気に入っていただければ幸いです
「・・・どうしましょう?」
この日、清水美春は悩んでいた
彼女は明日・・・秀吉と初デートをするのだ
秀吉は部活、美春は家のお手伝いとなかなか予定が合わなかった二人だが、明日ついに互いの都合が合い、デートすることになったのだ
が、少し前まで男性を汚らわしい豚野郎と呼んでいた彼女にデートの経験なんてあるわけがない
彼女なりにデートの心得は調べている
とは言っても、互いに高校生ならば彼に奢らせるのはNG
待ち合わせには早めに行くことなど、常識的な事ばかりだが・・・
今、彼女が悩んでいること、それは・・・
「一体、何を着ていけば・・・?」
服装である
彼女は友達に借りた本を頼りに服を選んでいく
「『露出が高すぎる服装は他の男の目を引き、彼に不快感を与えるかも』・・・ではこれは無しですね」
そう言って美春は露出の高いへそ出しのシャツとミニスカをしまう
「『動きにくすぎる服装は彼に気を使わせてしまう』・・・ではこれも無しです」
そう言って美春はドレスのような服をしまった
そんな服が候補に入っていること自体がおかしいのだが・・・
「・・・こうしてみると、美春の女子力は低すぎですわ・・・」
残った服を見ると、そのほとんどが動きやすさ重視の色気の欠片も無い短パンやシャツ
消去法で、着て行く服はシンプルなワンピースに決めた
「・・・近いうちに服を買いに行きましょう」
毎回、デートの度に同じ服というわけにはいかない
美春は新しい服を買わねばと思うのだった
※デート当日※
美春は10分前に待ち合わせ場所に着くように家を出る
待ち合わせ場所に行くとすでに秀吉は着ていた
「秀吉君」
「美春、おはようなのじゃ」
「おはようございます。すいません、待たせてしまいましたか・・・」
「いや、ワシも今来たところなのじゃ」
定番の、『待った?』『ううん、今来たところ』というカップルならではのやり取り
(昔は男と待ち合わせなんて虫唾が走ると思っていましたが、いざ自分が当事者になると・・・なかなかいいものですわ)
「美春よ、その服・・・」
「あ・・お、おかしいですか?」
「いや、よく似合っておる。すごく綺麗なのじゃ」
「あ、ありがとうございます」
いつものポーカーフェイスも崩れ、顔を赤くしながらそう言う秀吉
それを聞いた美春も頬を赤く染める
「さ、さて、それでは行くとするかの」
秀吉はそう言うと美春の手を取り歩き出した
美春は繋がれた手を見ながら・・・
(以前の美春では考えられない行動ですわね)
男と手を繋ぐなど、男を毛嫌いしていたあの頃からは考えられない行動
(思えばここ最近色々ありましたわね)
勘違いで海人を蹴り飛ばしたことを始め、魔王様の制裁を受けたり、危ないところを秀吉に救われたり、美波と仲直りして一緒に旅行に行ったり、父親が何故か急にまともになったり・・・
「美春、どうかしたのかの?」
「いえ、ただ・・・美春は秀吉君達に出会えてよかったと思っただけですわ」
美春は秀吉に向かって笑顔でそう言うのだった
※数時間後※
「・・・ぐすっ」
「良い映画だったのじゃ」
秀吉が見たい映画があるということで映画館に向かった二人
その映画が感動的なストーリーだったことにより、すっかり感情移入してしまった美春は涙を流したのだった
「大丈夫かの?美春」
「はい、もう大丈夫ですわ。映画はあまり見る機会が無かったのですが、久しぶりに見ると良い物ですわね」
「ワシも演劇部の勉強の為に映画はよく見るのじゃが、これ程の名作は久しぶりなのじゃ」
二人とも映画が気に入ったようで、話が弾む
「さて、ワシの行きたいところに付き合ってもらったわけじゃから、次は美春が行きたいところに行くのじゃ」
「いいんですか?じゃあ・・・」
そう言って美春が選んだ行き先は・・・
『おまたせしました。ふわふわオムライスとサンドイッチです』
喫茶店に入った二人
この店は駅前に最近オープンしたお店だ
「この店に来たかったのかの?」
「はい。この店が出来てからウチの店の客足が落ちているのです。敵情視察です」
(ここでの支払いがこの店の売り上げになるとわかっているのかの?)
秀吉は心の中でそんなことを思いながらサンドイッチを口にする
「ふむ、美味しいのじゃ。美春よ、そっちは・・・」
「こ、これは・・・香ばしい香りに卵のとろけるような柔らかい口解け、中のチキンライスの味付けも非の付けどころがない」
(料理漫画みたいじゃ・・・)
「悔しいですが、オムライスの味は完全にこちらの方が上ですわ」
「・・・そんなに美味しいのかの?ワシもオムライスにすればよかったかの・・・」
「でしたら一口食べてみますか?は、はい。あーん」
美春は顔を赤くしながらオムライスを掬ったスプーンを秀吉に差し出す
「み、美春!?」
「は、早くしないと冷めてしまいますわ」
「う、うむ。あ、あーん。こ、これはおいしいのじゃ」
「そ、そうですね」
((・・・関節キス))
そんなことを考えて顔を赤くする二人
「美春の評価はどうじゃった?」
会計を済ませた二人は歩きながらそんな会話を交わす
「料理の味はあちらの方が上ですわ。しかし、コーヒーの味とデザート、特にクレープならウチの店の方が上ですわね」
「ワシも同意見じゃ。マスターの淹れるコーヒーは絶品じゃからな」
会話の中、デザートやコーヒー、紅茶などを食べ比べ飲み比べし、関節キスを何度も交わした二人はそれを思いだし、顔を赤く染めた
「そ、それより次はどうするかの?」
「も、もしよければ、美春は服を買いに行きたいです」
「おぉ、そういえばワシも部で使う服や小道具を見に行きたかったのじゃ」
そう言って二人は服屋に向かった
そこではうっかり人が入っている試着室を開けてしまったり(女性の下着姿を見てしまったのに『なぜか』秀吉はその人に怒られなかった)、偶然、通りかかった子供が着替え中の美春が入った試着室を開けて秀吉に下着姿を見られたり、着替え終えた美春の姿に秀吉が見惚れたりと色々あったがお互いに気に入った服が見つかり家に向かって歩き出した
「今日は楽しかったですわ。・・・ちょっと恥ずかしいこともありましたけど・・・」
「・・・すまぬのじゃ。わざとではないのじゃ」
「もちろんわかっています。怒ってるのではなく・・・その・・・み、美春のか、身体を見てどど、どう思いましたか!?」
「ど、どうとは・・・?」
「美春は周りの子と比べてスタイルはよくないです。可愛げもない、成績も平均程度。美春は秀吉君が他の娘に取られちゃうんじゃないかって不安なんです」
「・・・ワシは、美春の事が綺麗だと思ったぞい。試着した服を着たときも思わず見とれてしまったほどじゃ。何も不安に思うことは無い。美春はワシの最高の彼女じゃ」
「秀吉君・・・」
見つめあう二人
ゆっくりと近づいていき、そして・・・二人の唇が重なった
そして互いに顔を見合わせ、照れくさそうに笑った
「でも、姫路さん程とは言いませんけど、霧島さんや小山さんと同じくらいは欲しいですね」
美春は胸をペタペタと触りながらそう呟く
「気にすることはないのじゃ。ワシは美春の見た目だけが好きなわけではない。美春の全てが好きなのじゃ」
「ふふ、ありがとうございます」
「それに、美春より胸の無い貧乳女子なら家で毎日見ておるからのう」
その言葉に苦笑いする美春
・・・が、徐々に美春の顔が青ざめていく
「む?どうしたのじゃ?みは・・・」
「・・・随分と楽しそうねぇ~秀吉?」
背後から聞こえる声に秀吉がフリーズする
「あ、姉上様。いつからそこに・・・?」
「二人がキスした辺りからよ。それで?アンタが毎日見ている貧乳女子って一体誰のことなのかしらねぇ~?お姉ちゃん知りたいなぁ~」
「ひぃ、そ、それは言葉のアヤなのじゃ!」
「まぁそれは家でじっくり聞かせてもらうわ。アタシは先に帰るから、ちゃんと美春を家に送ってあげなさい」
手をひらひらと振りながら優子はその場を去って行った
「・・・美春、今日、泊めてもらえぬか?」
「そ、それは流石に無理ですわ」
「くっ、こうなったら海人か明久の家に・・・」
(pipi)
『逃げたらコロス』
送られてきたメールを見た秀吉は真っ白になった
※おまけ・その日の木下家※
帰って来た秀吉は優子に速攻で捕まり、自分のベッドに大の字で縛られた
「さぁ、覚悟はいいわね?秀吉」
そう言ってスッと『ある物』を取り出す優子
「あ、姉上・・・それだけは・・・それだけは・・・」
震えた声でそう言う秀吉に優子は何も言わず笑顔で近づき、そして・・・
「あははっははははは!!あ、姉上!ワシが、あはは!!悪かったのじゃ!あはははっは!」
優子が取り出したある物とは習字用の筆
それを両手に構え、秀吉の足の裏をなぞる
いわゆる『くすぐりの刑』だ
「ひぃひぃ・・あはははは!!姉上!脇の下はダメ・・・あはははは!!」
これが海人と付き合い始めてから暴力はもう振るわないと決めた優子が編み出したオシオキ技である
秀吉君は余計な事を言ってしまいましたね
みなさんも女性の身体的な事は言わないようにしましょうねw
次回も頑張ります