SIDE 優子
「海人は多分玲さんのところでしょうね」
「アタシもそう思うわ」
海人君の性格を考えるとあんな悲しそうな顔をしている玲さんを放ってはおけないだろう
「さて、何から話そうかしらね」
アタシ達はテーブルを囲んで座ると美波はそう言った
「じゃあまず、なんで吉井君はお姉さんの事をあんなに嫌っているの?」
「玲さんは凄いブラコンでね、アキの事をとても大切に思っていたの」
「海人を想う島田のような感じかの?」
「うん。まぁそんな感じ、ただ玲さんの場合は束縛が凄かったの。不純異性交遊禁止って言って、女の子と話すだけでもアキにお仕置きしていたわ」
「そ、それはすごいわね・・・」
「なるほどのう。それで明久は我慢できなくなったんじゃな?」
「ううん。その段階ではアキは別に怒ってなかったの。きっかけになったのは・・・ウチとアキの交際開始」
「なるほど・・・大体わかったわ」
「んむ?どういうことじゃ?」
「簡単な事よ。女の子との会話すら許さないブラコンが、女の子との交際なんて認めると思う?」
「優子の言うとおりよ。でも、アキはいくら理不尽な暴力を受けても、ウチと別れることを拒んだ。すると玲さんはウチの所に来てアキと別れるように言ったわ」
「それで・・・美波はどうしたの?」
「もちろん断ったわ。ウチは本気でアキの事が好きだから別れたくないですってね」
美波ってば一途なのね
でも・・・
「でも、そのままじゃ終わらなかったんでしょ?」
「うん。その翌日から玲さんは毎日ウチに嫌がらせをするようになったわ。ズタズタに切り刻まれたぬいぐるみを送りつけたり、『泥棒猫』って書いた手紙が毎日ポストに入っていたり・・・」
「な、何よそれ!酷いじゃない!」
吉井君と美波はお互いに好きで付き合っているのに家族とはいえなんで第三者にそんなこと言われなきゃならないのよ!
「ウチは海人にもアキにも心配を掛けたくなかったから必死にそのことを隠し続けたわ。でも・・・」
美波はカタカタ震えて目尻に涙を溜めている
「お姉ちゃん!!」
「み、美波!もういいわ!辛いなら言わなくていいから!」
アタシは美波を抱きしめる
「毎日毎日嫌がらせの電話が掛かってきて、一人で部屋で泣いてるところを海人に見られて・・・」
「海人君が吉井君に連絡したのね」
ポロポロ涙を流す美波の背中を擦りながら問いかけると、美波は縦に首を振る
「なるほどのう。それで明久がキレたんじゃな?」
「うん。その後、アキの両親がウチの所に謝りに来て、玲さんはそのまま両親に連れられて海外に行ったわ」
「そうだったの・・・それにしても、美波はどうしてそんなに酷い事をされたのに玲さんの事を許せるの?」
思い出して泣くほど辛いなら許せないと思うんだけど・・・
「・・・たしかに凄く辛かったわ。でも、玲さんの気持ちもわかるから・・・やり方は間違っていたかもしれないけど、玲さんはただアキの事が心配だったんだと思うの。弟を大切に思う気持ちはウチにもわかるから・・・」
「そっか・・・美波は優しいね」
「はいです!お姉ちゃんもお兄ちゃんも優しいです!」
葉月ちゃんは美波に抱き着いて嬉しそうにそう言った
「そうなると、海人君が誰かと付き合うと大変なことになりそうね」
「失礼ね。ウチは海人が選んだ人なら反対したりしないわよ」
(というか、海人が選ぶのは姉上だと思うのじゃが・・・)
海人君の選ぶ人か・・・
海人君と仲が良い人っていえば・・・同じクラスの姫路さん?あっ、愛子とも仲が良いわね
↑自分をカウントしていない
・・・あれ?なんでだろう?想像したらイライラしてきた
「あ、姉上?」
「何よ?」
「何故そんな鬼のような形相をしておるのじゃ?島田の妹が怯えておるのじゃ」
気付くと葉月ちゃんは美波の後ろに隠れて震えていた
「あ、ご、ごめんね。ちょっと嫌な事を思い出しちゃって」
なにやってんだろうアタシ
勝手に想像して勝手にイライラして・・・
「そ、そういえば海人君、遅いわね」
「そうじゃのう」
そういえば海人君、玲さんと二人っきり・・・
もしかして・・・
『玲さん、大丈夫ですか?』
『ええ、海人君は優しいですね』
『泣いている女性を放ってはおけませんから』
『・・・海人君、実は私はあなたの事が好きだったんです』
『玲さん、実は僕も玲さんの事が・・・』
『本当ですか?嬉しいです。さぁ、あちらのホテルで大人の階段を昇りましょう』
『はい、喜んで』
「ダメェェェェェェ!!!!」
「あ、姉上!?」
「ゆ、優子!?どうしたの!?」
落ち着け落ち着くのよ木下優子
いくらなんでも妄想が過ぎるわ
でも、女の子って辛い時に優しくされると弱いって言うし、玲さんも凄くスタイルが良かったし・・・
いやいや、まさか海人君に限ってそんな・・・っていうか、なんでアタシはこんなに動揺しているのよ!
「姉上はどうしたんじゃろうか?」
「凄い百面相ね」
『ただいまー』
「お兄ちゃんですっ!」
海人君が帰って来た
・・・さて、詳しい話を聞かせてモラオウカシラ
「みんな、遅くなってごめn『海人君!』・・・はい?」
「玲さんと何があったの!?何をしたの!?さぁキリキリ吐きなさい!!」
「ゆ、優子さ・・・苦し・・・」
「ゆ、優子!何をしてるのよ!」
「お兄ちゃんを虐めちゃダメです!」
「未成年がホテルなんて絶対ダメなんだからね!」
「何を言っておるのじゃ!?とにかくやめるのじゃ!」
海人君を締め上げるアタシを三人が止めに入る
アタシが冷静さを取り戻すのは数分後の事だった
ホント・・・何やってんだろ?アタシ・・・
木下優子、暴走モード突入!
自分の気持ちに気付かないまま嫉妬するという・・・
優子が自分の気持ちに気付くのはまだまだ先のお話
次回も頑張ります