその場を離れる優子とそれを慌てて引き留める秀吉

 

 

「放っておいてよ!!アタシなんて・・ぐす、アタシなんて・・・」

 

「落ち着くのじゃ!冷静になって、ここが誰の家かよく見るのじゃ!」

 

「ぐすっ・・・え?」

 

 

優子は涙を拭いながらもう一度マンションに目を向ける

よくよく見て見れば見覚えのあるファミリーマンション

そして彼女はここに来たことがある

 

 

「あ・・・ここって・・・」

 

「あれ?優子さんと秀吉君?なんでここにいるの?って、優子さん!?どうしたの!?」

 

 

マンションから出てきた海人にあっさり見つかった二人

海人は優子が泣いていることに気付き慌てふためくのだった

 

 

 

 

「じゃあ、あやかちゃんに吉井君を紹介して欲しいって頼まれたの?」

 

「うん。どこかからアキ兄さんが料理が上手だって聞いたらしくて、弟子入りしたいって頼まれたんだよね。ちなみに中には姉さんもいるよ。後で姫路さんと霧島さんも来るって言ってた」

 

「いつの間にかそんな料理教室が出来ておったのじゃな」

 

「うん。僕も姫路さん達が来ることは今さっき知ったんだ」

 

「まぁ明久君の料理の腕はプロ級だものね」

 

 

納得した表情の優子

 

 

(そっか・・・やっぱり浮気じゃなかったんだ。よかった。べ、別に疑ってなんか無いけどね。アタシは海人君の事を信じていたんだから!)

 

 

一人で心の中で言い訳をする優子

 

 

「それより優子さん。お腹の方は大丈夫?」

 

「へ?あ、ああ、うん。もう平気よ」

 

 

優子は泣いている理由を急にお腹が痛くなったと言って(秀吉には『チクったら殺す』という視線を向けて)誤魔化していた

 

 

「そっか・・・よかった」

 

(胸が痛い胸が痛い・・・)

 

 

安心した表情の海人と嘘をついた罪悪感で胸を抑える優子

 

 

「そ、それより海人君、これから暇?よかったらウチに寄って行かない?」

 

「うん。それじゃお邪魔しようかな」

 

 

そう言うと優子は海人の腕に抱き着いた

 

 

「ゆ、優子さん?どうしたの?」

 

「えへへ、いいでしょ?恋人同士なんだから♪」

 

 

海人は腕に『微かに』当たる胸の感触に慌てるが、優子は離す気は無い

 

 

「・・・なんか誰かにムカつくことを言われた気がするけど・・・まあいいわ」

 

 

そして二人は木下家に向かって歩き出した

 

 

 

「・・・二人ともワシの存在を忘れてないかの?」

 

 

甘い空間を作り上げる二人を見て居心地の悪さを感じる秀吉

 

 

「・・・姉上の邪魔をするのも悪いしの、ワシも美春に会いに行くのじゃ」

 

 

秀吉は優子達とは別の方向に向かって歩き出した

 

 

 

 

 

 

  ※おまけ・明久先生の料理教室※

 

 

「まず、料理の基本は味見だよ。自分が美味しいと感じない物を他人が美味しいと思うわけがないからね。特に姫路さん」

 

「は、はい・・・」

 

 

そして数分後

 

 

「う、う・・・」

 

「ひ、姫路先輩、元気出してください。失敗は誰にでもありますよ」

 

「ぐす・・・私、今までこんな酷い物を智也君やみんなに食べさせていたなんて・・・こんなの料理じゃないです。家畜の餌以下です」

 

「・・・ていうか、今まで自分の料理を味見したことが無いことに僕はビックリなんだけど・・・」

 

 

泣きじゃくる瑞希、慰めるあやか、呆れる明久

姫路瑞希はこの日、自分の実力を知ったのだった

 




浮気は誤解でした
そして瑞希は今更ながらようやく、自分の実力を知った

次回も頑張ります
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