バカとテストとウチの弟   作:グラン

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ちょっと時間が掛かってしまった



第六十九問 彼に幸せになってほしかった

  SIDE 海人

 

 

「な、何言ってるのよ!?なんでアタシが犯人扱いされなきゃいけないわけ!?」

 

「お前、たった今こう言ったよな?『吉井のバカに迷惑している奴なんてたくさんいる』と」

 

「そ、そうよ!それがどうしたって言うのよ!」

 

「まだわからないか?俺は『Fクラスの生徒に』脅迫状が届いたと言ったんだ。それが吉井だなんて一言も言ってないぜ」

 

「そ、それは・・・く、クラスの女子が噂してるのを聞いて・・・」

 

「それはありえないな。この事は小山と英雄を除いたここにいるメンバーしか知らない。こいつらが誰にも喋ってない以上、お前のクラスの女子が知っているわけがない」

 

「え、えっと・・・この中で彼女がいるのが吉井だけだから・・・」

 

「また墓穴を掘ったな。脅迫状の内容については一言も触れてないぞ」

 

 

激しくに動揺する中林さん

どうやら脅迫状を出した犯人は彼女で間違いないようだ

 

 

「さて、どうする?ハッキリ言って、俺には動機に関しても見当がついている。言ってもいいが、できればお前の口から言った方がいいだろう」

 

「・・・もう・・・言い逃れはできそうにないわね・・・そうよ。吉井に脅迫状を出したのはアタシよ」

 

 

観念したように、ゆっくりと語りだす中林さん

 

 

「中林さん。なんでそんなことを・・・」

 

「私・・・好きな人がいるの。私なんかには釣り合わない位、優しくて素敵な人。でもある日、その彼の好きな人が誰なのか知ってしまったの・・・島田さん、あなたよ」

 

「え!?ウチ!?」

 

「そうよ。あなたと吉井が一緒に笑い合っている姿を寂しそうに眺めている彼を見て気づいてしまったの。アタシは彼にそんな顔してほしくなかった!彼に笑っていてほしかった!彼に・・・幸せになってほしかった・・・」

 

 

ポロポロと涙を流しながら力説する中林さん

 

 

「だからアタシは吉井に脅迫状を出して、盗撮犯の汚名を着せて島田さんと別れるように促した。そうすればフリーになった島田さんと彼は一緒に幸せになれるそう思ったの。こんなことしてはいけないのはわかってる!でも・・・それでもアタシは・・・」

 

「ちょっと待って!もしアキ兄さんと姉さんが別れて、その人と姉さんが付き合ったら中林さんの想いはどうなr・・・「いいの!」・・・!!」

 

「それでいいの。彼が幸せなら・・・彼が笑ってくれるならそれで・・・」

 

 

そっか・・・彼女はただその彼を・・・彼の事だけを考えて・・・

なんて一途な愛なんだ

 

 

「でも・・・もうおしまいね。島田さん、吉井君・・・本当にごめんなさい!!」

 

 

中林さんは姉さんとアキ兄さんの方を向いて頭を深く下げた

 

 

「もういいよ。僕は気にしてないからさ。ね?美波」

 

「・・・脅迫状の件はアキが気にしてないならウチもそれでいいわ。好きな人の為に何かしてあげたいって気持ちはよくわかるもの」

 

「吉井君、島田さん・・・ありがt・・・『でも!!』・・・っ!」

 

「でも・・・いくら海人に計画の邪魔をされたからって、海人を殺そうとしたことだけは何があっても絶対に許さない!!海人の受けた恐怖を思い知りなさい!!」

 

「み、美波!落ち着いて!」

 

「姉さん!暴力はダメだよ!!」

 

 

ブチキレて殴りかかろうとする姉さんを僕とアキ兄さんは必死に止める

 

 

「ちょ、ちょっと待って!何の話!?アタシ、そんなことしてないわよ!」

 

「待ってくれ島田さん!!」

 

 

ドアの開く音と同時に何者かが中に入ってきて中林さんと姉さんの間に割って入る

その人物とは・・・

 

 

「く、久保君!?」

 

「話は全部聞かせてもらったよ。僕は中林さんと面識があるが、彼女はそんなことをする人じゃない!」

 

「でもたった今、アキに脅迫状を送ったって自白したのよ!」

 

「それに関しては僕のせいだ。中林さん、僕がいつまでも想いを引きずっているせいで迷惑をかけてしまったね。すまなかった。・・・きっちりケジメをつけるよ」

 

 

そう言って久保君は中林さんに頭を下げ、こっちを向いた

そして・・・

 

 

「吉井君・・・僕は君が好きだ。いつも元気で明るく笑う君にずっと憧れていた」

 

 

そう言い放っ・・・はい?

僕達はその言葉を聞いてフリーズした

姉さんも暴れるのをやめて固まっている

 

 

「・・・ごめんなさい。僕には好きな人がいます。だから・・・久保君の想いには答えられません。ごめんなさい」

 

 

アキ兄さんは久保君の目を真っ直ぐに見てそう言った

 

 

「・・・真面目に答えてくれてありがとう。彼女とお幸せに」

 

 

久保君は悲しそうな笑みを浮かべながらそう言い、再び中林さんの方を向く

 

 

「あ、あの・・・久保君・・・アタシ・・・勝手に勘違いしてなんて余計な事を・・・」

 

「いいんだ。おかげで吹っ切れたよ。ありがとう」

 

 

久保君は中林さんにそう言って微笑んだ

 

 

「・・・ハッ!!ま、待ちなさい!そんなことよりさっきの続きを・・・」

 

「落ち着け島田。海人を襲った犯人は中林じゃない」

 

 

黙って見ていた北条君が不意に口を開く

・・・ていうかもっと早く止めに入ってよ・・・

 

 

「お前と吉井の喧嘩を海人が止めに入ったのは予想できたかもしれないが、海人がキレるのは中林にとっても予想外だったはずだ。そのせいで島田が落ち込んでしまって吉井と仲違いさせることができなくなってしまった。そうだな?」

 

「・・・ええ、まさか島田君があんなに怒るとは思わなかったわ」

 

「で、海人を排除しようとする・・・一見、辻褄が合っているように見えるが、だとするとやり方に矛盾が出る。海人がキレたのは初日の夜。二日三日であんな大規模な洞窟や、大型モンスターなんて用意できるわけがない」

 

「そ、それは・・・じゃあ誰が海人を・・・」

 

「ねえ、それって僕達が狙われたとは限らないんじゃない?洞窟の場所を見つけたのも偶然だし・・・」

 

 

なぜかみんなが僕が狙われたこと前提で話を進めているからとりあえず質問してみる

 

 

「ああ、お前にはまだ言ってなかったな。お前が狙われている証拠はいくつもある。まず、お前たちが持っていたタブレットPCだが・・・あれは偽物だ」

 

「・・・ゑ?」

 

「同じ型の物を使っているからわからないのも無理はない。そして、大型モンスターのイベントメール、これはお前たちにしか届いていない。だから他の生徒は標的にならない」

 

「で、でも、もし誰かが面白半分であの洞窟に入ったら・・・」

 

「吉井が壊した後の壁を調べてみたが、よく見るとあれは岩戸になっていて遠隔操作で動かせるようになっていたんだ。だから、他の生徒がいるときは閉めておけばいい」

 

「じゃああの落とし穴は?あそこに僕が落ちたのは偶然だよ?」

 

「・・・偶然じゃなかったとしたらどうだ?」

 

「・・・え?」

 

「もし、あの召喚獣を何者かが操作していたらどうだ?お前があの場所を通るように誘導することもできると思わないか?」

 

 

そ、そんな・・・

じゃあ誰かが僕を殺そうとして・・・

 

 

「ぼ、僕・・・何か悪い事したかな・・・?」

 

 

誰かに狙われている

そう思うと急に怖くなってきて、僕はボソッと呟く

 

 

「海人!大丈夫よ!何があってもウチが守るからね!」

 

 

姉さんは僕を優しく抱きしめてくれた

 

 

「海人、しばらくの間はなるべく誰かの近くにいるようにしろ。どうしても無理な時は人通りの多い道を通るんだ」

 

「う、うん」

 

 

まだちょっと不安だけど、一人でいることなんてあまりないし、大丈夫だよね?

 




強化合宿編は次回終了予定

次回も頑張ります
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