バカとテストとウチの弟   作:グラン

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みなさんも忘れかけているあの人が登場


第百九十七問 親子

「プレイボール!!」

 

 

ついに戦いの火蓋が切って落とされた

先攻は文月学園

 

 

『一番センター野村君』

 

 

「随分と小さいやつダナ」

 

「カールがデカいのよ。とはいえ確かに野村君は小柄ね。でもまぁスピードはかなりのものよ。当たりさえすれば内野安打も・・・」

 

『ストライーク!!バッターアウト!』

 

「当たれば・・・ね」

 

 

三振に倒れた球太郎を見ながらそう言う美波

 

 

「あのピッチャーやはり凄いフォークだナ」

 

「ああ、俺達もあのフォークに太刀打ちできなかったんだ」

 

 

ちなみにカールは琴音と席を替わったので常村の隣に座っている

そんな話をしているうちに二番の大村君は三振した

 

 

『三番ピッチャー島田君』

 

「「「はい?」」」

 

 

会話に夢中でスターティングメンバーを見ていなかった一同がそんな声をあげる

 

 

「海人が三番!?」

 

「た、確かに海人は打撃も良いけど・・・」

 

 

投手が上位打線に立つのは別に珍しい話ではない

しかし、海人には大きな問題があった

 

 

「体力は大丈夫なのか?」

 

 

そう、前回の試合も後半でスタミナ切れを起こしているのだ

故に投球に影響が無いよう下位打線に置くのが定石なのだが・・・

 

 

「まぁ、北条が何の策も無くこんなことをするわけがねえ。なんか策があるんだろ」

 

「そ、そうですね」

 

(キンッ!)

 

 

ジャストミート

グラウンドに良い音が響く

 

 

「やっ・・・!」

 

 

が、サードがダイレクトキャッチし、スリーアウトチェンジ

 

 

「今のは良い反応ダナ」

 

「ああ、あの打球の速度に反応できる奴はそうそういない」

 

「海人君惜しかったね」

 

「さすが名門星凰のスタメンだな」

 

 

カール+三年生ズがそんな会話を交わす

 

 

「でもキッチリ捉えてたよね」

 

「だな、中島以外であそこまでキッチリ捉えたのは初めてじゃないか?」

 

「となると北条の作戦が分かって来たわね」

 

「英雄の前にランナーを出すってことね」

 

 

その会話にカールがピクリと反応する

 

 

(英雄・・・確か前に日本に来たときにも海人がそんなことを言っていたな。海人が認めるほどの実力者・・・楽しみだぜ)

 

 

カールはサードの守備についた英雄を見ながらそんなことを考えていた

その後、海人はあっさりと三者凡退に抑え、一回の攻防を終えた

 

 

「海人の奴、また投球のキレが良くなってるナ」

 

「さすが海人ね♪」

 

 

海人の活躍に嬉しそうな美波

 

 

「あれ?友香はどこに行ったの?」

 

「トイレじゃない?なんか慌てて出て行ったよ」

 

「全く、何やってるのよ・・・次は中島の番だって言うのに」

 

 

 

  ※外野席※

 

 

「・・・英雄」

 

 

中年の男がそう呟く

そしてその場を後にしようとしたその時・・・

 

 

「待って!!」

 

「君は英雄の・・・」

 

「小山友香です。貴方の息子さんの幼馴染です。お久しぶりです。出所していたんですね」

 

 

そう、彼は英雄の父親だ

 

 

「ああ、三か月ほど前にね」

 

「なんで・・・家に帰らないんですか?」

 

 

三か月前に出所していたと聞き、友香は拳を握りながらそう問いかける

 

 

「帰れないよ。帰れるわけがない。僕は人殺しだ。酒に酔っていたがその時の事ははっきりと覚えている。確かに僕はあの時、殺意を持って人を殴った。妻や息子の人生を滅茶苦茶にしておいてどの面下げて帰れというんだ」

 

 

再び中島父が立ち去ろうとするが・・・

 

 

「・・・あなたの名前は中島英昭」

 

「?」

 

「奥さんの名前は中島陽菜。そして息子は中島英雄」

 

「何を言って・・・?」

 

「何で二人が・・・今も『中島』と名乗っているかわかりますか?旧姓に戻さずあなたと同じ姓を名乗っている理由がわかりますか!?」

 

「理由・・・?」

 

「二人ともあなたが帰ってくるのを待っているからです!それなのにそんな二人の想いを裏切って一人逃げ出すなんて絶対に許さない!」

 

「でも・・・僕は・・・」

 

 

中島父が何かを言いかけたその時

 

 

(キンッ!)

 

 

ボールにバットが当たる綺麗な音が鳴り響く

そのボールは外野席にいる自分の方へゆっくりと向かってきて、中島父の真横を通過して落ちた

グラウンドでは彼の息子、英雄がガッツポーズをしながらベースを踏んで回り、ゆっくりとホームベースを踏んだ

そして英雄は外野席にいる自分の方を見て拳を握って真っ直ぐに手を上に挙げた

それはまるで・・・『自分はこんなに成長した』と言っているようだった

 

 

「英雄・・・」

 

 

息子の成長を見た中島父は涙を流した

 

 

「友香ちゃん。君はお母さんによく似ているね。聞いているだろう?僕と妻と君のお母さんは幼馴染だったんだよ」

 

 

友香もその事は母親から聞いていた

そして・・・彼女の母親の初恋が実は彼だったということも・・・

しかし、彼らが両想いだと知っていたため、身を引いたらしい

 

 

「僕も昔はやんちゃでね。妻を泣かせては君のお母さんにぶん殴られたものだ」

 

 

懐かしそうな目でそう呟く中島父

 

 

「ありがとう。君のおかげで目が覚めたよ。僕はもう逃げない。この試合が終わったら家に帰るよ」

 

「はい。二人もきっとそれを望んでいるはずです」

 

 

そう言って友香は微笑み、一礼してその場を後にした

 

 

『英昭!!アンタまた陽菜を泣かせたわね!歯を食いしばりなさい!!』

 

『全く、男だったら惚れた女を泣かせるんじゃないわよ』

 

「ホント・・・そっくりだよ」

 

 

優しく厳しく面倒見の良い幼馴染を思いだしながら彼はそう呟いた

一方その頃グラウンドでは・・・

 

 

「ナイスバッティング英雄君。でもどうして外野席にガッツポーズを?」

 

「ん~・・・ようわからんけど、誰かがあそこで応援してくれとる気がしたんや

 

 

そんな会話がされていた

 

 

 

 

  ※おまけ※

 

 

「あ、友香!どこに行ってたのよ?中島君の打席・・・ってどしたの?」

 

(どど、どうしよう・・まさか本当にホームラン打つなんて・・・ああもう!!なんであんな約束しちゃったのかなアタシは・・・何を要求されるんだろ?一応お気に入りの下着に着替えてきたけど・・・ってそうじゃなくって!!)

 

「友香?大丈夫?顔が赤いわよ」

 

 

顔を真っ赤にして頭から煙を出している友香を一同は心配するのだった

 




中島父、何気に初登場
そしてこれが最初で最後の出番w

次回も頑張ります
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