バカとテストとウチの弟   作:グラン

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一回から九回まで全部書くと長くなりすぎるので主要人物以外のシーンは省略いたします
予めご了承ください


第八十八問 多岐VS智也

  SIDE 海人

 

 

あの後も三者凡退が続いた

ナックルは英雄君にしか投げないかと思っていたがそう甘くはなく、要所要所にナックルを織り交ぜた投球に僕達は翻弄されていた

そして・・・四回裏、再び多岐君の打順が回ってきた

 

 

(こいつに出塁されると厄介だ。なんとしても抑えるぞ)

 

(うん)

 

 

智也君からのサインは・・・内角低めにスプリットか・・・

なるほど・・・低めに投げればあのダウンスイングをしてもあまり高くバウンドしないってことか

納得した僕はサイン通りに投げる

 

 

「そう来ると思ったぜ!」

 

 

そう言った多岐君はバントの構えをとる

 

 

「そう来ることは読んどったで!!」

 

 

英雄君と田中先輩は前に出る

少し遅れて僕も前に走り出す

 

 

「ここだ!」

 

 

多岐君は僕と田中先輩の間にプッシュバント

マズイ!そこは最もバントの成功率が高い場所だ

ピッチャーとファーストが前に出ていることにより、バント処理はセカンドが行うしかない

しかしセカンドが捕球すると一塁のベースカバーがいない

完全にやられた・・・

 

 

「常村!止まるな!!一塁に入れ!」

 

「おう!!」

 

 

そう叫んだのは・・・夏川先輩だ

なんとショートの夏川先輩がセカンドに転がっている打球を捕る

そしてそのまま一塁に送球

一塁に入ったセカンドの常村先輩はそれをキャッチしアウト

なんとかピンチを切り抜けた

 

 

「夏川先輩、ナイスプレーです!」

 

「さすが先輩や!」

 

「島田、バックは任せてどんどん打たせて来い。心配すんな。鉄壁の二遊間の名は伊達じゃねえからよ」

 

「そうそう、お前が三振ばっかり取るからこっちは暇でしかたねえぜ」

 

 

常村先輩と夏川先輩は笑いながらそう言う

頼もしいなぁ

結局、僕はこの回も三者凡退で切り抜けることができたのだった

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 新田

 

 

タッキー先輩が一塁でアウト!?

初めて見た・・・

 

 

「・・・悪ぃ・・・」

 

「いえ、先輩のバントは完璧でしたよ。アレは向こうの守備が一枚上手でした」

 

「悪い。もう少し踏ん張ってくれ。次こそはあいつらから一点取ってみせるからよ」

 

「はい、もう少しと言わず最後まで抑えてみせますよ。奴らには一点たりとも与えません」

 

 

俺にはこのナックルがある

絶対に打たれるもんか

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 優子

 

 

「・・・すまん」

 

「ドンマイだよ英雄君」

 

 

五回表、この回の先頭打者の中島君は、ナックルが続いた後のストレートに対処できず三振となってしまった

 

 

「しっかし中島でも打てねえのか、あのナックルは・・・」

 

「バントすらできなかったッス」

 

「智也君、何か策はある?」

 

「かなり完成度の高いナックルだ。だが、完成度が高いからこそそこにつけ入る隙がある」

 

「どういうこと?」

 

「あいつはナックルに絶対の自信を持っている。おそらくまともに打たれたことはないんだろう。海人、お前なら自信を持って投げた決め球を打たれたら精神的にキツイだろ?」

 

「う、うん」

 

 

そういえば中島君と勝負したときにカットボールを打たれて辛そうだったわね

友香もそんなこと言っていたような・・・(第三十四問参照)

 

 

「あいつはまだ一年だ。実践馴れもしていない。ナックルを打つことができれば心が乱れ、投球が狂うかもしれない」

 

 

なるほど。でも・・・

 

 

「でもそれってナックルを打つことが絶対条件よね?そこはどうするの?」

 

「まぁ球数を稼ぎつつ体力の消耗を狙うしかないな。っと、チェンジだな」

 

 

そう言ってみんなは守備に入る

 

そして回は進み七回裏

再び多岐君の打順が回ってきた

多岐君はバントの構え

でも・・・なんだろう?

嫌な予感がするわ

そして海人君投げた球は・・・高め

高めの球は打ち上げやすくバントしにくいらしい

しかし・・・

 

 

「あっ!」

 

 

多岐君はバットを引っ込めヒッティングに切り替える

そして・・・振りぬいたバットは右中間に飛んだ

打った多岐君は楽々三塁へ

 

 

(ご、ごめん!)

 

(気にするな。内野安打しかないと思ってた俺のミスだ)

 

 

海人君と北条君がアイコンタクトで何やら言っているようだ

そして海人君は少し落ち込んでいるようにも見える

 

 

「海人君!気持ちを切り替えて次を抑えましょ!」

 

 

アタシがそう言うと海人君はこっちをチラリと見て一回頷いた

大丈夫かしら?

海人君って少しメンタルが弱いから心配だわ

そして打順は二番の岸川君

狙ってくるのはおそらくスクイズ

内野は前進守備で外野も前に出てきている

ここで点を取られるとかなり厳しくなる

 

 

『ストライーク!』

 

 

一球目は内角高めギリギリに決まってストライク

そして海人君はクイックモーションから二球目を投げ・・・

 

 

「走った!」

 

 

多岐君が走った

ここでスクイズ!

 

 

(海人!)

 

(うん!)

 

 

海人君はスクイズされないよう外にボールを外す

岸川君もそれを黙って見ているわけにはいかずボールに飛びつく

ダメだ・・・バットが届く・・・

そう思ったが・・・

 

 

『ストライーク!』

 

 

ボールはバットに当たらなかった

そして多岐君はそのままタッチアウトとなった

 

 

「さすが北条先輩ですね」

 

「今、どうなったの?」

 

「北条先輩は・・・今の球をスプリットで投げさせたんです。向こうの選手はバントが上手いから打ち上げないようにボールの上に当てようとするはずです。なので落ちる球は空振りしやすい。しかも『ピッチアウト』した球なので無理な体勢で当てようとしているのでそこで落とされたらバッターは対処できません」

 

 

※『ピッチアウト』の補足。攻撃側の盗塁、ヒットエンドラン、スクイズプレイなどを阻止することが目的の故意に外角に外すボール球の事だよ※

 

 

凄い・・・北条君はそこまで読んでいたのかしら・・・

結局この回も三人で終了

次は再び中島君の打順

ここが勝負所ね

 




二回目、三回目の多岐の打席も何とか抑えた海人達
だが、野球は点を取らなければ勝てない
はたして彼らはナックルボーラ―新田から点を取ることはできるのか?

次回も頑張ります
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