バカとテストとウチの弟   作:グラン

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少々長くなりました・・・
二回戦終了まで一気に行きます


第八十三問 反撃開始

  SIDE 明久

 

 

誰か・・・助けてください

僕の彼女の・・・

 

 

「ねえアキ?」

 

「は、はい!」

 

「海人はいつになったら出てくるのかしらね?」

 

「さ、さぁ?いつでしょうね?」

 

 

怒りメーターがMAXです!!

まぁ気持ちはわかるけどね

現在二回裏、秀英学院の攻撃

すでに一点追加で3対0・・・あ、また打たれた

 

 

「まぁ島田の気持ちもわかるけどな。しかし北条の奴どうするつもりだ?このままじゃ海人を温存したまま終わっちまうぞ?」

 

「お兄様が出れば一気に逆転です!」

 

「そうよ!コラ北条!海人を出しなさい!!」

 

「み、美波ちゃん!落ち着いてください!」

 

 

熱くなっている美波を宥める姫路さん

北条君・・・ホントに頑張ってよ?

美波が暴走したら止める自信ないよ・・・

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 海人

 

 

「お疲れ様」

 

 

この回も二点追加で4対0

ピッチャーの藤本君もかなりまいっているようだ

 

 

「島田先輩・・・代ってください。僕はもう無理です」

 

「大丈夫だよ。まだ序盤なんだから。まだまだこれからだよ。この先を抑えればまだ逆転のチャンスも・・・」

 

「出来ないから言ってるんだ!」

 

「え?」

 

「島田先輩は出来るからそんなことが言えるんだ!才能があるからそんなことが言えるんだ!俺みたいな凡人とは見えてるものが違うから・・・」

 

「いい加減にしなさい!!」

 

 

藤本君の言葉に被せるように怒鳴り声が聞こえる

その声の主は・・・

 

 

「ゆ、優子さん・・・?」

 

「黙って聞いていれば・・・甘ったれるのもいい加減にしなさいよ!才能?凡人?ふざけるんじゃないわよ!アンタには海人君が才能だけで投げているように見えた?練習せずに怠けているように見えたわけ!?違うでしょ!海人君は毎日毎日努力して今の実力を手に入れたのよ!それを『才能があるから』なんて一言で済ませるつもり?ふざけないで!」

 

「ゆ、優子さん、落ち着いて・・・」

 

「落ち着け木下。藤本、お前の打順だ」

 

 

智也君がそう言うと優子さんは渋々下がり、藤本君は打席に向かう

7番、8番がアウトになりツーアウト

 

 

「ふっ、俺達が言いたいこと全部言いやがって」

 

 

常村先輩が笑いながらそう言う

 

 

「北条、あのまま打席に行かせちまったが交代させなくてよかったのか?」

 

「ちょっと確かめたいんですよ。あそこまで言われてなんとも思わないようなら交代ですかね」

 

 

『九番ピッチャー藤本君』

 

 

(くそ・・・)

 

(こいつには変化球はいらない。コースを突いた直球で充分だ)

 

(俺だって・・・俺だって毎日毎日必死に練習してんだよぉぉぉ!!!)

 

 

「な、なに!?」

 

 

いい音がし、打球はレフトに・・・が、レフトのファインプレーによりスリーアウトチェンジ

 

 

「くっ!」

 

 

悔しそうにトボトボと帰ってくる藤本君

 

 

「ナイスバッティング。惜しかったね」

 

「・・・島田先輩。さっきはすいませんでした。先輩の練習を間近で見てきたのにあんなこと言って・・・どうかしてました」

 

「まだ・・・投げられるね?」

 

「はい!!」

 

 

僕の言葉に藤本君は元気よく返事をし、グローブを持ってマウンドに向かった

あの様子ならもう大丈夫だな

 

 

「あ、あのさ、海人君」

 

「ん?どうしたの優子さん」

 

「さっきの子にちょっとキツク言い過ぎたかな?大丈夫かな?」

 

「大丈夫だよ。むしろ優子さんの喝のおかげで完全に吹っ切れたみたいだよ」

 

「ならいいけど・・・」

 

「それに・・・僕の為に怒ってくれて嬉しかったよ。ありがとう」

 

「う、うん・・・」

 

 

僕がお礼を言うと優子さんは顔を赤くして俯いた

うーん、やっぱり可愛いなぁ・・・

 

 

((((ホント、この人たちなんで付き合ってないんだろう?))))

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 明智

 

 

ちっ、吹っ切れたか・・・

こうなると追加点は厳しいな

まぁいい。この点差を守り切れば俺達の勝ちだ

 

 

『一番センター野村君』

 

 

内野前進っと

どうせバントしかできないだろう

低めにスライダーだ

 

 

(キンっ!)

 

 

「な、なに!?」

 

 

スライダーを軽々と打ち返した野村の打球はサードとショートの間を抜けレフト前へ

バカな!前の打席は手も足も出なかったくせに初球から軽々と・・・

 

 

『二番ライト大村君』

 

 

コイツらの狙いはおそらくバントエンドラン

ここはバントしにくい高めのストレートだ

投球と同時にピッチャー、ファースト、サードが飛び出す

・・・が、大村はピッチャーとファーストの間にプッシュバント

 

 

「しまった!セカンド!」

 

 

セカンドが捕球するがファーストが飛び出しているため投げられない

読み違えた・・・

 

 

『三番ショート夏川君』

 

 

まだ大丈夫だ。ここでこいつを打ち取り、中島は敬遠

あとは常村と北条を打ち取ればいい

 

 

外角低め、ボール球になるスライダーだ

 

 

「ボール!」

 

 

振らない?読まれた?いやまさか

もう一球、さっきより厳しいコースだ

だが・・・

 

 

「ボール!」

 

 

見切られている!?

今の球はスライダーじゃなければストライクだったぞ!?

とにかく満塁で中島に回すわけにはいかない

ここで仕留める

外角に目が行っている今なら内角のストレートには手は出まい!

しかし・・・

 

 

「ば、バカな!?」

 

 

ジャストミートレフト前ヒットで野村が生還

一点返された

どうなってるんだ?完全に球種を読まれているとしか・・・

まさかピッチャーに癖があるのか?

いや、そんなはずはない

何度もフォームをチェックしたがそんなものは見つからなかった

仮にあったとしてもこの短時間で気づけるものか

 

 

『四番サード中島君』

 

 

くっ・・・ダメだ・・・こいつに勝負は危険すぎる

満塁は危険だがここは敬遠だ

 

 

「ボール!フォアボール!」

 

 

これでいい

ノーアウト満塁は危険だが、ホームゲッツーも狙えるこちらの方が守りやすいはずだ

 

 

「一つ、忠告しといたるわ。あんまり常村先輩を甘く見とると痛い目みるで」

 

 

そう言うと中島は一塁へと走って行った

フン、勝負してもらえなかったのがそんなに悔しいか

 

 

『五番セカンド常村君』

 

 

コイツにはゴロを打ってもらうとしよう

内角低めにボール一個分外して直球だ

これでゲッツーでツーアウト

最悪一点は覚悟しよう

・・・よし!コースは完璧!これなら打っても詰まる

 

 

(内角低め・・・北条の言ったとおりだ)

 

 

っ!ベースから離れた!?

キンっ!という綺麗な音がし、打球はグングンと伸びて・・・スタンドに入った

逆転満塁ホームラン・・・

何をしているんだ俺は!

セオリー通りに行き過ぎだ!

ゲッツーを狙うならゴロになりやすい低めに投げる事位小学生でもわかることだろ!

完全に配球を読まれた

今のは俺のミスだ・・・

 

 

『六番キャッチャー北条君』

 

 

まずは高速スライダー

スライダーと直球で三振狙いだ

今度こそ奴の裏をかく

 

 

「!?」

 

 

ま、曲がらない!?

マズイ!失投だ!

打球は三遊間を抜けてレフトへ

 

 

「た、タイム!」

 

 

くっ!ここは一旦一呼吸置く

ここからは下位打線だ

さっさとアウトを取ってピッチャーを休ませないとな

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 優子

 

 

「いい調子ね」

 

「優子さんが『アレ』に気付いてくれたおかげだよ」

 

「だな。正直、あのスライダーには苦戦しそうだったしな」

 

「お手柄やで木下さん」

 

「あ、アタシは・・・気付いたことを言っただけで・・・」

 

 

こんなに褒められると正直照れくさい

でも・・・一つ隙が見つかるだけでこんなに戦局が変わるなんて・・・

野球って面白いわね

 

 

『七番ファースト田中君』

 

 

(田中太郎・・・文月学園野球部の部長だが、実力は同級生の常村や夏川に大きく劣る。普通に勝負しても打ち取れるだろう)

 

 

「・・・なんて考えているならこっちの勝ちだな」

 

「部長さんってそんなに凄いんですか?練習ではあまり目立ってないような・・・」

 

「たしかに、足なら野村の方が上、打率なら夏川、長打力は中島や常村の方が上だし、大村程の技術も無い」

 

「だが、あいつの最大の長所は・・・短所がない事だ」

 

「短所が無い?」

 

「ああ、苦手分野が無いんだ。盗塁はそれなりに成功しているし、打率も三割、パワーもないわけではないし、バントだって下手じゃあない。それに、あいつは一応、全ポジション守れるんだぜ」

 

「ちなみに学力も全科目300点ピッタリ。得意科目も苦手科目もない。平均的って言葉を絵に書いたような奴だ」

 

 

そ、それはすごいわね・・・

弱点が無いだなんて・・・羨ましいわ

 

 

「でも・・・」

 

「「地味なんだよなぁ・・・」」

 

「せ、先輩・・・それはさすがに失礼なんじゃ・・・」

 

「なんて言うか華が無い?」

 

「顔も名前も平凡だし」

 

 

・・・言いたい放題だ・・・

・・・あっ!?

 

 

「せ、先輩・・・それ位にしておいた方が・・・」

 

「どうした島田?地味太郎に遠慮してんのか?」

 

「・・・誰が地味太郎だって?」

 

 

夏川先輩の『後ろに立っている』地味太r・・・じゃなく、田中先輩が青筋を浮かべながらいい笑顔で声をあげると夏川先輩は固まってしまった

 

 

「え、えっと・・・田中・・・さん?打席の方は・・・?」

 

「残念ながら詰まらせてしまいまして、アウトになって戻って来ていたんですよ。地味だから気付きませんでしたか?」

 

「い、いや・・・それは・・・『アウト!スリーアウトチェンジ!』・・・さ、さぁチェンジだ!しまっていこうぜ!」

 

 

そう言った夏川先輩は逃げるようにグローブを持って守備に向かいました

 

 

「・・・後で覚えてろよ」(ボソッ)

 

 

・・・部長はあまり怒らせないようにしよう・・・

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 明智

 

 

クソクソクソ!なんでこうなった!?

現在、五回裏で15―4

この回最低2点取らないとコールドゲームで負けてしまう

だが・・・

 

 

『アウト!』

 

 

ダメだ・・・何の策も思いつかない

それにこの回コールドを免れたってウチの打力じゃあ10点差をひっくり返すのは無理

 

 

『アウト』

 

 

俺の計算が・・・データが・・・

 

 

『アウト!ゲームセット!』

 

 

試合終了

俺達の負けだ

 

 

「なぁ北条さん」

 

「なんだ?」

 

 

俺には聞きたいことがあったので向こうの頭脳、北条智也に声を掛ける

 

 

「なんで・・・打てたんですか?俺はそっちの弱点を突いたはずですが・・・」

 

「ああ、わざと遅く投げるストレートと同じ速度で曲がるスライダーにあのコントロールは見事だったよ。それに苦手なコースを突かれて一巡目は手も足も出なかった。でも・・・球種がわかれば打つことはたやすい」

 

「球種が・・・わかる?そんなばかな!ピッチャーの投球フォームは何回もチェックして・・・」

 

「ああ、ピッチャーにはなんの癖も無い。癖があるのは・・・お前だよ」

 

「え?」

 

「お前はスライダーを要求した後、必ずマスクを整える。おそらく変化球を捕りこぼさないように無意識にとった行動だろう。おまけにお前は打ちにくいコースばかりを責める。ならばこっちは最も打ちにくいコースに狙いを絞ればいい。コースも球種もわかっているんだ。そりゃあ打てるさ」

 

「俺にそんな癖が・・・」

 

「他者のデータばかり気にしていて自分自身を見直せていなかったな」

 

「そうか・・・俺もまだまだですね」

 

 

俺の力は北条智也にまだまだ遠く及ばなかった

 

 

「っと、偉そうなことを言ったが、実はお前の癖に気付いたのは俺じゃない。俺もキャッチャーがとる普通の行為として見逃していたんだ」

 

「じゃあ誰が?」

 

「ウチの敏腕マネージャーだよ。あいつは野球に関して素人だから、ちょこちょこマスクを直すお前の動きが気になったんだとよ」

 

「・・・素人だからこそ気付く・・・か。いいマネージャーですね。試合の偵察にも来てましたし・・・」

 

「気づいていたか。ってことはやっぱり『海人を打つ策がある』ってのは・・・」

 

「ええ、ブラフです。点を取る策が全く思いつかなかったので・・・ま、それでも負けてしまいましたがね・・・出直してきます」

 

「ああ、挑戦はいつでも受けて立つぞ」

 

 

そう言って北条は去って行った

まいったな・・・野球なんてただの戦略ゲーム。ただの暇つぶし

本気でやってるわけじゃないし、負けたって悔しくもなんともない

そう思ってたのに・・・

 

 

「くそ・・・」

 

 

なんで・・・涙が出てくるんだろう・・・

 




大逆転!
優子さん大活躍!
敏腕マネージャー木下優子はこれからも活躍?

次回も頑張ります
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