SIDE 美波
「・・・暇ね・・・」
海人は部活、アキは観察処分者の仕事
ウチは先に帰って夕飯の支度をしたのだが、それも終わり、暇を持て余している
・・・そうだ!
「葉月、お姉ちゃん、ちょっと出てくるから少しの間お留守番しててね」
「はいです!」
ウチは家を出て、向かった先はアキの家
貰った合鍵を使い、中に入った
「あいかわらず散らかってるわね~」
全く・・・少しは片付けなさいって言ってるのに・・・
さて、お掃除してあげよう
ふふ、なんだか奥さんみたい♪
「・・・アキのベット・・・」
(スッ)←座ってみる
(ゴロン)←寝転がってみる
(ギュ)←布団を抱きしめてみる・・・そして匂いを・・・
「って!ダメダメ!その一線は超えちゃいけないわ!人として!」
アキのベットの上でバタバタと暴れ・・・(バサッ)・・・ん?
「今、何か落ちたような音が・・・」
こ、これは・・・
SIDE OUT
SIDE 明久
「疲れた~全く・・・鉄人は人使いが荒いんだよ・・・ん?」
部屋のドアが開いている・・・
朝、開けっ放しで出たっけ?
中に入ると・・・
「掃除されている・・・美波かな?」
そんなことを考えながら荷物を置く
・・・ん?置手紙?
「なになに・・・『帰ったらウチの部屋に来なさい』」
・・・なんだ?何か嫌な予感が・・・
ハッ!まさか!!
「(ゴソゴソ)無い!僕の聖典の数々が・・・」
マズイマズイマズイ・・・もしあれが美波に見つかったのだとしたら僕の命の灯火は・・・
とにかく逃げ・・・(pipipi)
「メール?美波からだ、なになに・・・『逃げたら殺す』・・・終わったぁぁぁぁぁ!!!」
逃げれば死、逃げなくても死・・・
はぁ・・・とにかく土下座し続けてせめて命だけは助けてもらおう
「遅くなると余計機嫌が悪くなるよね・・・早く行こう・・・」
僕は慌てて美波の家に向かった
※美波の家※
「お、おじゃましまーす」
「アキ、こっちに来なさい」
「み、美波様、これには深いわけが・・・『早く来なさい』・・・はい」
美波の部屋に入り正座する
僕の目の前には段ボール箱に詰められた僕の聖典
そして仁王立ちしている美波
「アキ、アンタウチと付き合う時に『エッチな本は全部捨てた』って言ったわよね?」
「は、はい」
「じゃあこれはなにかしら?」
ヤバイヤバイ、怒ってる。怒っておられる
・・・そうだ!これは僕の物じゃないってことにすれば・・・
「え、えっと・・・そう!これは海人からの預かり物なんだ!」
「見え透いた嘘を言うんじゃないわよ!海人がそんなもの持ってるわけないでしょ!」
しまった!雄二かムッツリーニにしておけばよかった!
しかも海人に罪をなすりつけようとしたことにより美波はヒートアップしている
「どうせアンタだってウチなんかよりこういう胸の大きい女の子の方が好きなんでしょ!」
美波は聖典の一冊を手に取り、写っている女の子を指差しながら叫ぶ
「なっ!それは違う!僕にとって一番は美波だよ!」
「嘘よ!」
「嘘じゃない!今だって、さっきからチラチラ見える美波のパンツで興奮して・・・「この変態!」・・・ゴハッ!」
・・・蹴られた
「ハァハァ・・・じゃあ・・・しょ、証明してよ」
そう言って美波は顔を真っ赤にしてベットに腰掛け目を閉じる
これは・・・そういうことなのか?
ええい!落ち着け、落ち着くんだ吉井明久!
美波は僕の彼女だ!付き合ってる男女がこういった事をするのは普通のはずだ!
僕はゆっくり美波に近づいて、美波の服に手を掛け・・・
「ただいま~」
((バッ!))←慌てて離れる音
「か、海人!お、お帰りなさ・・・キャ!」
「美波、危ない!わっ!」
美波が聖典の入った段ボールに躓き、僕は美波を受け止めようとしたが、間に合わず一緒に倒れ込んだ
「姉さん?今、凄い音が・・・」
海人がドアを開け、顔を赤くして固まった
今の状況を読者のみんなにわかりやすく説明しよう
床には先ほど美波が躓いたことにより撒き散らされた聖典
そして僕は美波を抱きしめるように一緒に倒れ込んでいる
「・・・失礼しました!」
慌ててドアを閉める海人
『お兄ちゃん、お帰りなさいです!どうしたですか?』
『葉月、邪魔しちゃダメだよ。姉さんとアキ兄さんは今から大人の階段を昇るんだ』
「「誤解だぁぁぁぁ!!」」
僕と美波の叫び声が部屋中に鳴り響いた
SIDE OUT
SIDE 海人
「全く・・・アキがエッチな本持ってるから悪いのよ!」
「・・・すいません」
「まぁまぁ姉さん、落ち着いて」
プンプンと怒る姉さんと申し訳なさそうに謝るアキ兄さん
話によるとアキ兄さんの部屋からエッチな本が見つかったらしい
「しかもアキってば海人のせいにしようとしたのよ!全く、海人がそんな本持っているわけないっていうのに・・・」
「そんなことないよ!海人だって男なんだから聖典(エロ本)の一冊や二冊・・・」
「そんなの持ってないよ」
全くアキ兄さんは・・・
「聖典ってなんですか?」
葉月が興味あり気に聞いてきた
「綺麗なお姉さんがたくさん載った・・・いたたたっ!僕の腕がぁぁっ!!」
「小学生になんてこと教えてんのよ!」
姉さんがアキ兄さんに関節技を決める
「綺麗なお姉さんですか・・・それならお兄ちゃんの部屋の引き出し・・・もごもご」
「は、葉月!何を言って・・・ハッ!」
アキ兄さんと姉さんが争うのをやめてこっちを見ている
そして次の瞬間・・・
(ガシッ!)←アキ兄さんが僕を羽交い絞めにする音
(ダッ!)←姉さんが僕の部屋に走る音
「ね、姉さん!誤解だ!僕はエロ本なんて持ってない!アキ兄さん!お願いだから離して!」
葉月が言っているのは多分『アレ』のことだ
アレだけは見られるわけにはいかない
僕はアキ兄さんを引きづりながら自分の部屋に向かう
「なによ・・・別におかしいものなんてないじゃない・・・(パラっ)・・・ん?」
姉さんが適当に掴んだ本の隙間から一枚の写真が・・・
・・・終わった・・・
「こ、これ・・・そっか、そういうことだったのね」
「え?なになに?何が写ってるの?」
「海人の恋人よ」
「ち、違うよ!僕が一方的に想ってるだけで別に付き合ってるわけじゃ・・・「好きな人だってことは認めたわね」・・・しまったっ!」
嵌められた・・・
「どれどれ・・・これって、秀吉のお姉さん?へぇ~海人って木下さんが好きだったんだ?」
「うぅ・・・」
「その反応は図星みたいだね」
「それで?いつから好きだったの?きっかけは?」
二人が目を輝かせながらこっちを見る
「その・・・入学直後、僕が言葉が通じなくて困っていた時に凄く親切にしてくれたんだ。校舎内の案内とか、他のクラスメイトへの通訳とか・・・」
「通訳って・・・木下さん、ドイツ語を話せるの?」
「ううん、僕も木下さんも英語が得意だったから・・・」
「そっか、海人、英語が得意だったわね」
「美波は英語も話せなかったのにね」
「うるさいわね。仮に話せたとしてもアンタ英語出来たわけ?」
「・・・話せません」
アキ兄さんは視線を逸らしながら呟いた
「そ、それよりも、海人、告白はしないの?」
「ええっ!む、無理だよ!僕なんかと木下さんみたいな美人じゃ釣り合わないよ」
「まぁ無理に告白しろとは言わないけどさ・・・海人はもっと自分に自信を持ったほうがいいよ」
「そうよ!ほらっ!ウチを木下さんだと思って練習よ!」
「ええっ!?えっと・・・ほ、ほら!葉月がお腹すいたって!ご飯にしよう!」
僕は逃げるようにリビングに戻った
「逃げた」
「逃げたわね」
背後からアキ兄さんと姉さんの声が聞こえた気がするけどきっと気のせいだろう
その後、僕達は(アキ兄さんも一緒に)夕食を食べた
余談だが、アキ兄さんのエロ本(まだ隠し持っていたものも含む)は後日、姉さんに全て処分されたそうだ
海人のお相手は優子になる予定です
次回も頑張ります