あるいは別の誰かか・・・?
「何かの間違いよ!!」
「お、落ち着いてよ美波。まだ海人君が犯人だって決まったわけじゃないんだからさ」
美波を愛子が落ち着かせようとしたその時
警備室のドアが勢いよく開いた
「僕の美波を汚した奴はどこだァァァァ!!!」
「・・・万死に値する」
明久と康太が鬼のような形相で入ってきた
「あ、アキ!?」
「こ、康太君も落ち着いて」
美波と愛子は驚きつつ、二人を抑える
その表情は少し嬉しそうだ
「ったく、ちょっとは落ち着け」
「・・・雄二は怒ってくれないの?」
冷静な態度の雄二を見て不満気な翔子
「霧島よ。これを」
「?」
秀吉に渡されたのはボイスレコーダー
翔子は首を傾げながら再生ボタンを押す
『皆の衆、大変なのじゃ。どうやら女子風呂を覗いた輩が現れたそうなのじゃ』
『んだと!?俺の翔子に手ぇ出すとはいい度胸だ!!行くぞテメエら!!』
『美波を汚した奴・・・コロス』
『・・・消す』
「秀吉ィィィ!!テメエいつの間にそんなもんを・・・」
顔を赤くして叫ぶ雄二
翔子と目が合って照れくさそうに視線を逸らす
翔子もこの音声を聞いて嬉しそうに微笑んだ
「と、とにかくだ!さっさと犯人を捕まえるぞ!カメラがあるってことは容疑者はわかってんだろ?」
雄二の言葉に一同は黙り込む
そしてゆっくりと事情を説明
「そんな・・・海人が・・・」
「信じられぬのじゃ」
「待って!!海人君はそんなことしないわ!!これはきっと何かの間違いよ!!」
優子は海人を信じ、反論する
「あ、あの・・・」
「ん?どうしたんだ勝亦先生」
「口論を始めちゃったから言い出せなかったんですけど、島田ちゃんは正面玄関を出た後、そのまま正門を抜けて外へ出たみたいなのですよー」
「「・・・へ?」」
優子と美波は拍子抜けしたような声をあげる
「・・・露天風呂を覗くなら正門を出る必要はない」
「じゃあ海人君は犯人じゃなかったんだね」
ホッと安堵の溜息をつく一同
「でもそれじゃあ誰が犯人なのよ?」
「気のせいだったとかは?」
「それは無いわ。真琴ちゃんが追いかけようとしたときに人影を目撃しているんだもの」
「はい。残念ながら暗くて顔は見えませんでしたけど・・・」
うーん、と唸る一同
「とりあえず海人に話を聞いてみようぜ」
「坂本!アンタまだ・・・」
雄二が海人を疑っていると勘違いした美波が睨み付ける
「そうじゃねえよ。海人がその時間、外に出ていたのなら不審者とかを見ているかもしれねえだろ?」
「なるほど・・・」
納得した一同は海人の部屋に向かう
※数分後※
「あぁ、海人ならコンビニまで野球雑誌を買いに行ったぞ」
「今週号を買い忘れとったらしいで。連休明けには次が出てしまうからって慌てて出て行ったんや」
コミックと違い、週刊誌は買い逃すと手に入れるのは困難
それを聞いた一同はなるほどと納得する
「それで?海人に何か用なんか?」
事情を説明
「なんやと!?許さんで!!友香の身体は俺のもんy・・・ゴフッ!」
「うっさいわよ!」
騒ぎ出した英雄を拳で黙らせる友香
「あ、あの・・・智也君」
「なんだ?」
「いえ・・・何でもないです」
無反応の智也を見て少し寂しそうな瑞希
(まぁ・・・智也君はそうですよね・・・)
むしろ智也が嫉妬に狂う姿が想像できないなと瑞希は溜息をつく
「あーあー、ダメだよ北条君。こういう時は・・・『よくも、俺の瑞希をォォォォ!!』とか言わなきゃ」
「俺はどこのベ○ータだ?」
「智也もドラ○ンボールとか見るんやなーしかも劇場版」
玉野は智也にそう注意する
一同はそう叫ぶ智也の姿を想像する
(((((無いな・・・)))))
全員一致の見解だった
「でもまぁ瑞希ちゃんのそのFカップの胸は誰もが目を奪われちゃうよね」
「な、なんで私の胸のサイズを知ってるんですか!?」
玉野の発言に真っ赤になって叫ぶ瑞希
「フッフッフ。私の目を持ってすればこの程度造作もない」
「本当ですか?じゃああやかちゃんは?」
「真琴ちゃん!何でそこで私を出すの!?」
「ふむ・・・90センチのEカップと見た!」
「答えなくていいです!!」
真っ赤になって怒るあやか
どうやら正解のようだ
「無駄に凄いわね」
「じゃあ美波は?」
「・・・フッ、胸闘力たったの5か、ゴミm・・・イダダダダ!!ウソウソ!!冗談だって!」
玉野は美波にアイアンクローを決められ悲鳴をあげる
「まぁなんにせよ放っておくわけにはいかないな・・・そう言えば海人の奴、遅いな」
「せやな。もう帰ってきてもおかしくないんやけど・・・」
「もしかして不審者に遭遇したんじゃ・・・」
「海人!!」
「あ、美波!一人じゃ危ないよ!」
「ちっ!追うぞ!」
美波を追ってぞろぞろと正面玄関へ向かう一同
「美波!落ち着いて!まだそうと決まったわけじゃ・・・」
「何かあってからじゃ遅いのよ!海人!お姉ちゃんが今行くわよ!!」
美波が勢いよく正面玄関を開けたその時・・・
「「「「「『・・・あっ』」」」」」
門の前には全身黒ずくめでメガネとマスクと帽子の不審者の姿が・・・
どうやら騒ぎに乗じてこっそり逃げようとしていたようだ
固まる一同、そして・・・
(ダッ!)
「あ、逃げた!!」
「追うんですよ!ド○リアさん!!」
「誰がドド○アさんよ!!」
「ていうかいい加減ド○ゴンボールネタやめなさいよ!」
そんなことを言いつつ追跡を開始
するとそこに
「あ、みんな。遅くなっちゃってごめん。1件目になかったからもう少し歩いて2件目に行ってて・・・」
反対方向からコンビニ袋を持った海人が歩いてきた
「海人君!!ソイツ捕まえて!覗き魔よ!!」
「へ?わわっ!」
「どけっ!」
海人を突き飛ばして逃走する不審者
海人は突き飛ばされて尻餅をついただけなのだが・・・
「ウチの弟に・・・」
・・・魔王を降臨させるには十分だった
「何するのよォォォォ!!!」
「速っ!?」
「か、加速した!!」
「グハッ!」
不審者は美波に蹴り飛ばされ転がる
そして美波は不審者には目もくれず海人に駆け寄る
「海人!大丈夫!?」
「う、うん。平気だよ。捕まえられなくてごめんね」
海人に手を差し出す美波
「くっ!」
「おっと、逃がさへんで」
「観念するんだな」
逃げようとする不審者だったが英雄と智也に先回りされ、逃げ道を塞がれる
道が一歩道なので逃げられない
女を人質に取ることも考えたが、見るからに喧嘩の強そうな雄二の後ろに隠れていてそれも出来ない
絶体絶命かと思われたその時
「みなさーん。どこに行ったんですかー?」
「あ、お姉ちゃんです!」
タイミング悪く、美波達を探しに来た勝亦と葉月が宿舎から出てきてしまったのだ
それを見た不審者はチャンスだと思った
宿舎に戻るとは思っていない為、そちら側はあまり警戒されていない
不審者はすぐさま地面の砂利を両手でつかみ、男性陣の視界を遮るように投げつけた
そして・・・
「くっ、しまった!!」
男性陣が一瞬怯んだ隙に不審者は立ち上がり、勝亦と葉月の方へと走り出した
そして不審者は懐からナイフを取り出し、握り締める
「先生!逃げてください!」
「葉月!逃げて!!」
優子と美波が勝亦と葉月に向かって叫ぶ
(クソッ!失敗した!逃げ道を塞ぐのは英雄に任せてさっさと取り押さえるべきだった!)
智也は自身の失敗にイラつきながら犯人を追いかける
(ダメだ!間に合わない!)
が、スタートが遅れ過ぎたため、追いつけなかった
「・・・そういうことですか・・・葉月ちゃん。危ないから少し下がっていてくださいねー」
勝亦はにこやかな笑顔で葉月を後ろに下げ、不審者の方を向きなおす
(一人下がったか・・・まぁいい。人質は一人で充分。可哀想だが、手前のガキは殺して後ろのガキを人質に逃げる。これしかない)
そう考えた不審者は、勝亦に向かって容赦なくナイフを振りかぶった
「先生!!」
「ダメェェェ!!」
ナイフを勝亦に向かって伸ばす不審者
周囲に悲鳴が響き、誰もが勝亦が刺されると思った
・・・が
「んな!?」
勝亦はナイフを左手で軌道をずらして躱す
そして・・・
「フッ!!」
「ぐ・・あ・・・」
息を強く吐き、右ストレートを不審者の鳩尾に叩き込み、気絶させた
予想外の出来事に固まる一同
「ふぅ・・・オイタはダメなのですよー」
勝亦は笑顔でそう言うのだった
「さて・・・吉井君と木下君は倉庫からロープを持ってきてください。中島君はその間、この人を見張っててください。土屋君と工藤さんと清水さんはこの人の持ち物を徹底的に調べてください。カメラや携帯の画像や動画も念入りにです。もしあったらひとつ残らず破壊してください。朝比奈さんは島田君に怪我が無いか見てあげてください。
先生は警察に連絡するので、北条君は状況の詳細を教えてください。他の皆さんは宿舎に戻ってください。仲間がいる可能性があるので坂本君は護衛をお願いします」
テキパキと指示を出す勝亦
固まっていた一同は我に返り、指示通り動き出した
数分後、警察が駆け付けて犯人は覗きの容疑及びナイフの所持の銃刀法違反、さらに暴行罪も加わり、連行されていった
こうしてトラブルが起こりつつも野球部の合宿は無事終了したのだった
※後日※
「大変だったようだね。まぁ全員無事でなによりさね」
一同は学園長室にて詳しい状況の報告をしていた
「あの犯人ですが、自宅からは盗んだと思われる女性物の下着や盗撮の写真や動画が多数見つかって容疑を認めたそうです。どうやら買い出しに出た女性陣に目を付け、尾行して昼のうちに宿舎内に忍び込んだみたいです」
「侵入を防ぐための有刺鉄線も切られていたし、随分用意周到な犯人さね」
「もっと警備面を強化しなければいけませんな。全く、勝亦先輩がいなければどうなっていたことか・・・」
高橋、学園長、鉄人はそう言う
「それにしても勝亦先生はすごかったよね」
「ホント、ビックリしたわ」
愛子と優子がそう言っていると・・・
「あー・・・お前らが知らないのも無理はないが・・・勝亦先輩は俺より強いぞ」
「「「「「・・・はい?」」」」」
鉄人の言葉に固まる一同
「柔道、剣道、合気道、空手・・・全て段位持ちの実力者だ。一度、空手の組手をやったことはあるが、手も足も出なかった」
「「「「「マジで!?」」」」」
一同が驚愕の表情を浮かべる中、当の本人はニコニコと笑っている
「ちなみに、総合科目の成績は私よりも上ですよ」
「「「「「マジで!?」」」」」
高橋の発言に再び一同は驚く
「か、勝亦先生・・・アンタ一体何者だ・・・?」
「ふふふ、私はどこにでもいるただの保健の先生ですよー♪」
ニコニコと笑いながらそう言う勝亦
(((((アンタみたいなのがどこにでもいてたまるか!!)))))
全員一致の見解だった
犯人は海人君ではありませんでしたね
一安心です
次回も頑張ります